2012年9月1日土曜日

2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント71:R14 グランプリ・オブ・ボルティモア Day1 「去年が結構よかったんでその感覚で行くと全然しっくりこないですね」

Photo:INDYCAR\LAT USA
ボルティモア・グランプリ
ボルティモア市街地コース
Day1 プラクティス1         1分23秒0918      13位     6周走行
         プラクティス2         1分23秒1126      20位      13周走行


タイヤシケイン新設!午後のプラクティス2は30分の走行に

シケインをとっぱらった新レイアウトとした開催2年目のボルティモア・ストリート・コースだったが、今朝インディーカーが走り出すと、シケインのあった線路を越える部分でマシンが大きくジャンプ。それが危険なレベルにあるとの判断が下された。急遽、路面をスムーズにする作業が始められ、最終的にシケインを設置する事に決定。午後のプラクティス2は予定よりも1時間ほど遅れて、走行時間も1時間から30分に半減されて行われた。
佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、午前中のプラクティスで6周を走行。午後には13周を走り、結果は21番手だった。


「あまりよくないですね。これからデータをもう1回全部見直して、明日に備えます」

Jack Amano(以下――):タイヤでシケインが作られてのセッションでした。
佐藤琢磨:あの部分でのスピードを落とさせるためです。
――結構な高さにタイヤを積み上げた仮設シケインで、走りにかったりはしませんでしたか?
佐藤琢磨:あくまでもテンポラリーなもので、明日にはちゃんとしたシケインが設置されるということなので、今日のところは特に気にしていませんでした。


プラクティス1終了後、急きょタイヤでシケインを設置。
Photo:INDYCAR\LAT USA
――マシンの調子はどうですか?
佐藤琢磨:ウーン、あんまり良くないですねぇ。まぁ、全体的なバランスとグリップ感と、トータルのパッケージですけども、去年が結構良かったんでね、その感覚で行くと全然しっくりと来てない。すごい跳ねちゃうし、接地感がないっていうのかな? (タイヤの)ロックもし易いし。
――午後のプラクティスは30分間でした。走行時間が短くされる週末となってしまいました。
佐藤琢磨:そうですね。やることはいっぱいあるんですけどね。そういう意味で、こういう状態の中で得られるデータって相当限られてますし、もうちょっとスタートから良い位置に行きたかった。今、ちょっと(置かれている状況は)厳しいですね。
――ストリートは今年は調子良く来ていたけれど、今回は走り出しが苦しい。
佐藤琢磨:なんか、出だしのパッケージがあんまり良くないっていうか……。ボルティモアってちょっと特殊なんですよね? 去年、KVレーシングは市街地とか、ロー・グリップのところはうまく行かなかったけれど、ここだけは良かった。ボルティモアのコースはグリップ感も他のストリートと比べると高い。今年はストリートに関してはバランスが良かったのに、今日走り出してみると良くなかった。そこはロードコースっぽい方向にセッティングを持ってかなきゃいけないのかな、というところがあって、でも、自分たちはロードコースであまり今、良いデータってないから。これからデータをもう1回全部見直して、明日に備えます。なかなか厳しい状況です。

2012 INDYCAR レポート:R14 グランプリ・オブ・ボルティモア Day1 プラクティス1 路面が伴ピーすぎることが判明し、プラクティス1は予定された1時間を走らず終了

早くもシケイン復活か? まったく走らないドライバーも

 今年のボルティモアのウリのひとつは、ストレートのシケインをなくし、スピードアップさせてオーバーテイクを増やそうというものだった。しかし、シケインをなくしたストレートを実際にインディーカーが走り出してみると、スピードアップしたマシンが大きく危険なほどに跳ねてしまうことが判明した。
 「全開では走れない」とドライバー達は走行を切り上げることとなった。「背中や首を傷めかねない」、「尾てい骨への衝撃はひどい」とドライバーたちは話していた。
 因に、このセッションでのトップはマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)の1分21秒0211だった。一切走らなかったドライバーもいた。それらは、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)、グレアム・レイホール(チップ・ガナッシ・レーシング)、アレックス・タグリアーニ(ブライアン・ハータ・オートスポート)、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)で、チャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ・レーシング)は、コース・インした周にスピン&ストップで計測タイムなしだった。
 「走れない!」というドライバーがいる一方で、ルーベンス・バリケロ(KVレーシング・テクノロジー)は10ラップも走って2番手タイムをマークした。シモーナ・デ・シルベストロ(ロータス-HVMレーシング)も8周。アンドレッティとジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・レーシング)は7周した。佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は6周し、13番手のタイム。


「去年から今年にかけて、線路の形状が大きく変わってしまった」とレースディレクター

 レース・ディレクターのボー・バーフィールドは、「去年、シケインを間違ってまっすぐ走る抜けてしまったドライバーたちは、いわば今年のレイアウト使用に向けてのプレビューをやっていたわけで、彼らからの情報からすると、あのシケイン部をまっすぐ走り抜けても大丈夫だろうということだった。しかし、実際にはそうでしゃなかった。線路というものは、時間の経過とともに変化が起こり得るものだからだろう。去年から今年にかけて、路面の形状がかなり変わったと思われる。線路のところでの段差が大きく、インディーカーが大きくジャンプしてしまう状況を作り出しており、プラクティスを早めに切り上げることにした」と状況を説明した。
 「このまま今日の走行はなしにすべき。最初はそう考えた。しかし、午後のプラクティスは行う方向に考えを変えた。ただし、午後のプラクティスまでに何らかの対処をしなくてはならない。そして、今晩は大掛かりな工事をすることになる」ともバーフィールド。彼は、「線路の上を舗装してしまう手もあるし、シケインを復活させることも考えられる。明日、新しい舗装がトラブルを巻き起こし、現在と同じように対策に頭を悩ませるより、シケインを作るというアイディアの方が現実的だ」とも話した。

2012年8月31日金曜日

2012 INDYCAR ルーベンス・バリケロ インタビュー :ソノマでベストリザルトとなる4位フィニッシュを達成!来シーズンのチーム移籍も噂されているF1出身実力派がインディーカー1年目を語る

「ファスト6進出や、表彰台はこまでに何度もできていると思っていた」
 フォーミュラ1で11勝の実績を持つドライバー、ルーベンス・バリケロのインディーカー・シリーズ参戦は、今年の大きな話題のひとつだった。しかし、326グランプリ出場の経験を持ってしても、インディーカーでは驚くほどの苦戦を強いられて来ている。彼自身、そのパフォーマンスの低さには衝撃を受けており、「シーズンがここまで進むまでに、ファイアストン・ファスト6への進出や、レースでの表彰台登壇は何度も実現できていると思っていた」とミド‐オハイオでは語っていた。
 第12戦までの予選でのベストグリッドはミルウォーキーでの5位で、10位はインディー500とエドモントンの2回があるが、シングルグリッドは僅かに1回だけ。決勝ではさすがのしぶとさ、クレバーさを見せていて、アイオワで7位(第12戦まででのキャリア・ベスト)、バーバーで8位、ロングビーチで9位、サンパウロとミルウォーキーで10位フィニッシュを果たしているが……。
 バリケロのパフォーマンスは、彼のインディーカーへの順応能力が低いからではなく、KVレーシングというチームの実力の低さが最も大きな要因となっている。チームメイトのトニー・カナーンは5回ものトップ5フィニッシュを記録して来ているが、それは彼のシリーズトップを誇る経験量に頼るところが極めて大きい。

「まだ、望むマシンバランスをバッチリ得られたことがない」

 バリケロのインディーカー入りは、幼なじみにして親友のTKが尽力して実現したが、そのTKが自分のピットにチーム内ベストのスタッフをかき集めているため、3番目のドライバーとして開幕直前にチーム入りしたバリケロには、元々薄味のチームの、更に薄い部分しかあてがわれて来ていない。KVの作戦力の弱さは業界では良く知られたところで、バリケロの好走を台無しにしたレースは今シーズン何度も見られて来ている。救いは、シーズン途中にアンドレッティ・オートスポートから優勝経験を持つエンジニアのエディ・ジョーンズを引き抜き、彼のレース担当につけてもらったところぐらいだ。
 ソノマでのバリケロは、予選11位から4位でゴールした。表彰台には手が届かなかったが、予選からレースまで、今シーズン最もコンスタントに上位で戦い続けることのできた週末になっていたのだ。

 「今回のマシンはソリッドなものにできていた。まだスピードではライバル勢に劣っている。ダリオ・フランキッティ、そしてその前を走っていた2台のペンスキーのマシンは、リスタートで僕を一気に置いて行った」とバリケロはレース後に語った。
 今シーズンのここまでの苦悩について、バリケロはソノマでのレース後に説明した。「インディーカーでは、レースウィークエンドにマシンが大きく進歩する。コースのコンディションも、大きく向上したり、激しく変化することもある。だから、レースのスタートに臨む時に、自分たちの選択――マシンセッティング、タイヤチョイスを含めた作戦――が正しかったのかに自信を持てないことが多い。レースがゴールを迎えるまでにコースのグリップは高まるのが通常だけれど、時として上がらないこともある。とても多くの要素が変化し、それらは常に同じではない。このような状況下、僕はまだレースで自分の望むマシン・バランスをバッチリと得られたことがない。今日はかなり良いマシンとできていたけれど、まだ少しのアンダーステアが出ていた」。


このインタビューは、ジャック・アマノのインディーカー・レポート メールマガジン・プレミアムで8月28日に配信したものです。ジャック・アマノのインディーカー・レポート メールマガジン・プレミアムにご契約いただきますと、全文をお読みいただけます。
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9月1日から第14戦ボルティモアのDay1のレポートをお届けいたします。シーズンも大詰めとなり、白熱するチャンピオン争いをはじめ、残り2戦で念願の初優勝に向けてアタックする佐藤琢磨選手のコメントも、現地から生録りでお届けいたします。また、この時期になると気になる来シーズンの動向に関してもジャック・アマノが独自の取材網でぐっと踏み込んでいきます。ぜひご期待ください。
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2012 INDYCAR レースプレビュー R14 グランプリ・オフ・ボルティモア 後方グリッドからの上位入賞も可能! 佐藤琢磨、初優勝にアタック!  

ボルティモアは「東のロングビーチGP」
コースも改修され、オーバーテイクのチャンスも広がる


 夏の終わりを告げるレイバー・デイ・ウィークエンド、インディーカー・シリーズはアメリカ東部の大都市ボルティモアのダウンタウンで第14戦を開催する。
 歴史ある街の真ん中で行われるインディーカー・レースは、今年で2回目。初年度だった昨年は大盛況で、「東のロングビーチGP」と呼ばれるイベントに成長する将来性が感じられた。
 今年はボルティモアでのレースがよりエキサイティングなものとなるよう、コースのレイアウトが変更される。最終ターンのシケインが排除され、ターン1までの距離が伸ばされる。そして、右直角に曲がるターン1も広くされた。これらのコンビネーションでオーバーテイクのチャンスは大きくなる。ターン5、ターン6も形状変更され、パスのチャンスが増やされた。


昨年はウィル・パワーがポールポジションから圧勝

 去年のレースでは、ポールポジションからウィル・パワーが最多リード・ラップとともに優勝を飾った。シリーズのレコードタイとなるシーズン6勝目だった(それでもタイトルを逃したワケだが……)。
 2位はオリオール・セルビア(14番グリッドから)、3位はトニー・カナーン(27番手スタート!)のものとなった。スマートな作戦と走りによって、彼らベテランたちのように、後方グリッドかスタートでも上位入賞は十分に可能。それがボルティモアでのレースということだ。
 昨年の佐藤琢磨は、26番手からスタートして最終ラップまでに6位まで躍進する目覚ましい戦いぶりを見せていた。しかし、ゴールを目前にして彼はコンクリートウォールに接触し、17位。トップ5入りを目指して攻めの走りを続けた結果だった。


白熱するチャンピオン争いはパワーvsハンター-レイに集約されるか?

 今年最後のストリートレースはいったいどんな戦いとなるのか? 今シーズンのテンポラリー・サーキット6戦を振り返ると、予選でポールを獲得しているのは、ウィル・パワー(セント・ピータースバーグ、サン・パウロの2回)、ライアン・ブリスコー(ロング・ビーチ)、スコット・ディクソン(デトロイト)、ダリオ・フランキッティ(トロント)、ライアン・ハンター-レイ(エドモントン)で、優勝はエリオ・カストロネベス(セント・ピータースバーグ、エドモントン)とパワー(ロング・ビーチ、サン・パウロ)が2勝ずつ。ディクソン(デトロイト)、ハンター-レイ(トロント)が1勝。やはり、ポイントリーダーで、ソノマでマリオ・アンドレッティ・トロフィー獲得を決定したパワーがデータ的にも明確に有利だ。彼は昨年のボルティモア・ウィナーでもある。
 優勝以外のポディウムフィニッシャーも見て行くと、ハンター-レイ、シモン・パジェノー、佐藤琢磨の3人がそれぞれ2回ずつ。1回組はパワー、ディクソン、ダリオ・フランキッティ、ジェイムズ・ヒンチクリフ、チャーリー・キンボール、マイク・コンウェイが1回ずつ。ポイント2位のハンター-レイはボルティモアでも良さそうだ。今年のチャンピオン争いは、最終的にパワーvsハンター-レイというところに落ち着くのだろうか?
 ルーキー王者の座をソノマで決めたパジェノーも、ストリートでの成績が素晴らしい。ルーキーとは思えない速さと安定感が彼にはある。シュミット・ハミルトン・モータースポーツのチームとしてのパフォーマンスも高いということだ。


佐藤琢磨、初優勝に向け大きなチャンス!

 そして、琢磨がボルティモアで速いであろうこともデータは裏付けている。キャリア初勝利を目指す琢磨としては、去年も良い走りを実現していたボルティモアには大きな期待と意気込みとともにアタックする。
 チャンピオン争いでは、パワーがポイントリードをさらに広げるのか? それともハンター-レイ、カストロネベス、ディクソンといった面々が彼との差を縮めるのか? 彼らのポイント・バトルはかなり白熱している。
 なお、ソノマでのセバスチャン・ブルデイ(ドラゴン・レーシング)とのアクシデントで左手人差し指を骨折したルーキーのジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシング)はボルティモア戦を欠場。代役にはアメリカン・ル・マン・シリーズへのレース参戦でボルティモア入りするブルーノ・ジュンケイラが起用されることになった。

2012年8月28日火曜日

2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント70 R13 ゴープロ・インディー・グランプリ・オブ・ソノマ 決勝「今日のスタートの時点からエンジンがもうおかしくて、ヘアピン回った時に全然出力が出て来なくて、その後一気に壊れてしまった。2周持たなかった。すごく残念ですね」

ほぼ最後尾の26番グリッドからスタートした決勝は、
わずか2周目にしてエンジン・トラブル発生、無念のリタイア


インディーカー・シリーズに来てオーバル・レーシングの大きな魅力を知った佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)だが、日本とヨーロッパでレースをして来たドライバーとして、ロードコースを走ること、ツィスティなサーキットでバトルすることの楽しさは未だに彼の中で非常に大きなものとなっている。
ところが今年の琢磨は、本来得意とするロードコースサーキットで実力を発揮できていない。それは、過去2年続けて好パフォーマンスを見せて来たミッドオハイオでの苦戦に象徴されていた。
今度こそ! と乗り込んだソノマでは、マシンセッティングが定まらない上にエンジントラブルが重なり、フラストレーションの溜まる戦いを余儀なくされた。


「7基目になるのでボルティモアでは10グリッド降格です。納得できない……」

Jack Amano(以下――):2周目にしてエンジントラブルでストップということでしたが、突然壊れてしまった感じだったんでしょうか?

佐藤琢磨:そうですね。もう完全に壊れちゃったんです。今日の朝も話したけども、週末を通してミスファイアが止まらなくて、それは前回のテストから続いてるんですけど、でも、色々なパーツなど、ホンダとしても原因究明をしていたので、僕の口からはトラブルが出ていたことは言ってなかったんだけれども、トラブルを抱えている状況だったんです。ただ、ミド‐オハイオの後に交換したエンジンだったから、テストを走っただけで今回、ソノマでの1戦を走ったわけですけど、今日のスタートの時点からもうおかしくて、ヘアピン回った時に全然出力が出て来なくて、その後一気に壊れてしまった。2周持たなかった。すごく残念ですね。

――今日のウォームアップまでは何とかオッケーで、レースで壊れちゃったとのが残念ですね。しかし、レース中に壊れたとはいえ、また新しいエンジンを投入すると、7基目になるから ボルティモアでも10グリッドペナルティってことになるんですよね?

佐藤琢磨:そう。すごくそこが納得行かない。僕も最初は、レース中に壊れたからペナルティはないと思ってたんだけど、結局7基目のエンジンになるってことのペナルティを受けるんですよね。おかしいですよね。

――二重のペナルティになっちゃってますもんね。

佐藤琢磨:今日、決勝前に壊れたとしても、結局ボルディモアでの10プレースペナルティは変わらないワケですよ。7基目になるから。

――だったら換えちゃってた方が良かった、結果論では。

佐藤琢磨:そう。結果論では。

――そこがルール作りの難しいところというか……。

佐藤琢磨:はい。

「ストリート用タイヤでは今季、調子が良いので、ボルティモアは駆けますよ!」

――しかし、まったく戦えないうちに終わるレースとなってしまいましたね。次戦ボルティモアに賭ける意気込みもより強まったことと思います。

佐藤琢磨:もう最後のストリート、その後に残すのはフォンタナのオーバルなので、ここソノマはすごく楽しみにしていて、結果がこんな風になってしまって本当に残念なんですけども、ただ、まったく特性の異なるストリートに次はなります。そして、ストリート用のタイヤでの自分たちは今シーズン、ここまで調子が良いところの方が多いので、ボルティモアは駆けますよ。思い切り頑張ります。ちょっと予選はね、どんなに頑張っても後方からのスタートになりますけど、でも追い上げられるレースを是非見せたいし、チームも本当に最後の2戦に賭ける意気込みは強いので、また頑張ります。

――上位でクォリファイすれば中団からはスタートできます。

佐藤琢磨:そうですよね。そういう意味ではチャンスはまだまだあると思うので。ソノマよりはずっとああるわけだから、頑張ります。

――去年とはコースレイアウトが変わるんですよね?

佐藤琢磨:安全性は向上してますよね、きっと。最終コーナー前のクィックシケインがなくなってるので。で、あとはストレートのシケインがなくなって、ストレートになってる分、どうなんだろう? 追い抜きは増える可能性もある。ちょっと、走ってみないと何とも言えないけども。

――では、ボルティモア、期待しています。

佐藤琢磨:はい、頑張ります!

2012年8月27日月曜日

2012 INDYCARレポート:R13 ゴープロ・インディー・グランプリ・オブ・ソノマ 決勝 ライアン・ブリスコーが2010年のテキサス以来となる優勝。ウィル・パワーはまたも不運に見舞われ、2位。しかし、ポイント・リードは36点へと拡大 佐藤琢磨はエンジントラブルで2周目にリタイア

パワー、57周リードしながらイエローのタイミングでブリスコーに勝利を譲る形に
 予選2位だったライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)が優勝した。今季初勝利、通算7勝目は、2010年の6月のテキサス以来だ。
 ポールポジションからスタートしたウィル・パワー(チーム・ペンスキー)はスタートから63周目までの57周をリードする速さを見せていたが、最後のピットストップを行った翌周、この3レースで初めてとなるフルコースコーションが発生した。それも、3位フィニッシュがほぼ確実と見えていたセバスチャン・ブルデイ(ドラゴン・レーシング)が、マシン・トラブルからなのかコントロールを失い、運悪くそこを走っていたルーキーのジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシング)に突っ込むという非常に珍しいアクシデントによって。
 すぐさまフルコースコーションが出され、パワーはスロー走行。その間にピットストップを行ったブリスコーはまんまとチームメイトの前に出ることとなった。
 ゴールを前にして二度のリスタートがあったが、パワーはブリスコーを抜けず。ミド‐オハイオから2戦連続での2位フィニッシュとなった。
 「イエローのせいでレースを失った。あれだけの速さを見せつけてポイントリードを広げられたことを喜ぶことにする」とパワーは語った。彼は苦笑いを浮かべてインタビューに応えていた。自らの不運に飽きれているかのようだった。


ブリスコー、実に2年2か月ぶりの勝利
 ブリスコーは久しぶりの勝利を喜んでいた。今年限りでペンスキーから放出されるとの噂もある彼だが、今日の勝利で状況は好転するかもしれない。
「大きな勝利だ。もう二度と勝てないかと考えてたから」とブリスコーは語った。「ウィルは不運だったが、僕らはずっと彼の後ろにポジションを保ち続けていたから勝つことができた。次に勝った時用にスピンターンも練習しておかないと」とゴール後のスピンターンでエンジンをストールさせてしまった彼は笑った。
 3位は6番手スタートだったダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)。ペンスキー勢と作戦を違えたブラックでのスタートを切ったが、第2スティントでブラック装着のブルデイをレッドを履いていながら抜けず、第3スティントではピットストップで先行されたライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)を、相手がやはりブラック装着だったというのに抜けず、と成功しなかった。しかし、粘り強く戦って表彰台に手を届かせた。
 「ソノマではペンスキー勢が速い。最後にはプレッシャーをかけることができたが、パスをするまでには至らなかった」とフランキッティは完敗を認めていた。


ハンター‐レイ、74周目リスタートでタグリアーニにぶつけられて18位に
 パワー同様に初タイトルのチャンスにいるハンター-レイは、7番手スタートで、レース終盤のリスタートを4位で迎えていた。ポイント3位のエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)と、ポイント4位のスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)より上位につけており、決して悪くないレース展開とできていた。しかし、74周目のリスタートが切られた後、ヘアピン状のターン7でアレックス・タグリアーニ(ブライアン・ハータ・オートスポート)にヒットされ、スピン。エンジンをストールさせてラップダウンに陥ったハンター-レイは、怒りで思考能力も集中力もすべて失ってしまったようだった。77周目のリスタート後、自分がスピンさせられたのと同じターン7で何の罪も無いEJ・ビソを突き飛ばした。これはチャンピオン候補に似つかわしくない失態だった。前のリスタートで彼をスピンさせたタグリアーニと同罪ということで、ハンター-レイもピット・ドライブ・スルーのペナルティを受けた。その結果、彼のフィニッシュは18位となり、パワーとのポイント差は5点から36点へと広がった。

カストロネベスは粘りの走りでなおタイトルの可能性を残す
 ポイント3位のカストロネベスは1周目、やはりターン7でディクソンをスピンさせてしまい、ペナルティを課せられた。しかし、まだレースがスタート直後で、挽回のチャンスが残されていたこともあって、彼は最後尾まで順位が落ちても真摯にレースを戦い続けた。そして、6位まで順位を挽回してチェッカー。ポイントランキングで3位を保った。トップとのポイント差は17点差から41点に広がったが、まだチャンスは残されている。
 ディクソンは1周目のスピンで15位までポジションダウンしたが、ピット・タイミングを早める作戦を使い、前に誰もいない状況で速いラップを重ねて、6位にまで順位を挽回させた。しかし、フロントウィングの損傷などがあって順位を再び下げ、13位でのゴールとなった。そして、パワーとのポイント差は54点とに広がった。


シボレー、マニュファクチャラーズタイトルを決定
 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、10グリッド降格のペナルティで26番手スタートだった。グリーン・フラッグ直後の1周目にエド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)をパスして25位に浮上。しかし、今週ずっとミスファイアが出ていた彼のホンダ・エンジンは、2周目に突如としててブローし、あっという間のリタイアとなった。
 今日のレースでは、パワーの3年連続マリオ・アンドレッティ・トロフィー(ロードコース・チャンピオン)獲得が決まり、7位フィニッシュしたシモン・パジェノー(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)はルーキー・オブ・ザ・イヤー獲得を決定づけた。そして、9勝目を挙げたシボレーが今年のマニュファクチャラーズ・タイトル獲得を決めている。

2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント69 ゴープロ・インディー・グランプリ・オブ・ソノマ ウォーム・アップ 「細かいミスファイアが止まらない。エンジン以外ではだいぶよくなったと思います」

 30分間と短いウォーム・アップだが、佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は19ラップと多くの周回を走った。2回のプラクティスと予選で得られたデータを基に作り上げた決勝用マシン・セッティングは、フィーリングの向上がなされていたのだ。しかし、新たな問題も表面化した。

「フォンタナのテストからエンジンの具合が悪いです」

Jack Amano(以下――):HPDのエンジニアたちが走行後に集まっていましたが、何かトラブルがあったんですか?
佐藤琢磨:はい。
――実は、今週ずっとそういう状況に置かれていたとか?
佐藤琢磨:そうなんです。補機類を色々変えて原因を探ってるんですけど、細かいミスファイアが止まらないんです。
――それが今週はスピードの出ない理由のひとつになってるんですね?
佐藤琢磨:ちょっとそれも関係してますね。それと、燃費が恐ろしく悪い。
――その症状はこの週末からのものですか?
佐藤琢磨:はい。このエンジンになってから。
――ミド‐オハイオでは出ていなかったもの。
佐藤琢磨:そうです。テストからですね、フォンタナでの。
――ミド‐オハイオと今回でエンジンのスペックは新しくなってますか?
佐藤琢磨:いや、まったく一緒です。
――では、今回デリバリーを受けた個体の持つ問題なんですね? 決勝スタートまでにエンジンを換えますか?
佐藤琢磨:それはない。今換えたらボルティモアでも10グリッドのペナルティになっちゃうから。
――このレースは我慢、てことですか?
佐藤琢磨:いや、今日のレースに向けてトラブルを直してもらわないと困る。
――原因解明、そして問題解消はマストってことですね。
佐藤琢磨:はい。

「P2Pのディレイは意味が分からない」
――エンジン以外ですが、ウォームアップでのマシンの状況はどうでしたか?
佐藤琢磨:大分良くなったと思いますよ。初めてじゃないかな、今週末で。最終的にレッド履いた人が上行っちゃったけど、ある意味で良かった。フィーリングとしては大分クルマは良くなってたし、純粋なスピードとしての上がりしろは少ないけれども、フィーリングとしては良くなってた。
――今日の琢磨選手のレースを見る場合、ターン7とターン11、どちらのオーバーテイクポイントがより可能性がありますか?
佐藤琢磨:どうだろうな? どっちもあんまり自信ないけど、五分五分じゃないですか? 結構、どちらもその前のコーナーが難しいんで。向こう側だとターン6という長い高速コーナーで前のクルマについて行くのがすごく難しいし、最終コーナーの場合はターン9(シケイン)の新しい出口がヘンな形状で、そこに乗るとトラクションかかんないから、前にくっついてって抜くってのは、タイヤが違わない限り厳しいかもしれないですね。
――今回から3.5秒遅れで作動するプッシュ・トゥ・パス(P2P)は?
佐藤琢磨:もう最悪。だって、結局ボタンを押して、ブレーキしてコーナー入ってってアクセルを踏むまでが3秒から4秒なんですよ。だから、ブレーキする前に押すと、コーナー立ち上がって行ってアクセル踏んだら、もういないから、P2Pが。
――スロットル戻すとP2Pは解除になっちゃうんでしょう?
佐藤琢磨:それは、アクティベートされる前は関係ない。問題は、5秒の時はコーナー入る前にラッチさせて、アクティベートさせてコーナーを出て来れたんだけど、ディレイが短くなって、結局コーナー立ち上がってから押したんじゃ間に合わないし、意味ないです。
――やっぱりタイム・ラグ=ディレイはない方がいいんですね?
佐藤琢磨:ディレイは意味わかんないですよ。

2012 INDYCAR レポート:R13ソノマ カラーリングガイド 来シーズンの動向なども絡めつつ……

2 ライアン・ブリスコー  日立メインの白/黒/赤。名門チームで彼が走れるのは今年が最後か? という噂が絶えない。次のアメリカでの就職先はすでに古巣に決定済みとの情報も。2代目ドライバーが抜けるサテライト・チームの方に。
3 エリオ・カストロネベス ペンスキー・トラック・レンタルがメインの黄/青/白。ブリスコーがサヨナラなら、エリオは来年もペンスキーでインディーカー走れるってことなんだろう。それでアメリカの人気テレビ番組=ダンシング・ウィズ・ザ・スターズンへの再挑戦も決まった? 07年はかなりの好評だった。浮気で婚約解消なんて事態にもなったけど、今はガールフレンド(当時のフィアンセとは別の)との間に娘もいて、エリオはハッピー。
4 JR・ヒルデブランド サンフランシスコのNFLチーム=49ers(フォーティナイナーズ)のスペシャル・カラー。JRもサンフランシスコが地元。カラーリングでの話題提供を全面否定するつもりはないが、去年のインディー500 2位以来、JRとパンサーってレースでのパフォーマンスでまったくと言っていいほど目立ってない。JB(チーム代表のジョン・バーンズ)は来年もJRで行くつもりなのか??
6 キャサリン・レッグ
7 セバスチャン・ブルデイ トゥルーカーの白/青の同じカラーリングでの2カー体制。ただし、レッグ車はリヤ・ウィングがピンク……ていうかドピンク。サイドミラーとロールバー上のTVカメラのハウジングも。ブルーのカー・ナンバーにも縁取りbyピンク。女性だからピンクってステレオタイプなのか、キャサリンがピンク好きなのか。オーナーのジェイ・ペンスキーがピンク好きだったらコワイ。スポッターのためにも2台を見分け易くする必要があるのはわかるが、せっかくのエレガントなカラーリングを台無しにする悪趣味だ。スポンサーのトゥルーカーはOKしてるってことなんだろうが。彼ら=トゥルーカーは来年もドラゴン&キャサリンのサポートで決まり? じゃ、ブルデイも残留? 彼にはもっと良い体制でフル参戦して欲しいが。
9 スコット・ディクソン
10 ダリオ・フランキッティ ターゲット・カラー。ディクソンクルマは前後ウィングのエンド・フェンス、サイド・ミラーなどが白。フランキッティ車は基本的にまっ赤。
11 トニー・カナーン マウザーがメインのカラーリング・バージョン。水色/紫/青。KVは今年能トリオで来年も行くんだろか?
15 サイドポッドに今回は“ビギー”のロゴ。ビギーはマイク・ラニガン(RLLの共同オーナーのひとり)とビジネス・パートナーであるクレーンなどのディーラー。琢磨は来年もRLLで戦う意向のはず。
17 セバスチャン・サーヴェドラ インディー500同様にアンドレッティ・オートスポートからのスポット参戦=AFSレーシングとの共同エントリー。AFSのトレードマークであるオレンジと黄色の2トーン・カラー。サーヴェドラは来年のフルシーズン・エントリーを画策中。アンドレッティでの4台目ってことになるのか? 他チームでの参戦になるのかは不明。
22 オリオール・セルビア トランシステムがメイン・スポンサーで白ベースに薄いワインレッド。オリオールの実力と粘り強いレースぶりは高く評価するが、D&Rじゃ優勝は期待はできない。仕事があるだけアリガタイ……という状況は来年も変わらなさそう。
26 マルコ・アンドレッティ 久々にRCコーラがメイン。パパのチームがある限り、マルコは安泰でしょう、たとえチーム内でのパフォーマンスが一番低くても(今回の予選も、レギュラー3人の中で一番後ろだ)。
38 グレアム・レイホール サイドポッドのメインはビッグ・オー・タイヤズ(サーヴィス・セントラルの系列)。来年はこのスポンサーともどもパパのチームに移籍するって話。琢磨は念願のフルタイム・チームメイトを持てるってことか? それとも、琢磨の移籍ってパターンも考えられるのか?? その候補は当然ホンダ・チームとなるだろうから、ガナッシのサテライト(G2)、シュミット・ハミルトン・モータースポーツ、ブライアン・ハータ・オートスポート辺り?? 今年のシュミットはRLLより同じ1カーでもパフォーマンス良いし、ハータも頑張ってる。G2は……ターゲットとの差がメチャ大きいけど、ターゲット側と情報全面シェアって点は大きな魅力。
67 ジョセフ・ニューガーデン 緑と黒の2トーンにラディカルにチェンジ。インディー500でサラ・フィッシャー・ハートマン・レーシングの2台目のスポンサーを務めたアンジーズ・リストのロゴあり。前後ウィング、給油口などの蛍光イエローのアクセントはヤメて、も少し緑と黒の塗り分けデザインに凝った方が世間へのアピール度は高いと思うが……。ジョセフはサラのチームで頑張って欲しい気もするが、もっと力のあるチームで実力強化をよりスピーディに果たして欲しくもある。レーサー・ファミリー出身のマルコやグレアムより期待のできるアメリカの若手って、私としては非常に高く買ってるんで。
98 アレックス・タグリアーニ 濃い目のメタリック・ブルーとシルバーのコンビネーションだったのが、メタリック・ブルー/黒に白いストライプを加えたバージョンに変更。来年は2カーへ拡大して欲しいぞ。タグの残留はほぼ決定みたいなんで。彼らと同じ1カー体制のホンダ・ユーザー・チームであるシュミット・ハミルトン・モータースポーツは来年から2カーに拡大されるらしい。元々のプラン通りってこと。シモン・パジェノーの残留はキマリでしょう。じゃ、相棒は誰に?

2012 INDYCAR インサイド情報 :R13 スタートタイヤ プライマリー勢が17台と過去最高

 ウォームアップを終え、エントリー27チームはインディーカーにスタート時の装着タイヤの申告を行った。今回は申告漏れがなかったので、下記のリスト通りのタイヤで全車スタートを切るだろう。ミッド・オハイオではスタート直前にレー・ディレクターが複数のチームの装着タイヤの変更を特別に許すというルール違反があったが……(こういうのはいい加減ヤメにして欲しい)。
 予定外のエンジン交換によるグリッド降格を受けるドライバーは4人。下記リストでは「*」をつけた。

1  ウィル・パワー           オルタネート
2  ライアン・ブリスコー        オルタネート
3  セバスチャン・ブルデイ       オルタネート
4  エリオ・カストロネベス       オルタネート
5  スコット・ディクソン               プライマリー
6  ダリオ・フランキッティ              プライマリー
7  ライアン・ハンター-レイ              プライマリー
8  アレックス・タグリアーニ      オルタネート
9  シモン・パジェノー                プライマリー
10  ジェイムズ・ヒンチクリフ      オルタネート
11  ルーベンス・バリケロ               プライマリー
12  マルコ・アンドレッティ              プライマリー
13  グレアム・レイホール               プライマリー
14  マイク・コンウェイ                プライマリー
15  JR・ヒルデブランド         オルタネート
16  トニー・カナーン          オルタネート
17  EJ・ビソ              オルタネート
18  オリオール・セルビア               プライマリー
19  キャサリン・レッグ                プライマリー
20* ジャスティン・ウィルソン             プライマリー
21  チャーリー・キンボール              プライマリー
22  ジョセフ・ニューガーデン             プライマリー
23* セバスチャン・サーヴェドラ            プライマリー
24  ジェイムズ・ジェイクス              プライマリー
25  エド・カーペンター         オルタネート
26* 佐藤琢磨                     プライマリー
27* シモーナ・デ・シルベストロ            プライマリー


 今回はプライマリーをチョイスしたドライバーが17人と、オルタネートの10人を上回った。プライマリー勢が多くなるのは、二種類のタイヤが使われるようになってから初めてのことではないか? しかも、プライマリー勢の数が明確に多くなっている。
 その背景には、今年のグランプリ・オブ・ソノマの周回数が去年と比べて10ラップも増やされていることがある。2ストップでの走行は余程長いイエローが出されない限り不可能。アクシデント発生率の高い序盤をプライマリー=ブラックで乗り切り、3ストップすべてでレッド=オルタネートを装着し、レースの大方をレッドで戦いたいとの考えに至ったチームが多いということだ。
 そして、非常におもしろいことに、ペンスキー勢が3人ともオーソドックスにレッドを選んだのに対し、ガナッシのターゲット・コンビが共にブラックでのスタートを切る。1、2、4番手グリッドからスタートするペンスキー・トリオと、5、6番グリッドからスタートするターゲット・コンビ、彼らのレース序盤のパフォーマンスの差、ラップ・タイムの差、レース展開への影響がどのようなものになるのか、楽しみだ。
 琢磨はブラックでスタート。フレッシュレッド2セットと、ユーズドレッド(=予選第一セグメントで4ラップ使用)を次々投入してレースを戦う。

2012 INDYCAR INDYCARレポート:ソノマからプッシュ・トゥ・パスのルールがまた変更に

ソノマでのP2P使用時間は90秒、ディレイは3.5秒に

 シーズン第10戦のトロントから導入されているプッシュ・トゥ・パス(P2P)機能は、第12戦ミッド・オハイオではボタンを押してからシステムが作動(=パワー・アップ)するまでに5秒のタイム・ラグ(ディレイ)が発生するルールに、使用開始から僅か3戦目にして変更されたが、ドライバー間ではおおいに不評だった。
 新システムをベストのものとするために、インディーカーの試行錯誤は続いている。トロントで100秒、エドモントンで120秒、ミッド・オハイオで100秒だったP2Pの使用可能時間は、ソノマでは90秒と少なくされた。また、トロントでの導入開始以来ずっと最長20秒に制限されてP2P1回の使用時間も、ソノマでは15秒へと短縮されている。これらの数字は、各サーキットのレイアウトなども考慮してインディーカーが、エンジン・マニュファクチャラーズからの意見も参考にしつつ決定している。
 一度システムの作動を終えてから次にまたP2Pを使える間までのインターバル=リチャージ・タイムは、ミッド・オハイオでの作動ディレイ導入と同時になくなった。今回もリチャージ・タイムはなしのままだ。評判の悪かったP2Pのディレイ作動は、ソノマでも引き続き採用されているからだ。ただし、ディレイは5秒から3.5秒へと短くされた。1.5秒の短縮はどのような効果を生むのか? 5秒の時と効果は変わらないようにも見えるが??

2012 INDYCAR レポート:R13 ゴープロ・インディー・グランプリ・オブ・ソノマ Day3 ウォームアップ ウォーム・アップでのトップ・タイムはライアン・ハンター-レイ 2番手はマイク・コンウェイ、3番手にはオリオール・セルビア

ハンター-レイ手ごたえあるトップタイム
 決勝を前にして走る最後のチャンス、ウォーム・アップ・セッションが30分間開催された。朝方に空を覆っていた雲は消えて青空が広がって来ていたが、気温は摂氏13度と低いままでの走行となった。
 ここでトップ・タイムとなる1分19秒0645をマークしたのはランキング2位につけているライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)。予選7位から勝利、そしてポイント・リードを狙う彼としては、満足の行く、そして決勝に対して希望の持てるセッションとなった。
 2番手はマイク・コンウェイ。彼はソノマでは一度3位フィニッシュしている実績の持ち主。ベストは1分19秒2049。予選は16位だったが、どこまでのポジション・アップができるだろうか?
 3番手はオリオール・セルビア(パンサー/D&Rレーシング)。予選は20位だったが、ウォーム・アップでは1分19秒2708という速さ。トニー・カナーン(KVレーシング・テクノロジー)も予選は18位だったが、ウォーム・アップで4番手につける良好なパフォーマンス。彼らベテラン勢がレースでどこまで順位を上げて来れるか注目だ。
 5番手はシモン・パジェノー(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)で、予選5位だったスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が6番手。そして、ポール・シッターのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は1分19秒5674のベストで7番手だった。


予選好位置につけたブリスコーとブルデイは後退 
 予選2位のライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)は16番手とウォーム・アップでは低迷。予選3位のセバスチャン・ブルデイ(ドラゴン・レーシング)も11番手止まり。予選4位だったエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)は10番手だった。
 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は今週末のベストとなる21番手。ベストは1分20秒3526だったが、こちらはブラック・タイヤ装着でのもので、レッド装着であればもっと上位に食い込めていただろうという状況。マシン・セッティングに向上が見られたということだが、ホンダ・エンジンにトラブルが出ており、HPDのスタッフが走行後に琢磨のピットに集まって来ていた。エンジン交換は行わないこととなりそうだが……。
 天気予報では、午後にはソノマの気温も摂氏24度まで上がるとされている。例年に比べて気温、路面温度ともに低めとなるだろうが、風も昨日よりは弱く、穏やかなレース日和となりそうだ。


エンジン交換で4人グリッド降格 佐藤琢磨もエンジン交換で26番手に
 なお、スターティング・グリッドだが、4人のドライバーたちが昨日の予選順位とは異なるポジションからスタートを切る。スポット参戦のセバスチャン・サーヴェドラ(アンドレッティ・オートスポート)、ジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・レーシング)、佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)、シモーナ・デ・シルベストロ(ロータス-HVMレーシング)が予定外のエンジン交換のペナルティによってグリッド降格されるためだ。予選10位だったウィルソンは20番グリッドからのスタートとなり、予選13位だったサーヴェドラは23番グリッドへ下がる。予選24位だった琢磨は26番へふたつだけだがグリッド・ダウン。予選25位だったシルベストロも同じく2グリッド下げられ、最後尾スタートとなる。

2012年8月26日日曜日

2012 IDYCAR レポート:R13ゴープロ・インディー・グランプリ・オブ・ソノマ 予選レポート ウィル・パワーが3年連続のポールポジション 佐藤琢磨は24位

強さを見せつけたパワーとチーム・ペンスキー
 ウィル・パワーとチーム・ペンスキーのソノマでの速さは、新レイアウトとなっても健在だった。去年のレースで1-2-3フィニッシュした彼らは、今日の予選でも強さをまざまざと見せつけた。エースのパワーが1分17秒2700のベストを予選のファイナルステージで記録してみせたのだ。
 ソフト・コンパウンドのレッド・タイヤは予選日までには2セットしか各チームに配られない。そして、近頃の競争の激しいインディーカー・シリーズでは、ハード・コンパウンドのブラックでは第2、第3セグメント(ファイナル)へと進出するのは不可能に近いため、誰もがフレッシュレッドを予選第1、第2セグメントに1セットずつ投入する。このような事情から、予選でのベストラップは路面コンディションもマシンセッテイングも第1セグメントより向上している第2セグメントで出され、公式結果として残るファイナルステージでのラップタイムは、路面はさらに向上しているものの、第二セグメントを僅かに下回るというのがパターンとなっている。しかし、今日のパワーとチーム・ペンスキーは、自信に満ち溢れた戦いぶりを見せ、ファイナル・ステージでベストを記録し、ポールをまんまと手中に収めたのだった。


第2セグメントをわずか2ラップでクリア!
 パワーは第1セグメントを誰よりも少ない3ラップのアタックながらトップでクリアした。そして、より競争の厳しくなる第2セグメントをさらに少ない2ラップのアタックで終えたのだった。ここではさすがにトップ通過ではなく2番手だったが、第二セグメントでは6位までに入ればよく、それができれば順位にはまったく意味が無い(あるとすれば、当人が得る自信ぐらいのものだ)。そして迎えたファイナルステージ、パワーはユーズドレッドでのアタック2周目に今週の自己ベスト=出場27台のベストをマーク。第2セグメントトップだったチームメイトのライアン・ブリスコーを2位に下し、ソノマでの3年連続ポールポジション獲得を達成した。ブリスコーは第2セグメントでパワーより1周多い3ラップを走った。パワーの持つ集中力と爆発力が、1ラップ少ないアタックしか行っていないタイヤというアドバンテージに重なり、両者のファイナルステージでのタイム差に現れた。
 セバスチャン・ブルデイ(ドラゴン・レーシング)が今シーズンのベストとなる予選3位に食い込んだため、ペンスキーの1-2-3こそならなかった(エリオ・カストロネベスは4位だったのだ)が、パワーとブリスコーによるフロント・ロー・スウィープは実現した。予選1-2-3を逃したとはいえ、カストロネベスは今回がソノマでの8回目のインディーカー・レースとなるが、それら8回すべてで予選順位を4位までに収めて来ているのだから、チーム・ペンスキーのソノマでの速さ、強さには驚くべきものがある。

ホンダ勢トップはディクソンの4位。フランキッティも続く
 トップ4はシボレー・エンジン・ユーザーだった。ホンダ勢のトップは、ポイントランク4位で3回目のタイトル獲得の可能性を秘めているスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)による5位だった。6位は彼のチームメイトのダリオ・フランキッティのものとなった。以下、ポイント・ランク2位のライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)が予選7位とまずまずの位置につけ、アレックス・タグリアーニ(ブライアン・ハータ・オートスポート)が8位、ルーキーのシモン・パジェノー(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)が9位、ジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・レーシング)が10位だった。
 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、今シーズンずっと続いて来ているロードコースでのマシン・セッティングの悪さが解消されず、予選結果は24位だった。「ロードコース用タイヤでの自分たちのマシン・セッティングは、何かが根本的に間違っているんだと思う」と琢磨は分析しているが、彼らの苦しい状況はソノマというコースでは今シーズンの他のロードコース以上に拡大されていた。ミッド・オハイオ、ソノマと2戦連続で事前テストを行ったというのに、苦境を脱するセッティングを見出すことができずにいる。

2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント68:R13 ゴープロ・インディー・グランプリ・オブ・ソノマ Day2 予選 「今日までのところは圧倒的にスピードが足らなかったです」

R13 ゴープロ・インディー・グランプリ・オブ・ソノマ
カリフォルニア州ソノマ
ソノマ・レースウェイ3.837㎞×85周

Day2 予選第1セグメント敗退
1分19秒.2821 4周走行 第1セグメント敗退


ミッド・オハイオに続いて思わぬ苦戦を強いられているソノマ
予選でもマシンを向上させた琢磨陣営だったが、結果は24位


 予選は午後2時半にスタート。空は快晴だったが、風があり、気温は摂氏20度と低いコンディションだった。
 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は第一セグメントの第2グループで走行。第2セグメントへと進む6番手に入ることを目指した。朝のプラクティス2から予選に向け、さらなるセッティング変更を施し、ソフトコンパウンドでグリップの高いレッドタイヤを装着することで大きな飛躍を期待したが、予選結果は24位という厳しいものとなった。
 新シャシーが導入された今シーズン、琢磨とチームはロードコースで予想もしなかった苦悩を味わっている。そして、彼らのパフォーマンスはシーズンが進むに連れ後退をして来てしまった。
 しかし、明日のレースでも琢磨陣営はマシンの向上を狙ったトライを続け、作戦も駆使して上位フィニッシュを目指す。


「決勝ははブラックタイヤでスタートすることになります」

Jack Amano(以下――):15分間の予選第一セグメント、残り9分ぐらいでlコースインして、4周の走行でしたね?
佐藤琢磨:はい、3ラップでしたね、計測ラップは。クルマは朝のプラクティスからまた変えて出て行って、少し良くなっていました。ジリジリとだけれど上位を追いかけてはいますね。だけど、今日までのところは圧倒的にスピードが足りませんでした。バランスも著しく良くはなっていないですし、厳しいですね。
――少しのゲインが予選でも感じられたんですね?
佐藤琢磨:そうですね。全部が相対的なものですけど、他のクルマとのラップタイムを比べて、少し縮まっているかな、と見えていました。
――レッドタイヤに対する評価が今日の予選では大きなポイントとなっていたと思いますが?
佐藤琢磨:そう。レッドでのマシンのバランスを見たかったというのはあります。ただ、レッドを決勝に向けて温存したいっていう考え方もあります。
――ブラックとレッド、レースでは両方を使わねばならないルールですが、どんな印象で、どのようなストラテジーを考えていますか?
佐藤琢磨:今年のレースは周回数が増えていて、3ストップになります。僕らはおそらくブラックをスタートで使うことになると思うんですけど、その後は、どのようにピットストップのシークェンスを変えて行くかっていうところがチームによって少しずつ違って来るだろうし、イエローが入ればまたそれによっても変わるだろうから、その間にどれだけコース上で追い抜いて、どれだけストラテジーで前に行けるのかがやってみないとわからないところですね。
――ブラックでしタートして、その後はレッドを3連続で投入ってパターンですか。
佐藤琢磨:一番多分僕らがスタートするポジションとしては、それが最もオーソドックスなやり方じゃないですかね? スタートで幾つかポジションをゲインできれば、そこから後は他のクルマの戦略次第で、自分たちのピット・タイミングをチームが決めて行くことになると思います。
――明日に向けてのマシン作りですが、ここまで様々なことをトライして来た結果として、どうして行くんでしょうか?
佐藤琢磨:これから考えます。毎セッション大きく変えて来た。今度こそ良くなるだろうって方向性を変えて来て、少しずつ良くなって来た。予選でトップに最も近づいた。だから、ここまでの良いところを取ってマシンをセットアップしないと。予選でも良くなかった部分はあったので。方向性が定まってファインチューニングをして行くというより、結構大きくセットアップをシフトさせてマシンの具合を見て来たから、あんまり大きくはもう変えることができないし、大きなゲインを期待することも残念ながらできませんね。今僕らが持っているパズルのピースをどううまく組み合わせるかっていうことだと思います。
――ストリートでは非常に速いのに、常設サーキットで苦しんでいる。
佐藤琢磨:全滅ですよね、ミッド・オハイオ、バーバー、ソノマ……全部好きなコースなのに。初年度はソノマ以外全部トップ6入ったところ。だから余計納得行かない。でも、しょうがない。ストリートコースとロードコースではタイヤのサイドウォールの固さも明らかに違うし、コンパウンドも違う。だから、タイヤの作り方のフィロソフィー自体が違うワケですよ。それにクルマが著しく合ってない。それはもうわかってるんです。でも、それに対応してどうマシンを変えたらいいのかがわかってない。
――タイヤへの対応が一番大きな原因であると。
佐藤琢磨:そうですよ。ロードコースのタイヤにした瞬間に僕らはダメなの。逆に言えば、ストリートはうまくタイヤを使えていて、トップコンテンダーと変わらない走りができている。例えばインディー500とかのスーパースピードウェイはそこそこ良いけれど、テキサスとかアイオワとか、要するにダウンフォースを着けて行くタイプのオーバルではまったくダメ。そこらへんにももしかしたら関係性があるかもしれない。それはもう今後に向けてのチームにとっての大きな課題ですね。当面の自分たちとしては、今回が最後のロードコースなので、持っているものでベストを尽くします。

2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント67:R13 ゴープロ・インディー・グランプリ・オブ・ソノマ Day2 プラクティス2 「マシンフォールはかなり前進してきていますけど、足らを立てればこちらが立たずみたいな感じで、不具合が出ているという点では変わらないです」

R13 ゴープロ・インディー・グランプリ・オブ・ソノマ
カリフォルニア州ソノマ
ソノマ・レースウェイ3.837㎞×85周

Day2 プラクティス2
1分17秒4777  23位 20周走行


佐藤琢磨陣営、依然苦境から脱却できず
 プラクティス2は1時間。コンディションは昨日以上に気温、路面温度ともに低いものとなっていた。サン・フランシスコ近郊のベイエリア特有の気候だが、今日は平年よりさらに気温の低い1日となっている。
 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は20周を走り、19周目に1分19秒4777をマークした。昨日の自己ベストと比べ、一気に1.4123秒も速くなったが、ライバル勢もタイム更新を果たしており、順位は23位で変わらなかった。琢磨陣営の苦戦は依然として続いている。


「根本的に何かズレてるみたい」

Jack Amano(以下――):プラクティス2での周回は20周。昨日よりラップタイムはかなり縮まりましたが?
佐藤琢磨:周りも縮まってるから……。でも、ちょっと追いついた? コンマ2~3秒ぐらい?
――かなり大幅なラップタイム向上をみんな果たしてますが、その要因は?
佐藤琢磨:気温が全然低いし、路面温度も低かった。セッションの最初は冷えている状態で、最後は陽も出てサーフェイスだけ暖まってたから、コンディションとしてはすごく良くなってた。
――昨日と随分違うクルマにして走ったセッションだったんですよね?
佐藤琢磨:うん。かなり。かなり変えましたね。
――マシンのフィールは?
佐藤琢磨:かなり前進はしてると思いますけど、やっぱりあちら立てればこちらが立たずみたいな感じでね、やっぱり不具合が出てるっていう点は変わらないですね。問題の出ているポイントが変わって来たりとか。今まではスタビリティが十分あったところでそれが無くなって来たりとか、今までもう少しこうした方いい、もう少しグリップとかバランスが欲しいっていう時に、今は良くなってるけど、他の部分が良くないとか。両方をクッとうまく上げないと、周りに追いつかない。
――このセッションではかなり色々なセッティングを試したようですが、なにか仄かな明かりみたいなものは見えましたか?
佐藤琢磨:データをよく見比べてみないとなりませんね。フィーリング的にはそんなに大きく変わっていないので。根本的に何かがズレているみたいだから。

2012 INDYCAR レポート:R13 ゴープロ・インディー・グランプリ・オフ・ソノマ Day2 プラクティス2 ウィル・パワーがプラクティス2でも最速

ディクソン2番手。ブリスコー、カストロネベスも躍進
 涼しいコンディションで行われたプラクティス2、最速タイムはまたもウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が記録した。昨日の彼のベストは1分18秒6887だったが、今日はそれが1分17秒5339にまで縮められた。
 パワーに続いたのはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)。昨日は7番手と目立たなかったが、プラクティス2回目で実力を発揮して来た。ただし、まだパワーとの間には0.4386秒という大きな差があった。ポールポジション候補の筆頭はパワーということだ。
 3番手は昨日2番手だったライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)で、エリオ・カストロネベスも昨日の16番手から今日は6番手まで大きく順位を上げて来ている。
 昨日も今日も4番手だったのはダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)、5番手は、昨日も6番手と好位置につけていたセバスチャン・ブルデイ(ドラゴン・レーシング)だった。
 昨日3番手と良かったルーキーのシモン・パジェノー(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)だったが、今日は13番手。昨日5番手だったルーベンス・バリケロ(KVレーシング・テクノロジー)もプラクティス2では17位と大きく後退した。
 ポイント・ランキング2位のライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は、昨日は19番手だったが、今日は7番手まで躍進している。
 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、昨日と変わらずの23番手。マシン・セッティングでおおいに悩まされている。
 パワーに予選で対抗できそうなのは、ガナッシの二人とパワーのチームメイトたち。これら2チーム以外からファイアストン・ファスト6入りして来そうなのは、ブルデイとパジェノーのフレンチ・コンビ、ハンター-レイ、グレアム・レイホール(チップ・ガナッシ・レーシング)、ジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・レーシング)あたりか?

2012 INDYCAR レポート:R13 ゴープロ・インディー・グランプリ・オブ・ソノマ 予選アタック順位

 予選第1セグメントのグループ分けは金曜日のプラクティス・タイムの奇数順位、偶数順位で決められる。
 どちらのグループが先に走るかは、最速だったドライバーに決定権がある。大抵の場合、彼の属する奇数順位グループが後に走る。予選直前に走った他カテゴリーのタイヤ・ラバーによる影響を受けにくく、インディーカーのラバーが完全に乗った状態で路面コンディションが安定している上、セグメント2のコンディションにより近づいてもいる。さらに、先に走るグループにチームメイトがいれば、走行情報を得られるなどのメリットもあるからだ。
 今回の最速はウィル・パワー(チーム・ペンスキー)で、彼はいつも通りに後で走るグループを選択。奇数順位のドライバーたちが第二グループとなって、2番手タイムを記録したライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)以下の偶数順位ドライバーたちが第一グループで走る。
 以前はグループ分けをクジ引きで行っていたが、片方のグループに強豪が偏るケースが発生、金曜のラップ・タイムを基準とする方がより公平であると変更された。それでも、時として1グループに俊足ドライバーが集まることがある。
 今回の2グループはかなりイーブンな印象。ペンスキーとチップ・ガナッシ・レーシング(ターゲット勢)=合計5人は、グループ1に3人、グループ2に2人が配された。
 なお、予選の第一セグメント終了で決定する13番手以降のグリッドは、先に走った第一グループのドライバーたちに奇数グリッドが与えられる。路面の不利に対する埋め合わせ処置といったところか。つまり、第一セグメント敗退者のうちの第一グループのトップが13番グリッド、第二グループのトップが14番グリッドに着くということ。

 ソノマでの予選は今日、1時間のプラクティス2を午前中に行った後、午後2時半にスタートする予定。現在の天候は曇りで、気温は摂氏12度(!)と低い。午後には晴れ間も広がり、気温は24度ぐらいまで上がるとの予報が出ている。

ゴープロ・インディー・グランプリ・オブ・ソノマ 予選・第一セグメント

グループ1
ライアン・ブリスコー
ダリオ・フランキッティ
セバスチャン・ブルデイ
グレアム・レイホール
セバスチャン・サーヴェドラ
ジャスティン・ウィルソン
JR・ヒルデブランド
エリオ・カストロネベス
ジョセフ・ニューガーデン
ジェイムズ・ヒンチクリフ
EJ・ビソ
シモーナ・デ・シルベストロ
キャサリン・レッグ

グループ2
ウィル・パワー
シモン・パジェノー
ルーベンス・バリケロ
スコット・ディクソン
マルコ・アンドレッティ
オリオール・セルビア
トニー・カナーン
ジェイムズ・ジェイクス
アレックス・タグリアーニ
ライアン・ハンター-レイ
マイク・コンウェイ
佐藤琢磨
チャーリー・キンボール
エド・カーペンター