第2戦ホンダ・インディグランプリ・オブ・アラバマ
2012 IZOD INDYCAR SERIES Round 2 Honda Indy Grand Prix of Alabama
バーバー・モータースポーツ・パーク
アラバマ州バーミンガム
コースタイプ:ロード
全長:2.38マイル(=約3.83km)×90周
3月31日(土) 予選
天候::曇りときどき晴れ
気温:20〜23℃
予選を6位で終えたトニー・カナーン(KVレーシングテクノロジー)が記者会見で言った。「トップカテゴリーとしての扱いをしてもらいたいもんだね」。インディーカーのプラクティス3がキャンセルされ、昨日からほとんど走っていない状態で予選を戦わされたことに対しての抗議のコメントだ。
今週末はグランダムというスポーツカーシリーズのレースがふたつも土曜日に予定されており、インディーカーのプラクティスは元々20分と短めに設定されていた。しかし、その20分さえ、朝の霧のために与えられなくなった。救急用ヘリコプターが到着しなかったのだ。インディーカー・ドライバーたちは1周のインストレーションラップだけでガレージへと戻らされた。そして、約1時間の後、準備不足のまま予選に雪崩れ込んだ。インディーカーのプラクティス3の直後にスケジュールされていたインディーライツの予選は、予定通りに行われていた。これを夕方へと移動することは検討されなかったのか? グランダムのレーススタートを遅らせる交渉はされたんだろうか? グランダムの元締めはNASCARなので、インディーカーとしては分が悪いワケだが……。
昨日のプラクティス1はランキングトップ10圏外とルーキーは60分間の走行時間が与えられたが、開幕戦トップ10は30分間しか走れなかった。プラクティス2がウェットコンディションとなり、今日のプラクティス3がキャンセルされた。そんな状況で予選を戦えというのはナンセンスだ。それがほぼ全員に同条件が当てはまるとはいえ、カナーンをはじめとする多くのドライバーやチーム関係者たちが不満に感じても仕方がない。
「昨日、ドライで走れたのはたったの14周。それで予選を迎えた。天気のせいもあって、僕らはとても奇妙な状況に陥らされた」と、インディーカー参戦2シーズン目のジェイムス・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポーツ)の言い分はカナーンに比べると随分とマイルドだったが、それは彼がキャリアベストの予選2位に食い込んだためもあっただろう。結果的にうまく行った彼とすれば、文句はないということである。
信じられないほどに少ない走行時間の後に行わた予選が、いかに難しいものだったかは、ダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)がQ1で9位にしかなれなかったところにも現れている。アタックのタイミングを遅らせ過ぎたわけでもなく、多くのドライバーたちとほぼ同じ5周ものアタックを行ったというのに、彼は13人が走ったうちで9位だった。今回のグループ分けは、彼の組み入れられていたグループ2の方が断然厳しいメンバーとなっていたが、9番手はロードコース・エキスパートを自負する彼にとっては酷い成績だ。彼がQ2進出に失敗したのは、2010年のセント・ピータースバーグ以来のこと。僅かに2回目のこととなった。グリッドは18番手。明日のレースで彼はどこまでポジションをゲインできるのだろうか。
Q2では珍しくアクシデントが起きた。ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポーツ)がスピンしてリヤからガードレールへ突っ込み、部品を撒き散らしてストップ。これで赤旗が出された、そのままセッションは終了とされた。ハンター-レイのQ3進出が阻まれれたのは当然だったが、アタックを始めた直後だったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は、9位で終わりQ3に進めず。シモン・パジェノー(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)とEJ・ビソ(KVレーシングテクノロジー)は、本格的なアタックを始める前にQ2が終わってしまった。ライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)はコースインさえしていなかった。しかし、それはアタックのタイミングを待っていたからではなく、クラッチトラブルによってだった。
かくして、バーバー・モータースポーツ・パークでのファイアストン・ファスト6に進んだのは、エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)、ジェイムス・ヒンチクリフ、JR・ヒルデブランド(パンサー・レーシング)、マイク・コンウェイ(AJ・フォイト・レーシング)、トニー・カナーン(KVレーシングテクノロジー)、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)という面々となった。6人のうちの3人はファイナル進出経験に乏しいドライバーたちだ。
Q3は10分間。ここで1分10秒4768のトップタイムを出し、トップとなってポールポジションを獲得したのは、ベテランのカストロネベスだった。今シーズン初、通算37個目のポールポジションだ。
予選2番手にはヒンチクリフが食い込んだ。昨年のケンタッキーでの3位を上回るキャリアベストグリッドを1分10秒5222のラップタイムで獲得した。
Q2までのレッドタイヤの使用状況からすると一番優位にあったディクソンは、3番手止まり。それでもホンダ勢のトップとなった。
第2戦の予選でもシボレー勢が優位を示した。しかし、今回の結果は1-2。開幕戦のシボレー勢はポールポジションから4位までを独占していた。1週間しかインターバルはなかったが、ホンダエンジンは少しの巻き返しを果たしたということだろうか?
ロータスのベストリザルトはセバスチャン・ブルデイ(ロータス・ドラゴン・レーシング)による予選17位だった。開幕戦でのロータス勢は、アレックス・タグリアーニ(ブライアン・ハータ・オートスポート・ウィズ・カーブ/アガジェニアン)の17位が予選でのベスト。依然としてライバル2社に対しての不利は歴然とあり、2戦続けて同じポジションが彼らの最上位だった。もっとも、今回の予選において、タグリアーニとオリオール・セルビア(ロータス・DRR)はハードコンパウンドのオルタネートタイヤで走行。予選でのパフォーマンスよりも決勝に向けてのマシン作りを行っていた。明日、その成果が大きく現れることに期待をしたい。
予選でオルタネートタイヤが使われる例は非常に少なくなっているが、今日のQ3ではカナーンがブラックで走った。結果は最下位の6位だったが、ブラックでのパフォーマンスの方が良い可能性に賭けたのと同時に、レッドを1セット温存する作戦でもあったのだろう。明日、この新品の1セットをアドバンテージにすることができるのか、注目だ。
佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、2戦続けてQ1での敗退を喫した。Q1のグループ2で走った彼は、フライングラップをスロー走行するジェイムス・ジェイクス(デイル・コイン・レーシング)にふいにされたのだ。カナーンとの間には0.0878秒の差しかなかった。フライングラップをまとめ上げていたら、Q2進出は余裕で果たせていただろう。
「霧でセッションがキャンセルされ、昨日から今日へとセットアップ変更したマシンの確認をできないまま予選を迎えました。グループ1の走りを見て、新スペックのレッドタイヤが凄く高いグリップを持っていることと、そのライフが非常に短いことがわかりました。ベストが出るのは2周まで。そう思ってアタックを始めたんですが、トラフィックにひっかかってしまった。あのスピードで、なんでレーシングラインを走っているのか……。あれで僕らの予選は終わってしまいましたね。マシンはバランスが最高……とは行きませんでしたけど、Q2進出はできてたはずずです。それだけに凄く残念です。ここは開幕戦のセント・ピータースバーグのようにオーバーテイクが多いコースではないですから」と琢磨は悔しがっていた。
しかし、「明日のウォームアップで決勝用のマシンを良くしないと。ブラックとレッド、両方のタイヤで良いマシンにしないといけません。レースは作戦、そしてタイヤのマネージメントも大きな鍵を握るものになると思います」。16番手と後方グリッドからのスタートとなる琢磨だが、上位進出はおおいに可能と考えている。
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