2012年9月15日土曜日

2012 INDYCAR インサイド情報ニュース:R15 MAV TV フォンタナ 水曜日の合同テストに22台参加。ディクソンがトップタイムをマーク

水曜日、22台が合同テストに参加
 

 最終戦の週末を目前に控えた水曜日、カリフォルニア州フォンタナのオートクラブ・スピードウェイで合同テストが行われた。レースが土曜日の夜のため、このテストも正午から夜の8時まで開催され、22台がエントリーした。
 走行時間終了が近づくとコース上ではマシン同士が接近した状態で走るようになり、上位17台は0.4043秒という僅差内に収まった。フォンタナでの最終戦も凄まじい接戦になるということだ。
 最終的にトップタイムを出したのはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)だった。平均スピード215.861mph(=約347.320km/h)のラップだった。しかも、彼は誰のトウも受けずにこのスピードをマーク。フォンタナにコース全長が近いインディアナポリス・モーター・スピードウェイで行なわれたインディー500、今年の優勝はダリオ・フランキッティでディクソンは2位だった。彼らのマシンの仕上がり具合が現状ではベストで、ライバル勢をやや突き放しているようだ。
 実はディクソン、この水曜日のテスト序盤にエンジントラブルが発生。フレッシュエンジンに載せ換えて夕方に走行再開となっていた。エンジンを換装したらグリッド降格のペナルティを受けねばならなくなるが、フォンタナはオーバーテイクが可能なオーバル・レースである上、500マイルの長距離での戦いでもあり、決定的な不利とはならないだろう。スタート直後に多重アクシデントでも発生すれば話は別だが……。
 ディクソンのフォンタナでの目標は、優勝(シーズン3勝目)か上位フィニッシュを果たし、年間ランキングを4位からひとつ上の3位に上げることに置かれている。3位につけているのはエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)。二人の間にある差はたった1点なので、上位でフィニッシュした方がランキング3位となれる。
  対するカストロネベスは、自らのランキング3位も大事だし、オーバルチャンピオンシップ=AJ・フォイト・トロフィー獲得のチャンスも十分にある(トップと23点差)。しかし、それらよりもチームメイトのタイトル獲得に少しでも寄与することが優先される。ポイント2位のライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)より上位でフィニッシュすることが彼のフォンタナでの使命となる。上位フィニッシュならオーバルチャンピオンシップもランキング3位も実現できる可能性がある。

ハンター-レイは走行開始から2時間余りでクラッシュ!


 オーバルポイントはトップがハンター-レイ=136点。勝利ゼロながら同点のトニー・カナーン(KVレーシング・テクノロジー)が2位。3位がジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)=121点。カストロネベスは113点で4位。5位のジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・レーシング)=112点までに現実的なチャンスがある。
 シリーズチャンピオンとオーバルチャンピオン、両方を獲得できる可能性があるハンター-レイだが、彼はこのテストでクラッシュしてしまった。走行開始から僅かに2時間しか経過していないタイミングで、ターン2の壁にぶつかった。貴重なテスト時間を5時間ほども失ったのは大きな痛手。また、このアクシデントでエンジンにもダメージは及び、新エンジンに換装された。彼もまた10グリッドの降格となる。
 「マシンのダメージはそんなに酷くはない。2人のチームメイトがガンガン走ってくれているから、データやセッティングに関しても心配はない」とハンター-レイは強がっていたが、自ら走行データを得られなかったのは明らかに大きなマイナスだ。
 「チャレンジャーである自分たちの方が有利。シーズン中の大半で僕は追いかける立場だったし」とも彼はコメントした。
 彼とポイントトップのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)、どちらが精神的優位に立ってレースを迎え、戦うこととなるかは、とても興味深いところだ。二人とも初めてのインディーカー・タイトル獲得を目指しているが、パワーが10、11年と2年続けて最終戦までタイトルを争った経験を持っているのに対し、ハンター-レイは初めてのチャンス。この差がどう出るか。2回逃しているパワーの方がプレッシャーが大きいという考え方もできないことはない。
 ハンター-レイの最終戦直前のアクシデントが、彼にとってプラスに作用する可能性もある。ポイント2位で追う立場の彼とすれば、この後退を機に完全に開き直り、思う存分戦えるようになるかもしれないからだ。レースウィークエンド前のミスにより、レース本番での集中力を高めることになる可能性もある。
 1日のテストでEJ・ビソ(KVレーシング・テクノロジー)とブリスコーもアクシデントを起こした。ブリスコーのものは走行時間がちょうど終了したタイミングでのものだったが、ビソのアクシデントは40周しか走ってない時に起きた。
 テストの2番時計はマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)だった。平均時速215.779mph(=約347.188km/h)を日中にマークしたところがポイント。ハンター-レイにとってはありがたいパフォーマンスだ。フォンタナにはセバスチャン・サーヴェドラもスポット参戦するため、ジェイムズ・ヒンチクリフフもいるハンター-レイは、パワーよりひとり多い3人のチームメイトとデータ共有ができる。
 前の週にもフォンタナでのテストを行っているパワーは、215.761mph(=約347.159km/h)ラップで3番手につけた。チームメイトのブリスコーが215.133mph(=約346.149km/h)で4番手。ペンスキー勢もマシンセッティングの進み具合はまずまずということだ。
 「いいスタートが切れたと思う。マシンはテストデイが進む中で着々と良くなって行った。予選に向けての仕上がりも良いと思う。あとはやるべきことをやるだけだ」とパワーは語った。いったい彼はどんな気持ちで、どれだけの余裕を持って、あるいは持たずに週末を迎えるのだろうか。

マイク・コンウェイに代わってウェイド・カニンガムが参戦


 テストが終わった翌日、衝撃的な発表が行われた。マイク・コンウェイ(AJ・フォイト・エンタープライゼス)が最終戦に出場しないことを決意したというのだ。テストを走っていたコンウェイだったが、フォイトのチームはインディー500で2台目に乗せたウェイド・カニンガムに急遽登場願うこととなった。
 コンウェイは、「僕のレースキャリアの中で最も難しい決断だった。僕はまだオーバルをストレスなく走ることができていない。今後もオーバルでのレースは走りたくない」というコメントを発表している。「レースをやめたいワケではないし、AJ・フォイト・レーシングとの活動も続けて行きたいが、この問題は近い将来にチームと話し合わなければならない」とコンウェイは語った。
 2年前のインディー500でのアクシデントが彼の頭から離れないのだろう。ゴール目前、ターン3で他車と接触、宙に浮き上がったコンウェイはフェンスに激突した。恐ろしいアクシデントだった。彼は負傷し、そのシーズンをほぼ棒に振った。今年のインディー500には出場したコンウェイだったが、フォンタナでは何かがシックリ来なかったようだ。
 オーバルのパーセンテージが減っているインディーカー・シリーズではあるが、「オーバルレースには出場しない」という参戦形態は交渉によって可能となるんだろうか? もしAJ・フォイト・エンタープライゼスがそうすることを決断する場合、オーバル要員には誰を起用するだろう?
 最後にチャンピオン争いの行方だが、果たしてどうなるのだろう?

チャンピオン確定のシチュエーションは?

 候補は二人。彼らの間にあるポイント差は17点と少ないが、やっぱりポイントをリードしてる方がチャンピオン争いでは有利だ。当たり前のことだけが……。
 ポイントトップのパワーの場合、ポイント2位のハンター-レイより上の順位でフィニッシュすれば念願のチャンピオンとなれる。ポイント2位のハンター-レイがポールポジションと最多リードラップのボーナス合計3点を全部獲得して優勝した場合(=最多の53点をゲット)でも、パワーは2位フィニッシュすればチャンピオンになれるのだ。
ハンター-レイが、ポールは獲れなかったが優勝し、2点のボーナスを獲得(最多リードラップ記録)した場合、パワーがポールポジションを獲得できていたら3位フィニッシュでチャンピオン。ポールが獲れていなかった場合は2位フィニッシュでチャンピオンだ。
 ハンター-レイがポールポジションを獲得し、レースで優勝。しかし、最多リードラップは記録できなかったとすると、パワーは3位以上でゴールすればチャンピオンだ。
 逆に、パワーがレースに出走したものの25位か26位という下位でのゴールとなった場合、ハンター-レイは6位以上でフィニッシュすればタイトルを獲れる。パワーが決勝レースをスタートし、18~24位でフィニッシュの場合だと、ハンター-レイはボーナスポイントの有無に関係なく、5位以上でフィニッシュすればタイトルに輝く。ハンター-レイがボーナスポイントなしで優勝した場合、パワーは最多リードラップを記録して4位フィニッシュすればチャンピオン。ボーナスなしなら3位フィニッシュでタイトルを手にできる。なお、両者が同ポイントとなった場合は、4勝のハンター-レイが3勝のパワーを抑えてチャンピオンとなる。

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