現状で22台のエントリー。さらに増える可能性も
2012年シーズン、フルシーズン・エントリーをすると見られているのは、現状では22台だ。「新シャシーの導入はチームにとって極めて大きな経済的負担……」との危惧がなされて来たが、思いのほかエントリー数は多くなることが判明している。楽観的に見るならシーズンを通して25台がコンスタントに出場する活況となる可能性もありそうなのだ。
この中でホンダ・エンジンの使用が確定しているのは、8台である。ここに最大5台がさらに追加される可能性が残されている。すでにサプライの決まっているチームが1台から2台へと体制を拡大するケース(レイホール・レターマン・ラニガン、サム・シュミット、デイル・コイン)と、まだエントリーが完全に決まっていない面々にエンジン供給を行うパターン(サラ・フィッシャー、MSRインディー、エド・カーペンター)だ。
シボレーは9台を早々と決定。それ以上にユーザー数を増やしたくない意向だ。シーズン中の開発、それに伴うパーツ供給を考えると、ユーザー数の増加は戦闘力アップのスピードを下げることになるためだ。KVレーシングが3台となって1台プラスの10台になる可能性は考えられるが……。こちらのエンジン、開発はイギリスが本拠地でアメリカにも支社を持つイルモア・エンジニアリングが行う。
ロータスは5台だが実情はいまだ見えず
第三のメーカーであるロータスの確定エントリー数は、最も少ない「5」だ。インディーカーへのコミットメントがどこまでのものであるかが不明な上、開発担当が近年のインディーカー経験を持たないレーシング・エンジン・デヴェロップメント(ジョン・ジャッド主宰)である点から、有力なユーザーを彼らは確保できなかったのだ。
MSRインディーは、去年の最終戦となるはずだったラスヴェガス・ラウンド開催期間中、まだロータスが開発チームも決めていない段階でチームの結成と、ロータス・エンジンを使用したい意志を示したが、ロータスはHVM、DRR、ハータ、ドラゴンに供給を行うと発表し、MSRは宙に浮いてしまった格好となった。彼らは参戦初年度には経験豊富なドライバーを使うことも検討しており、現在の有力ドライバー候補がポール・トレイシー。彼はカナダ・ホンダとの関係も良好ということで、ホンダ・エンジンが獲得できないものかと期待をしてもいるようだ。
エンジン未定はエドとサラの2チーム
この他、まだエントリーも使用エンジンも決まっていないエントラントとしては、エド・カーペンターとサラ・フィッシャーの2チームがある。サラのチームにはホンダが供給されるとの噂が前々からある。彼女たちはインディライツ・チャンピオンのアメリカ人ドライバー、ジョセフ・ニューガーデンの起用を決めている。エドのところは、もちろんエド自身がドライバー。シボレー・ユーザーに落ち着くのがリーズナブルな感はあるが、果たしてどうなるか……。ここまでで決定しているサプライ台数からすれば、サラやエドのチームにはロータスが供給を行うことになるのが道理なのだが、開発チームの決定でも、実走テスト開始でもライバル2社に3ヵ月以上後れをとったことなどに象徴されるとおり、ロータスの体制は最も脆弱で、現状で使用エンジンの確定していないチームが出場を希望した場合、それをカバーする役割はホンダとシボレーで果たさねばならないだろう。03年からのインディーカー・シリーズでホンダ・エンジンの供給で協力関係にあったホンダとイルモア(2012年から登場するシボレーのインディーカー用エンジンの開発を担当)は、その良好な信頼関係を活かし、2社で協力し合ってエントラントをフォローして行く体制を築いて行くものと期待される。
さらに、インディー500にはスポット参戦を行うチーム、あるいはドライバーが出現するはずだ。そうでなければフルグリッドの33台が集まらない。
ジャン・アレジは昨年、インディー500への出場意志を発表していた。ロータスからのワークス参戦になるというが、それは既存のインディーカー・チームの2台目、もしくは3台目という出場形式になるのが現実的だろう。しかし、それがHVMレーシングからとなった場合、チームメイトがシモーナ・デ・シルベシトロでは初のオーバルレース、それも超高速のインディアナポリスで戦う体制としては理想からは程遠い。ハータ、もしくはDRRからのエントリーとした方がベターだろう。
その他には、デイビー・ハミルトン、タウンゼント・ベル、トーマス・シェクターなども出場計画を進めているはずだ。
心配なのは、こうしたスポット参戦組にもエンジンの供給がスムーズに行われるのかどうかだ。そのサプライをどのメーカーが担うのかにも注目して行きたい。
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