着々と決勝用セッティングを進め、かなり満足の行く戦いぶりを見せて来ていた佐藤琢磨とレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングだったが、予選前日になって思わぬ事態に直面させられた。ライバルの使用するシボレーのエンジンが予選用ブーストで大幅なパワーアップを実現し、ホンダユーザーたちを窮地に陥れたのだ。
明日の予選初日までに、ホンダとユーザーチームは対応策を見つけることができるのか?
2012年5月19日土曜日
2012 IZOD INDYCARシリース インサイド情報&ニュース:ショック! アレジのルーキーテスト救済のため、秘密の特別ルールが存在!
ジャン・アレジのインディー500挑戦に、密かに助け舟が出されていた。ターボのブースト圧を上げることが許されていたのだ。
ロータスエンジンは開幕戦以来、ライバル勢とのパワー差が明確だった。インディーに来るとそれは更にクリアになり、ロータス・ワークスとしてインディーへの初挑戦を行うアレジは窮地に立たされた。インディー500への出場権を意味するルーキー・オリエンテーション・プログラム(ROP)通過が難しくなったのだ。
ロータスエンジンは開幕戦以来、ライバル勢とのパワー差が明確だった。インディーに来るとそれは更にクリアになり、ロータス・ワークスとしてインディーへの初挑戦を行うアレジは窮地に立たされた。インディー500への出場権を意味するルーキー・オリエンテーション・プログラム(ROP)通過が難しくなったのだ。
2012 IZOD INDYCAR シリーズレポート:5月18日 第96回インディアナポリス500 Day7 プラクティス7回目 予選用ハイブーストでシボレーが脅威のスピードアップ。マルコ・アンドレッティが227.540mphを記録。ホンダは追いつけるか?
今年の新ルールが思わぬ効果を発揮した。
決勝用のブースト圧=130kPa(キロパスカル)から、予選用の140kPaへとブーストが変わった途端、シボレー勢だけが大幅スピードアップ。マルコ・アンドレッティは227.540mphを記録した。昨日までのベストもアンドレッティだったが、それはドラフティングを使っての223.676mphだった。単独走行だったらスピードはそれより下がるはずなのに、逆に約4mphのスピードアップをしてみせた。
決勝用のブースト圧=130kPa(キロパスカル)から、予選用の140kPaへとブーストが変わった途端、シボレー勢だけが大幅スピードアップ。マルコ・アンドレッティは227.540mphを記録した。昨日までのベストもアンドレッティだったが、それはドラフティングを使っての223.676mphだった。単独走行だったらスピードはそれより下がるはずなのに、逆に約4mphのスピードアップをしてみせた。
2012年5月18日金曜日
2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント24:第96回インディアナポリス500 5月17日 Day 6「新しいクルマのデータはたくさん取れた。スピードも出て、今日はそういう意味でも良い1日だった。この後、30、40馬力上がる事に加えて、トリミングで。どれぐらい速度が上がるのか楽しみ」
今日で決勝用セッティングが行えるのは、ほぼ最後だ。明日には今年からの新ルールによってエンジンのターボ・ブーストが高くされ、予選モードのエンジンでの走行が行われる。パワフルなエンジンでのプラクティスは、明日1日だけしか許されず、土曜日はもうポールデイ。そして、翌日曜日はバンプデイだ。近頃のインディー500は1週末で予選は終了するからだ。
琢磨はここまでのマシンの仕上がりに非常に満足している。確かな手応えを感じつつ予選に向けても着々とプログラムをこなしている様子だ。
Jack AMANO(以下——)走行6日目はどんなプログラムだったのでしょう?
琢磨はここまでのマシンの仕上がりに非常に満足している。確かな手応えを感じつつ予選に向けても着々とプログラムをこなしている様子だ。
Jack AMANO(以下——)走行6日目はどんなプログラムだったのでしょう?
2012 IZOD INDYCARシリース インサイド情報&ニュース:5月17日 インディの伝統を破ってまでルーキーを厚遇 33台確保のためなりふり構わず??
木曜朝、90分間特別にレッグとブルデイの
ドラゴンレーシング二人のためのプラクティスが
今年のルーキーたちは、随分と厚遇されている。ルーキー・オリエンテーション・プログラムは(ROP)先週で終わっているはずなのに、少なくともフェイズ2までは先週中に終わらせないとならないルールだったはずなのに、オープニングデイから6日目にもなる今日になって、朝8時から9時半までの90分間がキャサリン・レッグのROP用走行、そして、セバスチャン・ブルデイのリフレッシャー・プログラムのために与えられた。
インディー500用プラクティスは、伝統的には午前11時から夕方6時だったが、近年1時間短縮され、正午から夕方6時になっていた。それ以外に走行時間が設けられるなど、少なくとも過去22年間は聞いたことがなかった。
驚いたことに、ドラゴン勢への厚遇は、それだけでは終わらなかった。「レギュラー陣の走行開始を予定より1時間遅らせらる」とインディーカーが決定したのだ。
決まっている時間以外での走行、決まっているはずの走行時間の短縮……と、半日にふたつも伝統に従わない新しいことが起こった。かくして今日の走行は、午後1時から6時となった。
朝のROP開始でレッグのシェイクダウンを行ったブルデイは、午前9時半まででリフレッシャーのフェーズ1を完了した。
インディーカーが日中の走行時間をレッグに与えたのは、今日の午前中の気温が低く、ルーキーが安全に走行を重ねるのに適さないコンディションだったからだろう。そちらの90分間はブルデイの走行がメインとなり、05年以来のインディー500参戦となる彼は、リフレッシャー・プログラムのフェイズ1を完了させた。
正午からの1時間でレッグはROPのフェイズ1を終えた。しかし、それだけではまだ十分ではない。少なくともフェイズ2を終えなければ、他のエントラントたちと一緒に走ることができないルールだからだ。
通常走行終了後にもドラゴン・レーシングの占有時間が
まだ、レッグにはフェイズ3突破という関門が残されているが……
そこで、更なる特別待遇が行われることになった。夕方6時に通常の走行時間が終了した後、レッグのためのROP第3弾というか、ドラゴンの占有走行が許されたのだ。
今年はジャン・アレジ(ロータス・ファン・フォース・ユナイテッド)のケースでも、特別にスケジュール変更してROPが行われた。彼の走行2日目は、実は他のルーキーも走ってよいはずだったが、インディーカーがそれを参加チームに知らせなかったため、誰もコースに現れなかった。おかげでアレジはコースを占有でき、タービュランスの心配をせず、余裕を持ってROPをこなすことができていた。
このようなルーキー厚遇は、「決勝への出場台数が33台に満たないのは沽券に関わる」と考えているのであろうインディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)の指示によるものではないだろうか。
そして夕方の6時過ぎ、ハッピーアワーよりコンディションの良い“ハッピーアーアワー”に走ることを許されたレッグは、ROPのフェイズ2をインディーカー、そしてIMSの期待に応えて終了した。これで彼女は、明日からの練習走行で他のエントラントたちと同時に走ることができるようになった。しかし、「レッグのROPフェイズ3通過は予選用ブーストで」なんて、更なる特別待遇はない……と思う。
ドラゴンレーシング二人のためのプラクティスが
今年のルーキーたちは、随分と厚遇されている。ルーキー・オリエンテーション・プログラムは(ROP)先週で終わっているはずなのに、少なくともフェイズ2までは先週中に終わらせないとならないルールだったはずなのに、オープニングデイから6日目にもなる今日になって、朝8時から9時半までの90分間がキャサリン・レッグのROP用走行、そして、セバスチャン・ブルデイのリフレッシャー・プログラムのために与えられた。
インディー500用プラクティスは、伝統的には午前11時から夕方6時だったが、近年1時間短縮され、正午から夕方6時になっていた。それ以外に走行時間が設けられるなど、少なくとも過去22年間は聞いたことがなかった。
驚いたことに、ドラゴン勢への厚遇は、それだけでは終わらなかった。「レギュラー陣の走行開始を予定より1時間遅らせらる」とインディーカーが決定したのだ。
決まっている時間以外での走行、決まっているはずの走行時間の短縮……と、半日にふたつも伝統に従わない新しいことが起こった。かくして今日の走行は、午後1時から6時となった。
朝のROP開始でレッグのシェイクダウンを行ったブルデイは、午前9時半まででリフレッシャーのフェーズ1を完了した。
インディーカーが日中の走行時間をレッグに与えたのは、今日の午前中の気温が低く、ルーキーが安全に走行を重ねるのに適さないコンディションだったからだろう。そちらの90分間はブルデイの走行がメインとなり、05年以来のインディー500参戦となる彼は、リフレッシャー・プログラムのフェイズ1を完了させた。
正午からの1時間でレッグはROPのフェイズ1を終えた。しかし、それだけではまだ十分ではない。少なくともフェイズ2を終えなければ、他のエントラントたちと一緒に走ることができないルールだからだ。
通常走行終了後にもドラゴン・レーシングの占有時間が
まだ、レッグにはフェイズ3突破という関門が残されているが……
そこで、更なる特別待遇が行われることになった。夕方6時に通常の走行時間が終了した後、レッグのためのROP第3弾というか、ドラゴンの占有走行が許されたのだ。
今年はジャン・アレジ(ロータス・ファン・フォース・ユナイテッド)のケースでも、特別にスケジュール変更してROPが行われた。彼の走行2日目は、実は他のルーキーも走ってよいはずだったが、インディーカーがそれを参加チームに知らせなかったため、誰もコースに現れなかった。おかげでアレジはコースを占有でき、タービュランスの心配をせず、余裕を持ってROPをこなすことができていた。
このようなルーキー厚遇は、「決勝への出場台数が33台に満たないのは沽券に関わる」と考えているのであろうインディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)の指示によるものではないだろうか。
そして夕方の6時過ぎ、ハッピーアワーよりコンディションの良い“ハッピーアーアワー”に走ることを許されたレッグは、ROPのフェイズ2をインディーカー、そしてIMSの期待に応えて終了した。これで彼女は、明日からの練習走行で他のエントラントたちと同時に走ることができるようになった。しかし、「レッグのROPフェイズ3通過は予選用ブーストで」なんて、更なる特別待遇はない……と思う。
2012 IZOD INDYCAR シリーズレポート:5月17日 第96回インディアナポリス500 Day6 プラクティス6回目 レースと同じブーストで走る最終日。スコット・ディクソンが初のトップスピードをマーク。単独走主体の佐藤琢磨はマシンに手応え
5月17日 Day6 プラクティス6
いよいよ強豪がトップグループに名を連ねた
走行6日目は、レースと同じブースト圧で走る最後の日(レース前の金曜日のファイナル・プラクティスを除く)。当然、今日の各エントラントの目的はレス用セッティングのファインチューニングだった。
昨日と同じく結構風があるコンディション、そして、ルーキーオリエンテーション開始から8日連続の好天下、走行時間はキャサリン・レッグのROPのために1時間減らされたが(別コラム参照)、29台が1391周を走行した
今日のトップはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)の223.088mph(=約348.949km/h)だった。一昨日のマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)に続いて、今年2人目の223mphオーバーだ。6日間をフルに活用して、いよいよ強豪がトップへと名を連ねて来た。なお、アンドレッティは、今日は一切の走行を行わなかった。アンドレッティ・オートスポートは、ライアン・ハンター-レイが2周、アナ・ベアトリスが14周をしたが、ジェイムズ・ヒンチクリフとセバスチャン・サーベドラはアンドレッティ同様走行ナシの1日としていた。
今年のインディーで初めてトップスピードを記録したディクソンは、「いい感じだね。今年は、例年よりも少しゆっくりと時間をかけてここまでやって来た。僕らにはスピードがなかったが、ドラフティングを使ってのスピードには何も意味がない。僕らはレース用セッティングだけを行って来た。そして今日、大きな進歩を遂げることができたと喜んでいる」と話していた。「明日、そして土曜日は、今日までとはまったく違ったものになる。単独走行だ誰がどれだけのスピードを出せるのか? そこが勝負になるからだ。僕が感じているのは、ホンダもチーム・ターゲットも非常に良い仕事をしているということだ」。
ニューガーデンはなお2番手をキープ
2番手はスーパー・ルーキーのジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシング)で、222.709mph(=約358.339㎞/h)。昨日はスピン&小クラッシュを喫したが、この好走で不安を払拭することができただろう。
3番手はグレアム・レイホール(チップ・ガナッシ・レーシング)の222.080mph(=約354.108㎞/h)、4番手はウィル・パワー(チーム・ペンスキー)の221.932mph(=約357.089㎞/h)、5番手はジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・レーシング)の221.715mph(=約356.739㎞/h)だった。
佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、47周を走ったが、ベストは4周目の219.900mph(=約353.812㎞/h)で、今日は17番手だった。ドラフティングを使っての走行が少なかったために220mphには届かなかったが、レース用セッティングの細かな詰めを行い、満足の行く成果を手にしたようだった。
「今日の走行は、昨日までに比べると周回数が少なかったんですが、マシンのバランスはとても良いと感じられていました。今日の早朝から、昨日までに得られたデータをすべてチェックし、何が良かったのかをひとつひとつ確認して行きました。今日の仕事ぶりに関しても、とても満足しています。明日のファストフライデーに向けたとても良い準備を行えました」と琢磨は語った。
いよいよ強豪がトップグループに名を連ねた
走行6日目は、レースと同じブースト圧で走る最後の日(レース前の金曜日のファイナル・プラクティスを除く)。当然、今日の各エントラントの目的はレス用セッティングのファインチューニングだった。
昨日と同じく結構風があるコンディション、そして、ルーキーオリエンテーション開始から8日連続の好天下、走行時間はキャサリン・レッグのROPのために1時間減らされたが(別コラム参照)、29台が1391周を走行した
今日のトップはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)の223.088mph(=約348.949km/h)だった。一昨日のマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)に続いて、今年2人目の223mphオーバーだ。6日間をフルに活用して、いよいよ強豪がトップへと名を連ねて来た。なお、アンドレッティは、今日は一切の走行を行わなかった。アンドレッティ・オートスポートは、ライアン・ハンター-レイが2周、アナ・ベアトリスが14周をしたが、ジェイムズ・ヒンチクリフとセバスチャン・サーベドラはアンドレッティ同様走行ナシの1日としていた。
今年のインディーで初めてトップスピードを記録したディクソンは、「いい感じだね。今年は、例年よりも少しゆっくりと時間をかけてここまでやって来た。僕らにはスピードがなかったが、ドラフティングを使ってのスピードには何も意味がない。僕らはレース用セッティングだけを行って来た。そして今日、大きな進歩を遂げることができたと喜んでいる」と話していた。「明日、そして土曜日は、今日までとはまったく違ったものになる。単独走行だ誰がどれだけのスピードを出せるのか? そこが勝負になるからだ。僕が感じているのは、ホンダもチーム・ターゲットも非常に良い仕事をしているということだ」。
ニューガーデンはなお2番手をキープ
2番手はスーパー・ルーキーのジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシング)で、222.709mph(=約358.339㎞/h)。昨日はスピン&小クラッシュを喫したが、この好走で不安を払拭することができただろう。
3番手はグレアム・レイホール(チップ・ガナッシ・レーシング)の222.080mph(=約354.108㎞/h)、4番手はウィル・パワー(チーム・ペンスキー)の221.932mph(=約357.089㎞/h)、5番手はジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・レーシング)の221.715mph(=約356.739㎞/h)だった。
佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、47周を走ったが、ベストは4周目の219.900mph(=約353.812㎞/h)で、今日は17番手だった。ドラフティングを使っての走行が少なかったために220mphには届かなかったが、レース用セッティングの細かな詰めを行い、満足の行く成果を手にしたようだった。
「今日の走行は、昨日までに比べると周回数が少なかったんですが、マシンのバランスはとても良いと感じられていました。今日の早朝から、昨日までに得られたデータをすべてチェックし、何が良かったのかをひとつひとつ確認して行きました。今日の仕事ぶりに関しても、とても満足しています。明日のファストフライデーに向けたとても良い準備を行えました」と琢磨は語った。
2012 IZOD INDYCAR シリーズ インサイド情報&ニュース:5月17日 ドラゴンにシボレー・エンジン供給開始。これで33台フルグリッドへ
レッグとブルデイ、二人にエンジン供給確定
やっとのことでドラゴン・レーシングがシボレー・エンジンを手に入れた。今日になって、シボレーから正式にリリースが出された。ドラゴンのドライバー2人ともにエンジンが供給されるのは朗報だ。
ドラゴンの2人のインディー挑戦が可能となったことで、第96回インディー500のエントリーはフルグリッドを埋めるためにギリギリ足りる33台となった。
ドラゴンを受け入れることで大変になったのは、シボレー・エンジンの開発、製作、メインテナンスを担当するイルモア・エンジニアリングだろう。2台の追加により、彼らのインディーでのエンジン供給台数は16台に増えた。そして、インディーの次のデトロイトからも14台という多くのユーザーを持つことになった。
ライバルと競争しながらのエンジン開発では、パーツの生産、そのための材料の調達など、綿密な計画があらかじめ立てられる。熟練した技術者によるエンジンの組み立て、オーバーホールも必要だ。シーズン中のエンジン開発では、ユーザーの数は多くない方がパーツ生産などで小回りが効く分だけ有利なのである。
しかし、11台のスケールでシーズンを戦うと計画していただろう彼らが、ロータスの供給規模縮小、ドラゴンとロータスの揉め事によって3台増の14台用へとプランをすべて作り替えなければならなくなった。
ライバルのホンダが抱えるユーザーのエントリー台数は、インディー500こそ15台と1台しか違わないが、レギュラーシーズンは10台(11台へと増える可能性アリ)。シーズン中盤以降はホンダが攻勢に出るか?
やっとのことでドラゴン・レーシングがシボレー・エンジンを手に入れた。今日になって、シボレーから正式にリリースが出された。ドラゴンのドライバー2人ともにエンジンが供給されるのは朗報だ。
ドラゴンの2人のインディー挑戦が可能となったことで、第96回インディー500のエントリーはフルグリッドを埋めるためにギリギリ足りる33台となった。
ドラゴンを受け入れることで大変になったのは、シボレー・エンジンの開発、製作、メインテナンスを担当するイルモア・エンジニアリングだろう。2台の追加により、彼らのインディーでのエンジン供給台数は16台に増えた。そして、インディーの次のデトロイトからも14台という多くのユーザーを持つことになった。
ライバルと競争しながらのエンジン開発では、パーツの生産、そのための材料の調達など、綿密な計画があらかじめ立てられる。熟練した技術者によるエンジンの組み立て、オーバーホールも必要だ。シーズン中のエンジン開発では、ユーザーの数は多くない方がパーツ生産などで小回りが効く分だけ有利なのである。
しかし、11台のスケールでシーズンを戦うと計画していただろう彼らが、ロータスの供給規模縮小、ドラゴンとロータスの揉め事によって3台増の14台用へとプランをすべて作り替えなければならなくなった。
ライバルのホンダが抱えるユーザーのエントリー台数は、インディー500こそ15台と1台しか違わないが、レギュラーシーズンは10台(11台へと増える可能性アリ)。シーズン中盤以降はホンダが攻勢に出るか?
2012年5月17日木曜日
2012 IZOD INDYCARシリーズ インサイド情報&ニュース:5月16日 17日の木曜日、ドラゴン・レーシングはシボレー・エンジン搭載で走行開始か?
ようやくシボレーエンジンが1基到着
走行5日目になって、ドラゴン・レーシングのガレージにシボレー・エンジンが届いた。
チームもシボレーも現在の状況に関して正式な発表を行っていないが、まだエンジンは1基しか届いていないようだ。
では、その届いたエンジンを彼らはどちらのマシンに搭載するのか? キャサリン・レッグものか、セバスチャン・ブルデイの方か?
ドラゴンの出した答えは、レッグのマシンだったようだ。それが本当なら、昨日流れていた噂は真実とは違っていたといういことだ。そして同時に、彼らのインディー500参戦が1台のみのものではなく、2台に増えそうな期待感も高まる。
ロータスを相手どって訴訟を起こしているドラゴン・レーシングがシボレー・エンジンで走行を開始する。それによっていったいどんな反応が起こり、どのような事態が今度は巻き起こされるのか?
レッグの走行は、明日(インディ時間17日)の午前中に、特別に時間を用意されて行われることになる模様だ。そこまでにマシンの準備が間に合えば……であるが。
走行5日目になって、ドラゴン・レーシングのガレージにシボレー・エンジンが届いた。
チームもシボレーも現在の状況に関して正式な発表を行っていないが、まだエンジンは1基しか届いていないようだ。
では、その届いたエンジンを彼らはどちらのマシンに搭載するのか? キャサリン・レッグものか、セバスチャン・ブルデイの方か?
ドラゴンの出した答えは、レッグのマシンだったようだ。それが本当なら、昨日流れていた噂は真実とは違っていたといういことだ。そして同時に、彼らのインディー500参戦が1台のみのものではなく、2台に増えそうな期待感も高まる。
ロータスを相手どって訴訟を起こしているドラゴン・レーシングがシボレー・エンジンで走行を開始する。それによっていったいどんな反応が起こり、どのような事態が今度は巻き起こされるのか?
レッグの走行は、明日(インディ時間17日)の午前中に、特別に時間を用意されて行われることになる模様だ。そこまでにマシンの準備が間に合えば……であるが。
2012 IZOD INDYCARシリーズ インサイド情報&ニュース:5月16日 ジャン・アレジ、走行5日目を終えて超弱気発言! 現状のままではインディー500参戦が危うい?
ROPはパスしたものの、ロータスエンジンの非力さの前に ジャン・アレジの苦悩は続く。 Photo/Naoki Shigenobu |
「一緒に走っている人たちに危害を及ぼしかねない速度」とアレジ
決勝用セッティングで46周をしたジャン・アレジ(ロータス・ファン・フォース・ユナイテッド)だったが、ベストは205.389mphだった。今日30台走った中での29番手。
プラクティス5日目を終えたアレジは、「コースの真ん中をあまりにも遅く走っているの今、私は自分は安全ではないと感じています」とコメントした。「私たちがスピードを必要なだけ上げないと、一緒に走っている皆さんのことが心配になります。今日の私たちはアクセル全開でしたが、205mphが最高でした。現在私たちの置かれている状況は、安心感を感じられるものではありません」。
このコメントは、インディー500出場ギブアップ宣言と取れなくもないが……アレジの本心は??
2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント23:第96回インディアナポリス500 5月16日 Day 5 「今日は風が強かったですが、その中でも安定して走れる感じを見つけられました。クルマについては振りたい方向に着地させることができているので、安心感があるというか、とてもいい感になっていると思います」
第96回インディアナポリス500
インディアナ州インディアナポリス
インディアナポリス・モーター・スピードウェイ
1周2.5マイル(=約4.023㎞)×200周
5月16日 Day5
プラクティス5 9位 220.856mph(=約355.357㎞/h) 51周走行
ゲインは少なかったかもしれないが確実に前進した一日
走行5日目の琢磨は51周を走行し、べストは47周目にマークしていた。走行の最後に近いところでベストを出せるのは、セットアップが前進を続けていることの証拠だ。もちろん、このところのベストはドラフティング利用で記録されているものだが、ドラフティングを敢えて求めて走っているのが現状なのだ。
今日の進歩の状況は、琢磨が期待していたよりも小さかったと思われる。最後のロングランはルーキーのアクシデントでストップされた。ニュータイヤを投入したところだっただけに、残り15分でイエローフラッグが振られてしまったのは勿体なかった。
ゲインは小さかったかもしれないが、後退はしていなかった。小さなものでも毎日着々と良くなっている。それが琢磨とレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの今年の戦いぶりと映っている。
「今日はレース用セットアップと予選トリムの過渡期」
Jack Amano(以下――):今日は昨日までと何か違うプログラムとかはあったのでしょうか?
佐藤琢磨:まあ、基本的には昨日の続きではあるんですけども、もう大分まとまったエアロマップのデータがあるので、それを基にセッティングを進めていました。今日はちょっとレースシミュレーションで、トラフィックの中をたくさん走るということができなかったんですけど、それに近いようなことはできたので、良かったと思います。
――昨日に比べ、今日は各チームが走る時間帯が散らばっていましたね?
佐藤琢磨:ちょうど、レース用セットアップと、予選トリムとの過渡期っていうか、トランジットをみんなしてたからなんでしょうね。だから、明日からはみんな、もちろんレースセットアップもやるんですけど、それをベースに少しずつトリミングが始まって行くんじゃないかな? それで、金曜日=ファストフライデーは完全に予選のことだけをやると思うんで。
「快晴続きはとてもいいこと」
――今日は風も強かったと感じていましたが、コースでもそうでしたか?
佐藤琢磨:はい。今日の風は強かったですね。それで幾つか、クルマが不安定になる部分があったんだけれども、逆にその中で安定して走れる感じを見つけたので、そういう意味では良い1日にできたと思います。
――また1段ステップを上がったという感じすか?
佐藤琢磨:そうですね。大分安心感というか、クルマ作りに関しても、幾つか再確認をしながら、何と言うんだろうな、振りたい方向、着地したいところに行けるようになって来ているので、良いと思いますね。
――それにしても、今日もまた晴れでしたね。
佐藤琢磨:このままずっと晴れですかね? 行ける感じですよね?
――こんなこと、記憶にないです。
佐藤琢磨:ホントですか。
――さっき、ボビー・レイホールもこんなことは記憶に無いって言ってたと聞きました。
佐藤琢磨:僕も過去2年は必ず雨降ってましたもんね。今年のような快晴続きは、とても良いことだと思います。
インディアナ州インディアナポリス
インディアナポリス・モーター・スピードウェイ
1周2.5マイル(=約4.023㎞)×200周
5月16日 Day5
プラクティス5 9位 220.856mph(=約355.357㎞/h) 51周走行
風が強いコンディションとなった走行5日目だったが、佐藤琢磨は 順調にプラクティスを進める。 Photo/Naoki Shigenobu |
走行5日目の琢磨は51周を走行し、べストは47周目にマークしていた。走行の最後に近いところでベストを出せるのは、セットアップが前進を続けていることの証拠だ。もちろん、このところのベストはドラフティング利用で記録されているものだが、ドラフティングを敢えて求めて走っているのが現状なのだ。
今日の進歩の状況は、琢磨が期待していたよりも小さかったと思われる。最後のロングランはルーキーのアクシデントでストップされた。ニュータイヤを投入したところだっただけに、残り15分でイエローフラッグが振られてしまったのは勿体なかった。
ゲインは小さかったかもしれないが、後退はしていなかった。小さなものでも毎日着々と良くなっている。それが琢磨とレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの今年の戦いぶりと映っている。
「今日はレース用セットアップと予選トリムの過渡期」
Jack Amano(以下――):今日は昨日までと何か違うプログラムとかはあったのでしょうか?
佐藤琢磨:まあ、基本的には昨日の続きではあるんですけども、もう大分まとまったエアロマップのデータがあるので、それを基にセッティングを進めていました。今日はちょっとレースシミュレーションで、トラフィックの中をたくさん走るということができなかったんですけど、それに近いようなことはできたので、良かったと思います。
――昨日に比べ、今日は各チームが走る時間帯が散らばっていましたね?
佐藤琢磨:ちょうど、レース用セットアップと、予選トリムとの過渡期っていうか、トランジットをみんなしてたからなんでしょうね。だから、明日からはみんな、もちろんレースセットアップもやるんですけど、それをベースに少しずつトリミングが始まって行くんじゃないかな? それで、金曜日=ファストフライデーは完全に予選のことだけをやると思うんで。
Photo:Naoki Shigenobu |
――今日は風も強かったと感じていましたが、コースでもそうでしたか?
佐藤琢磨:はい。今日の風は強かったですね。それで幾つか、クルマが不安定になる部分があったんだけれども、逆にその中で安定して走れる感じを見つけたので、そういう意味では良い1日にできたと思います。
――また1段ステップを上がったという感じすか?
佐藤琢磨:そうですね。大分安心感というか、クルマ作りに関しても、幾つか再確認をしながら、何と言うんだろうな、振りたい方向、着地したいところに行けるようになって来ているので、良いと思いますね。
――それにしても、今日もまた晴れでしたね。
佐藤琢磨:このままずっと晴れですかね? 行ける感じですよね?
――こんなこと、記憶にないです。
佐藤琢磨:ホントですか。
――さっき、ボビー・レイホールもこんなことは記憶に無いって言ってたと聞きました。
佐藤琢磨:僕も過去2年は必ず雨降ってましたもんね。今年のような快晴続きは、とても良いことだと思います。
2012 IZOD INDYCAR シリーズレポート:5月16日 第96回インディアナポリス500 Day5 プラクティス5回目 涼しいが風が強いコンディションの中、初のアクシデントも。佐藤琢磨は3日連続の9番手と依然好調
5月16日 Day5
プラクティス5
天候:晴れ
気温:22〜26℃
ニューガーデン、3回目のトップタイムをマークするが……
昨日より1日を通して涼しいコンディションが続いていた。今日は風がやや強めだったこと、昨日ほど多くの台数による集団走行が実現しなかったことから、トップ・スピードは222.785mph(=約358.461㎞/h)にとどまった。
その最速スピードをマークしたのは、またしてもルーキーのジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシング)だった。オープニング・デイからの5日間で3回目のトップである。
今日の彼は夕方の、いわゆるハッピーアワーのトラフィックで最速ラップをマークした。
しかし、彼はその後、今年初めてのアクシデントを起こすドライバーともなってしまった。3台のマシンの後ろを走っていた時、ターン4からメインストレートへと出るところでマシンが突如としてスピン! 幸いにも彼は二度のスピンの後にコースイン側の壁に前後ホイールを軽くぶつけるだけで済んだ。ニューガーデンはメディカルチェックを受けてすぐにドライビング再開の許可をもらった。そして、マシンへのダメージも非常に小さいものだった。
「このコースでラッキーはそうそう起こるもんじゃない。僕は今日、その1回に恵まれたんだと思う。チームが素晴らしい状態に仕上げてくれたマシンを壊したくはない。今日、どうしてスピンをしてしまったのか、その原因をキッチリ解明したい。今日はみんながレース用セッティングをより良くしようと周回を重ねていた。僕らももう少しマシンを良くする必要がある。今日の僕らはかなりのラップを重ねたタイヤを装着していたためか、ドラフティングの中での走りが難しくなっていた。あのアクシデントは、インディーの小さな洗礼を受けたっていうことなのかな?」とニューガーデンは語った。
アンドレッティのレギュラー組3人衆が2~4位に並び
佐藤琢磨も自己ベストを更新して3日連続9番手と好調
今日の2、3、4番手はアンドレッティ・オートスポートのレギュラー・トリオだった。マルコ・アンドレッティが222.108mph(=357.372㎞/h)、ライアン・ハンター-レイが221.763mph(=約356.817㎞/h)、ジェイムス・ヒンチクリフが221.638mph(=約356.615㎞/h)をマークしてのことだった。今年の彼らは非常に高いレベルで安定している。彼らのチームメイトとしてスポット参戦をしているセバスチャン・サーベドラも220.802mph(=約355.270㎞/h)を出して初めてのトップ10入りを果たした。アナ・ベアトリスも少しだが自己ベストを更新する219.761mph(=約353.595㎞/h)をマークして18 番手につけた。
5番手はダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)で、スピードは221.623mph(=約356.591㎞/h)。今日の彼は87周と多くのラップをこなし、キッチリと上位につけてみせた。
佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、3日連続で9番手につけた。今日は51周を走行。ベストはハッピーアワーに、今日の47周目に出した220.856mph(=約355.357㎞/h)で、昨日出した自己ベストを僅かながら上回った。もっと走っても良かったが、ニューガーデンのアクシデントが発生したところでマシンを停めた。
「昨日までの続きでレース用セッティングを進めました。今日は風が強めのコンディションでしたが、その中で良いセッティングを見つけることもできていました。順調に、着実にプログラムを進めて来ることができています。明日も天気は良さそうですね。決勝用セッティングを明日も続けて、金曜日は予選用セッティングだけをやるようになるのかな?」と琢磨は話していた。
バリケロはスピード不足で苦境にアレジらロータス勢のパワー不足は一段と深刻
F1出身のインディー500ルーキー、ルーベンス・バリケロ(KVレーシング・テクノロジー)は今日だけで118周も走ったが、ベストは30台が走行した中で26番手にしかなれない216.255mph(=約347.954㎞/h)止まりだった。スピードを上げられない状況に完全にスタックしている。チームメイトのトニー・カナーンは豊富な経験を活かして220mph台をドラフティング利用で出しているが、EJ・ビソもバリケロ以上に遅い215.512mph(=約346.758㎞/h)が今日63周を走ってのベストと、苦境に陥っている。
もう一人のF1出身ルーキー、ジャン・アレジ(ロータス・ファン・フォース・ユナイテッド)も、46周を走りながら205.389mph(=約330.470㎞/h)が精一杯と、レース用セッティングでのスピードはかなり厳しい状況にある。30台走行中の29番手だ。これはロータス・エンジンのパワー不足が大きな原因で、同じロータス・エンジンで走るシモーナ・デ・シルベストロ(ロータス・HVMレーシング)が今日の最下位だった。彼女のベストは205.009mphm(=約329.859㎞/h)だった。トップのニューガーデンとの間には、実に17.776mph(=約28.602㎞/h)もの差があった。
プラクティス5
天候:晴れ
気温:22〜26℃
走行5日目も朝から快晴だったが、少々風が吹くコンディション。 写真はパゴダ裏の旗。ドライバーたちはターン3外側と、メインストレートの タワーてっぺんにあるウィンドソックスで風向きと強さをチェックしている。 Photo:Masahiko Amano\Amano e Associati |
昨日より1日を通して涼しいコンディションが続いていた。今日は風がやや強めだったこと、昨日ほど多くの台数による集団走行が実現しなかったことから、トップ・スピードは222.785mph(=約358.461㎞/h)にとどまった。
トップタイムをマークしたがクラッシュも経験したニューガーデン。 Photo:Naoki Shigenobu |
今日の彼は夕方の、いわゆるハッピーアワーのトラフィックで最速ラップをマークした。
しかし、彼はその後、今年初めてのアクシデントを起こすドライバーともなってしまった。3台のマシンの後ろを走っていた時、ターン4からメインストレートへと出るところでマシンが突如としてスピン! 幸いにも彼は二度のスピンの後にコースイン側の壁に前後ホイールを軽くぶつけるだけで済んだ。ニューガーデンはメディカルチェックを受けてすぐにドライビング再開の許可をもらった。そして、マシンへのダメージも非常に小さいものだった。
「このコースでラッキーはそうそう起こるもんじゃない。僕は今日、その1回に恵まれたんだと思う。チームが素晴らしい状態に仕上げてくれたマシンを壊したくはない。今日、どうしてスピンをしてしまったのか、その原因をキッチリ解明したい。今日はみんながレース用セッティングをより良くしようと周回を重ねていた。僕らももう少しマシンを良くする必要がある。今日の僕らはかなりのラップを重ねたタイヤを装着していたためか、ドラフティングの中での走りが難しくなっていた。あのアクシデントは、インディーの小さな洗礼を受けたっていうことなのかな?」とニューガーデンは語った。
アンドレッティのレギュラー組3人衆が2~4位に並び
佐藤琢磨も自己ベストを更新して3日連続9番手と好調
今日の2、3、4番手はアンドレッティ・オートスポートのレギュラー・トリオだった。マルコ・アンドレッティが222.108mph(=357.372㎞/h)、ライアン・ハンター-レイが221.763mph(=約356.817㎞/h)、ジェイムス・ヒンチクリフが221.638mph(=約356.615㎞/h)をマークしてのことだった。今年の彼らは非常に高いレベルで安定している。彼らのチームメイトとしてスポット参戦をしているセバスチャン・サーベドラも220.802mph(=約355.270㎞/h)を出して初めてのトップ10入りを果たした。アナ・ベアトリスも少しだが自己ベストを更新する219.761mph(=約353.595㎞/h)をマークして18 番手につけた。
5番手はダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)で、スピードは221.623mph(=約356.591㎞/h)。今日の彼は87周と多くのラップをこなし、キッチリと上位につけてみせた。
カーナンバー50のマシンを駆るフランキッティ。いよいよ調子を上げてきた。 Photo:Naoki Shigenobu |
「昨日までの続きでレース用セッティングを進めました。今日は風が強めのコンディションでしたが、その中で良いセッティングを見つけることもできていました。順調に、着実にプログラムを進めて来ることができています。明日も天気は良さそうですね。決勝用セッティングを明日も続けて、金曜日は予選用セッティングだけをやるようになるのかな?」と琢磨は話していた。
バリケロはスピード不足で苦境にアレジらロータス勢のパワー不足は一段と深刻
ジャン・アレジは今日、ベストが205mph台にとどまった。ロータスエンジンの パワー不足を改善する手段はあるのか? Photo:Naoki Shigenosu |
もう一人のF1出身ルーキー、ジャン・アレジ(ロータス・ファン・フォース・ユナイテッド)も、46周を走りながら205.389mph(=約330.470㎞/h)が精一杯と、レース用セッティングでのスピードはかなり厳しい状況にある。30台走行中の29番手だ。これはロータス・エンジンのパワー不足が大きな原因で、同じロータス・エンジンで走るシモーナ・デ・シルベストロ(ロータス・HVMレーシング)が今日の最下位だった。彼女のベストは205.009mphm(=約329.859㎞/h)だった。トップのニューガーデンとの間には、実に17.776mph(=約28.602㎞/h)もの差があった。
2012年5月16日水曜日
2011 IZOD INDYCARシリーズ インサイド情報&ニュース:5月15日 KVレーシング・テクノロジーは迷走開始? ルーンベス・バリケロがプライマリーカーとスペアカーを行ったり来たり
走行3日目にして持ち出したスペアカー「8T」のマシンとは?? ルーキー・オリエンテーション・プログラム(ROP)からプライマリーカーで走って来ていたルーベンス・バリケロ(KVレーシング・テクノロジー)が、プラクティス3日目になってTカーを出して来た。1日目や2日目ではなく、3日目にマシンを乗り換えるというのは珍しい。バリケロはルーキーなので、ROPを含め3日間もプライマリーで走ってからTカー登場だった。
KVRTとバリケロは、どうしてエンジン交換という手間までかけて違うシャシーを試したかったのか。それは、彼らのプライマリーカーで「思ったほどスピードが出ていない」ということのはずだ。
意外だったのは、バリケロが自らのTカーとして出して来たカーナンバー8Tをつけるマシンは、実はオープニングデイにはカーナンバー11Tで、トニー・カナーンが自分のTカーとして走らせていしたシャシーだったこと。KVRTには、今のところTカー1台しかないのだ。新シャシーが導入された今年は、どのチームもシャシーの準備が去年までと比べると全然整えられていない。去年までなら、冬の長い時間をインディー用マシンにつぎ込むことができていたが、今年は開幕からの4戦を戦いながらインディーの準備を行わねばならなかったからだ。ハッキリ言えば、ペンスキーとガナッシ以外、インディー500に向けてプライマリーカーとスペアカーの両方を完璧な状態に整えることができているところはないぐらいなのだ。
翌日、エンジン交換してまでプライマリーに戻すが……
走行4日目、バリケロはプライマリーにマシンを戻して来た。つまり、クルーたちは二度目のエンジン交換作業を行ったのだ。お疲れ様です。
プラクティス3日目を終えたバリケロは、「スペア・カーを走らせたことで幾つかの項目に評価を下すことができた。少しのスピードアップはできたが、期待していたレベルには達しなかった。空力か、エンジンか、今より速くなるための策を何か見つけないとならない」と話していた。そして、またプライマリーカーに戻して走り出した彼は、50周もこなしながら30台走行中の29番手=217.435mph(=約349.853㎞/h)。チームメイトも、EJ・ビソが26番手=218.035mph(=約350.818km/h)、カナーンが219.619mph(=約353.367km/h)で19番手と振るわなかった。カナーンは3日目までは良く見えていたのだ……。巻き返しはなるか?
こちらが走行3日目の5月14日にバリケロが持ち出してきた「8T」のマシン Photo:INDYCAR\LAT USA |
意外だったのは、バリケロが自らのTカーとして出して来たカーナンバー8Tをつけるマシンは、実はオープニングデイにはカーナンバー11Tで、トニー・カナーンが自分のTカーとして走らせていしたシャシーだったこと。KVRTには、今のところTカー1台しかないのだ。新シャシーが導入された今年は、どのチームもシャシーの準備が去年までと比べると全然整えられていない。去年までなら、冬の長い時間をインディー用マシンにつぎ込むことができていたが、今年は開幕からの4戦を戦いながらインディーの準備を行わねばならなかったからだ。ハッキリ言えば、ペンスキーとガナッシ以外、インディー500に向けてプライマリーカーとスペアカーの両方を完璧な状態に整えることができているところはないぐらいなのだ。
翌日、エンジン交換してまでプライマリーに戻すが……
走行4日目、バリケロはプライマリーにマシンを戻して来た。つまり、クルーたちは二度目のエンジン交換作業を行ったのだ。お疲れ様です。
1日で再びエンジンを載せ替絵を行ってプライマリーカーに戻すことに。 スピード不足のトラブルシュートはできたのだろうか? Photo:INDYCAR\LAT USA |
2012 IZOD INDYCAR シリース インサイド情報&ニュース:5月15日 ドラゴン・レーシング、ようやくシボレー・エンジンをゲットか!? しかし、走れるのは一台のみとの噂が……
全く動静が見えなかったドラゴンレーシングのピットに夕方近くになって ようやくチーム看板がとりつかられる。シボレーエンジンをゲットできた故か? Photo:Masahiko Amano\Amano e Associati |
今朝になってもドラゴン・レーシングのガレージは静まり返っており、シボレー・エンジンが手に入ったという噂は聞こえて来なかった。「このままシボレーへのスイッチは実現しないのかも」という話も聞こえて来ていた。
それが一転、午後遅くに彼らのガレージのシャッター上に看板が取り付けられた。セバスチャン・ブルデイとキャサリン・レッグ、2人のドライバーの名前と国旗入りデザインのヤツだ。
でも、乗れるのはブルデイだけ??
大スポンサーを持ち込んだレッグはどうなる?
この後に漏れ伝わって来た噂は、「走れるのはブルデイだけかも」というショッキングなもの。シボレーが1台しか用意できず、ルーキーのレッグにはエンジンが行き渡らないということなんだろうか? ドラゴン・レーシングに大型スポンサーを持ち込んだのはレッグだが、シボレーとしては、誰もが実力の高さを認めるブルデイの起用をエンジン供給の条件としたのかもしれない。
明日の水曜日、ドラゴンがコースを走り出す可能性は出て来た。果たしてレッグは乗れるのか? ルーキー・オリエンテーション・プログラムを受けなければ出場権を得られない彼女としては、もう時間切れが迫っている。
こちらがレッグのピットに掲げられた看板。トゥルーカーとは新車購入の 価格サイト。ウェブのトップページにはレッグの写真が掲載され レッグのピットクルー体験者の募集なども企画するほど関係は深い。 Photo:Masahio Amano\Amano e Associati |
レッグが、「ロータスでもいいから走りたい」と言うなら、可能性は少しだけ広がる。エンジンは余っているので彼女のチャレンジは行えるようになるはずだが、オーバル経験が決定的に乏しいため、パワーの出ていないロータス・エンジンではROPを終了できない心配も大きくある。
2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント22:第96回インディアナポリス500 5月15日 Day 4 「単独走行では、燃料の消費にともなうマシンのバランスの変化とか、非常にいいデータを得られたし、夕方はトラフィックの中でしっかりと遅れることなく走ることができました。まだいくつか改善したいところはありますが、滑り出しとしては非常に順調です」
順調にテストプログラムをこなしながら、2日連続で9位のタイムを マークした佐藤琢磨。マシンセットアップにも手ごたえを得た一日となった。 Photo:INDYCAR\LAT USA |
インディアナ州インディアナポリス
インディアナポリス・モーター・スピードウェイ1周2.5マイル(=約4.023㎞)×200周
5月15日 Day4
プラクティス4 9位 220.843mph(=約355.336km/h) 77周走行
佐藤琢磨はプラクティス4日目の今日、日中に一度、夕方に一度、合計2回の連続走行を実施した。気温がさらに高くなったコンディションでのロングランは、どちらも狙い通りのパフォーマンスとなっていたようだ。琢磨とレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングは、スーパースピードウェイ用エアロをまとったDW12・ホンダのセッティングを戦闘力十分なものへと仕上げることができているのだ。
「ペンスキー勢と一緒に走れて、すごく良い経験になりました」
Jack Amano(以下――):今日はまた暑くなりましたが、そのコンディション下で日中にロングランをやって、夕方のハッピーアワーがこれまた暑かったわけですが、そこではすごい集団走行になっていました。充実した1日になっていたんじゃないですか?
佐藤琢磨:はい。すごくうまく行ってます。今日の前半は、昨日の続きだったんです。エアロのテストを幾つかやって、非常に良いデータが採れたと思います。その後、一番暑い時に完全なスルースティントを単独走行になっちゃてたけれどもやりました。そこではフルタンクから燃料が減って行く中でタイヤがどういう風に変わって行くのか、マシンのバランスはどう変わって行くのかっていうのを初めて見て、すごく良かったと思いますね、安定してて。それで、そのデータを持って、今日は結構気温が高くて、見てると毎日最後の1時間にみんながトラフィックでレースシミュレーションみたいのをやってるので、今回僕らもそれに混じって、初めてトラフィックの中で走りました。
――見事にペンスキー勢3台と一緒に走り続けてましたね。佐藤琢磨:あれはもう運が良かっただけだったんですけどね。元々はグレアム・レイホール(チップ・ガナッシ・レーシング)と一緒に出てって、まずは2人で一緒にやろうっていう話だったんだけど、ちょうど2周ぐらい終わったらペンスキーの3台が出て来たんで、その中にうまく潜り込んで一緒に走れたので、すごく良い経験になりましたね。
――そのトラフィックでの自分たちのマシンは、どうでしたか?
佐藤琢磨:結構いいと思いますね。まだ幾つか、もちろん改善したい部分はありますけど、まあ、ヘビートラフィックが今回初めてだったことを考えると、非常に滑り出しとしては順調です。
「DW12はこの速度域では去年のマシンとかなり似た特性」
――新シャシーと新エンジンのコンビネーションですけど、今日トラフィックで走ってみて、自分たちのマシンは、レース中のオーバーテイクとかが可能な、所謂レースのできるマシンにもうなっていますか?
佐藤琢磨:そうですね。大分良くなって来てますね、これだけみんなと接近して走れるようになってたワケですから。大きな心配っていうのは要らないと思います。自分たちとしては、これから先、あとどれぐらいファインチューンを進めて、もうちょっと更に接近戦ができるようになって、それで前を行くマシンを抜けるようになるのか……ていうのがひとつの大きな課題かな?
――今日の集団走行を見ていると、オーバーテイクの多いレースを期待できるかも……と感じました。今年の空力パッケージのルールは、まずは良くできていて、そういうマシンにさせているって考えていいんですよね?
佐藤琢磨:スーパー・スピードウェイを走る限りでは去年までのマシンとかなり似てますね。単独での挙動っていうのは、去年のクルマと大分違うんですけど。このスピード域のタービュランスっていうのは基本的には同じなので、ダウンフォースの出方とか、その中でクルマを安定させなきゃいけないので、エンジニアとシッカリとクルマを作って行かなきゃいけないですね。まあ少なくとも、今日、こうして集団の中で遅れることなくシッカリと走れたっていうのはいいですね。
「ファストフライデーに向かってのタイヤプランも順調です」
――ホンダとシボレー、エンジンのパワー差もあまり見えて来ないのですが、走っていてどう感じていますか?
佐藤琢磨:そうですね。ロードコースよりかは良いのかな? ホンダ・エンジンは大分良くなりましたね。
――1スティントやってみて、タイヤのグリップの落ち方とかはどうですか?
佐藤琢磨:単独走行でしっかりとダウンフォースがある時は問題ないですね、すごく安定していて。
ただ、今日の最後みたいな感じで実際に物すごいバトルになって、ラインも常にベストのものが採れないとか、非常にトラフィックの中でダウンフォースが抜けちゃってクルマがスライドして行くって状況では摩耗も激しくなると思います。今日の最後の走行は24周ぐらいでしたから、1スティントには完全に届いていないんですけど、でも、今日のタイヤで摩耗をチェックして、それがデータになると思います。
――それにしても、今年はずっと良い天気が続いてますね?
佐藤琢磨:本当ですよね。去年、一昨年は雨が降って、半分近く走行がないって状況でしたけど、
今年はずーっと天気がいい。
――練習したくてもタイヤが足りないっていうチームも出て来そうです。
佐藤琢磨:僕らはここまでをシッカリとしたプログラムを立ててやって来ていて、ひとつひとつのランをミスのない充実したものにして来れているので、金曜日=ファストフライデーに向けてタイヤプランも順調に来ています。
2012 IZOD INDYCAR シリーズレポート:5月15日 第96回インディアナポリス500 Day4 プラクティス4回目 ハッピーアワーにマルコ・アンドレッティが今月最速の223mph台をマーク。主力チームもいよいよ戦闘モードに
5月15日 Day4
プラクティス4 12:00~18:00
好天続きで各チームともマシンセットアップが大きく前進
快晴がもう4日目。5月のインディアナは天候が不安定なのが普通なので、今年のインディー500は本当に珍しい好天続きとなっている。
そのおかげで各チームのマシンセットアップは大きく進み、ルーキーを含めてドライバーたちも新しいマシン、新しいエンジンへの慣れもおおいに進んだようだ。今日、またしてもスピードはアップした。それは、昨日まで以上に多くのチームが集団での走行を求め始めたからでもあった。夕方5時からの所謂ハッピーアワー、今日は12台以上が一斉にコースを走るシーンも見られた。
しかも、今日は昨日までとは違い、ハッピーアワーも暑さが残ったままだった。メインストレートとターン1はグランドスタンドの日陰になっていたが、陽の当たっている路面の温度は高いままだった。今日のハッピーアワーは、レースセットアップを向上させるために走行を重ねるのに適したコンディションだったと言える。
ハッピーアワーに複数チームが集団走
アンドレッティ・オートスポーツがトップ5に2台食い込む
佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、隣り同士のピットのグレアム・レイホール(チップ・ガナッシ・レーシング)と事前に話し合い、一緒にコースインした。すると、そのすぐ後にペンスキー勢が3台揃ってコースへ。さらに、シモン・パジェノー(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)、アレックス・タグリアーニ(ブライアン・ハータ・オートスポート・ウィズ・カーブ-アガジェニアン)らが加わった。そして、この集団が、4台揃って出て来たアンドレッティ勢に追いついた。アクシデント発生を心配し過ぎることで悪名高かったブライアン・バーンハートが未だに競技長だったら、ビビってイエローフラッグを出すよう指示が飛んでいいだろう。
しかし、そんな事態にはならず、アクシデントも起こらず、ここに参加していたチームは有効なセッティングデータを収集していた。
この集団走行は20周以上も続いた。1台、また1台とピットへと戻った後、パックに後半から参加したアンドレッティ勢は走り続け、その中でマルコ・アンドレッティが今日のベストとなる223.676mph(=約359.895㎞/h)をマークした。もう残り時間が10分を切ってからのことだった。
今日の2番手はエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)の222.025mph(=約357.238㎞/h)。これは琢磨らと一緒の、夕方5時半過ぎの走行時に記録された。
3番手はジェイムス・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)の221.864mph(=約356.979㎞/h)。4番手はレイホールの221.855mph(=約356.965㎞/h)で、5番手はライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)の221.814mph(=約356.899km/h)だった。アンドレッティ・オートスポートは、トップを取っただけでなく、さらに2人をトップ5に食い込ませた。
ペンスキー、ガナッシもいよいよ本気モード
昨日からトラフィックでの走行をチームメイト同士で始めていたペンスキー勢は、前述の通りカストロネベスが2番手につけ、ウィル・パワーが221.169mph(=約355.861㎞/h)で7番手、ライアン・ブリスコーは220.094mph(=約354.131㎞/h)で14番手だった。
ガナッシAチームの2人は、ダリオ・フランキッティが221.056mph(=約355.679㎞/h)で8番手、スコット・ディクソンが220.800mph(=約355.267㎞/h)で10番手だった。昨日に続き、揃ってトップ10入り。入念なベースセッティングチェックを終えて、いよいよ戦闘モードへとシフトして来た感じだが、まだトップ・ギヤというワケではない。明日以降は、より積極的にトラフィックを求めた走りを展開して行くことだろう。明日の天気予報も晴れなのだ。
佐藤琢磨、充実した走行で連日のトップ10入り
琢磨はロングランを日中と夕方の2回行った。最初のロング・ランは単独走行がメインだったが、2回目はトラフィックの中心的存在となっていた。ペンスキートリオとポジションを入れ替えながら20周以上を走った彼は、狙い通りのトラフィックテスト、さらにはロングラン達成で充実した1日を終えた。琢磨のベストは、トラフィック内で記録した220.843mph(=約355.336km/h)。2日連続の220mph台、そして、2日連続の9番手=トップ10入りだった。
今日走ったのは30台。昨日ROPをパスしたジャン・アレジとファン・フォース・ユナイテッド・チームは1日走行なしで、マシンの整備をジックリと行っていた。
ドラゴン・レーシングはシボレー・エンジンの確保に目処がついたのか、ガレージにチームの看板が掲げられた。
プラクティス4 12:00~18:00
好天続きで各チームともマシンセットアップが大きく前進
快晴がもう4日目。5月のインディアナは天候が不安定なのが普通なので、今年のインディー500は本当に珍しい好天続きとなっている。
そのおかげで各チームのマシンセットアップは大きく進み、ルーキーを含めてドライバーたちも新しいマシン、新しいエンジンへの慣れもおおいに進んだようだ。今日、またしてもスピードはアップした。それは、昨日まで以上に多くのチームが集団での走行を求め始めたからでもあった。夕方5時からの所謂ハッピーアワー、今日は12台以上が一斉にコースを走るシーンも見られた。
しかも、今日は昨日までとは違い、ハッピーアワーも暑さが残ったままだった。メインストレートとターン1はグランドスタンドの日陰になっていたが、陽の当たっている路面の温度は高いままだった。今日のハッピーアワーは、レースセットアップを向上させるために走行を重ねるのに適したコンディションだったと言える。
ハッピーアワーに複数チームが集団走
アンドレッティ・オートスポーツがトップ5に2台食い込む
佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、隣り同士のピットのグレアム・レイホール(チップ・ガナッシ・レーシング)と事前に話し合い、一緒にコースインした。すると、そのすぐ後にペンスキー勢が3台揃ってコースへ。さらに、シモン・パジェノー(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)、アレックス・タグリアーニ(ブライアン・ハータ・オートスポート・ウィズ・カーブ-アガジェニアン)らが加わった。そして、この集団が、4台揃って出て来たアンドレッティ勢に追いついた。アクシデント発生を心配し過ぎることで悪名高かったブライアン・バーンハートが未だに競技長だったら、ビビってイエローフラッグを出すよう指示が飛んでいいだろう。
しかし、そんな事態にはならず、アクシデントも起こらず、ここに参加していたチームは有効なセッティングデータを収集していた。
この集団走行は20周以上も続いた。1台、また1台とピットへと戻った後、パックに後半から参加したアンドレッティ勢は走り続け、その中でマルコ・アンドレッティが今日のベストとなる223.676mph(=約359.895㎞/h)をマークした。もう残り時間が10分を切ってからのことだった。
今日の2番手はエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)の222.025mph(=約357.238㎞/h)。これは琢磨らと一緒の、夕方5時半過ぎの走行時に記録された。
3番手はジェイムス・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)の221.864mph(=約356.979㎞/h)。4番手はレイホールの221.855mph(=約356.965㎞/h)で、5番手はライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)の221.814mph(=約356.899km/h)だった。アンドレッティ・オートスポートは、トップを取っただけでなく、さらに2人をトップ5に食い込ませた。
ペンスキー、ガナッシもいよいよ本気モード
昨日からトラフィックでの走行をチームメイト同士で始めていたペンスキー勢は、前述の通りカストロネベスが2番手につけ、ウィル・パワーが221.169mph(=約355.861㎞/h)で7番手、ライアン・ブリスコーは220.094mph(=約354.131㎞/h)で14番手だった。
ガナッシAチームの2人は、ダリオ・フランキッティが221.056mph(=約355.679㎞/h)で8番手、スコット・ディクソンが220.800mph(=約355.267㎞/h)で10番手だった。昨日に続き、揃ってトップ10入り。入念なベースセッティングチェックを終えて、いよいよ戦闘モードへとシフトして来た感じだが、まだトップ・ギヤというワケではない。明日以降は、より積極的にトラフィックを求めた走りを展開して行くことだろう。明日の天気予報も晴れなのだ。
佐藤琢磨、充実した走行で連日のトップ10入り
琢磨はロングランを日中と夕方の2回行った。最初のロング・ランは単独走行がメインだったが、2回目はトラフィックの中心的存在となっていた。ペンスキートリオとポジションを入れ替えながら20周以上を走った彼は、狙い通りのトラフィックテスト、さらにはロングラン達成で充実した1日を終えた。琢磨のベストは、トラフィック内で記録した220.843mph(=約355.336km/h)。2日連続の220mph台、そして、2日連続の9番手=トップ10入りだった。
今日走ったのは30台。昨日ROPをパスしたジャン・アレジとファン・フォース・ユナイテッド・チームは1日走行なしで、マシンの整備をジックリと行っていた。
ドラゴン・レーシングはシボレー・エンジンの確保に目処がついたのか、ガレージにチームの看板が掲げられた。
2012年5月15日火曜日
2012 IZOD INDYCAR シリーズ インサイド情報&ニュース:5月14日 アレジも大変なんです……
ファンとの接触を避けている……ワケじゃありません
「アレジはガレージとピットの往復でマシンに乗ったまま。あれはファンとの接触を避けてるってことかね? メディアへの対応も走行終了時に短時間だけしか用意してくれていない。そんな態度じゃ、今後ファンに拒絶されることになるぞ」な~んて記事がアメリカのウェブだか何だかに載ったらしい。
確かに、アレジはオープニングデイからだか、マシンに乗ってピットに現れるようになった。今日(走行3日目)見たら、ガレージに帰る時もコクピットにいた。
ROPの日にはピット裏のファンにわざわざ歩み寄ってサインしてたけどな。
走行後の取材への対応も笑顔を交えてのフレンドリーなものだったけど……。
走行3日目(彼はROPで2日走ってるから、ここで言う3日目ってのはオープニングデイのこと)からとか、スピードが思うように上がらなくてイライラし始めたのかもね。人間誰でもあるでしょ、そういうことは。
アレジの周りには、インディーカーに馴染みのあるPR担当がいない。チーム・オーナーもメディアの取材が大変で……ってドライバーじゃなかったし、ちゃんとしたアドバイスのできる人に恵まれてないんだろうね。
すべてチームが頼んだこと、とマネージャー氏があわててフォロー
今日、アレジがピットへの行き来でコクピットで収まっている理由がチームによって明らかにされた。悪い評判が広っちゃマズイって考えたんでしょう。
チームマネジャー氏曰く、「本当なら、我々がマシンを引っ張る時用のクルーを見つけて来なくちゃいけない。本来はドライバーの仕事じゃないから、マシンの運搬は。ドライバーはその仕事をやりたがらない。それは周知の事実。しかし、残念なことにウチのクルーにはジャンのシートに座れる者がいない。だから仕方なく彼にやってもらってる」とのこと。確かに、ファン・フォース・ユナイテッドで働くクルーたちはアメリカ人らしい体格、あるいは、アメリカでも規格外のサイズの人ばっかり。
その他にも理由はあった。「ジャンのシートは作ったばかりなので、体に馴染ませないとならない。そのためにも、少しでも長く座っている方がいいんだ。ジャンは一緒に働き易い、本当に素晴らしい人柄の持ち主で、我々が頼んだことは何でもやってくれる」とチームマネジャーはコメント。アレジの行動を全面擁護していた。
本人はROPもクリアし、余裕を取り戻す
アレジ自身も、「僕はチームに頼まれたことをやってるだけ。自分としても、少しでも長い時間をコクピットで過ごすことになれば、シートが馴染むから大歓迎。僕はインディーでの時間をおおいに楽しんでいる。ファンと話をしたり、サインをすることを楽しんでいる。もう随分と昔の僕のレーシングマシンの写真を持って来てくれるファンもいる。ここではすべてのことが、今まで僕が経験して来たことと違う。それを僕はとても楽しいと感じている。もちろん、インディー500については昔から色々と聞いて来ている。たくさんの友達が出場して来ていて、彼らの話を聞いて来ただけに、自分がこうしてついに挑戦を行っていることにワクワクしている。友達みんながインディーのエキサイティングさを話していたけれど、それがようやく分かって来ている。インディーのファンのためにも、良いレースを戦いたい。そのためにも、僕は100パーセント、自分に与えられた課題に集中をして行かなければならない。少しでもマシンを速くすること、それが僕らの目指すものだ」と話した。
「アレジはガレージとピットの往復でマシンに乗ったまま。あれはファンとの接触を避けてるってことかね? メディアへの対応も走行終了時に短時間だけしか用意してくれていない。そんな態度じゃ、今後ファンに拒絶されることになるぞ」な~んて記事がアメリカのウェブだか何だかに載ったらしい。
確かに、アレジはオープニングデイからだか、マシンに乗ってピットに現れるようになった。今日(走行3日目)見たら、ガレージに帰る時もコクピットにいた。
ROPの日にはピット裏のファンにわざわざ歩み寄ってサインしてたけどな。
走行後の取材への対応も笑顔を交えてのフレンドリーなものだったけど……。
走行3日目(彼はROPで2日走ってるから、ここで言う3日目ってのはオープニングデイのこと)からとか、スピードが思うように上がらなくてイライラし始めたのかもね。人間誰でもあるでしょ、そういうことは。
アレジの周りには、インディーカーに馴染みのあるPR担当がいない。チーム・オーナーもメディアの取材が大変で……ってドライバーじゃなかったし、ちゃんとしたアドバイスのできる人に恵まれてないんだろうね。
すべてチームが頼んだこと、とマネージャー氏があわててフォロー
今日、アレジがピットへの行き来でコクピットで収まっている理由がチームによって明らかにされた。悪い評判が広っちゃマズイって考えたんでしょう。
チームマネジャー氏曰く、「本当なら、我々がマシンを引っ張る時用のクルーを見つけて来なくちゃいけない。本来はドライバーの仕事じゃないから、マシンの運搬は。ドライバーはその仕事をやりたがらない。それは周知の事実。しかし、残念なことにウチのクルーにはジャンのシートに座れる者がいない。だから仕方なく彼にやってもらってる」とのこと。確かに、ファン・フォース・ユナイテッドで働くクルーたちはアメリカ人らしい体格、あるいは、アメリカでも規格外のサイズの人ばっかり。
その他にも理由はあった。「ジャンのシートは作ったばかりなので、体に馴染ませないとならない。そのためにも、少しでも長く座っている方がいいんだ。ジャンは一緒に働き易い、本当に素晴らしい人柄の持ち主で、我々が頼んだことは何でもやってくれる」とチームマネジャーはコメント。アレジの行動を全面擁護していた。
本人はROPもクリアし、余裕を取り戻す
アレジ自身も、「僕はチームに頼まれたことをやってるだけ。自分としても、少しでも長い時間をコクピットで過ごすことになれば、シートが馴染むから大歓迎。僕はインディーでの時間をおおいに楽しんでいる。ファンと話をしたり、サインをすることを楽しんでいる。もう随分と昔の僕のレーシングマシンの写真を持って来てくれるファンもいる。ここではすべてのことが、今まで僕が経験して来たことと違う。それを僕はとても楽しいと感じている。もちろん、インディー500については昔から色々と聞いて来ている。たくさんの友達が出場して来ていて、彼らの話を聞いて来ただけに、自分がこうしてついに挑戦を行っていることにワクワクしている。友達みんながインディーのエキサイティングさを話していたけれど、それがようやく分かって来ている。インディーのファンのためにも、良いレースを戦いたい。そのためにも、僕は100パーセント、自分に与えられた課題に集中をして行かなければならない。少しでもマシンを速くすること、それが僕らの目指すものだ」と話した。
2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント21:第96回インディアナポリス500 5月14日 Day3 「この3日間、順調に基本となるデータを収集できました。明日からはレース用セットアップに入ります」
第96回インディアナポリス500
インディアナ州インディアナポリス
インディアナポリス・モーター・スピードウェイ
1周2.5マイル(=約4.023㎞)×200周
5月14日 Day3
プラクティス3 9位 220.090mph(=約354.125㎞/h) 34周走行
暑さの残る中220mph台をマークし、一時はトップに
プラクティス3日目、佐藤琢磨はチームメイトのミチェル・ジョルダインが走った後に登場。夕方だったが、まだ暑さの残っている中で走行を重ねた。それを終える少し前、ルーベンス・バリケロ(KVレーシング・テクノロジー)の後ろを走り、一気にスピードは220mph台へとジャンプ。タイム・モニターのトップに躍り出たが、その後のハッピーアワーに222mphまで出て、琢磨は9番手となった。その順位以上に大きな収穫が得られた1日だったようだ。
Jack Amano(以下――):最後に220mphが出ました。少しトウを使ってのことだったと見えていましたが、最後はトウがあってもオッケーという考えでの走りになっていたのですか?
佐藤琢磨:はい。今日もエアロのチェックをずっとやっていて、足回りのセットアップ変更も始めていました。走行開始から、前にクルマがいる時はバックオフをして、クリーンエアで走るように心がけて来ました。そのようにして走らないと、データのクォリティが下がっちゃうのでね。そうやってずっと走って来ましたけど、今日の最後は、1回トウに入ってクルマのスピードの伸びだとか、実際にタービュランスを受けた時のハンドリングとか、ギヤ比とかをチェックしたかったんです。明日からレース用のセットアップを本格的に始めて行くのでね。その準備として少しだけトウを使ってみました。
――単独走行の最終仕上げが終わった、といった感じですか?
佐藤琢磨:最終仕上げというか、データ収集の最終段階でしたね。明日からはレース用セットアップです。
「タイヤの仕様セット数なども予定通りに来ています」
――3日目も順調だったという評価ですか?
佐藤琢磨:そうですね。今日、ミチェルのクルマはちょっとトラブルが出て、データ収集がうまく行かなかった面がありました。それで僕の方で仕上げて行かないとならなかったところもあったんですけど、この3日間、順調にここまで基本になるデータを採れました。ベースを作ることができたと思います。ここから細かいセッティングを色々とトライして行きます。
――タイヤの使用セット数の面なども、計画通りというか、満足の行く状況ですか?
佐藤琢磨:はい。予定通りですね。少な過ぎもしないし、多過ぎもしないです。もうちょっとセーブできたかもしれないけど、でも各セットをシッカリと使い切れていると思います。今のところ、まったく無駄はないですね。
インディアナ州インディアナポリス
インディアナポリス・モーター・スピードウェイ
1周2.5マイル(=約4.023㎞)×200周
5月14日 Day3
プラクティス3 9位 220.090mph(=約354.125㎞/h) 34周走行
ピットでの琢磨。表情は険しいが、走行は初日からここまで至って順調だ。 Photo:Masahiko Amano\Amano e Assiciati |
プラクティス3日目、佐藤琢磨はチームメイトのミチェル・ジョルダインが走った後に登場。夕方だったが、まだ暑さの残っている中で走行を重ねた。それを終える少し前、ルーベンス・バリケロ(KVレーシング・テクノロジー)の後ろを走り、一気にスピードは220mph台へとジャンプ。タイム・モニターのトップに躍り出たが、その後のハッピーアワーに222mphまで出て、琢磨は9番手となった。その順位以上に大きな収穫が得られた1日だったようだ。
Jack Amano(以下――):最後に220mphが出ました。少しトウを使ってのことだったと見えていましたが、最後はトウがあってもオッケーという考えでの走りになっていたのですか?
コースインする琢磨。今日は34周走行して33種目にベストラップをマークした。 Photo:Masahiko Amano\Amano e Associati |
――単独走行の最終仕上げが終わった、といった感じですか?
佐藤琢磨:最終仕上げというか、データ収集の最終段階でしたね。明日からはレース用セットアップです。
「タイヤの仕様セット数なども予定通りに来ています」
走行4日目となる明日からはレースセットアップにはいる予定だ。 Photo:Masahiko Amano\Amano e Associati |
佐藤琢磨:そうですね。今日、ミチェルのクルマはちょっとトラブルが出て、データ収集がうまく行かなかった面がありました。それで僕の方で仕上げて行かないとならなかったところもあったんですけど、この3日間、順調にここまで基本になるデータを採れました。ベースを作ることができたと思います。ここから細かいセッティングを色々とトライして行きます。
――タイヤの使用セット数の面なども、計画通りというか、満足の行く状況ですか?
佐藤琢磨:はい。予定通りですね。少な過ぎもしないし、多過ぎもしないです。もうちょっとセーブできたかもしれないけど、でも各セットをシッカリと使い切れていると思います。今のところ、まったく無駄はないですね。
2012 IZOD INDYCAR シリーズ インサイド情報&ニュース :5月14日 第96回インディアナポリス500 ジャン・アレジ、ついにROPを完了! 晴れてインディー500出場権を獲得するも、「今のトップスピードは、ロータスを名乗るには低すぎる」と苦言
夕方の5時過ぎ、211mphを出してついにフェーズ3合格
やりました! ついにジャン・アレジ、インディー500への挑戦権獲得です。おめでとうございます!!
いやはや、心配しましたよ、昨日スピードが落っこちちゃった時には。バディ・ラジアがジーンと呼んでるのを知った時にも、違った意味で不安になりました。
「昔の名前で出ています」的スタッフが多過ぎるのかも……なんて考え始めてました。ちゃんとチームが機能してないのかな? なんて不安も過り出してました。「アレジにスピードを出させずに出場を諦めさせ、誰か他の人を乗っけようなんて企んでるヤツがいるのでは?」なんて陰謀説まで心配するようになってたほどでした。
しかし、ファン・フォース・ユナイテッドは、目的の第一段階を見事に達成しました。未だに、彼らのチームに力を合わせるだけの数のファンがいるのかどうかは疑問のままですけど……。
アレジにROPフェーズ3合格が伝えられたのは、夕方の5時過ぎでした。ハッピーアワーに入って、スピードの出易いコンディションが整っていました。アレジにとっては4日連続の好天。さすが、“持ってる”人は違います。今日から雨が3日続いてたら、「走りたくても走れなくてアウトに!」って話になってたワケですから。
彼以外にも走っているマシンが多かったことも、さらにスピードが出易い条件でしたね。揃うものがバッチリ揃いまくっていた、というワケです。反面、トラフィックの存在でドライビングが難しくなってたていうのも事実でしたけどね。
「もっとエンジンに力を発揮してもらわないと」
そんな中、アレジはベストを211mph台に載せ、ROPをパスしました。元F1スターとしたら、こんなの通って当たり前ですけど、インディーカー・シリーズを戦ったことの無いチームからのエントリーですからね。
もちろん、経験豊富なスタッフを集めるって意味では、インディーカーでのレース経験という点では心配なかったのかもしれないです。一緒に働いた経験がないだけで、個々のスタッフはそれぞれがキッチリ経験を持っている。そういうチームになってるワケですからね。
「ルーキープログラムを終え、こうしてちゃんと歩いていられる」。マシンを降りたアレジのコトバはあまり質の良い冗談とはなっていませんでした。そして、「ハッピーだけれど、もっとエンジンに力を発揮してもらわないとならないね」と、続いて飛び出したのは雇い主のロータスに対する苦言でした。しかし、エンジンパフォーマンスの低さが彼のROP通過を困難にさせていたのだから、それも仕方の無いことだったのかもしれないですよね。
ロータス・エンジンのピーク・パワーでの不利は明らかで、「今のトップ・スピードはロータスを名乗るには低過ぎる」ともアレジはコメントした。これは、アレジが大使を務めるロータスに対しての叱咤激励のコトバであったはずです。
F1のスタードライバーも、走行3日目にROPをパスしてようやく一安心。 Photo:INDYCAR\LAT USA |
やりました! ついにジャン・アレジ、インディー500への挑戦権獲得です。おめでとうございます!!
いやはや、心配しましたよ、昨日スピードが落っこちちゃった時には。バディ・ラジアがジーンと呼んでるのを知った時にも、違った意味で不安になりました。
「昔の名前で出ています」的スタッフが多過ぎるのかも……なんて考え始めてました。ちゃんとチームが機能してないのかな? なんて不安も過り出してました。「アレジにスピードを出させずに出場を諦めさせ、誰か他の人を乗っけようなんて企んでるヤツがいるのでは?」なんて陰謀説まで心配するようになってたほどでした。
しかし、ファン・フォース・ユナイテッドは、目的の第一段階を見事に達成しました。未だに、彼らのチームに力を合わせるだけの数のファンがいるのかどうかは疑問のままですけど……。
アレジにROPフェーズ3合格が伝えられたのは、夕方の5時過ぎでした。ハッピーアワーに入って、スピードの出易いコンディションが整っていました。アレジにとっては4日連続の好天。さすが、“持ってる”人は違います。今日から雨が3日続いてたら、「走りたくても走れなくてアウトに!」って話になってたワケですから。
彼以外にも走っているマシンが多かったことも、さらにスピードが出易い条件でしたね。揃うものがバッチリ揃いまくっていた、というワケです。反面、トラフィックの存在でドライビングが難しくなってたていうのも事実でしたけどね。
「もっとエンジンに力を発揮してもらわないと」
そんな中、アレジはベストを211mph台に載せ、ROPをパスしました。元F1スターとしたら、こんなの通って当たり前ですけど、インディーカー・シリーズを戦ったことの無いチームからのエントリーですからね。
もちろん、経験豊富なスタッフを集めるって意味では、インディーカーでのレース経験という点では心配なかったのかもしれないです。一緒に働いた経験がないだけで、個々のスタッフはそれぞれがキッチリ経験を持っている。そういうチームになってるワケですからね。
ロータスエンジンのパフォーマンスはいまだに劣勢だが ここからアレジはどのようにマシンを仕上げていくのか注目だ。 Photo:INDYCAR\LAT USA |
ロータス・エンジンのピーク・パワーでの不利は明らかで、「今のトップ・スピードはロータスを名乗るには低過ぎる」ともアレジはコメントした。これは、アレジが大使を務めるロータスに対しての叱咤激励のコトバであったはずです。
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2012 IZOD INDYCAR シリーズレポート:5月14日 第96回インディアナポリス500 Day3 プラクティス3回目 走行3日目、最速はまたしてもジョセフ・ニューガーデン……なのだが……
5月14日 Day3
プラクティス3 12:00~18:00
天候:晴れ
気温:23〜27℃
トップスピードはついに222mph台に突入
走行3日目のトップスピードは、ルーキーのジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシング)が記録した。オープニングデイに続いて、3日で2回目のトップだ。今日の彼のスピードは1周回平均が222.486mph(=約357.198㎞/h)と、ついに222マイル台へと突入した。
今日、222mphに手を届かせたのはニューガーデンただ一人だった。昨年度インディーライツ・チャンピオン(=ニューガーデンのことデス)、とても頑張っている。サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシングも新興チームとは思えない見事な仕事ぶりを発揮して来ている。
しかし、今日の222mph、一体どれだけの意味があるんだろうか? ドライバーやチームの間にスピードを競い合うつもりがあるのかないのか、本当のところはわからないけれど、トップのニューガーデン以下、上位陣は皆、ベストを夕方の5時過ぎ、俗に言う”ハッピーアワーに出していた。
ハッピー・アワーとは、アメリカのバーで使われるコトバ。夕方早く入店すると1オーダーで同じオーダー(ビールでもワインでも)が2杯出してもらえるシステムで、2杯出る時間帯がハッピーアワーと呼ばれている。
今日は、日中こそ暑かったが、夕方になってスピードの出易いコンディションが整った。そこで集団走行をすれば、スピードが高くなるのは当たり前。そんな状況下、マシンがジャカスカ走っていた。みんなレースを睨んでトラフィックでのセットアップを磨いている? そうは思えなかった。
レースデイの天候がどうなるか……それは誰にもわからない。しかし、レースのスタートが正午。照準はもっと暑いコンディションでの戦いに絞り込んだ方が良いのでは? 暑い中で速いマシンを涼しいコンディションにアジャストすることはできるが、涼しい中で速いマシンを暑い中でも速く走らせるのは簡単じゃないコトでもあるし……。
タイムでは中団にとどまるペンスキー勢は
気温の高い中でトラフィックセッティング
「今日、トウを使わないでベスト出した人なんていないでしょ?」と3番手タイムを出したマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)は話してたが、「三代目、それは間違ってますよ!」。あなたの元チームメイトのトニー・カナーン(KVレーシング・テクノロジー)が、ハッピー・アワー前に単独走行で219mphを出してた。佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)も、同じく夕方5時前、今日の自己ベストに到達する前に単独走行で218.999mph(=約352.369km/h)をマークしてました。
こんな状況だから、チーム・ペンスキーの3人が今日のスピードチャートで15、16、17位に甘んじているのもうなずける。彼らは彼らでトラフィックセッティングをやっていたけれど、それはまだ気温の高い中でのことだった。
プラクティス3 12:00~18:00
天候:晴れ
気温:23〜27℃
ルーキーのニューガーデンは走行3日目にトップタイムをマーク。 走行序盤から好調を維持している。 Photo:INDYCAR\LAT USA |
走行3日目のトップスピードは、ルーキーのジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシング)が記録した。オープニングデイに続いて、3日で2回目のトップだ。今日の彼のスピードは1周回平均が222.486mph(=約357.198㎞/h)と、ついに222マイル台へと突入した。
今日、222mphに手を届かせたのはニューガーデンただ一人だった。昨年度インディーライツ・チャンピオン(=ニューガーデンのことデス)、とても頑張っている。サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシングも新興チームとは思えない見事な仕事ぶりを発揮して来ている。
しかし、今日の222mph、一体どれだけの意味があるんだろうか? ドライバーやチームの間にスピードを競い合うつもりがあるのかないのか、本当のところはわからないけれど、トップのニューガーデン以下、上位陣は皆、ベストを夕方の5時過ぎ、俗に言う”ハッピーアワーに出していた。
ハッピー・アワーとは、アメリカのバーで使われるコトバ。夕方早く入店すると1オーダーで同じオーダー(ビールでもワインでも)が2杯出してもらえるシステムで、2杯出る時間帯がハッピーアワーと呼ばれている。
今日は、日中こそ暑かったが、夕方になってスピードの出易いコンディションが整った。そこで集団走行をすれば、スピードが高くなるのは当たり前。そんな状況下、マシンがジャカスカ走っていた。みんなレースを睨んでトラフィックでのセットアップを磨いている? そうは思えなかった。
レースデイの天候がどうなるか……それは誰にもわからない。しかし、レースのスタートが正午。照準はもっと暑いコンディションでの戦いに絞り込んだ方が良いのでは? 暑い中で速いマシンを涼しいコンディションにアジャストすることはできるが、涼しい中で速いマシンを暑い中でも速く走らせるのは簡単じゃないコトでもあるし……。
タイムでは中団にとどまるペンスキー勢は
気温の高い中でトラフィックセッティング
「今日、トウを使わないでベスト出した人なんていないでしょ?」と3番手タイムを出したマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)は話してたが、「三代目、それは間違ってますよ!」。あなたの元チームメイトのトニー・カナーン(KVレーシング・テクノロジー)が、ハッピー・アワー前に単独走行で219mphを出してた。佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)も、同じく夕方5時前、今日の自己ベストに到達する前に単独走行で218.999mph(=約352.369km/h)をマークしてました。
こんな状況だから、チーム・ペンスキーの3人が今日のスピードチャートで15、16、17位に甘んじているのもうなずける。彼らは彼らでトラフィックセッティングをやっていたけれど、それはまだ気温の高い中でのことだった。
2012 INDYCAR インサイド情報&ニュース:ルーキーテスト通過へもがくアレジに先生役が登場。先生、教え子の名前は正しく呼んであげて……
ジャン・アレジのインディー500挑戦は小康状態に陥っている。走行2日目には大きな進歩を見せて一気にスピードアップ。公式練習が始まったら、そのままの勢いで最終段階のフェーズ3もすぐさまパスすると思われた。しかし、走行3日目となったオープニングデイでこそ更なるスピードを記録して見せたものの、4日目はスピードが後退してしまった。
2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント20:第96回インディアナポリス500 5月13日 Day2 「ここまでは順調。2日目にしてはよい進化を遂げることができています」
第96回インディアナポリス500
インディアナ州インディアナポリス
インディアナポリス・モーター・スピードウェイ
1周2.5マイル(=約4.023㎞)×200周
5月13日 Day2
プラクティス2 13位 218.016mph(=約350.788㎞/h) 56周走行
雨の予報はどこへやら、プラクティス2日目は朝から快晴だった。大きな雨雲はスピードウェイの南側を通過したのだった。その影響なのか風が少し強まり、湿度も上がっていたが、1日を通してコンディションは安定していた。佐藤琢磨は午後1時過ぎに走行を開始。50ラップ以上も周回を重ねて走行を終えた。
「今日はすごく良いデータが取れました」
Jack Amano(以下――):今日は暑さの中での走行でしたね?
佐藤琢磨:そうですね。昨日までの天気予報はあんまり良くなかった。だから、今日のプログラムはそんなにフルプログラムにはしない予定になってたんですけど、朝から天気が良くて、雨も南の方を抜けてっちゃったみたいだったので、フルドライのプログラムに変えました。
――今日は風が多少出てました。気温も昨日より高くなっていた。そうした条件下でのマシンはどうでしたか?
佐藤琢磨:昨日走った時とは風向きが180度変わってましたし、気温も路面のコンディションも全然違う中でのスタートだったので、すごく良いデータが採れたと思います。今日、多分最も多くの周回をした者の一人になってたと思いますが、すごく良いデータが採れましたね。
――今日のベストラップは、誰かのトウ(ドラフティング)があったんでしょうか?
佐藤琢磨:いや、トウはしてなかったと思います。でも、色々試す中で僕らはもうかなりトリミングも始めてる。
――上位陣を見ても、単独走行で218マイル出ていたら、結構良いレベルって感じに見えてましたが、どうですか?
佐藤琢磨:そうですね。そんなところですね。
――それが、トウで221マイルまで跳ね上がっちゃうんですね。
佐藤琢磨:そうですね、うん。
――琢磨選手としては、まだ積極的にトラフィックで……ということにはなっていないんですね?
佐藤琢磨:まったくトラフィックはやってないです。今はベースのセットアップのデータを集めて、勉強してる最中なので。今の状態をベースにレースセットアップをしっかりと煮詰めてって、そこからトリミングアウトして、予選に向けたマシンを作ろうと考えています。それから、またダウンフォースを戻して、トラフィックを走るっていう進め方になって行くと思います。いずれにしても、来週、コンディションが良ければ、真ん中ぐらいにはミチェルとランデブーで走りたいと思ってるし、他のチームの誰かと一緒に走ってもいいし、必ずトラフィックはやります。
「木曜日までにしっかりしたセッティングを作ることになります」
――今年のユニークなルールで、予選前の金曜日から予選の2日間、合計3日間だけはブースト圧が高くされることになりましたよね? 予選のことは、金曜日1日だけで仕上げないとならないってことなんでしょうか?
佐藤琢磨:そうですね、ブースト上がるとコーナーへの進入スピードが偉く変わって来ちゃうので、そこまでにシッカリした足回り、セッティングを見つけておいて、トリミングとダウンフォースのバランスを取る、そのやり方はチームによって変わって来ると思いますよ。かなりエキサイティングな予選になりそうです。
――逆に、木曜まではレース用セッティングしかみんなできないってところもありますか?
佐藤琢磨:まぁ、そうですね。僕らは慎重にやって行きたいと考えてます。
――予選と決勝、どちらにどれだけの時間を費やすのか、そのバランス採りは相変わらず難しいのですね?
佐藤琢磨:はい。いずれにしても、基本のセットアップが決まらないとトリミングはあんまりできないので……。そうは言っても、今日の僕は結構もう(トリミングを)やっちゃったんだけど。ここまでは順調。2日目にしては、良い進化を遂げることができています。
――明日は何をしますか?
佐藤琢磨:明日はエンジニアリングのメンバーがフルに揃いますからね。ミチェルはミチェルで自分のピットスタンドも持つし、フルプログラムに移ると思います。
インディアナ州インディアナポリス
インディアナポリス・モーター・スピードウェイ
1周2.5マイル(=約4.023㎞)×200周
5月13日 Day2
プラクティス2 13位 218.016mph(=約350.788㎞/h) 56周走行
Day2のプラクティスで56周を走行した琢磨。この日、57周を走ったクロウソンに 次いで、2番目となる周回数だ。ここまで2日間、順調にプログラムをこなしている。 Photo:Masahiko Amano\Amano e Associati |
「今日はすごく良いデータが取れました」
Jack Amano(以下――):今日は暑さの中での走行でしたね?
佐藤琢磨:そうですね。昨日までの天気予報はあんまり良くなかった。だから、今日のプログラムはそんなにフルプログラムにはしない予定になってたんですけど、朝から天気が良くて、雨も南の方を抜けてっちゃったみたいだったので、フルドライのプログラムに変えました。
――今日は風が多少出てました。気温も昨日より高くなっていた。そうした条件下でのマシンはどうでしたか?
佐藤琢磨:昨日走った時とは風向きが180度変わってましたし、気温も路面のコンディションも全然違う中でのスタートだったので、すごく良いデータが採れたと思います。今日、多分最も多くの周回をした者の一人になってたと思いますが、すごく良いデータが採れましたね。
――今日のベストラップは、誰かのトウ(ドラフティング)があったんでしょうか?
佐藤琢磨:いや、トウはしてなかったと思います。でも、色々試す中で僕らはもうかなりトリミングも始めてる。
――上位陣を見ても、単独走行で218マイル出ていたら、結構良いレベルって感じに見えてましたが、どうですか?
佐藤琢磨:そうですね。そんなところですね。
――それが、トウで221マイルまで跳ね上がっちゃうんですね。
佐藤琢磨:そうですね、うん。
――琢磨選手としては、まだ積極的にトラフィックで……ということにはなっていないんですね?
佐藤琢磨:まったくトラフィックはやってないです。今はベースのセットアップのデータを集めて、勉強してる最中なので。今の状態をベースにレースセットアップをしっかりと煮詰めてって、そこからトリミングアウトして、予選に向けたマシンを作ろうと考えています。それから、またダウンフォースを戻して、トラフィックを走るっていう進め方になって行くと思います。いずれにしても、来週、コンディションが良ければ、真ん中ぐらいにはミチェルとランデブーで走りたいと思ってるし、他のチームの誰かと一緒に走ってもいいし、必ずトラフィックはやります。
「木曜日までにしっかりしたセッティングを作ることになります」
チームクルーはまだ西海岸でのALMSシリーズ参加のため フルメンバーではないが、ジョルダインとの連携も上々だ。 Photo:Masahiko Amano\Amano e Associati |
――今年のユニークなルールで、予選前の金曜日から予選の2日間、合計3日間だけはブースト圧が高くされることになりましたよね? 予選のことは、金曜日1日だけで仕上げないとならないってことなんでしょうか?
佐藤琢磨:そうですね、ブースト上がるとコーナーへの進入スピードが偉く変わって来ちゃうので、そこまでにシッカリした足回り、セッティングを見つけておいて、トリミングとダウンフォースのバランスを取る、そのやり方はチームによって変わって来ると思いますよ。かなりエキサイティングな予選になりそうです。
――逆に、木曜まではレース用セッティングしかみんなできないってところもありますか?
佐藤琢磨:まぁ、そうですね。僕らは慎重にやって行きたいと考えてます。
――予選と決勝、どちらにどれだけの時間を費やすのか、そのバランス採りは相変わらず難しいのですね?
佐藤琢磨:はい。いずれにしても、基本のセットアップが決まらないとトリミングはあんまりできないので……。そうは言っても、今日の僕は結構もう(トリミングを)やっちゃったんだけど。ここまでは順調。2日目にしては、良い進化を遂げることができています。
――明日は何をしますか?
佐藤琢磨:明日はエンジニアリングのメンバーがフルに揃いますからね。ミチェルはミチェルで自分のピットスタンドも持つし、フルプログラムに移ると思います。
2012年5月14日月曜日
2012 INDYCAR インサイド情報&ニュース:5月13日 ドラゴンの行く末、いまだ見えず……。オーナーのジェイ・ペンスキーはシボレーと依然交渉中
スピードウェイにジェイ・ペンスキーの姿なし
プラクティス2日目になっても、ドラゴン・レーシングにはシボレーからの「エンジン供給オーケー」という報は届いていないようだ。昨日のオープニングデイを前にクルーがピットワゴンをピットレーンへと運び込んだ時には、交渉成立で走行が始められるのかと思われたが、実際には、今の時点でできる準備を進めていただけだった。チーム・オーナーのジェイ・ペンスキーはスピードウェイには来ていないという。
プラクティス2日目になっても、ドラゴン・レーシングにはシボレーからの「エンジン供給オーケー」という報は届いていないようだ。昨日のオープニングデイを前にクルーがピットワゴンをピットレーンへと運び込んだ時には、交渉成立で走行が始められるのかと思われたが、実際には、今の時点でできる準備を進めていただけだった。チーム・オーナーのジェイ・ペンスキーはスピードウェイには来ていないという。
2012 INDYCAR レポート:第96回インディアナポリス500 フォトアラカルト Day2 その2 インディのお客さんは観戦巧者
2012 INDYCAR レポート:第96回インディアナポリス500 フォトアラカルト Day2 その1 走行2日目、プラクティスの間じゅう、マシンがひっきりなしにピットとガソリンアレイを行き来するその訳は?
2012 IZOD INDYCAR レポート:5月13日 インディアナポリス500 Day2 プラクティス2 その3 走行2日目、佐藤琢磨は積極的に56周の走り込み。レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングも新シャシーでのインディー500にはベース・セッティング徹底重視でアプローチ
ピットからガレージへと歩いて戻る間もレース・エンジニアのジェリー・ヒューズに マシンのフィーリングを伝える琢磨。 Photo:Masahiko Amano\Amano e Associati |
佐藤琢磨とレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングは、チーム・ペンスキー、チップ・ガナッシ・レーシングと同じフィロソフィーで今年のインディー500に臨んでいる。プラクティス2日目、彼らもまた単独走行に拘ったプログラムを進めていた。
昨日はチームメイトのミチェル・ジョルダインが先に走ったが、今日は琢磨が先だった。そして、琢磨は今日走った32人の中で3番目に多い56周を走行し、その54周目に218.016mph(=約350.788㎞/h)のベストを記録した。
琢磨は納得の行く形でマシンをガレージへと戻し、夕方にはジョルダインの走行をピットで見守っていた。今日はジョルダインが走行時間終了間際に13周しかできなかったが、昨日の琢磨と同じように、チェッカーフラッグを受けたラップに自己ベストをマークしていた。それは214.117mph(=約344.514㎞/h)というスピードで、33台中の30番手でしかなかったが、ジョルダインは96年以来のインディーなので、スピードアップも1日ずつ着々と進めて行く計画なのだ。
久々のインディ500を順調に進めているジョルダイン。琢磨との 協力関係もとてもうまくいっているようだ。 Photo:INDYCAR\LAT USA |
アレジはいまだフェーズ3突破できず。ドラゴンは本日も走行できず
ウェイド・カニンガム(AJ・フォイト・エンタープライゼス)はルーキー・オリエンテーション・プログラムの最終段階=フェーズ3を今日終了した。しかし、ジャン・アレジ(ファン・フォース・ユナイテッド)はもう走行4日目だった今日、32周を走りながらベストが205.265mph(=約330.271㎞/h)と昨日より4mphも遅く、フェーズ3通過は未だできていない。
ドラゴン・レーシングは、今日も走行できなかった。彼らのシボレーエンジン獲得は本当になされるのだろうか。この問題は、今年のインディー500の予選でバンプアウト合戦が見られるか否か、さらには、フルグリッドの33台にエントリーが届かない可能性までを心配させるものとなっている。ギリギリ最後の瞬間に何らかのミラクルが起こる……インディー500の秘めるパワーに期待したい。
2012 IZOD INDYCAR レポート:5月13日 インディアナポリス500 Day2 プラクティス2 その2 ガナッシとペンスキーはスロー・スタート
マシンのファインチューニングを突き詰める方針の2強勢
今日はスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が夕方の走行で初めて220mph(=約354km/h)台に到達したが、ダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)はまだベストが217.993mph(=約350.751km/h)にしか届いていない。
今日はプライマリー・カーで走ったターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング。 スコット・ディクソンが夕方に220.829mphをマーク。 Photo:Masahiko Amano\Amano e Associati |
フランキッティの今日のプログラムは、プライマリーカーのシェイクダウンにあった。まだ彼らがセットアップを積極的にトライする段階に達していないのは、17周と少ない周回数で走行を終えているところにも明らかだった。2日連続の天候の良さが、彼らのペースをゆっくりとさせているようだ。
ペンスキーは3人ともがプライマリーカーでの走行2日目だったが、まだ全員が単独走行に拘っている様子だった。
ガナッシのディクソンは夕方に少しの間トラフィックを走り、そこで自己ベストを記録したが、それは結果的に……であって、速いスピードを出すべき走っていたというよりも多くのマシンが走っているタイミングでコース上にいてしまったという風に映っていた。ディクソンはそこで今日のプログラムを終了させた。
オープニングデイでパワー、カストロネベス、ブリスコーが 3台並んでプラクティス走行を開始。 Photo:INDYCAR/LAT USA |
予選ではブーストが高められ、より大きなパワーが与えられる。その高いブーストで走れるのは金曜からに限定されている。そこで、彼らは木曜日まではセットアップの根幹的な部分を的な高いレベルに持って行くことにフォーカスして行くプランなのだと考えられる。
(その3に続く)
2012 IZOD INDYCAR シリーズレポート:5月13日 インディー500 Day2 プラクティス2回目 その1 2日目の最速はスポット参戦のセバスチャン・サーベドラ。サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシングが好調を維持
5月13日 Day2 プラクティス2
天候:快晴
気温:24~26℃
アンドレッティ・オートスポーツは5台体制を生かし調整も順調 雨雲はインディアナポリスの遥か南をオハイオ州へ向けて通り抜け、インディー500のプラクティスは2日目も快晴に恵まれ、またしても完全ドライコンディションでの1日となった。
日中の気温と路面温度は昨日以上、湿度は高め、風はやや強めというコンディション下で多くのチームが暑さの中での走行を敢えて行い、レースに備えるためのセットアップ調整を繰り返していた。
今日の最速ラップは、アンドレッティ・オートスポートからスポット参戦するコロンビア人ドライバー、セバスチャン・サーベドラの記録した221.526mph(=約358.044㎞/h)だった。昨日のベストを破っての今月最速スピードだ。
2番手はルーキーのブライアン・クロウソンの221.173mph(=約355.867km/h)。そして、3番手はジョセフ・ニューガーデンの221.158mph(=約355.843km/h)。どちらもサラ・フィッシャー・ハートマン・レーシングのドライバーたちだ。今日はトップ3が221mph以上をマークした。
サーベドラはチームメイト2人、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)、ジェイムス・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)と一緒に周回を重ねる中でベスト・ラップをマークした。ハンター-レイとヒンチクリフは今日が初走行だったが、早くもトラフィックでのマシン調整に入っている。彼らはそこまで自分たちのセットアップの仕上がりに自信があるということだ。
「ライアン・ハンター-レイとジェイムス・ヒンチクリフが僕の前を走っていた。彼らを今晩は御馳走しないと」と最速ランナーとなって5,000ドルの賞金を受け取ったサーベドラは笑った。インディーでの過去2年は結構苦労をしたので、このようなスタートを切れてとても満足している。5台体制のアンドレッティ・オートスポートは、特別なプログラムを組んでいて、毎日各自がそれぞれに与えられたプロジェクトをこなすようになっている。とてもプロフェッショナルな戦い方だ」とも彼は語った。
若手アメリカンドライバー、この日も奮闘
サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシングは、2日続けて2人のヤング・アメリカンをトップ3入りさせる奮闘ぶりを見せている。どちらもルーキーだが、どちらもインディーライツ経験者で、クロウソンはUSACのスプリント・カー&ミジェット・カーの世界から挑戦して来ている生粋のオーバル・ドライバーだ。この2日間でニューガーデンは95周、クロウソンは97周と、非常に多くの周回をこなしている。今日から彼らは積極的にトラフィックに参加して走っており、ベストはドラフティング利用でのものだった。
「2日続けて素晴らしいものになった。サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシングのマシンは強力だ。こんなに良い体制で走れることを楽しんでいるし、自分はやるべき仕事をやれているとも感じている。出足は快調。しかし、まだまだ先は長い。日々のスピードチャートは、小さな嘘を含んでいる場合もあるけれど、僕らのマシンは間違いなく速い。今日はロングランもトライできた。そこで感じられたバランスは良かった」とクロウソンは話した。
(その2に続く)
天候:快晴
気温:24~26℃
トップタイムをマークしたサーベドラ。昨年のインディ500ではDNQ。 一昨年は決勝クラッシュと散々だったが今年は好スタートをみせる。 Photo:INDYCAR\LAT USA |
日中の気温と路面温度は昨日以上、湿度は高め、風はやや強めというコンディション下で多くのチームが暑さの中での走行を敢えて行い、レースに備えるためのセットアップ調整を繰り返していた。
今日の最速ラップは、アンドレッティ・オートスポートからスポット参戦するコロンビア人ドライバー、セバスチャン・サーベドラの記録した221.526mph(=約358.044㎞/h)だった。昨日のベストを破っての今月最速スピードだ。
2番手はルーキーのブライアン・クロウソンの221.173mph(=約355.867km/h)。そして、3番手はジョセフ・ニューガーデンの221.158mph(=約355.843km/h)。どちらもサラ・フィッシャー・ハートマン・レーシングのドライバーたちだ。今日はトップ3が221mph以上をマークした。
サーベドラはチームメイト2人、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)、ジェイムス・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)と一緒に周回を重ねる中でベスト・ラップをマークした。ハンター-レイとヒンチクリフは今日が初走行だったが、早くもトラフィックでのマシン調整に入っている。彼らはそこまで自分たちのセットアップの仕上がりに自信があるということだ。
「ライアン・ハンター-レイとジェイムス・ヒンチクリフが僕の前を走っていた。彼らを今晩は御馳走しないと」と最速ランナーとなって5,000ドルの賞金を受け取ったサーベドラは笑った。インディーでの過去2年は結構苦労をしたので、このようなスタートを切れてとても満足している。5台体制のアンドレッティ・オートスポートは、特別なプログラムを組んでいて、毎日各自がそれぞれに与えられたプロジェクトをこなすようになっている。とてもプロフェッショナルな戦い方だ」とも彼は語った。
若手アメリカンドライバー、この日も奮闘
クロウソンも初のインディー500を快調にスタート。 Photo:INDYCAR/LAT USA |
「2日続けて素晴らしいものになった。サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシングのマシンは強力だ。こんなに良い体制で走れることを楽しんでいるし、自分はやるべき仕事をやれているとも感じている。出足は快調。しかし、まだまだ先は長い。日々のスピードチャートは、小さな嘘を含んでいる場合もあるけれど、僕らのマシンは間違いなく速い。今日はロングランもトライできた。そこで感じられたバランスは良かった」とクロウソンは話した。
(その2に続く)
2012 INDYCAR インサイド情報&ニュース:ジンクスを信じるならば避けたい……Indy500コースイン一番乗り
今年のインディー500オープニングデイに最初にコースインをしたのは、カーナンバー2、IZODがメインスポンサーのチーム・ペンスキーのマシンだった。ドライバーはライアン・ブリスコーだ。
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ピット出口に最も近い1番ピットは、敬意とともに昨年度優勝チームのブライアン・ハータ・オートスポートに与えられている。チーム・ペンスキーはその後ろの2、3、4番グリッドを今年のプラクティス用に選んだ。インディーでの彼らは、強力なライバル関係にあるチームとは離れたピットを望む。
3台体制のペンスキーは、ブリスコーに先頭の2番ピットに配し、次にウィル・パワー、さらにはエリオ・カストロネベスという順番で並べている。そして、正午にコースオープンが告げられるや、ペンスキー・トリオはそのピットの並び順通りにコースへと飛び出して行った。
コースインしてすぐ、3台のマシンはメインストレートを真横に一直線に並んで走り、ピットへと戻った。まるで、一つのセレモニーのように映った。インディー500の幕開けを祝うパレードラップのようだった。
インディー500では、「誰が一番にコースインしたか」を記録して来ている。84年からと、100年の歴史に対して短い期間に渡るものだが、ブリスコーにはあまり知らせたくないデータとなっている。「コース一番乗りで勝ったドライバーはいない」、「コース一番乗りしてポールポジションを獲得した例は、わずかに1回しかない」という事実だ。
インディー500での勝利、あるいはポールポジションのいずれもまだ達成していないブリスコーは今年、このデータにチャレンジする立場となった。
2012年5月13日日曜日
2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント19:第96回インディアナポリス500 5月12日 オープニングデイ 「今日はチームの人手が足らないこともあって、少ししか走れませんでしたが、周回数が少ないながらも、きっちり走って良いキックオフとすることができました。ミチェルとの2台体制の強みですね」
第96回インディアナポリス500
インディアナ州インディアナポリス
インディアナポリス・モーター・スピードウェイ
1周2.5マイル(=約4.023㎞)×200周
5月12日 オープニングデイ
プラクティス1 12位 217.180mph(=約349.443㎞/h) 2周走行
「走り出してすぐから、クルマはカンフォタブルなレベルでした」
今日はもう、佐藤琢磨は走らないのかと思った。走行開始直後に、「3時過ぎから走ります」と本人から聞いていたのだが、チームメイトのミチェル・ジョルダインのマシンがガレージに帰った後、いつまで経っても琢磨の15号車がピットに運び込まれて来なかったのだ。ガレージに様子を見に行くと、マシンがちょうど引っ張り出されるところだった。もう夕方の5時半を回っている。残り時間は30分を切っていた。
Jack Amano(以下――):ギリギリで何とか走ることはできましたね?
佐藤琢磨:そうですね、ほんとにギリギリでした。でも、走れて良かった。
――すぐにポンポンッとタイムが出ましたね。計測1周目で216マイル台、2周目で217マイル台ですから。4月のテストが大きくプラスに作用しているというところでしょうか?
佐藤琢磨:それもありますけど、今日、ミチェルが走ってくれたのが大きかったですね。あと、今日はもう500周以上が多くのマシンによって行われた後での走行でしたから、タイヤラバーもキチッと乗ってました。気温も夕方になって低くなって来てるところでしたから、コンディションが速いですよね? しかもニュータイヤだったから、速くって当たり前。でも、今日の目的としては、クルマのシェイク・ダウンと、前回のテストのセットアップをこのクルマに施して、同じようなバランスが出るか……というあたりを見るというのがありました。その結果、走り出してすぐからカンファタブルなレベルになっていまいた。安定感があったから、問題なくスピードを出せました。
――去年まででインディー500はもう2回経験していますが、今年は新型マシンになりました。フィーリングはかなり違うものですか?
佐藤琢磨:4月に走った時にはそう感じました。ものすごくクルマの特性として、「ポインティ」って表現をするんですけど、ターンイン、つまりクルマがコーナーに入った瞬間、ハンドルを切った瞬間に大きくマシンのフロントが反応して入ってっちゃうんですけれども、その後にアンダーステアが出る。そのアンダーステアの出方も、舵角を切って行ってるんだけれども、リヤが落ち着かずに、細かく揺れるんですよね。そういう点で、ちょっと不安要素が大きかったんです。それが、今日走ったらそれがまったく感じられなかったですね。4月に比べてセットアップが進んでいるということと、さっきも言ったとおり、500周もみんなが走った後でラバーが乗っていたこととかがあったんだと思います。
――今年からの小排気量ターボエンジンのフィーリングは、去年までと比べてどうですか?
佐藤琢磨:うーん……それはほとんど感じないですね。というのも、このスピード域で、加減速がないので、ちゃんとブーストがかかってる状態ではターボエンジンであることを感じないので。ストリートやロードみたくブーストがコーナーで下がってしまうという時にはターボエンジンだと感ずるけれど。インディーでだと、ピットの出口では急激にトルクが立ち上がって行くけれども、スピードが上がってのラップに入ってからは全く影響ないですね。
「周回数は少なかったけれどもその中できっちりプログラムをこなせました」
――タイヤのセット数にも限りがあり、それらもよく検討して走行プログラムを立てなければならないのがインディー500だと思います。3年目の今年は、例えば今日のようにほとんど走れなかったことも大きく気にはならないですか?
佐藤琢磨:別に、焦りとかはないですね。確かに今日の場合、まさか最後の最後にあれだけしか走れなくなるなんて考えもしなかったけど、その中でキッチリと僕らなりのプログラムをこなせた。セットアップを僕がやれたわけではないけれどミチェルが走ってくれたから。やっぱりそこが2台体制の強みですよね。今日、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングは西海岸でアメリカン・ル・マン・シリーズのレースに出場しているので、1台体制のクルーで2台を走らせているに近い状態でした。自分たちとしては、今日はマシンのシェイクダウンが目的。明日は天気が悪いみたいだし、今日キッチリ走れたことが月曜からの走行で活きて来るはずなので、いいキックオフにできたと思います。
――明日は雨でもいいぐらいですね?
佐藤琢磨:そうですね。無理に2台を一緒に走らせても、データのクォリティが落ちたのでは意味がないですから。クルーが少ないのでは効率も落ちます。
――明日、もし天気が持って走れることになった場合、目標、テーマは何になりますか?
佐藤琢磨:今日の延長で、僕は僕の、ミチェルはミチェルのプログラムをこなして行きます。今日、2人それぞれが終わったところからのスタートって感じですね。2人で3時間ずつの走行っていう風に分けると思います。でも、僕としてはまったく焦ってない。月曜以降の天気はかなり安定するという予報が出ているし、もともとタイヤのセット数には限りがあるので。今日、ほとんど走れなかったことは、逆に良かったぐらいです。
インディアナ州インディアナポリス
インディアナポリス・モーター・スピードウェイ
1周2.5マイル(=約4.023㎞)×200周
5月12日 オープニングデイ
プラクティス1 12位 217.180mph(=約349.443㎞/h) 2周走行
プラクティスの残り時間30分を切ってから琢磨のマシンはピットに姿を見せた。 Photo:Masahiko Amano\Amano e Associati |
今日はもう、佐藤琢磨は走らないのかと思った。走行開始直後に、「3時過ぎから走ります」と本人から聞いていたのだが、チームメイトのミチェル・ジョルダインのマシンがガレージに帰った後、いつまで経っても琢磨の15号車がピットに運び込まれて来なかったのだ。ガレージに様子を見に行くと、マシンがちょうど引っ張り出されるところだった。もう夕方の5時半を回っている。残り時間は30分を切っていた。
Jack Amano(以下――):ギリギリで何とか走ることはできましたね?
佐藤琢磨:そうですね、ほんとにギリギリでした。でも、走れて良かった。
ミチェル・ジョルダインJr.とピットで情報交換する琢磨。すでに2台体制の 強みをインディー500初日から実感することに。 Photo:Masahiko Amano\Amano e Associati |
佐藤琢磨:それもありますけど、今日、ミチェルが走ってくれたのが大きかったですね。あと、今日はもう500周以上が多くのマシンによって行われた後での走行でしたから、タイヤラバーもキチッと乗ってました。気温も夕方になって低くなって来てるところでしたから、コンディションが速いですよね? しかもニュータイヤだったから、速くって当たり前。でも、今日の目的としては、クルマのシェイク・ダウンと、前回のテストのセットアップをこのクルマに施して、同じようなバランスが出るか……というあたりを見るというのがありました。その結果、走り出してすぐからカンファタブルなレベルになっていまいた。安定感があったから、問題なくスピードを出せました。
――去年まででインディー500はもう2回経験していますが、今年は新型マシンになりました。フィーリングはかなり違うものですか?
佐藤琢磨:4月に走った時にはそう感じました。ものすごくクルマの特性として、「ポインティ」って表現をするんですけど、ターンイン、つまりクルマがコーナーに入った瞬間、ハンドルを切った瞬間に大きくマシンのフロントが反応して入ってっちゃうんですけれども、その後にアンダーステアが出る。そのアンダーステアの出方も、舵角を切って行ってるんだけれども、リヤが落ち着かずに、細かく揺れるんですよね。そういう点で、ちょっと不安要素が大きかったんです。それが、今日走ったらそれがまったく感じられなかったですね。4月に比べてセットアップが進んでいるということと、さっきも言ったとおり、500周もみんなが走った後でラバーが乗っていたこととかがあったんだと思います。
――今年からの小排気量ターボエンジンのフィーリングは、去年までと比べてどうですか?
佐藤琢磨:うーん……それはほとんど感じないですね。というのも、このスピード域で、加減速がないので、ちゃんとブーストがかかってる状態ではターボエンジンであることを感じないので。ストリートやロードみたくブーストがコーナーで下がってしまうという時にはターボエンジンだと感ずるけれど。インディーでだと、ピットの出口では急激にトルクが立ち上がって行くけれども、スピードが上がってのラップに入ってからは全く影響ないですね。
「周回数は少なかったけれどもその中できっちりプログラムをこなせました」
――タイヤのセット数にも限りがあり、それらもよく検討して走行プログラムを立てなければならないのがインディー500だと思います。3年目の今年は、例えば今日のようにほとんど走れなかったことも大きく気にはならないですか?
佐藤琢磨:別に、焦りとかはないですね。確かに今日の場合、まさか最後の最後にあれだけしか走れなくなるなんて考えもしなかったけど、その中でキッチリと僕らなりのプログラムをこなせた。セットアップを僕がやれたわけではないけれどミチェルが走ってくれたから。やっぱりそこが2台体制の強みですよね。今日、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングは西海岸でアメリカン・ル・マン・シリーズのレースに出場しているので、1台体制のクルーで2台を走らせているに近い状態でした。自分たちとしては、今日はマシンのシェイクダウンが目的。明日は天気が悪いみたいだし、今日キッチリ走れたことが月曜からの走行で活きて来るはずなので、いいキックオフにできたと思います。
Photo:Masahiko Amano\Amano e Assiciati |
佐藤琢磨:そうですね。無理に2台を一緒に走らせても、データのクォリティが落ちたのでは意味がないですから。クルーが少ないのでは効率も落ちます。
――明日、もし天気が持って走れることになった場合、目標、テーマは何になりますか?
佐藤琢磨:今日の延長で、僕は僕の、ミチェルはミチェルのプログラムをこなして行きます。今日、2人それぞれが終わったところからのスタートって感じですね。2人で3時間ずつの走行っていう風に分けると思います。でも、僕としてはまったく焦ってない。月曜以降の天気はかなり安定するという予報が出ているし、もともとタイヤのセット数には限りがあるので。今日、ほとんど走れなかったことは、逆に良かったぐらいです。
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