ロータスがリクエストしていた改良申請を許可
6月28日、インディーカーから発表があった。このところ連日ホットなニュースが提供されているインディーカーだが、今回の発表は、ロータスのエンジン改良リクエストを認めたことに関してだった。性能面での劣勢が明らかだったロータスは、インディーカーに対し、ルールに則って改良申請を出しており、それが認められた。彼らの2.2リッター・ツインターボV6エンジンの性能を向上させるため、今シーズンに向けてホモロゲーションを獲得していたエンジンパーツの設計を変更するのである。
3メイクスによる三つ巴の戦いは実現するのか?
3エンジン対決が始まった今年、ロータスはシボレーとホンダに対してパワー面での大きな不利にあった上、信頼性も不足。シーズン開始早々にしてユーザーチームがシリーズを戦い続けるための供給体制すら保てなくなってしまった。第3戦終了時点でブライアン・ハータ・オートスポートはロータス陣営から放出され、ドレイヤー&レインボールド・レーシングはその次の第4戦の後にロータス・ユーザーでなくなった。インディーカーの働きかけと、ライバルメーカーの協力的姿勢によって、インディー500からハータはホンダ・エンジンを使えることとなり、DRRはパンサー傘下に入ってシボレー・エンジンの供給を受ける事になった。
この後、ドラゴン・レーシングはロータスを告訴した。彼らはインディー500出場の危機を何とかギリギリで回避し、シボレー・ユーザーとなった。ただし、2カーでのフルシーズン参戦のはずが、彼らはインディー500以降は1台体制での出場に規模縮小を行っている。
かくしてロータス・エンジンを使うのは、インディー500でこそジャン・アレジ&ファン・フォース・ユナイテッドがいたものの、レギュラーシーズンを戦うのはHVMレーシングだけ=1台体制という寂しさになっている。
エンジン性能差を最大2.5%以内にコントロール
IZODインディーカー・シリーズに出場するエンジンマニュファクチャラーは、シーズンの真ん中、そしてシーズンの終了時点にもエンジンパーツの設計変更を認められる。ただし、そこには条件がある。エンジンの性能で2.5パーセント以上ライバルに差をつけられている場合で、インディーカーの許可を得た時にだけホモローゲートされたパーツを改良できる。このルールは、エンジンの性能差を2.5パーセント以内に納めようとの趣旨に基づくもので、新たにサーキットへと運び込まれるエンジンからそれらのパーツの装着は認められる。
出場マニュファクチャラーは、それぞれのケースを証明するためのデータをインディーカーに対して提出する義務を負う。インディーカーのエンジン・サポート・エンジニアたちは、自ら所有するデータと提出されたデータを照合、精査し、許可を出すかどうかを検討する。この場合、マニュファクチャラーはどの部品の仕様変更を行うのかをインディーカーに示し、どれだけの性能向上の達成が想定されるか、そして、どの時期に投入を行えるかも報告しなくてはならないという。
ロータス・エンジンの改良バージョンは7月2日に登場
ロータスの最初の仕様変更は、7月2日のミッド・オハイオ・スポーツ・カー・コースでのテストで初お目見えする予定。搭載マシンはカー・ナンバー78のロータス-HVMレーシングのクルマ、ドライバーはシモーナ・デ・シルベストロ。それに続く仕様変更は、ホンダ・インディー・トロント、グランプリ・オブ・その間、そして、グランプリ・オブ・ボルティモアでも投入される計画だ。
エンジン・パーツのホモロゲーションは、本来であれば2013年までとされている。そして、エンジンに関するルールは、2016年シーズン終了まで変更はされないことになっている。ただし、インディーカーのエンジン・コミッティーのコンサルティングを経て、インディーカーが決断を下した場合に限っては、修正やモディファイは行うことができるのだ。
トロントからのロータス・エンジンがどれだけの性能アップを果たすのか、おおいに注目したい。3メーカーが三つ巴の戦いを行う事になるのが理想だからだ。もちろん、トロントでのロータス・エンジンは、まだほとんど進歩は認められない可能性がある。若い女性ドライバーひとりという体制も心もとない。しかし、ボルティモアで導入される最終段階の仕様変更が施されれば、ライバル2メーカーとの差はそれなりに縮まっていると期待できないだろうか? そして、その頃にはロータスとHVMが、エンジン開発、シャシーのセッティング向上を実現させるべく2カーへの拡大を果たしていたら最高だ。彼らはそれを検討中なのだ。もちろん、計画が本当に実現するかは不明だが、経験豊富なドライバーの起用が彼らにとっても、シリーズにとってもベストのシナリオだ。
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