得意のミド‐オハイオで有意義なデータを収集
佐藤琢磨とレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングは、7月26日(木)にオハイオ州コロンバス郊外レキシントンのミド‐オハイオ・スポーツ・カー・コースでテストを行った。この日、同コースには24台ものインディーカーが終結した。カナダ遠征を終えたばかりだが、短いインターバルを利用してテストを行わねば、インディーカー・シリーズの激しいバトルを戦うことは難しいのだ。
大雨によってテストは予定より1時間半早く終了となったテストだったが、そこまでに琢磨は全長2.258マイルの常設ロードコースサーキットを53周に渡って走行し、有意義なデータ収集を行えた。
午前中に35周し、ランチの後に18周を走行。午後3時頃に大雨はやって来た。平坦な地形が続くアメリカの中西部地方では、天気の変化は大きく、そして速いのだ。
1周に13個のコーナーを持つミド‐オハイオ・スポーツ・カー・コースは、琢磨が好きで、得意としているコースのひとつだ。琢磨は過去2回ミド‐オハイオでレースを戦っているが、去年の4位が、今年のブラジルでの3位フィニッシュを飾る前までの彼のベストリザルトだった。スタート・ポジションは9位だったが、そこから表彰台まであと一歩の4位まで順位を上げたレースだった。現在の琢磨のベストリザルトは、先週のエドモントンでの2位である。
2010年のミド‐オハイオ、琢磨は予選で3位という好成績を残している。レースではピットでの後れを挽回しようとスコット・ディクソンにアタックしてコースアウト。25位となったが……。
「すでに昨年の予選タイムを上回っています。マシンは速いです」と琢磨
シーズンが開幕して以来初のプライベートテストを行った琢磨とレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングは、「天候によって短縮されたとはいえ、とても良いテストとなりました。ギヤ・レシオ、ライド・ハイトなどなど、レース・ウィークエンドの最初のプラクティスで確認すべき多くの要素をチェックできたのは良かった。そして、それらをすべて朝のプラクティスでこなし、その後には実際のマシンセッティングに取りかかったのですが、これが非常におもしろかった。マシンにひとつひとつ変更を加え、それをチェックする作業はとても楽しいものとなりました。変更をする度にマシンが良くなって行くのを感じ取ることができたからです。価値あるデータを収集できていると感じることができ、とても実りの多い1日となりました。まだまだテストしたい項目はたくさんあり、雨で走行が短縮されてしまったことは本当に残念でした。それでも、チームがワークショップに戻って今日得られたデータを解析することで、来週のレースに向けては良い準備が行えること間違いなしです」と語った。
今年の新車については、「今回はDW12をミド‐オハイオで初めて走らせましたが、すでに去年の予選タイムを上回っています。マシンは速いということです。マシンには去年までのものより少し大きなダウンフォースがありますね。マシン間には性格の異なる部分がありますが、それはこれまでのレスースでも感じて来た通りです。レースウィークエンドは走行時間が少ないため、本当なら試したい多くのセッティングを行えません。それだけに、今日の走行が雨で短くなったのはとても残念。もっともっと色々と試せるチャンスだっただけに。でも、天気ばかりは僕らは何もできませんからね」とコメントした。
レースウィークエンドに向け確固たるプラットフォームはできた
レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングのテクニカル・ディレクターであるジェイ・オコーネルは、「今日のテストでは大きな進歩を遂げ、来週のレースに向けて良い準備できたと思う。ギヤリングと車、サスペンションのスプリングレートとジオメトリーの土台となる部分を絞り込めたことは大きい。レースウィークエンドに向け、確固たるプラットフォームを作り上げることができたということだ。ベストは1分07秒44だったが、フルスティントを走ったタイヤで記録されたものだった。つまり、我々のマシンは、第2戦アラバマでの時よりもロング・ランでも安定した速さを発揮できるようになっているということだ」と話し、
プッシュ・トゥ・パスに関しては、「まだミド‐オハイオでのレースにどれだけの秒数が我々に与えられるかが不明だが、そのためのギヤリングのチェックも今回行ってある。ミド‐オハイオはオーバーテイクが難しいコースだ。アタックのチャンスとなる場所が1ラップの中に少ないし、前を行くマシンに接近することも容易ではない。プッシュ・トゥ・パスがその手助けになるのは間違いないだろう。ただ、プッシュ・トゥ・パスはオーバーテイクのチャンスを生み出すものでありながら、前を走るマシンも持っているので、防御的に使う事が可能でもある。F1のドラッグ・リダクション・システムでは、前を行くマシンは何もできない。効果を得られるのは後方を走るマシンだけで、後方を走るマシンにチャンスが与えられている。インディーカーでもあのシステムが導入されれば、もっとレースはエキサイティングになるだろう。
*プライベート・テストのため、各チームのラップ・タイムは公表されていません。
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