2012年5月20日日曜日

2012 IZOD INDYCAR シリーズレポート:5月19日 第96回インディアナポリス500 ポールデイ予選/伝統のレースの予選は史上最小0.0023秒差で決着、ブリスコーがポール。佐藤琢磨は19位

第5戦 第96回インディアナポリス500マイルレース
Round 5 Indianapolis 500 mile Race

Indianapolis Motor Speedway
インディアナポリス・モーター・スピードウェイ
インディアナ州 インディアナポリス
全長:2.5マイル(=約4.023km)×200周
コースタイプ:オーバル

Pole Day 5月19日
天候:晴れ
気温:26〜31℃
Photo:Naoki Shigenobu
今年もポールデイの予選システムは二段階。午前11時から午後4時までで24番グリッドまでを決定し、その中のトップ9が4時半から1時間半のポール争いを繰り広げる。

予選第一段階でトップに立ったのは、ジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポーツ)だった。スピードは225.746mph。暑さのせいで227mph台には遠く及ばなかった。トップ5は2チームによって占拠された。2番手はウィル・パワー(チーム・ペンスキー)の225.399mphで、3番手はライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ)の22225.289mph。以下、4位はエリオ・カストロネベス(ペンスキー)、5位はライアン・ブリスコー(ペンスキー)だった。

上記2チーム以外での最速は6位につけたトニー・カナーン(KVレーシングテクノロジー)。昨日最速だったアンドレッティは、暑さの中でスピードダウンし、トップ争いができなくなってしまっていたが、それでも7番手につけた。

8位はホンダ勢唯一となるジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシング)、そして、EJ・ビソは9位でポール争い最後のポジションを手に入れた。ルーベンス・バリケロも惜しくもトップ9を逃す10位につけた。この2日間で最もスピードを延ばしたのが彼、そしてKVRTだった。

暑さが残ったまま予選第二段階は始まった。勝負はペンスキーとアンドレッティの2チームに絞り込まれた。KVのふたりはコースインはしたがアタックをせずにピットに戻った。グリッド2列目さえも争う力はないとの判断だ。ニューガーデンも、チームメイトのブライアン・クロウソンが今日の予選中に大きなアクシデントを起こしていることから、チームの事情も考えると無理は絶対にできなかった。彼はKVがアタックを回避したので7位を手に入れた。

6人によるポール争い、先手を取ったのはブリスコーだった。1回目のアタックで見事に安定した4周を走り切った。226.484mphという平均スピードを彼はマークし、トップに立った。

90分間と短い予選第二段階は、必ずしも先手必勝ではない。3回までのアタックが許されるが、トップに立ったドライバーは逆転されるまでアタックを行う踏ん切りがつきにくい。時間切れギリギリで逆転されれば、再逆転のチャンスは与えられない。

しかし、今日のコンディションではライバルたちがアタックを繰り返しても、ブリスコーのスピードを上回るのは難しかった。

ヒンチクリフは、予選第二段階での2回目のアタックで、計測前のウォームアップ・ラップを227mph台に載せた。しかし、その後の4ラップが226マイル台で、二度と227マイル台はでなかった。悔しいことに、アタック開始前の1周と、次の3周を予選用の4周とカウントしてもらえたら、彼はポールを手にできていたところだった。スピードを上げるタイミングを間違えた。ポール獲得のチャンスに気合いが入り過ぎてしまったのだ。ヒンチクリフは1000分の3マイル差=4周の合計タイムで0.0023秒の差で2位となった。これはインディーの96回の歴史で最小差となった。70年の予選では、0.01秒差(当時は100分の1秒までの計測)でアル・アンサーがポールポジションを獲得した。僅差の2位に無念の涙をのんだのはジョニー・ラザフォードだった。レースではアンサーが優勝した。
ヒンチクリフは極々僅差で栄誉あるポールを逃した。
Photo:Naoki Shigenobu
ポールはブリスコーの手中に落ち、10万ドルの賞金を贈られた。彼はアンサーのようにレースでも勝つことができるだろうか。

チーム・ペンスキーはインディーでの17回目のポールポジション獲得を成し遂げた。ブリスコーはロングビーチに続いて今季2回目のポールでもある。そして、チームは今年の開幕戦から5戦連続のポール獲得となった。シボレーエンジンも開幕から5連続のポール獲得だ。

08年からチーム・ペンスキーで走って来ているブリスコーは、09年にインディーでのポールを惜しくも逃す2位となっていた。敗れた相手はチームメイトのカストロネベスだった。ついに大きな仕事をやってのけた彼は、「信じられないよ! 素晴らしい4周の予選アタックだった。非常に安定していたのが良かった。あの4周目によって、僕らはポール獲得を達成できたと思う。僕らのセッティングの勝利だ。4周目の踏ん張りが効いた。チームのみんながハードワークをこなしてくれ、シボレーは感激するような大パワーを用意してくれた。インディーのポールは大きな栄誉だ」と興奮して語った。

自身3回目のインディー500に挑戦している佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)はスピードアップが思うように進められず、19位似終わった。ホンダエンジンが予選用モードで戦闘力を欠いたのも効いていたが、さらに琢磨の状況を悪くしたのが、アタック順の遅さだった。それはクジ引きで決定されるのだが、気温と路面温度が上昇したスピードの出しにくいコンディションで走ったため、223マイル台にしか届かなかった。

2回目のアタックをチームは検討したが、それは実現しなかった。チップ・ガナッシ・レーシングも再アタックは行わなかった。さらなるスピードアップが可能とは考えれれなかったためだ。すでに出している記録を捨ててまでアタックするリスクを冒すメリットがないとの考え方だ。インディー3年目の琢磨の決勝グリッドは19番と決まった。

琢磨は、「2度目のアタックをしたかった」と語った。少しでも上位へと食い込むチャンスがあるなら、それに挑戦したかったのだ。いかにも琢磨らしいコメントだった。「チームの決定に従います。1列前に入る可能性はあったけれど、そのことで得られるメリットとリスクも考えれば、再アタックなしも仕方が無いです。プラクティスでの単独走行でコンスタントにトップ10に入るスピードを出せていただけに悔しいです。今日はコンディションの悪さ、アタック順の遅さという理由もあってトップ9に食い込めなかった。19位という結果もとても悔しい」とも琢磨は語っていた。

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