湿度が高く真夏のように暑かったポールデイ
今年のポールデイは暑かった。最高気温は摂氏31度に達した。真夏のような1日だった。しかも、湿度も高かった。インディアナでは結構フツーに有り得る天候だ。西海岸みたくカラリッて日ばかりじゃないのだ。
そんなコンディション下で予選は延々と行われた。スタートは午前11時で、近頃は夕方に30分間走行ナシの時間があるものの、伝統に従って午後6時まで続いた。
4時半、トップ9による予選第2ラウンドがスタートした。しかし、まだ夕方なんて雰囲気はゼロだった。昼間と変わらない。近頃のインディアナ州はサマータイムなので……。当然、気温の下がる気配もナシ。午後5時を過ぎて逆に気温が上がっちゃう日さえあるぐらいで、この日はそんな1日だった。
とっ散らかったアンドレッティ・オートスポーツと
チーム・ペンスキーの最初の予選アタック
4周のアタックの中では1周ごとにラップタイムが落ちて行く。タイヤの摩耗=グリップダウンするので仕方がない。その落ち幅をどれだけ小さくできるかが勝敗の分かれ目となっている。
今年のポールデイは、プラクティスが行われた7日間と比べても暑く、湿度も高かった。ダウンフォースが小さくなるコンディションで、予選アタックを更に難しくしていた。ラップタイムの1周ごとの落ち幅が大きくなり易くなっていたワケだ。
今年は2チームが3人ずつのドライバーをトップ9に送り込んだ。この2チームの真っ向勝負の様相となった。それらは、チーム・ペンスキーとアンドレッティ・オートスポートだった。
彼らの戦いを振り返ると、最初のアタックでは、6人中の4人が1ラップずつスピードダウンをして行っていた。残る2人はアタック中にミスがあった。ライアン・ブリスコー(ペンスキー)は2周目が遅く、マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ)は2周目がワーストで3周目がベストと、完全にアタックがとっ散らかっていた。
迎えたトップ9によるシュートアウト方式の予選、ここでの両チームのドライバーたちが4ラップを完了させたアタック=7回のすべてが、1ラップ毎にスピードダウンするパターンだった。これらのアタックは、ほぼミスなしで4周が終えられたという意味だ。
ここで決め手になって来るのが、4周の振れ幅だ。ベストとワーストの差が大きいより、いかに4ラップをハイレベルで安定させるかが重要だ。
もうひとつ言える重大なのは、計測1周目が遅かったらアウトだっていうこと。2周目からの踏ん張りで逆転……というケースはほとんどを起こり得ないのだ
光ったブリスコーの冷静なアタック。入れ込みすぎたヒンチクリフ
ブリスコーの4時過ぎの4ラップは見事に安定していた。2チーム、6人のドライバーたちが完成させたアタック=7回の中で、ダントツの最小差の4周となっていた。ベストとワーストの差は0.287mph(=約0.461km/h)しかなかったのだ。
ブリスコーのアタックは、マシンのセッティングが良かった上に、ウォームアップラップでのタイヤへの熱の入れ方が良く、4周の間には常にマシンが次にどのような変化を起こすのか、先回りしてコクピット内のツール(ウェイトジャッカーやスタビライザー)を操作していた。
「あの4周目が僕らをポールポジションへと到達させた」と走行を終えたブリスコーは話していた。落ち込みが激しくなりそうな雰囲気を払拭するセッティング変更をコクピットから行い、それが狙い通りの効果を発揮したということだろう」
悔しいミスを冒したのは、アンドレッティ・オートスポートで今年から走るヒンチクリフだった。彼はウォーム・アップ・ラップでスピードを上げ過ぎてしまった。227.009mph(=約365.257km/h)も出した。もし、この227mph台のラップが1周となっていたら、過は残る3周でよほどのミスをしない限り、ポールを手にできていたはずだ。この日、マシンをベストに仕上げていたのはヒンチだったのだ。彼はまだインディーは2度目の出場ながら、ポール獲得という凄いチャンスが巡って来た。マシンの仕上がりは上々。それで入れ込み過ぎてしまったのだろう。
対するブリスコーは、先輩チームメイトとの戦いに破れてインディーのポール獲得を逃したこともある。今年の彼は、予選第1ラウンドでのアタックでは、2周目のツール操作がうまく行かずにマシンのバランスを崩していた。しかし、そこでの経験を彼は活かしたのだった。第2ラウンドの予選アタックでは、全ての操作を絶妙のタイミングで行った。計測4周目、ブリスコーはマシンがどう変化するかを見事に読み切り、それに合わせたツール調整を成し遂げた。それでタイムの落ち込みが最小限に抑えられ、ポール獲得がなった。もうベテランと呼ばれる域に入っているブリスコーは、近頃は同じオーストラリア出身のチームメイトの陰に隠れがちだったが、培って来た経験とスキルをフルに発揮して戦い、栄えあるインディー・ポールを初めて手に入れた。
毎回、楽しみに拝見してます。
返信削除今年は、エンジンで大きく勝負が分かれそうですね。
今年のエンジンは550-700馬力程度とアナウンスが有りましたが、
実際どうなんでしょういか?
あと、500後ロータスは1チームになりますが、このまま撤退なのか?
(ロータスの開発状況は? 結構会社がやばい)
F1出身の2人のドライバーについても細かく解説して欲しいです。
特にKVの人は、性根が腐ってるようなので、お願いします。
KVレーシング・テクノロジー、最後の最後、予選日にスピードアップを達成しました。エンジニアリングの迷路に入りかけていたけれど、何とかそこからは脱出をしました。
返信削除ただ、彼らの予選第2ラウンドの戦い方については、賛否両論あっていいと思います。ルール違反とならないようにウォームアップランだけ……というのには、ガッカリ。ポールを狙うのは無理と感じていても、何か策を考え、トライして欲しかったですね。私はそう感じました。彼らは常に慎重というか、堅実というか、あるいは弱気なところがあります。
予選までの戦いぶりを見るとシボレーが断然有利で、ホンダが次、ロータスは絶望的となっています。
第4戦まででシボレーは燃費でもホンダを上回っていまいた。それはインディーでも同じなのか、ホンダが差を詰めるのか?は見所のひとつです。
エンジンの馬力に関しては、私には正確なところは分かりません。今年のように競争が始まってしまうと、もう馬力がどれぐらい出ている……という話はエンジン関係者は誰もしてくれなくなりますから。
ロータスが1チームになってしまう件ですが、これはHVMレーシングが参戦体制を拡大するぐらいしか、解決策はなさそうです。もし、2台以上をシーズンを通して走らせること……というルールがあるのなら。
ファン・フォース・ユナイテッドがインディー500以降も走る可能性は低いのでは?
ロータス自体がこのままインディーカーから撤退……というのははないと思います。
しかし来年も彼らがインディーカーにいるかどうかは疑問です。ロータス・エンジンを使いたい、と考えるチームがゼロとなる可能性もあるからです。
F1出身の2人のドライバーですが、ルーベンス・バリケロは、インディーカーでの活動をとても楽しんでいます。KVレーシングを兄弟分のトニー・カナーンとトップ・レベルまで引き上げてくれることを期待したいところです。
ジャン・アレジは、使用しているエンジンが悪いため、持てる力を発揮し切れていません。チームもインディーに向けて急遽結成されたものといった印象。彼はオーバルにもかなりの興味を持っております。しかし、他のインディーカー・イベントに出場する意思はないようです。出るとしたらインディー500だけ。来年の参戦意欲を既に明らかにしてもいます。
アマノ