好調のパワー、2位を圧倒するポールタイム
予選はまだ暑くなり切らない午前中に行われた。30℃以下のコンディション、3段階の予選を制してポールポジションを手に入れたのはウィル・パワー(チーム・ペンスキー)だった。「細かい点まで徹底的に調べ上げ、マシンを速くするために全力を注いでいる」と語っていた彼は、ユーズドレッドで1分05秒6474をマーク。2位のダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)にコンマ2.5秒近い差をつけ、堂々たるポール獲得を達成した。
昨日の時点から、パワーは「今週はポールを絶対に獲る!」と話していた。「(2年続けて逃している)チャンピオンシップを掴み取るためにポイントは全て奪い取る」と意気込んでいた。そして、そのことばの通りに予選でトップに君臨してみせた。今シーズン3個目のポールは、キャリア27個目、ミド‐オハイオでの2個目となった。
予選2位となったフランキッティは、「ファイナルステージではタイヤのグリップがもう残されていなかった。セッティング変更でそれを補おうとしたが、フロントタイヤが摩耗し切ってしまった」と話した。彼のチームメイト、昨年度ウィナーのスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)は予選5位だった。「ベストのアタックラップは、3分の2まではポール獲得ペースだった。しかし、最後のセクターでスピードを保てなかった」とディクソン。レッド・タイヤをこちらも消耗し切ってしまったようだ。
予選3位はルーキーのシモン・パジェノー(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)。アキュラで走っていたスポーツカー時代から知っているミド‐オハイオとあって、インディーカーでも速さを発揮した。
予選4位のタグリアーニはエンジン交換で14番手スタートに
4位はアレックス・タグリアーニ(ブライアン・ハータ・オートスポート)。彼もこのコースを得意としている。しかし、残念なことにタグリアーニは予定外のエンジン交換を行っており、ペナルティで10グリッド降格され、14番手からのスタートとなる。
ポイント・リーダーのライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は、今回はファイナルに進めなかった。予選結果は8位。ただし、タグの降格によって7番グリッドからスタートできる。
エドモントンで優勝してポイント2位となっているエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)は、朝のプラクティスでアクシデントに遭い、予選も13位と振るわなかった。しかも、予選後にエンジンを交換する羽目になり、後方23番グリッドからのスタートと厳しい状況に追い込まれた。
こうして見て行くと、ポールからスタートするパワーは、ポイント争いで大きなゲインを今回遂げることができそうだ。ペンスキーのふたりはかなりの苦戦を余儀なくされるケースも考えられる。ポイント4位のディクソンは5番手スタートと上位にいるが‥‥。
予選を終えたパワーの表情は充実感に満ちていた。「今日の予選は、今シーズン最も気合いが入っていた。思い切りプッシュをし続けたよ。自分はそうしなければならない立場に追い込まれているからね。全力を注ぎ込んだアタック・ラップを完成させ、ポールを手に入れた。本当に疲れた。まだ体が震えているぐらいだ。このコースはフィジカル的にキツいからね。嬉しかったのは、我々のマシンがユーズド・タイヤで速いとわかった点。マシン自体がグリップ力を備えている。だから、走っていてとても楽しいんだ」とパワーは語った。「ポール獲得は、シリーズ・ポイント1点を意味する。それを僕らは必要としているんだ。ミド‐オハイオでのレースとは、上位グリッドから思い切りプッシュし続けてゴールを目指さねば、なかなか勝つのは難しい。明日は、チャンピオンシップに繋げるためにも勝たねばならない」。
得意のミド‐オハイオだが佐藤琢磨はまだスピード不足
佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、予選18位だった。前戦エドモントンでは予選4位からキャリアベストの2位フィニッシュ。得意とするミド‐オハイオでは、事前テストも行えたし、上位グリッドを確保することが期待されていた。しかし、マシンセッティングが思うように進められていない。
「予選に向けてマシンは良くなった。そこはプラス要素。でも、まだスピードが足りてない。フィーリングは良くなっているんだけどね。レッドタイヤによるグリップ上昇など、僕らの読みは合っていた。予選はこういう結果になったけれど、この走行でも得られたデータは有用で、プラクティスでのデータも共に分析し、ウォームアップでのマシンを今より更に良いものにしたいですね。決勝を走るマシンは、ウォームアップでのデータまでを総合して、より良いセットアップにしなければ!」と、琢磨は決勝での活躍を誓っていた。
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