今季4勝目を挙げたハンター‐レイ Photo:INDYCAR LAT USA |
グリッド10番手から挽回を期する
ミド‐オハイオではシボレー・エンジンが壊れ、ソノマでは3位を走っていたレース終盤大詰めで後続にヒットされて18位フィニッシュ。ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)も運のないドライバーだが、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)も不運さでは負けていない。
ボルティモアではパワーがポールポジションを獲得。対するポイント2位のハンター-レイは、予選第1セグメントでアタックを行う前に赤旗が出され、そのまま走行タイム終了。不運は続いているようだった。
しかし、ハンター-レイは自分自身に言い聞かせるように、「まだチャンスはある。この状況は覆せる」と繰り返しコメントしていた。グリッドは10番手と、絶望的に後方ではない位置に決まった。
雨の中、マイケル・アンドレッティから
スリックでステイアウトする指示が
レース序盤の雨は、ハンター-レイに大きく味方した。路面が濡れて行く中、スリックのままステイアウトする作戦を決断したのはチーム・オーナーのマイケル・アンドレッティだったという。「タイトルを獲る。そのためにはパワーと同じ作戦を選んでいたんじゃダメだ。チャンピオンになるために、ここはスリックで行く」と彼は無線で告げたという。ハンター-レイは多少無謀な作戦の気もしながら、マイケルの考えに賭けることとした。
「あのマイケルの判断が正解だった」とレース後にハンター-レイは振り返った。「雨のレースは好きだけど、それはレインタイヤを履いた場合。今日は濡れてる路面で、それもストリートコースでスリックを使い続けた。マシンをコントロールし続けるのは本当に大変だった」と彼は笑った。
69周目のリスタートで巧みにトップを奪取
小さな接触は幾つもありながら、ハンター-レイはマシンを前へ前へと進め続けた。そして、勝負を決定づけたのが終盤69周目のリスタートだった。トップを走っていたのはライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)だったが、彼が加速を躊躇している間に鋭いダッシュを決めてハンター-レイはトップに立ち、もう一度あったリスタートでもその座を守り、チェッカードフラッグを受けた。
「2列で切るリスタートだというのに、ハンター-レイは僕の真横に並ぶ努力をせず、シケイン脱出後に一気に加速して行った。隊列が整っていなかったのにリスタートが切られたのは、少々アンフェアだったと思う」とブリスコーは優勝ドライバーとオフィシャルの両方に不満を述べた。
今日のレースでは、フラッグタワーのスタート担当オフィシャルが、先頭マシンが加速区間に到達する前にグリーンフラッグを振ることを何度も繰り返していた。その事実を踏まえ、早いタイミングでの加速に対する準備を整えていたのがハンター-レイで、ブリスコーは少々真正直に過ぎた。
これでハンター-レイは今季4勝目だ。パワーと並んでいた勝利数=3から一歩抜け出て最多勝利ドライバーとなった。ポイント争いでは依然としてパワーがトップだが、ハンター-レイとの差は36点から17点にまで縮まった。
「今日のレースで勝てるなんてすごいことだ! 」とハンター-レイは大興奮だった。「チーム全体がタイトル獲得を強く望んでいる。この勢いで最終戦も戦い、チャンピオンシップを手に入れたい。僕らにはプレッシャーなんて一切ない」とハンター-レイはフォンタナへの意気込みを語った。
0 件のコメント:
コメントを投稿