インディー500では優勝争いを演じ、デトロイトでもテキサスでもスタートポジションから大きくポジション・アップしていた佐藤琢磨だったが、今回は周回後れのマシンとターン1で接触し、スピン&クラッシュ! リタイアの憂き目に遭った。
スコット・ディクソンやウィル・パワーら、琢磨と同じように「予定外のエンジン交換」で10個のグリッド降格というシビアなペナルティを受けたドライバーたちが、ミルウォーキーのレースでは奮闘を見せていた。
しかし、琢磨のレースは折り返し点にあと僅かという108周目で幕切れとなった。
クルマはベストではなかったけれども順調にポジションアップできていました
Jack Amano(以下――):順調に進んでいたレースと見えてたんですが、実際はどうでしたか?
佐藤琢磨:いや、本当に残念! スタートから話しましょうか? スタートはすぐ前のマシンがなかなかスタートの列にくっついてくれなくて、全然追いつかないバラけたまんまのスタートになっちゃってました。そこからレースが落ち着くまでには数周がかかったんですけど、その後も少しずつポジションアップしてって、何台かを抜くのには結構苦しんでたこともありましたけど、その後はクリーンエアが当たるようになって、そこからはペースもグッと上がって、トップグループというか何というか、先頭集団を追いかけて、追いついて、イエローになる前にピットストップに入りました。
――順位を上げていってましたよね?
佐藤琢磨:そこまではすごく順調だったと思います。ポジションも上がっていってた。クルマはベストの状態ではなかったけれども、他のみんなもかなりドライビングに苦労をしていたみたいでしたね。
――路面コンディションは悪かったですか?
佐藤琢磨:今日はスタート前に雨が降ったので、グリップが低くなって、オーバーステアが強くなってましたね。
――ピットでのセッティング変更は?
佐藤琢磨:ピットで多少の作業をして(セッティング変更をして)、クルマも良くなって、そこから再アタックっていう感じでした。
――2列でのリスタートはどうでしたか?
佐藤琢磨:2回リスタートがあったのかな? どちらもで感じたのは、すごいペースが遅かったことでしたね。非常に大混乱のスタートになってました。1コーナーに4ワイド、5ワイドとかになってた。
――ポジションアップができてましたよね?
佐藤琢磨:5ワイドとかになっても何とか切り抜けて行けていたので、ピット・ストップで順位を落とした時もあったけど、トップ10に近づいて行けて、12位まで上がってたのかな? そんなに悪くはなかったと思いまね。まだレースは先が長い状態だったし。
パワーと争っていたときに、ジェイクスと遭遇
――しかし、アクシデントは起きてしまった。
佐藤琢磨:はい。再スタートを切った後にウィル・パワーとの争いになってて、今年からブロックというかディフェンスはオッケーになったワケで、彼もかなりディフェンスしながらの走りだった。それで2台ともスピードが落ちて、後ろにいたジェイムス・ジェイクスがアウト側から並んで来た。ウィルはちょっと前を走って、その後ろで僕とジェイクスは並んだ。ちょっとよくわからないのは、彼はもう完全にラップダウンだったので、僕としては彼とレースをしてない状況だったわけですよね。で、1コーナーに入る前に完全に並んでいたので、そこで譲る意味もないし、そのまま1コーナーに入ってったワケだけど、結果的にはかなりラインがタイトな状態で入って行って、非常に滑り易くなってたんでしょうね、1コーナーのイン側は。それで最初に前のグリップが抜けて、次に後ろも抜けて、フラフラになってしまってポジションをホールドできなくなって、コンタクトって状況でした。ラップダウンの彼があそこまでガムシャラに張り合う必要ってないと思う。スンナリ行かせないまでも、僕はインサイドだったし、ラインをホールドしたかったんですけど、それができない状況になってしまっていた。
――同じタイミングでJR・ヒルデブランドがストップしていました。
佐藤琢磨:彼はエンジンブローしてて、わからないけど、その影響もあったのかもしれませんね。オイルは落ちてたんでね、それを拾ってる可能性はあります。ともかく、色んなものが複合的に重なっちゃって、それまではあぁいう状況でもまったく問題なかった。
――今回も大きく順位を上げていたのに……という展開ですが?
佐藤琢磨:全体の流れとして、あのポジションからのスタートだったから、本当に少しずつ、少しずつ順位を上げて行くって感じだった。それでも真ん中あたりまでは順位を上げることができていたので、そこからの展開次第では良かったと思ってるんですけど。すごい残念!
他車の後ろにつくとダウンフォースの抜けが大きい
――ショートオーバル用マシンの現行仕様では、ミルウォーキーのレースはかなり難しかったですか?
佐藤琢磨:タービュランスはかなりすごくて、他のマシンの後ろにつくとダウンフォースの抜けがすごかったですね。それは感じた。だから、去年よりこのコースでの追い抜きは難しくなってたと思います。
――雨で一端気温は下がりましたが、結局は暑くなってましたね?
佐藤琢磨:あの雨で路面コンディションは劇的に悪くなってました、。雨が降って、しかも温度が上がりましたからね。そうした中で、みんなのタイムの落ち込み具合に比べて、僕らはそんなに劇的に悪くはなかった。その視点からすると、今回の僕らのレースは決して悪くないものになってたんですよね。
――パフォーマンスは良いのに4戦連続のアクシデントでのリタイア。歯痒いところと思いますが、どうですか?
佐藤琢磨:歯痒いです。非常に残念。とにかく良いレースをして完走をしたかった。こういうカタチで4戦連続リタイアっていうのは、ちょっと厳しいですね。
「ここでのクルマ作りがアイオワに反映することを期待します」
――次戦アイオワは去年良い戦いを見せたコースです。
佐藤琢磨:そうですね。テストに行けてないのでわからないけども、ショートオーバルは今回が初めてだったけれど、決勝には何とか帳尻を合わせることができていたと思うんですよ。だから、ワンステップ遅いところからスタートしてて、テストできてない分厳しいところは確かにありますけど、アイオワではここでのクルマ作りっていうのが反映されることを願って、走行開始から順調に行くことを願ってます。それと、アイオワは予選の方式がいつもと違うものになるんですよね? ヒート制のレースになる。そこでクルマ作りという面では何とかなるチャンスがある。僕にとっては、単独走行の予選よりは、そっちの方がやり易いかもしれない。今のチームの環境では、そっちの方が良いかもしれないですよね。予選までに良いクルマができるとは思わないから。わずか1時間とか1時間半のプラクティスでは。ということで、アイオワからもとにかく一生懸命に頑張るしかないです。
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