バリケロ、わずか1シーズンでインディーカー離脱
ルーベンス・バリケロのインディーカー参戦が、残念だがたった1年で終了してしまう可能性が強まった。アメリカのメディアが、彼が2013年は母国ブラジルで人気を誇るストックカー・シリーズにフル・エントリーする契約を結んだとレポートした。まだブラジルのストックカー・チームからも、バリケロ本人からも正式な契約発表はなされていないが、シュミット・ハミルトン・モータースポーツ(SHM)でダラーラ・ホンダを走らせる話は御破算となったと見られる。
そのSHMだが、セブリング・インターナショナル・レースウェイで2012年インディーライツ・チャンピオンのトリスタン・ヴァウティエールにインディーカー・テストのチャンスを与える。サム・シュミット・モータースポーツでシリーズタイトルを獲得したご褒美といったところか。ヴァウティエールはもちろんインディーカーへのステップアップを狙っており、インディーライツを共に戦ったサム・シュミットのチームでトップカテゴリーへと進むことを検討している。しかし、バリケロ以上に資金確保に手こずっているという。こうなると、やっぱりSHMは1台体制か??
2012年12月21日金曜日
2012年12月16日日曜日
2012-13 INDYCAR オフシーズン情報 12月9日 アメリカ期待の若手、あのF1ドライバーの息子がインディーカーへ?
20歳のコナー・デイリーにインディーカー・テストのチャンス
アイルランド出身の元F1ドライバー、デレック・デイリー(59際)の息子、コナー・デイリー(20歳)が来年のインディーカー・シリーズにルーキーとして参戦する可能性が出てきた。フルエントリーとはならないかもしれないが……。
77年イギリスF3チャンピオンのデイリーは、ティレル、マーチ、ウィリアムズなどでF1を戦った後、アメリカに移り住んでインディーカーやスポーツカーで活躍。現役引退後もアメリカでレーシングスクールを開校したり、F1やインディーカーといったモータースポーツでテレビやラジオのコメンテーターとして多くの仕事をしてこなして来ている。
長男のコナーは、インディアナポリスのすぐ北、インディアナ州ノーブルスヴィルでアメリカ人の妻との間に生まれた。アメリカ育ちのコナーはレーシング・カートから入門フォーミュラを経て2009年にスター・マツダへステップアップ、翌2010年には12戦で7勝を挙げてチャンピオンとなった。そして、2011年には5戦のみだがインディーライツに出場、優勝とポールポジションをそれぞれ1回ずつ記録した。インディーライツにフル参戦しなかったのは、2011年からGP3で戦うことが決まっていたからだ。コナーはGP3で2シーズンを戦い、ロータスで走った2012年に1勝している。
父のようにF1で走りたいと考えているコナーだが、このオフに入ってから彼の下にはAJ・フォイト・レーシングからインディーカー・テストのオファーが届いた。ロードコースのセブリング・インターナショナル・レースウェイでインディーカーに初めて乗るチャンスが与えられることになったのだ。テストは12月13日の予定。コナーは21歳の誕生日(15日)を目の前にして、初めてのインディーカー・ドライブを果たす。
AJ・フォイト・レーシングは2012年から起用したマイク・コンウェイがオーバルレースに出場できない事情が発生(2011年のインディー500での大アクシデントの影響か、オーバルを自信を持って走れなくなった)、2013年も彼を起用し続けながらオーバル用ドライバーを別に雇うケースも検討していたが、フル・シーズン・エントリーのシートには近頃になって佐藤琢磨が座るという噂が流れている。そうなってもチームはコンウェイをリリースせず、2台目をエントリーさせて彼とデイリー、あるいは2012年に同チームから2レースに出場したニュージーランド出身のウェイド・カニンガムを数戦ずつに参戦させるという可能性を探っているようだ。
アイルランド出身の元F1ドライバー、デレック・デイリー(59際)の息子、コナー・デイリー(20歳)が来年のインディーカー・シリーズにルーキーとして参戦する可能性が出てきた。フルエントリーとはならないかもしれないが……。
77年イギリスF3チャンピオンのデイリーは、ティレル、マーチ、ウィリアムズなどでF1を戦った後、アメリカに移り住んでインディーカーやスポーツカーで活躍。現役引退後もアメリカでレーシングスクールを開校したり、F1やインディーカーといったモータースポーツでテレビやラジオのコメンテーターとして多くの仕事をしてこなして来ている。
長男のコナーは、インディアナポリスのすぐ北、インディアナ州ノーブルスヴィルでアメリカ人の妻との間に生まれた。アメリカ育ちのコナーはレーシング・カートから入門フォーミュラを経て2009年にスター・マツダへステップアップ、翌2010年には12戦で7勝を挙げてチャンピオンとなった。そして、2011年には5戦のみだがインディーライツに出場、優勝とポールポジションをそれぞれ1回ずつ記録した。インディーライツにフル参戦しなかったのは、2011年からGP3で戦うことが決まっていたからだ。コナーはGP3で2シーズンを戦い、ロータスで走った2012年に1勝している。
父のようにF1で走りたいと考えているコナーだが、このオフに入ってから彼の下にはAJ・フォイト・レーシングからインディーカー・テストのオファーが届いた。ロードコースのセブリング・インターナショナル・レースウェイでインディーカーに初めて乗るチャンスが与えられることになったのだ。テストは12月13日の予定。コナーは21歳の誕生日(15日)を目の前にして、初めてのインディーカー・ドライブを果たす。
AJ・フォイト・レーシングは2012年から起用したマイク・コンウェイがオーバルレースに出場できない事情が発生(2011年のインディー500での大アクシデントの影響か、オーバルを自信を持って走れなくなった)、2013年も彼を起用し続けながらオーバル用ドライバーを別に雇うケースも検討していたが、フル・シーズン・エントリーのシートには近頃になって佐藤琢磨が座るという噂が流れている。そうなってもチームはコンウェイをリリースせず、2台目をエントリーさせて彼とデイリー、あるいは2012年に同チームから2レースに出場したニュージーランド出身のウェイド・カニンガムを数戦ずつに参戦させるという可能性を探っているようだ。
2012年12月13日木曜日
2012-13 INDYCAR オフシーズン情報 12月6日 アンドレッティ・オートスポートが2013年の体制を発表
シーズン3台体制 インディー500はルーキーのムニョスも投入
マイケル・アンドレッティがオーナーを務めるアンドレッティ・オートスポートは、12月5日、インディアナ州インディアナポリスの自社ワークショップで2013年度の体制を発表した。
IZODインディーカー・シリーズには3台をフルエントリーさせ、インディアナポリス500マイルレースにおいてのみ、1台プラスの4カー体制とする。使用エンジンは、当然、シボレーで変わらずだ。
インディーカー・レギュラーの3人は2012年と同じ。ただし、初のシリーズタイトル獲得をなし遂げたライアン・ハンター-レイ(RHR)はチャンピオン・ナンバーの「1」を纏う。メインスポンサーは引き続きDHLが務めるが、サポートの規模はタイトル獲得によって拡大された。RHRは念願のタイトルに手を届かせたカーナンバー28に強い愛着を持っているためと、全世界で癌と戦っている2,800万人の患者のため、レーシング・フォー・キャンサーの共同発起人としてカー・ナンバー「1」の中に「28」を取り込むデザインを採用する。
マルコ・アンドレッティはカーナンバーを「26」から「25」に変更するが、メインスポンサーは来年もRCコーラで変わらない。2012年はランキング16位と振るわなかったため、ゼッケンととも心機一転する。
インディーカー・デビュー2年目、アンドレッティ・オートスポート入りした初年度ながらタイトル争いに加わり、最終的にランキング8位でシーズンを終えたカナダのジェイムズ・ヒンチクリフは、2013年もゴー・ダディ・ドット・コムがメイン・スポンサーで、カー・ナンバーも引き続き「27」を使う。
ムニョスをはじめ、若手の育成も着々
そして、インディー500の予選通過を目指してスポット参戦を行うのは、アンドレッティ・オートスポートでインディライツ2シーズン目を戦うコロンビア出身のカルロス・ムニョスだ。
アンドレッティ・オートスポートはステップアップカテゴリーでの活動も積極的に展開して来ている。2013年もインディーライツには上記の、昨年2勝を挙げているムニョスをエースとして投入し、もう自らのチームで3シーズンも育て続け来ている現在17歳のザック・ヴィーチ(今月中に18歳になる)をインディーライツ・デビューさせる。
さらに下位のフォーミュラ・マツダにもシェルビー・ブラックストックをエントリーさせる。彼らはもう1台をエントリーさせる予定だが、そちらのドライバーは後日発表されるという。そして、USF2000にもアンドレッティ・オートスポートは参戦を継続する予定で、そちらのドライバーも同じく後日発表するとのことだ。
以上
マイケル・アンドレッティがオーナーを務めるアンドレッティ・オートスポートは、12月5日、インディアナ州インディアナポリスの自社ワークショップで2013年度の体制を発表した。
IZODインディーカー・シリーズには3台をフルエントリーさせ、インディアナポリス500マイルレースにおいてのみ、1台プラスの4カー体制とする。使用エンジンは、当然、シボレーで変わらずだ。
インディーカー・レギュラーの3人は2012年と同じ。ただし、初のシリーズタイトル獲得をなし遂げたライアン・ハンター-レイ(RHR)はチャンピオン・ナンバーの「1」を纏う。メインスポンサーは引き続きDHLが務めるが、サポートの規模はタイトル獲得によって拡大された。RHRは念願のタイトルに手を届かせたカーナンバー28に強い愛着を持っているためと、全世界で癌と戦っている2,800万人の患者のため、レーシング・フォー・キャンサーの共同発起人としてカー・ナンバー「1」の中に「28」を取り込むデザインを採用する。
マルコ・アンドレッティはカーナンバーを「26」から「25」に変更するが、メインスポンサーは来年もRCコーラで変わらない。2012年はランキング16位と振るわなかったため、ゼッケンととも心機一転する。
インディーカー・デビュー2年目、アンドレッティ・オートスポート入りした初年度ながらタイトル争いに加わり、最終的にランキング8位でシーズンを終えたカナダのジェイムズ・ヒンチクリフは、2013年もゴー・ダディ・ドット・コムがメイン・スポンサーで、カー・ナンバーも引き続き「27」を使う。
ムニョスをはじめ、若手の育成も着々
そして、インディー500の予選通過を目指してスポット参戦を行うのは、アンドレッティ・オートスポートでインディライツ2シーズン目を戦うコロンビア出身のカルロス・ムニョスだ。
アンドレッティ・オートスポートはステップアップカテゴリーでの活動も積極的に展開して来ている。2013年もインディーライツには上記の、昨年2勝を挙げているムニョスをエースとして投入し、もう自らのチームで3シーズンも育て続け来ている現在17歳のザック・ヴィーチ(今月中に18歳になる)をインディーライツ・デビューさせる。
さらに下位のフォーミュラ・マツダにもシェルビー・ブラックストックをエントリーさせる。彼らはもう1台をエントリーさせる予定だが、そちらのドライバーは後日発表されるという。そして、USF2000にもアンドレッティ・オートスポートは参戦を継続する予定で、そちらのドライバーも同じく後日発表するとのことだ。
以上
2012年12月10日月曜日
2012-13 INDYCAR オフシーズン情報 12月3日 インディー/シャーロット・ダブルにトニー・スチュワートが挑戦か
ロジャー・ペンスキー直々にインディー500出走をオファー
1997年インディー・レーシング・リーグ(IRL)チャンピオンで、NASCARチャンピオンにも三度輝いているトニー・スチュワート(41歳)が、来る2013年のインディー500にスポット参戦する可能性が出て来た。ロジャー・ペンスキーが彼にオファーを出したのだ。
インディアナ州出身で、ミジェット&スプリント・カーを走らせて育ったスチュワート。当然、彼の子供時代からの夢はインディーカー・チャンピオン、インディー500での優勝だった。しかし、いざインディーカー・ドライバーとなって挑戦した5回での最高位は5位(1997年)、インディー未勝利のスチュワートとすれば、世界最長の歴史を誇るレースで最多の15勝を飾っているチーム・ペンスキーからの出場は拒絶し難いチャンスだろう。
シボレーから強力なバックアップ
スチュワートがオープンホイールのトップカテゴリーに到達したのは、ちょうどインディーカーがまっ二つに分断されていた時期。彼はCARTシリーズより世間の評価が低いIRLでタイトルを獲ったが、その後は人気絶大なNASCARへと移り、そちらでも才能を発揮して3度のシリーズ制覇を果たして来ている。そして、スチュワートは2009年からチームオーナー兼ドライバーとなった。シボレーからの強力なサポートを受ける体制だ。そのような彼とシボレーの関係を考えれば、インディーカーでのシボレー・ナンバー・ワン・チームであるペンスキーからの参戦話は、決して実現性の低いものではない。ペンスキーとスチュワートが手を組むとなれば、全米での注目度は極めて大きなものになる。それはインディー500やインディーカー・シリーズにとってはもちろんのこと、NASCAR、そして、シボレーにとっても大きなメリットになるはずだ。
2004年以来久々となる「ダブル」、果たして障壁をクリアできるか?
スチュワートにとっての悩みの種は、インディー500の行われる週末、NASCARがノースキャロライナ州シャーロットでシリーズの公式戦を開催する点だ。そちらはナイトレースなので、インディー500のゴール後にヘリコプターとプライベートジェットを利用すれば参戦は可能となるが、時間的に非常にタイトなのだ。そこでペンスキー御大は、インディカーとNASCARの両シリーズに働きかけ、両イベントのスケジュールを調整することまで考えているのだという。
少し前までは、”インディー/シャーロット・ダブル”は普通に行われていた。ところが、2005年からインディー500のスタートが1時間遅らされて正午になったため(2006年からはインディアナ州のサマー・タイム採用で午後1時スタートになっているが、前年までのサマー・タイム採用無しでの正午と同時刻)、一番最近の”ダブル”実現は、2004年のロビー・ゴードンによるものとなっている。
インディー500に出場すると、シャーロットでの決勝当日のドライバーズミーティングに出席できないため、NASCARのルールで最後尾グリッドからのスタートを強いられる。これをまず、NASCARサイドのスポンサーに理解してもらわねばならない。また、インディー500のスタートや進行が雨で遅れた場合など、どのような対処をするのか(インディーとNASCAR、どちらにどのような代役を立てるのか……など)、多方面からの了承を得なくてはならない。
スチュワート自身、1999年と2001年の2回、“ダブル”にトライをしている。1999年はインディーで9位、シャーロットで4位に入賞。2001年にはチップ・ガナッシ・レーシングからの出場でインディー=6位、シャーロット=3位だった。二度の挑戦とも両レースでトップ10入りするという素晴らしい成績をスチュワートは残しているわけだ。また、2004年には予選最終日に突然姿を現したスチュワートに対してAJ・フォイトがマシン提供を申し出、挑戦が急遽決まりかけた。最終的には、彼とシボレーの契約などからホンダ・エンジン搭載インディーカーでの走行は実現しなかった。
2013年のインディー/シャーロット・ダブルに関しては、いよいよNASCARのトップ・シリーズへのフルエントリーを開始するダニカ・パトリックにも計画がある。ダニカもNASCARではシボレー・ドライバーだ。
以上
1997年インディー・レーシング・リーグ(IRL)チャンピオンで、NASCARチャンピオンにも三度輝いているトニー・スチュワート(41歳)が、来る2013年のインディー500にスポット参戦する可能性が出て来た。ロジャー・ペンスキーが彼にオファーを出したのだ。
インディアナ州出身で、ミジェット&スプリント・カーを走らせて育ったスチュワート。当然、彼の子供時代からの夢はインディーカー・チャンピオン、インディー500での優勝だった。しかし、いざインディーカー・ドライバーとなって挑戦した5回での最高位は5位(1997年)、インディー未勝利のスチュワートとすれば、世界最長の歴史を誇るレースで最多の15勝を飾っているチーム・ペンスキーからの出場は拒絶し難いチャンスだろう。
シボレーから強力なバックアップ
スチュワートがオープンホイールのトップカテゴリーに到達したのは、ちょうどインディーカーがまっ二つに分断されていた時期。彼はCARTシリーズより世間の評価が低いIRLでタイトルを獲ったが、その後は人気絶大なNASCARへと移り、そちらでも才能を発揮して3度のシリーズ制覇を果たして来ている。そして、スチュワートは2009年からチームオーナー兼ドライバーとなった。シボレーからの強力なサポートを受ける体制だ。そのような彼とシボレーの関係を考えれば、インディーカーでのシボレー・ナンバー・ワン・チームであるペンスキーからの参戦話は、決して実現性の低いものではない。ペンスキーとスチュワートが手を組むとなれば、全米での注目度は極めて大きなものになる。それはインディー500やインディーカー・シリーズにとってはもちろんのこと、NASCAR、そして、シボレーにとっても大きなメリットになるはずだ。
2004年以来久々となる「ダブル」、果たして障壁をクリアできるか?
スチュワートにとっての悩みの種は、インディー500の行われる週末、NASCARがノースキャロライナ州シャーロットでシリーズの公式戦を開催する点だ。そちらはナイトレースなので、インディー500のゴール後にヘリコプターとプライベートジェットを利用すれば参戦は可能となるが、時間的に非常にタイトなのだ。そこでペンスキー御大は、インディカーとNASCARの両シリーズに働きかけ、両イベントのスケジュールを調整することまで考えているのだという。
少し前までは、”インディー/シャーロット・ダブル”は普通に行われていた。ところが、2005年からインディー500のスタートが1時間遅らされて正午になったため(2006年からはインディアナ州のサマー・タイム採用で午後1時スタートになっているが、前年までのサマー・タイム採用無しでの正午と同時刻)、一番最近の”ダブル”実現は、2004年のロビー・ゴードンによるものとなっている。
インディー500に出場すると、シャーロットでの決勝当日のドライバーズミーティングに出席できないため、NASCARのルールで最後尾グリッドからのスタートを強いられる。これをまず、NASCARサイドのスポンサーに理解してもらわねばならない。また、インディー500のスタートや進行が雨で遅れた場合など、どのような対処をするのか(インディーとNASCAR、どちらにどのような代役を立てるのか……など)、多方面からの了承を得なくてはならない。
スチュワート自身、1999年と2001年の2回、“ダブル”にトライをしている。1999年はインディーで9位、シャーロットで4位に入賞。2001年にはチップ・ガナッシ・レーシングからの出場でインディー=6位、シャーロット=3位だった。二度の挑戦とも両レースでトップ10入りするという素晴らしい成績をスチュワートは残しているわけだ。また、2004年には予選最終日に突然姿を現したスチュワートに対してAJ・フォイトがマシン提供を申し出、挑戦が急遽決まりかけた。最終的には、彼とシボレーの契約などからホンダ・エンジン搭載インディーカーでの走行は実現しなかった。
2013年のインディー/シャーロット・ダブルに関しては、いよいよNASCARのトップ・シリーズへのフルエントリーを開始するダニカ・パトリックにも計画がある。ダニカもNASCARではシボレー・ドライバーだ。
以上
2012年12月1日土曜日
2012-13 INDYCAR オフシーズン情報 11月17日 ストーブリーグニュース 11月版 シモーナ・デ・シルベストロがKVレーシング・テクノロジーに移籍
KVRTはカナーンとシモーナの2台体制に
EJ・ビソとルーベンス・バリケロの離脱が確定しているKVRTは、デ・シルベストロを迎えてトニー・カナーンとの2カー体制になる。HVMはスポーツカーでの活動を始める計画で(去年はコンクェスト・レーシングがそうやってインディーカーを去ってったなあ)、インディーカーも継続参戦の予定だが、ドライバーなどは現時点では未定。
グレアム・レイホールは父ボビー・レイホールのチームへと復帰
チップ・ガナッシ・レーシングのサテライト=いわゆるG2で2シーズンを走ったグレアム・レイホールだが、とうとう勝ち星を挙げることなく契約終了。2013年にはレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングに移籍する。つい最近の会見で彼のカー・ナンバーが「15」と発表されており、そのゼッケンをつかっていた佐藤琢磨は、来年も残留の方向と見られていたが、離脱の可能性もあると見られている。
G2のドライバー・ラインナップは?
グレアム・レイホールが抜けたG2、その穴を埋めるのはライアン・ブリスコーでは? この移籍が実現したら、G2もガナッシ全体もレベル・アップされることは間違いない。チーム・ペンスキーの情報も一気に手に入れることができるからだ。
セバスチャン・ブルデイはドラゴン残留。
セバスチャン・ブルデイはドラゴン・レーシングとの契約を継続し、シボレー・エンジン搭載でのフル・シーズンを戦う。キャサリン・レッグもドラゴンに残留のはずなので、同じドライバー2人を2年続けて起用する出場体制になる。
ルーベンス・バリケロはシュミットか?
ルーベンス・バリケロはF1復帰なんて話も近頃聞かれているが、シュミット・ハミルトン・モータースポーツ入りしてシモン・パジェノーとコンビを組むという噂がシーズン終了前から流れていたが??
以上
EJ・ビソとルーベンス・バリケロの離脱が確定しているKVRTは、デ・シルベストロを迎えてトニー・カナーンとの2カー体制になる。HVMはスポーツカーでの活動を始める計画で(去年はコンクェスト・レーシングがそうやってインディーカーを去ってったなあ)、インディーカーも継続参戦の予定だが、ドライバーなどは現時点では未定。
グレアム・レイホールは父ボビー・レイホールのチームへと復帰
チップ・ガナッシ・レーシングのサテライト=いわゆるG2で2シーズンを走ったグレアム・レイホールだが、とうとう勝ち星を挙げることなく契約終了。2013年にはレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングに移籍する。つい最近の会見で彼のカー・ナンバーが「15」と発表されており、そのゼッケンをつかっていた佐藤琢磨は、来年も残留の方向と見られていたが、離脱の可能性もあると見られている。
G2のドライバー・ラインナップは?
グレアム・レイホールが抜けたG2、その穴を埋めるのはライアン・ブリスコーでは? この移籍が実現したら、G2もガナッシ全体もレベル・アップされることは間違いない。チーム・ペンスキーの情報も一気に手に入れることができるからだ。
セバスチャン・ブルデイはドラゴン残留。
セバスチャン・ブルデイはドラゴン・レーシングとの契約を継続し、シボレー・エンジン搭載でのフル・シーズンを戦う。キャサリン・レッグもドラゴンに残留のはずなので、同じドライバー2人を2年続けて起用する出場体制になる。
ルーベンス・バリケロはシュミットか?
ルーベンス・バリケロはF1復帰なんて話も近頃聞かれているが、シュミット・ハミルトン・モータースポーツ入りしてシモン・パジェノーとコンビを組むという噂がシーズン終了前から流れていたが??
以上
2012年11月23日金曜日
2012-13 INDYCAR オフシーズン情報 11月6日 ランディー・バーナード解任問題その3 バーナード緊急排除の背景に迫る
バーナード排除の陰にちらつくスポンサーの陰
ランディー・バーナードがインディーカー・シリーズのCEOから引きずり降ろされた(既報)。この更迭は、なぜだか世間がビックリするほど唐突かつ強引に行われた。インディーカーは自らの評判がガタ落ちになる可能性も顧みず、「とにかくバーナードを放り出せ!」と行動した。
先日、このドタバタ劇の裏をアメリカのメディアが報じた。記事の内容は信憑性が高いように感じられた。バーナードが排除されることとなったのは10月最終週だったが、発表がなされる直前、インディーカーはシリーズに大口の支援をしている企業のひとつから、「どっちの方向性に進むにせよ、シリーズ内部の混乱にケリをつけろ。さもなければ私たちは手を引く」と迫られたのだという。すると役員会は、自分たちが選んでCEOの座に据えた男をいともアッサリ、無慈悲に放出することを決定、バーナードにそれを伝えた。「シリーズをサポートしてくれる=大枚をはたいてくれる企業を失うぐらいだったら何でもしますよ」ということだ。彼らはアタフタと、善後策の検討もなくトップ人事の変更を世間に発表した。バーナードは開いた口が塞がらなかったと思う。自分を守ってくれると信じていた役員会が突然心変わりし、彼を切る立場に翻った。「今までの苦労は何だったんだ?」、「もうやってられない」と彼はアドバイザーに引き下がることを了承、もうインディーカーとは関わらないと決めたのかもしれない。
ランディー・バーナードがインディーカー・シリーズのCEOから引きずり降ろされた(既報)。この更迭は、なぜだか世間がビックリするほど唐突かつ強引に行われた。インディーカーは自らの評判がガタ落ちになる可能性も顧みず、「とにかくバーナードを放り出せ!」と行動した。
先日、このドタバタ劇の裏をアメリカのメディアが報じた。記事の内容は信憑性が高いように感じられた。バーナードが排除されることとなったのは10月最終週だったが、発表がなされる直前、インディーカーはシリーズに大口の支援をしている企業のひとつから、「どっちの方向性に進むにせよ、シリーズ内部の混乱にケリをつけろ。さもなければ私たちは手を引く」と迫られたのだという。すると役員会は、自分たちが選んでCEOの座に据えた男をいともアッサリ、無慈悲に放出することを決定、バーナードにそれを伝えた。「シリーズをサポートしてくれる=大枚をはたいてくれる企業を失うぐらいだったら何でもしますよ」ということだ。彼らはアタフタと、善後策の検討もなくトップ人事の変更を世間に発表した。バーナードは開いた口が塞がらなかったと思う。自分を守ってくれると信じていた役員会が突然心変わりし、彼を切る立場に翻った。「今までの苦労は何だったんだ?」、「もうやってられない」と彼はアドバイザーに引き下がることを了承、もうインディーカーとは関わらないと決めたのかもしれない。
2012年11月19日月曜日
2012-13 INDYCAR オフシーズン情報 11月2日 ランディー・バーナード解任問題その2 なぜCEOから外されたのか? 不可解なその理由
成功裡に終わった2012シーズンだったが……
インディーカー=インディアナポリス・モーター・スピードウェイ=ハルマン&カンパニーがランディー・バーナードをクビした理由は何なんだろう? 5年契約のCEOを3年で辞めさせるんだから、そこにはシッカリとした理由がなきゃおかしい。でも、インディーカーはそれを明らかにしていない。ハルマン&Co.は先月末に役員会を急遽開き、バーナードのクビを何やら大急ぎで決めた。後任の候補者選びさえ始めていなかったんだから、そこまで慌ててクビにしなきゃならない事情があったはずなんだけど。
今年の夏、バーナードが「一部のオーナーたちが私をクビにしたがっている。ガッカリだ」とトゥイート。オーナーたちが結託して陰謀を企んでいることを彼は世間に知らしめた。でも、オーナーが集まって経営していたCARTじゃあるまいし、彼らの意向でシリーズCEOの首がすげ替えられるコトなんか起こり得ないと私は考えていた。
インディーカー=インディアナポリス・モーター・スピードウェイ=ハルマン&カンパニーがランディー・バーナードをクビした理由は何なんだろう? 5年契約のCEOを3年で辞めさせるんだから、そこにはシッカリとした理由がなきゃおかしい。でも、インディーカーはそれを明らかにしていない。ハルマン&Co.は先月末に役員会を急遽開き、バーナードのクビを何やら大急ぎで決めた。後任の候補者選びさえ始めていなかったんだから、そこまで慌ててクビにしなきゃならない事情があったはずなんだけど。
今年の夏、バーナードが「一部のオーナーたちが私をクビにしたがっている。ガッカリだ」とトゥイート。オーナーたちが結託して陰謀を企んでいることを彼は世間に知らしめた。でも、オーナーが集まって経営していたCARTじゃあるまいし、彼らの意向でシリーズCEOの首がすげ替えられるコトなんか起こり得ないと私は考えていた。
2012年11月14日水曜日
2012-13 INDYCAR オフシーズン情報 10月30日 ランディ・バーナーが突然CEOから外される 後任はベスルカスに
ハルマン&カンパニーの緊急役員会で突如決定
アメリカ時間の10月28日、インディーカーのランディー・バーナードが突如としてCEOの地位から引き摺り下ろされた。親会社のハルマン&カンパニーの緊急役員会で決定したという。インディーカーは、当面はインディアナポリス・モーター・スピードウェイ社長で、ハルマン&Co.役員のジェフ・ベルスカスがCEOを兼務する体制で行くことを発表した。
バーナードはインディーカーのアドバイザーというポジションが与えられるものの、何の職権も与えられない。早い話が放り出されたのだ。多くのポジティブをシリーズにもたらして来たバーナードが切られることとなった理由は何なのか? ずっと暗躍を続けて来ていた一部のチームオーナーたちの陰謀が成功したということなのか? トニー・ジョージ(今月20日にハルマン&カンパニーの役員から外れた)の復権はあるのか? ハルマン家及びジョージ家で何が起こった結果なのか? 詳細、新体制などなど、まだ不明な部分は多く、それらをわかり次第レポートして行きたい。
新シャシーの導入、エンジン競争の復活、レースカレンダーの充実、ダブルヘッダーやトリプルクラウン復活などのアイディア、新テレビ体制の確立など多くの功績があるバーナードだったのだが……。
以上
アメリカ時間の10月28日、インディーカーのランディー・バーナードが突如としてCEOの地位から引き摺り下ろされた。親会社のハルマン&カンパニーの緊急役員会で決定したという。インディーカーは、当面はインディアナポリス・モーター・スピードウェイ社長で、ハルマン&Co.役員のジェフ・ベルスカスがCEOを兼務する体制で行くことを発表した。
バーナードはインディーカーのアドバイザーというポジションが与えられるものの、何の職権も与えられない。早い話が放り出されたのだ。多くのポジティブをシリーズにもたらして来たバーナードが切られることとなった理由は何なのか? ずっと暗躍を続けて来ていた一部のチームオーナーたちの陰謀が成功したということなのか? トニー・ジョージ(今月20日にハルマン&カンパニーの役員から外れた)の復権はあるのか? ハルマン家及びジョージ家で何が起こった結果なのか? 詳細、新体制などなど、まだ不明な部分は多く、それらをわかり次第レポートして行きたい。
新シャシーの導入、エンジン競争の復活、レースカレンダーの充実、ダブルヘッダーやトリプルクラウン復活などのアイディア、新テレビ体制の確立など多くの功績があるバーナードだったのだが……。
以上
2012年10月30日火曜日
2012-13 INDYCAR オフシーズン情報 10月25日 タイヤに関するうわさ
2015年にコンチネンタルがサプライヤーに!?
少し前の話になるけれど、「インディーカーが将来のタイヤサプライヤーを探している」との記事がイギリスのモータースポーツ誌などに掲載された。インディーカーとファイアストンの契約は2014年いっぱいなので、まだ少し遠い先の話の気がするが、その後、「2015年以降はコンチネンタルに取って替わられるのでは?」と具体的な候補社名まで上がった。
1995年にPPG/CARTインディーカー・ワールド・シリーズに参入し、強敵グッドイヤーと闘って勝利! グッドイヤーはオープンホイールを諦め、ストックカーメインでやって行くことに方針転換を余儀なくされた。以来、「インディーカーのタイヤといえばファイアストン」となっていて、ドライバーやチームからの信頼はブ厚い。その上、ファイアストンはインディーカー自前の登竜門シリーズ=インディーライツのサポートもずっと続けて来ている。それでも違うタイヤメーカーへの交代というウワサが出たのには、何かがウラがあるはずだ。
少し前の話になるけれど、「インディーカーが将来のタイヤサプライヤーを探している」との記事がイギリスのモータースポーツ誌などに掲載された。インディーカーとファイアストンの契約は2014年いっぱいなので、まだ少し遠い先の話の気がするが、その後、「2015年以降はコンチネンタルに取って替わられるのでは?」と具体的な候補社名まで上がった。
1995年にPPG/CARTインディーカー・ワールド・シリーズに参入し、強敵グッドイヤーと闘って勝利! グッドイヤーはオープンホイールを諦め、ストックカーメインでやって行くことに方針転換を余儀なくされた。以来、「インディーカーのタイヤといえばファイアストン」となっていて、ドライバーやチームからの信頼はブ厚い。その上、ファイアストンはインディーカー自前の登竜門シリーズ=インディーライツのサポートもずっと続けて来ている。それでも違うタイヤメーカーへの交代というウワサが出たのには、何かがウラがあるはずだ。
2012年10月25日木曜日
2012年INDYCAR レビュー 第2弾 :チーム編 その1 アンドレッティ・オートスポート 「低迷からの脱却は本物か? カギ握るマルコ・アンドレッティの復活
2008年から続いていた低迷から脱しついに4度目のタイトル獲得
2010年シーズンからアンドレッティ・オートスポートを名乗るチームは、2003年からIRL(現インディーカー・シリーズ)に参戦を始めたアンドレッティ・グリーン・レーシングがその前身だ。彼らはIRL参戦2年目の2004年には早くもトニー・カナーンをチャンピオンの座に着け、2005年にはダン・ウェルドン、2007年にはダリオ・フランキッティとタイトルを獲得。この6年の間にインディー500で2勝(2005年=ウェルドン、2007年=フランキッティ)を挙げてもいる。
ところが、2008年から彼らは苦境に陥った。マシン作りの中核となっていたフランキッティがNASCAR挑戦を理由に離脱した上、資金不足のためにマシン開発の手を緩めたことが成績低下を招いた。さらには、成績不振が始まったチーム内でエンジニア間に不協和音が出て、首脳陣の一部でモチベーションがダウン。チーム全体の活気が失われていた。
マルコの復調が真のチーム復活へのカギ
2009年、AGRは1勝もできなかった。ここで元チャンピオンでチーム・オーナーのひとりのマイケル・アンドレッティが体制革新へと動いた。共同オーナーたちからチームの所有権を買い取り、彼ひとりで全権を掌握、トップチームの再建を目指すこととなったのだ。
すると2010年、彼らは2勝を挙げ、2011年には3勝、さらに2012年にはライアン・ハンター-レイが4勝してシリーズチャンピオンに輝いた。まるでトントン拍子で復活がなされたかに見えるが、彼らがスイスイと体制の立て直しに成功して来たわけではなく、実際にはまだまだ不安定な状態が続いている。今年の彼らによるチャンピオンシップ獲得は、新シャシーへの対応などでライバルチームにも不備があり、混沌としていたためになされたものだった。
本来なら、アンドレッティ・オートスポートというチームの中心となるべきは、アンドレッティ家の三代目=マルコ・アンドレッティの26号車チームのはずだ。しかし、マルコは父親や世間の期待とは正反対に、2012年にチーム内で最も実力を発揮できていないドライバーとなっていた。担当エンジニアのエディー・ジョーンズを開幕後に放出(成績が出ないとエンジニアをコロコロ換えるのはトニー・カナーン先輩の置き土産か)、チームのテクニカルディレクターであるアレン・マクドナルドがレースエンジニアにつけたが、それでもロードコースでのパフォーマンス不足は最後まで解消されなかった。
2010年シーズンからアンドレッティ・オートスポートを名乗るチームは、2003年からIRL(現インディーカー・シリーズ)に参戦を始めたアンドレッティ・グリーン・レーシングがその前身だ。彼らはIRL参戦2年目の2004年には早くもトニー・カナーンをチャンピオンの座に着け、2005年にはダン・ウェルドン、2007年にはダリオ・フランキッティとタイトルを獲得。この6年の間にインディー500で2勝(2005年=ウェルドン、2007年=フランキッティ)を挙げてもいる。
ところが、2008年から彼らは苦境に陥った。マシン作りの中核となっていたフランキッティがNASCAR挑戦を理由に離脱した上、資金不足のためにマシン開発の手を緩めたことが成績低下を招いた。さらには、成績不振が始まったチーム内でエンジニア間に不協和音が出て、首脳陣の一部でモチベーションがダウン。チーム全体の活気が失われていた。
マルコの復調が真のチーム復活へのカギ
2009年、AGRは1勝もできなかった。ここで元チャンピオンでチーム・オーナーのひとりのマイケル・アンドレッティが体制革新へと動いた。共同オーナーたちからチームの所有権を買い取り、彼ひとりで全権を掌握、トップチームの再建を目指すこととなったのだ。
すると2010年、彼らは2勝を挙げ、2011年には3勝、さらに2012年にはライアン・ハンター-レイが4勝してシリーズチャンピオンに輝いた。まるでトントン拍子で復活がなされたかに見えるが、彼らがスイスイと体制の立て直しに成功して来たわけではなく、実際にはまだまだ不安定な状態が続いている。今年の彼らによるチャンピオンシップ獲得は、新シャシーへの対応などでライバルチームにも不備があり、混沌としていたためになされたものだった。
本来なら、アンドレッティ・オートスポートというチームの中心となるべきは、アンドレッティ家の三代目=マルコ・アンドレッティの26号車チームのはずだ。しかし、マルコは父親や世間の期待とは正反対に、2012年にチーム内で最も実力を発揮できていないドライバーとなっていた。担当エンジニアのエディー・ジョーンズを開幕後に放出(成績が出ないとエンジニアをコロコロ換えるのはトニー・カナーン先輩の置き土産か)、チームのテクニカルディレクターであるアレン・マクドナルドがレースエンジニアにつけたが、それでもロードコースでのパフォーマンス不足は最後まで解消されなかった。
2012年10月17日水曜日
2012 INDYCAR シーズンレビュー 第1弾:チャンピオンの肖像――ライアン・ハンター-レイ――
Photo:INDYCAR LAT USA |
2012年のインディーカー・チャンピオンとなったライアン・ハンター-レイは、結構な苦労人だ。
フロリダ州の大西洋岸、マイアミとウェスト・パーム・ビーチの間にあるボカ・ラトンという町で育った彼は、1980年の12月生まれだから、もうじき32歳。現在はマイアミ寄りのフォート・ローダーデイルに住んでいる。
ワイフのベッキーさんは、オフロード界の伝説的ドライバー=ボブ・ゴードンの娘。つまり、オフロード、スポーツカー、インディーカー、ストックカーのすべてで活躍したロビー・ゴードンの妹。彼女自身もレース経験がある……というか、今年のパイクス・ピーク・ヒルクライムに出場していたから、いまだに現役レーサー。二世が生まれたら、やっぱりレースの世界へ……ってことになるんだろうなー。
ハンター-レイの趣味は、ゴルフ、サーフィン、スノーボード、シー・ドゥー(水上バイクの一種)、スクーバ・ダイビング、フィッシング……と思いっきりフロリダしていて、バブル的な匂いが漂う。苦労人と書いたけど、苦労したのはレーサーとしてのキャリアでだけなので。
子供時代にカートに熱中、ナショナル・チャンピオンにもなってフォーミュラ・ダッジ、バーバー・ダッジ、フォーミュラ・アトランティックを経て四輪のトップ・カテゴリーへ。トントンとそこまではかなり順調だった。しかし、トップに上がるタイミングは良くなかった。アメリカのオープンホイール・レースは、チャンプカー・シリーズとインディー・レーシング・リーグに分裂して、かなりの低迷期となっていたから。
チャンプカーでは、ルーキーイヤーから目覚ましい活躍をみせたが
それでも2003年、彼はチャンプカーにチーム・ヨハンソンから出場することができた。当時のIRLはオーバル専門シリーズだったので、ロードレース主体でオーバルもやるチャンプカーを選ぶのが彼にとってはロジカルだったかもしれない。でも、時代はこの年からIRL優勢へと一気にシフト。この時にチャンプカーを選んだ面々は、後々苦しい目に遭うことになる。
ハンター-レイはルーキー・イヤーに初勝利を挙げた(@サーファーズ・パラダイス)。いくらペンスキーやガナッシ、グリーンといった強豪チームがIRLへと引っ越してしまった後だとはいえ、ニューマン-ハースやフォーサイスが頑張っている中で勝ったのはちょっとした快挙だった。
2004、2005年も彼はチャンプカーで戦い、ミルウォーキーの1マイル・オーバルでキャリア2勝目を記録した。ところが、2006年を前にシート喪失の憂き目に遭う。チャンプカーの存続が危ぶまれ、出場チームの経営状況もそれに影響されて悪化して行き、スポンサーを持ち込まずにシートを確保するのはとても難しくなっていた。
2012年10月11日木曜日
オフシーズンもまだまだパワーアップ!ジャック・アマノのINDYCARメールマガジン・プレミアム10月号購読のお知らせ
INDYCARシリーズはシーズンオフを迎えていますが、ジャック・アマノのINDYCARレポート メールマガジン・プレミアムでは、オフシーズンならではの企画を配信予定。シーズン中に負けない配信本数でホットなINDYCAR情報を、ジャック・アマノならではの深い掘り下げでお届けします。
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2012年10月5日金曜日
2012 INDYCAR ニュース:2013年レースカレンダー発表 ロングレース3戦のトリプルクラウンが復活
トリプルクラウンに100万ドルの賞金が!
IZODインディーカー・シリーズの2013年レースカレンダーが正式に発表された。19戦のスケジュールで、3コースでダブルヘッダー開催。
ロングレース3戦の”トリプルクラウン”の設定が現実となり、この3戦を全制覇したドライバーには100万ドルの賞金が授与され、トリプルクラウン逃しても2レース優勝達成ドライバーには25万ドルの賞金が贈られることとなった。少々残念な気がするのは、最長レース3本=500マイルレースx3とはならなかった点。インディー500と最終戦のフォンタナは500マイルレースだが、1989年以来のインディーカー・イベントとなるポコノ・レースウェイでのレースは、テレビの放映枠に収めるために400マイルに設定されたからだ。
また、来シーズンからスタンディングスタートも一部導入される。ダブルヘッダーイベント(=デトロイト、トロント、ヒューストン)での土曜日のレースにスタンディングスタート方式を採用し、日曜日のレースは従来通りにローリングスタートとなる。
ダブルヘッダー開催は決まったものの、1週末に行われる2レース、それぞれのスターティググリッド決定方式(予選)についてはまだディテイールが決定していない。
アメリカ国内でのテレビ放映体制強化もなされた。
ABCがインディー500を含む6レースを放送し、その他の13戦をNBC系が受け持つ。
これでインディーカーはより多くの人々の目に触れることになる。参戦自動車メーカー、各チームやイベントへのスポンサー活動を行う企業群にとって嬉しいニュースだ。
まだ、20戦目が追加される可能性も…
最後に、19戦に追加される可能性のあるレースに関して。インディーカーCEOのランディー・バーナードは、ロード・アイランド州プロヴィデンスでのストリートレースか、ルイジアナ州ニュー・オーリーンズの新しい常設ロードコースサーキットでの20戦目も開催はまだ可能性が残されているとコメントした。しかし、カナダのケベック州でのストリートレースは、どうやら来年の開催はなさそう。つまり、来年のカナダでのレースはトロント戦のみとなる。そのトロントがダブルヘッダーとなったのはカナダのファンにとっては朗報か?
発表された2013年スケジュール
ラウンド数 / 日付 (曜日) / 開催地 / コースタイプ /放送網
1 3月24日(日) セント・ピーターズバーグ ストリート(NBC)
2 4月7日 (日) バーバー・モータースポーツ・パーク 常設サーキット(NBC)
3 4月21日(日) ロング・ビーチ ストリート(NBC)
4 5月5日(日) サン・パウロ ストリート(NBC)
5月18日(土) インディー500 オーバル 予選(NBC)
5月19日(日) インディー500 オーバル 予選2日目(NBC)
5 5月26日(日) インディー500 オーバル 決勝(ABC)
6 6月1日(土) デトロイト ストリート(ABC)
7 6月2日(日) デトロイト ストリート(ABC)
8 6月8日(土) フォート・ワース オーバル(ABC) ナイト・レース
9 6月15日(土) ミルウォーキー オーバル(NBC)
10 6月23日(日) アイオワ オーバル(ABC)
11 7月7日(日) ポコノ オーバル(ABC)
12 7月13日(土) トロント ストリート(NBC)
13 7月14日(日) トロント ストリート(NBC)
14 8月4日(日) ミッド・オハイオ 常設サーキット(NBC)
15 8月25日(日) ソノマ・レースウェイ 常設サーキット(NBC)
16 9月1日(日) ボルティモア ストリート(NBC)
17 10月5日(土) ヒューストン ストリート(NBC)
18 10月6日(日) ヒューストン ストリート(NBC)
19 10月19日(土) フォンタナ オーバル (NBC) ナイト・レース
IZODインディーカー・シリーズの2013年レースカレンダーが正式に発表された。19戦のスケジュールで、3コースでダブルヘッダー開催。
ロングレース3戦の”トリプルクラウン”の設定が現実となり、この3戦を全制覇したドライバーには100万ドルの賞金が授与され、トリプルクラウン逃しても2レース優勝達成ドライバーには25万ドルの賞金が贈られることとなった。少々残念な気がするのは、最長レース3本=500マイルレースx3とはならなかった点。インディー500と最終戦のフォンタナは500マイルレースだが、1989年以来のインディーカー・イベントとなるポコノ・レースウェイでのレースは、テレビの放映枠に収めるために400マイルに設定されたからだ。
また、来シーズンからスタンディングスタートも一部導入される。ダブルヘッダーイベント(=デトロイト、トロント、ヒューストン)での土曜日のレースにスタンディングスタート方式を採用し、日曜日のレースは従来通りにローリングスタートとなる。
ダブルヘッダー開催は決まったものの、1週末に行われる2レース、それぞれのスターティググリッド決定方式(予選)についてはまだディテイールが決定していない。
アメリカ国内でのテレビ放映体制強化もなされた。
ABCがインディー500を含む6レースを放送し、その他の13戦をNBC系が受け持つ。
これでインディーカーはより多くの人々の目に触れることになる。参戦自動車メーカー、各チームやイベントへのスポンサー活動を行う企業群にとって嬉しいニュースだ。
まだ、20戦目が追加される可能性も…
最後に、19戦に追加される可能性のあるレースに関して。インディーカーCEOのランディー・バーナードは、ロード・アイランド州プロヴィデンスでのストリートレースか、ルイジアナ州ニュー・オーリーンズの新しい常設ロードコースサーキットでの20戦目も開催はまだ可能性が残されているとコメントした。しかし、カナダのケベック州でのストリートレースは、どうやら来年の開催はなさそう。つまり、来年のカナダでのレースはトロント戦のみとなる。そのトロントがダブルヘッダーとなったのはカナダのファンにとっては朗報か?
発表された2013年スケジュール
ラウンド数 / 日付 (曜日) / 開催地 / コースタイプ /放送網
1 3月24日(日) セント・ピーターズバーグ ストリート(NBC)
2 4月7日 (日) バーバー・モータースポーツ・パーク 常設サーキット(NBC)
3 4月21日(日) ロング・ビーチ ストリート(NBC)
4 5月5日(日) サン・パウロ ストリート(NBC)
5月18日(土) インディー500 オーバル 予選(NBC)
5月19日(日) インディー500 オーバル 予選2日目(NBC)
5 5月26日(日) インディー500 オーバル 決勝(ABC)
6 6月1日(土) デトロイト ストリート(ABC)
7 6月2日(日) デトロイト ストリート(ABC)
8 6月8日(土) フォート・ワース オーバル(ABC) ナイト・レース
9 6月15日(土) ミルウォーキー オーバル(NBC)
10 6月23日(日) アイオワ オーバル(ABC)
11 7月7日(日) ポコノ オーバル(ABC)
12 7月13日(土) トロント ストリート(NBC)
13 7月14日(日) トロント ストリート(NBC)
14 8月4日(日) ミッド・オハイオ 常設サーキット(NBC)
15 8月25日(日) ソノマ・レースウェイ 常設サーキット(NBC)
16 9月1日(日) ボルティモア ストリート(NBC)
17 10月5日(土) ヒューストン ストリート(NBC)
18 10月6日(日) ヒューストン ストリート(NBC)
19 10月19日(土) フォンタナ オーバル (NBC) ナイト・レース
2012年10月3日水曜日
ジャック・アマノのインディーな1日:最終戦フォンタナ シーズン終了ディナーはクリスピー・クリーム・ドーナツ
Photo:Masahiko Amano=Amano e Associati |
クリスピー・クリーム・ドーナツ=KKが24時間営業だったとは! イン・アメリカ。もちろん、全店舗じゃないはずだしょ。でも、そういうアリガタイ店が今回の泊まり先の近くにあった。物騒な国なので深夜~早朝はドライブスルーだけの営業。ハンバーガーチェーンとかでもこういう店、結構多いんだよね。
しかし、まさかドーナツ屋が夜中の3時に開いてるとは。高速を降りたところで看板のネオンが点いてたんで、「開いてんのかな?」と近づいた。ダメなら隣りの Jack in the Boxで我慢するか、と。そしたら「OPEN」の文字も発見。ドライブスルーのレーンに入った。
オーダーしたのはオリジナル・グレイズド×2とコーヒー。コーヒーはエスプレッソのダブル。「アメリカのKKはエスプレッソまで商品ラインナップしてんのか」と感心。しかし、店が開いてたことだけでも感激してたのに、エスプレッソまであるとは! 感動ものだ。
6時前スタートのレースで夕飯を食べ損ね、プレスルームを出たのが夜中の2時。ホテルに着くのも待ち切れず、運転しながら箱を開けてドーナツに手を伸ばす……と、「あったかいじゃーん!」とまた感激。ドーナツって出来立ては美味しさ倍増以上だね。
ホテル到着は3時半。出来立てドーナツとおいしいコーヒーのおかげで、それからもう1本原稿やる元気を手に入れることができた。
オイシかったドーナツが忘れられず、帰国日の朝にも同じKKへ。今回は店内へ入れた。すると、キッチン部ガラス張りでドーナツを作る行程が見られるようになってた。子供が興奮気味に見てたら、店員さんが出来立てを1個と、お店の紙製の帽子をプレゼント。男の子、照れながらもニッコニコだった。私はお金を払って、作り立てホヤホヤを2個食べさせてもらった。
2012年9月18日火曜日
2012 INDYCAR インサイド情報&ニュース:なぜ、ウィル・パワーはタイトルが獲れないのか? 復活を果たしたアンドレッティ・オートスポーツとチーム・ペンスキー、トップチームの明暗を分けたものは??
レースだけに集中できる状況で最終戦に臨み、ハンター‐レイはタイトル獲得に成功した。 Photo:INDYCAR LAT USA |
最終戦前に2年間の契約延長を済ませていたハンター‐レイ
フォンタナでの最終戦で初タイトルを獲得する前に、ライアン・ハンター-レイはアンドレッティ・オートスポートとの契約を延長していた。さらに2シーズンを過ごすことを決意してチャンピオンの座を争うレースに臨んだということだ。
チーム・オーナーのマイケル・アンドレッティは、「ライアンと2013、2014年も一緒に戦うことになった。究極のチームプレイヤーである彼は、我々のチームにとって非常に重要な存在となっている。ライアン、マルコ(・アンドレッティ)、ジェイムズ(・ヒンチクリフ)の3人はこれからも協力し合い、チームをさらに大きな成功へと導いてくれると信じている」とのコメントを発していた。ハンター-レイは同じリリースで、「私はアンドレッティ・オートスポートというチーム、そして、チームのスポンサーの多くと深く関わって来ている。それらを今後さらに深めて行けることを楽しみにしている。来年から2年のことが決まっていることで、オフシーズンを存分に楽しむことができる。それは本当にうれしいことだ」と語った。
ハンター-レイにはペンスキー入りの噂があった。実際にオファーは出されていたようだ。つまり、ハンター-レイはそれを断った。ロジャー・ペンスキーは面子を潰されて衝撃を受け、マイケル・アンドレッティは優越感や満足感を手にしたことだろう。”キャプテン”のチームで走れることを拒むドライバーなど、少し前までなら考えられなかった。これはちょっとした事件だと言える。
チーム・ペンスキー、名声にふさわしい実績をまたも残せず
もっとも、近年のチーム・ペンスキーは、名声に見合うだけの高いパフォーマンスを発揮して来ていない。確かにウィル・パワーは3年連続でシリーズ・タイトルを争い、その前の年はライアン・ブリスコーが同じく最終戦までチャンピオン候補として戦っていたけれど、チーム・ペンスキーは6年連続でタイトルを獲得し損ねて来ているのだ。
ロジャー・ペンスキーは、自ら作ったCARTを放り出して02年に彼のチームをIRLへ引っ越した。03年にはアンドレッティたち(前身のアンドレッティ・グリーン・レーシングだったが)もそれに続いた。このころからの歴代チャンピオンを見ると、
02年 サム・ホーニッシュJr. パンサー・レーシング
03年 スコット・ディクソン チップ・ガナッシ・レーシング
04年 トニー・カナーン アンドレッティ・グリーン・レーシング
05年 ダン・ウェルドン アンドレッティ・グリーン・レーシング
06年 サム・ホーニッシュJr. チーム・ペンスキー
07年 ダリオ・フランキッティ アンドレッティ・グリーン・レーシング
08年 スコット・ディクソン チップ・ガナッシ・レーシング
09年 ダリオ・フランキッティ チップ・ガナッシ・レーシング
10年 ダリオ・フランキッティ チップ・ガナッシ・レーシング
11年 ダリオ・フランキッティ チップ・ガナッシ・レーシング
と、11シーズンでペンスキー・ドライバーがチャンピオンになったのはたったの1回だけ。対してガナッシは4年連続を含む5回、アンドレッティも2年連続を含めた3回のタイトル獲得を果たしている。2チームがペンスキーより好成績を残して来ているということだ。
もっとも、インディー500での優勝回数なら、通算12勝でも、上記の期間内の優勝数でもペンスキーはトップを保っている。しかし、それは02年のエリオ・カストロネベスによる疑惑の優勝を彼らの勝利と勘定した場合(今やそうせざるを得ないが)で、カウント期間を強豪たちが揃って参戦を始めた03年からの10年間に換えると、ペンスキーとガナッシは3勝でタイ。アンドレッティが2勝で続いている。
チームマネジメントの差で敗れたチーム・ペンスキー
固定化した3台体制に次なる一手はあるか??
大破したパワーのマシンを修復し、能力の高さを見せたチーム・ペンスキーだったが……。Photo:INDYCAR LAT USA |
パワーの決勝前のモチベーションもハンター‐レイに及ばなかったのか? Photo:INDYCAR LAT USA |
アンドレッティは07年に9勝を記録したが、2年後の09年には勝利ゼロだった。彼らはトップコンテンダーの座から転がり落ちても、3年をかけて再びチャンピオンチームに上り詰めることができた。しかし、成績不振に陥ったまま、二度とトップレベルに戻って来なくなるケースもレースの世界ではよく見られる。10年に同じく9勝を挙げたチーム・ペンスキーは、11年には6勝したものの勝てたのはパワーだけだった。そこから彼らは、エリオ・カストロネベスが2勝、ライアン・ブリスコーも1勝と全員が勝てる体制へと実力アップをさせて来た。アンドレッティがしたような一気の凋落が今すぐ起こることはなさそうな気配だ。しかし、彼らがタイトルを獲得するためには、13年に向けてチームを大きく改造したり、補強を行うなどのテコ入れが必要だろう。2カーへの縮小は復活を更に難しくするかもしれない。同じメンバーでの3カー維持でも飛躍は難しそうに見える。果たして、彼らの打つ手はどんなものになるのか。
再び、アンドレッティの時代を築いていく方策は?
アンドレッティが王座を保つためには、3カー体制をより強化することが必要だ。チャンピオンになって、ハンター-レイの存在感、影響力はチーム内で大きくなる。彼には更なるリーダーシップの発揮が求められる。来年もチーム内でのタイトル候補筆頭はハンター-レイになるが、チームメイト3人が揃って勝利を重ねられる体制へとレベルアップを目指さねばならない。マルコは最終戦でポールポジションを獲得、チームメイトに対して明らかに劣っていた窮地はそれなりに改善された。これは大きなプラス材料だ。ヒンチは移籍したばかりのビッグチームでもすぐさま居場所を確保、今シーズンも力を大きく伸ばした。彼のさらなる戦闘力アップも来年は楽しみだ。資金確保はまずまず順調に進めて来れているアンドレッティ・オートスポートなので、3人のドライバー全員がメリットを享受できるエンジニアリング体制を構築できれば、さらに勝利数は伸びて行くだろう。
2012年9月17日月曜日
2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント79 R15 MAV TV 500フォンタナ 決勝 「レースの時々のコンディションにうまく合わせることができて、非常に良かったですね。最後のふたつのリスタートではボルティモアと同じようにエンジンの息付きが始まって、苦しくなってしまいました」
R15 MAV TV 500
カリフォルニア州フォンタナ
オートクラブ・スピードウェイ
2マイル・スーパースピードウェイ×250周
決勝 7位 249周 クラッシュ リードラップ6周
21番グリッドから一気にトップ・グループへ
そして優勝争い、トラブル発生、そして悪夢の……
佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、フォンタナでも目覚ましいパフォーマンスを見せた。21番グリッドからスタートし、第1スティント終了時点でトップに立った。マシンを仕上げるエンジニアリングが良く、それにプラスして燃費良く走り続けた結果だ。
しかし、最後の最後に落とし穴が待っていた。ターン1~ターン2で琢磨がグリップを失ったのは、4位の座を賭けたバトルの中でだった。そして、それは今年のインディー500とまったく同様に最終ラップでの大きな出来事となってた。
「最後は純粋なトップスピード勝負になりましたが、
伸びしろがもう残ってなかった」
Jack Amano(以下――):最終ラップにクラッシュしてしまったのは本当に残念でしたね。
佐藤琢磨:はい。すみません。
――21番スタートからオーバーテイクを重ね、楽しいレースになっていたと思うんですが、どんなクルマになってたんですか?
佐藤琢磨:予選までであまりにもプラクティスが短かかった。1ヵ月前のテストでたくさんの収穫が得られてはいたんですけど、クルマ作りで後手々々に回ってしまっていて、レースに向けての満足の準備っていうものはできなかったんですけど、それでもプラクティスと予選、そして昨日の最後のプラクティスで非常に有用なデータ、感触を得て、そこから今日に向けてかなりまた大きくクルマを変えました。
もちろん、それでクルマが良くなると信じてエンジニアと一緒にやったんですけど、実際に走ってみないとマシンが良くなっているかはわからないっていうのが正直なところですよね。それでスタートをして、今日もまた暑いコンディションで、まだ陽がある中で結構クルマがスタビリティを持っていたので、思い切って攻めることができたし、それによって順位をひとつずつ上げることができたのはすごい良かったと思います。
一番心配していたのは、陽が落ちて気温が下がってからのクルマの動きでした。それに対しても、何とかレース中に調整をしながら、時々のコンディション、コンディションにうまく合わせられたと思います。そのあたりは非常に良かったですね。
ただ、最後はどんどん路面のグリップが上がって、全体的にペースが上がって来ると、ちょっとトップスピードが伸び悩んでる感じがあって自分たちは苦しかったのと、あと、最後のふたつのリスタートではボルティモアと同じようにエンジンの息付きが始まってしまったんです。今、その原因を調べてもらってますけど、あれによって順位を上げるどころか、大きく下げてしまった点はかなり苦しかったです。
――トップグループに入って行くのが早かった。第1スティントを終えるところでトップに立ちましたよね? 燃費もすごく良かった。スタート直後から本当にクルマが良かったという感じだったんですか?
佐藤琢磨:いや、徐々に良くなって行った。最後は伸びしろがもう残ってなかったというか、最後は本当に純粋なトップスピードの勝負になっていたので。路面もできあがって、路面温度も落ちて、結構色々なラインをみんなが取れるようになってから結構スピード勝負になっちゃって、エドとはかなりやり合ってたし、ガナッシの2台を抜いてタグリアーニと争ってたあたりが僕らとしてはベストの状況でした。あの後に最後のリスタートがあって、リスタートがあって、ちょっとトラブルが出始めて非常に苦しい展開になってしまったって感じです。あと、僕の走り方も、昨日のプラクティスだけでは練習時間が足りなくて、ハイレーンはまったく走れなかったんですけど、それが徐々にできるようになって、ラインをみつけて走っていました。レースを戦う上で、そういうマシンにできていた点は良かったです。
――最後は優勝が難しくなった感じもありながら、3位争いができていましたよね?
佐藤琢磨:そうですね。エンジンの息つきがなければリスタートで2、3位は行けてたと思います。さらに1位まで行けてたかどうかはちょっとわからないですけどね、やっぱり、リスタートでポンポンッと順位をふたつずつぐらい落としてしまって、最後の方は順位を確保するだけという苦しい戦いになっていました。
「赤旗解除でレースが再開された時、
僕のエンジンも息を吹き返していたので
よし、あと5周で上を狙うぞ、と思ってました」
――アクシデントはどのように?
佐藤琢磨:最終ラップで1~2コーナーへと入って行く時、僕とライアン・ハンター-レイサイド・バイ・サイドで、彼が僕の真上にいたんですけど、ふたりともラインをコーナーのエイペックスに向けて降ろして行くところでね、自分のリヤが旧にフラついてスピンしてしまいました。
――最後に赤旗が出て、もう一度リスタートをして、グリーンでゴールを迎えることが目指されましたが、佐藤選手としては、4位であのまま終わるより、チャンスを与えられることを希望してましたか?
佐藤琢磨:ちょっと微妙でした。あの時はもうトラブルが出始めてたから。一端ストップして、またエンジンをかけてっていう戦いができるかどうか、不安があったんですよ。でも、赤旗解除でレースが再開された時、僕のエンジンも息を吹き返していたので、よし、あと5周で上を狙うぞ、と思ってました。
「ものすごく良い経験となったシーズンでした
来年いい形でインディーカーにカムバックできるようオフを過ごしたいです」
――今シーズンはこれで終了ですが、どんなシーズンでしたか?
佐藤琢磨:悔しい、惜しいレースがたくさんあった1年。ただ、その代わり非常にコンペティティブに走れたところがたくさんあった。何度もレースをリードして、何度か表彰台を狙えれるチャンスがあったというところは大きな収穫だと思います。自分自身はようやく表彰台に乗り始めて、残るはもう優勝のみ。今日は、予選を戦った後までは非常に苦しいレースになるかな、とも思ったんですけど、レースは最後までわからないもので、終盤に僕らは良い走りができていました。ものすごく良い経験になったシーズンでした。
――来年については?
佐藤琢磨:シーズンが終わったばっかりですが、今シーズンの本当に良かったところ、悪かったところ、すべての反省点をもう1回見直して、僕自身、また来年のインディーカーで走れるように精一杯の良い形でカムバックできるようにオフを過ごしたいと思います。今年これだけ、何度もトップを奔って、可能性というか、チームと一緒にやって来てポテンシャルを見せられたと思うので、来年こシッカリ結果を残したいと思います。
カリフォルニア州フォンタナ
オートクラブ・スピードウェイ
2マイル・スーパースピードウェイ×250周
決勝 7位 249周 クラッシュ リードラップ6周
21番グリッドから一気にトップ・グループへ
そして優勝争い、トラブル発生、そして悪夢の……
佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、フォンタナでも目覚ましいパフォーマンスを見せた。21番グリッドからスタートし、第1スティント終了時点でトップに立った。マシンを仕上げるエンジニアリングが良く、それにプラスして燃費良く走り続けた結果だ。
しかし、最後の最後に落とし穴が待っていた。ターン1~ターン2で琢磨がグリップを失ったのは、4位の座を賭けたバトルの中でだった。そして、それは今年のインディー500とまったく同様に最終ラップでの大きな出来事となってた。
「最後は純粋なトップスピード勝負になりましたが、
伸びしろがもう残ってなかった」
Jack Amano(以下――):最終ラップにクラッシュしてしまったのは本当に残念でしたね。
佐藤琢磨:はい。すみません。
――21番スタートからオーバーテイクを重ね、楽しいレースになっていたと思うんですが、どんなクルマになってたんですか?
佐藤琢磨:予選までであまりにもプラクティスが短かかった。1ヵ月前のテストでたくさんの収穫が得られてはいたんですけど、クルマ作りで後手々々に回ってしまっていて、レースに向けての満足の準備っていうものはできなかったんですけど、それでもプラクティスと予選、そして昨日の最後のプラクティスで非常に有用なデータ、感触を得て、そこから今日に向けてかなりまた大きくクルマを変えました。
もちろん、それでクルマが良くなると信じてエンジニアと一緒にやったんですけど、実際に走ってみないとマシンが良くなっているかはわからないっていうのが正直なところですよね。それでスタートをして、今日もまた暑いコンディションで、まだ陽がある中で結構クルマがスタビリティを持っていたので、思い切って攻めることができたし、それによって順位をひとつずつ上げることができたのはすごい良かったと思います。
一番心配していたのは、陽が落ちて気温が下がってからのクルマの動きでした。それに対しても、何とかレース中に調整をしながら、時々のコンディション、コンディションにうまく合わせられたと思います。そのあたりは非常に良かったですね。
ただ、最後はどんどん路面のグリップが上がって、全体的にペースが上がって来ると、ちょっとトップスピードが伸び悩んでる感じがあって自分たちは苦しかったのと、あと、最後のふたつのリスタートではボルティモアと同じようにエンジンの息付きが始まってしまったんです。今、その原因を調べてもらってますけど、あれによって順位を上げるどころか、大きく下げてしまった点はかなり苦しかったです。
――トップグループに入って行くのが早かった。第1スティントを終えるところでトップに立ちましたよね? 燃費もすごく良かった。スタート直後から本当にクルマが良かったという感じだったんですか?
佐藤琢磨:いや、徐々に良くなって行った。最後は伸びしろがもう残ってなかったというか、最後は本当に純粋なトップスピードの勝負になっていたので。路面もできあがって、路面温度も落ちて、結構色々なラインをみんなが取れるようになってから結構スピード勝負になっちゃって、エドとはかなりやり合ってたし、ガナッシの2台を抜いてタグリアーニと争ってたあたりが僕らとしてはベストの状況でした。あの後に最後のリスタートがあって、リスタートがあって、ちょっとトラブルが出始めて非常に苦しい展開になってしまったって感じです。あと、僕の走り方も、昨日のプラクティスだけでは練習時間が足りなくて、ハイレーンはまったく走れなかったんですけど、それが徐々にできるようになって、ラインをみつけて走っていました。レースを戦う上で、そういうマシンにできていた点は良かったです。
――最後は優勝が難しくなった感じもありながら、3位争いができていましたよね?
佐藤琢磨:そうですね。エンジンの息つきがなければリスタートで2、3位は行けてたと思います。さらに1位まで行けてたかどうかはちょっとわからないですけどね、やっぱり、リスタートでポンポンッと順位をふたつずつぐらい落としてしまって、最後の方は順位を確保するだけという苦しい戦いになっていました。
「赤旗解除でレースが再開された時、
僕のエンジンも息を吹き返していたので
よし、あと5周で上を狙うぞ、と思ってました」
――アクシデントはどのように?
佐藤琢磨:最終ラップで1~2コーナーへと入って行く時、僕とライアン・ハンター-レイサイド・バイ・サイドで、彼が僕の真上にいたんですけど、ふたりともラインをコーナーのエイペックスに向けて降ろして行くところでね、自分のリヤが旧にフラついてスピンしてしまいました。
――最後に赤旗が出て、もう一度リスタートをして、グリーンでゴールを迎えることが目指されましたが、佐藤選手としては、4位であのまま終わるより、チャンスを与えられることを希望してましたか?
佐藤琢磨:ちょっと微妙でした。あの時はもうトラブルが出始めてたから。一端ストップして、またエンジンをかけてっていう戦いができるかどうか、不安があったんですよ。でも、赤旗解除でレースが再開された時、僕のエンジンも息を吹き返していたので、よし、あと5周で上を狙うぞ、と思ってました。
「ものすごく良い経験となったシーズンでした
来年いい形でインディーカーにカムバックできるようオフを過ごしたいです」
――今シーズンはこれで終了ですが、どんなシーズンでしたか?
佐藤琢磨:悔しい、惜しいレースがたくさんあった1年。ただ、その代わり非常にコンペティティブに走れたところがたくさんあった。何度もレースをリードして、何度か表彰台を狙えれるチャンスがあったというところは大きな収穫だと思います。自分自身はようやく表彰台に乗り始めて、残るはもう優勝のみ。今日は、予選を戦った後までは非常に苦しいレースになるかな、とも思ったんですけど、レースは最後までわからないもので、終盤に僕らは良い走りができていました。ものすごく良い経験になったシーズンでした。
――来年については?
佐藤琢磨:シーズンが終わったばっかりですが、今シーズンの本当に良かったところ、悪かったところ、すべての反省点をもう1回見直して、僕自身、また来年のインディーカーで走れるように精一杯の良い形でカムバックできるようにオフを過ごしたいと思います。今年これだけ、何度もトップを奔って、可能性というか、チームと一緒にやって来てポテンシャルを見せられたと思うので、来年こシッカリ結果を残したいと思います。
2012 INDYCAR レポート R15 MAV TV 500 フォンタナ 決勝 ドラマチックなシーズン・フィナーレ エド・カーペンター優勝! チャンピオン争いはハンター‐レイが制す
Photo:INDYCAR LAT USA |
気温:30~37℃
壮絶な戦いとなった500マイルレース
すごいレースだった! 6年間インディーカー・レースをやって来なかったフォンタナの2マイルオーバルは驚くほどバンピーに変わっていた。そこで新型シャシーを使ったレースは行われたわけだが、インディーカーの技術部門が巧みなエアロ・パッケージ・コントロールを行ったことと、ファイアストンの作るタイヤの絶妙なライフの長さによって、順位変動の目まぐるしい、誰が勝つかわからないレースとなった。
エド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)が優勝! どれだけ予測のつきにくいレースになっていたかは、このウィナーの名前を聞けばわかるでしょう。もちろん、彼はオーバルでは速いんだけれど。
最終ラップにダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)をパスしての優勝。去年のケンタッキーでのキャリア初優勝の時と同じ。
今日のエドが大きな喜びに包まれていたのは、キャリア2勝目を自らがオーナーを務めるチームで記録できたから。去年の勝利はサラ・フィッシャー・ハートマン・レーシングでのものだった。彼女たちに初勝利をもたらした、そういう価値ある勝利でもあった、
結成初年度に優勝。これは素晴らしいことだ。
予選9位だったカーペンターだが、ファイナルプラクティスではトップタイムを出していた。トラフィックでのマシンの仕上がりが良かったということ。ロードコースではからっきしダメなエドだけれど、オーバルではデビューイヤーから速さを発揮している。そして、それはシャシーが新型に代わっても保たれている。
残り6周、ラストチャンスで逆転勝利
残り6周でレースが再開されると、フランキッティは赤旗前と同じ強さでトップを走り続けた。トップでホワイトフラッグを受けた。ところが、その後にカーペンターが強烈なアタックを敢行。ターン2でトップを奪った。
そして、トップ交代劇の直後に佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)がターン2でクラッシュ。レースはそこで終了。カーペンターが勝者となった。「去年の11月に生まれたばかりの新しいチームで勝てた。本当にうれしい」とカーペンター。「インディーは自分のミスで勝ち損ねた。今日、こうして勝つことができて最高の気分だ」。
ウィル・パワー自滅! 3年連続でタイトルを逃す
チャンピオン争いはライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)が制した。22番手スタートから4位でゴールして。
Photo:INDYCAR LAT USA |
Photo:INDYCAR LAT USA |
2012年9月16日日曜日
2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント78 R15 MAV TV 500フォンタナ Day1 プラクティス2「サバイバル度が高いレースになると思いますが、今回のプラクティスでいいデータが取れたのでそれで臨みます」
R15 MAV TV 500
カリフォルニア州フォンタナ
オートクラブ・スピードウェイ
2マイル・スーパースピードウェイ×250周
Day1 プラクティス2
14位 210.940mph(=約339.402km/h)
エンジン交換で決勝は21番グリッドからのスタートに
金曜日夕方のファイナルプラクティス、佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は40周の走り込みを行なった。ベストは210.940mphで14番手だったが、多くのデータを収集。それらをレースに向けてのセッティングに役立てることとなる。エンジン交換のペナルティで10グリッドの降格がある琢磨は、決勝レースに21番グリッドから
スタートして行く。
「良くなるであろうというセットアップをかなり施して行ったんだけど、
完全に手放しで喜べるほどではまだないですね」
Jack Amano(以下――):40周を走ったファイナルプラクティスでしたが、トラフィックを走れた度、その中でのマシンに対する満足度はどうでしたか?
佐藤琢磨:うーん、そんなに激しいトラフィックに入れなかったんですよね。なんだかまた、例によってタイミングが悪くて。単独走行に近い状態と、数台の後ろに着いたりはしたんだけど、結構抜くのは難しいですね。
――タイヤはどうでしたか?
佐藤琢磨:最初のフレッシュの状態の時はすごいグリップもあって、古いタイヤで走っているマシンとのスピード差も大きい。1回走って来て、次に出てく時のタイヤはもう全然グリップ感がない。フレッシュにしても最初の3、4、5周ぐらいでもうタイヤのグリップがダーッと落っこちちゃう。
――落っこちた後はどうなるんでしょう?
佐藤琢磨:厳しいですよ。最初に右フロントがギブアップしてアンダーステアが酷くなって行くんですけど、それを例えばツールを使って直そうとしても、リヤのスタビリティがどんどんなくなっちゃう。そうなると今度は右リヤが酷くなって来て、どっちにも動けないってことになりますね。
――落ち始めてからは全体的にどんどん落ち続けて行くって感じですか。じゃ、ラップタイムも1スティントの中で大きく変わって来る。
佐藤琢磨:うん、10マイル近く差があるかもしれない。
――だからってピット回数を多くしてフレッシュタイヤを多く投入したら有利になるってものでもない。
佐藤琢磨:そう。グリーンの状態でピットストップが2回とか増やした場合、そこまでコース上でリカバーできないと思う。さっき言った通り、タイヤは5ラップぐらいしか本当に高いグリップが持たないから、あまり意味ないですよね。ニュータイヤはすごい速いんだけども、そのグリップに頼っている走りだとヤッパリ厳しい。クルマのメカニカルグリップを上げて、エアロダイナミクスの安定感も出してあげないと。そういう意味では、良くなるであろうというセットアップをかなり施して行ったんだけど、完全に手放しで喜べるほどではまだないですね。
――このセッション、結構ステイアウトしていたというか、長く走ってたのはタイヤの状況を一番見たいと考えたからなんですか?
佐藤琢磨:そうです。あと、トラフィックに入った時のクルマの動きを見たかったっていうのもありましたけど、でもやっぱり後ろに着くとフロントのグリップもなくなるし、全体的なスタビリティもなくなって、バンプを越える時にクルマが簡単にスライドし始めるし、ドライビングはすごく難しいですね。
「ボトムのラインは一番グリップが高い感じ
第2レーンは滑りやすい。第3レーンは安定するけど
それなりのマシンと練習が必要で難しい」
――バンプっていうのはコース全体で結構あるんですか? 画像だとバックストレッチがかなりすごいみたいですけど?
佐藤琢磨:バックストレッチでみんな跳ねてるでしょ? その状態のまま、揺れが残ったまんまコーナーに入って行かなきゃならない。不思議なことにボトムのラインは一番グリップ感じは高いですね。第二レーンは滑り易い。コースに繋ぎ目があるんですけど、そこに入るとマシンがフラフラになっちゃう。それを避けて第三レーンに行くとちょっとは安定するんですけど、第三レーンは高いスピードを維持して行くにはそれなりのマシンと練習が必要。僕も少しトライしたけど、相当難しいですね。何人かが高いところをキープして速く走ってますよね。でも、彼らもアクセルは結構抜いている。まぁ、抜いてても下でグチャグチャしている時には、上を走れる人はストレートに出た時に有利ですよね。僕はそこまではまだ行けてなかったですね。
――明日のレース中、タイヤラバーがさらに乗って、気温も路面も温度が低くなって行くと、コンディションとしてはタイヤには多少優しくなるんですよね?
佐藤琢磨:でグラデーションは大分落ち着くでしょうね。でも、そうなると今度はペースも上がって来るのでね、またタイヤに対しては厳しくなっちゃうところがある。ただ、タイヤの劣化は小さくなるでしょうね、気温が下がれば。
――夕日がターン4に沈みますが、視界はかなり厳しいですね、レース序盤。
佐藤琢磨:全然見えない、逆光で。レーススタートしてから1時間半とかになるのかな?
――バック・ストレッチでターン3側が見えない。
佐藤琢磨:バックストレッチからターン3へのターンインが見えないです。イエローも見るのは大変。ランプが点いても薄暗いというか……。
――かなりサバイバル度の高いレースになりそうですか?
佐藤琢磨:うーん、そうですね。ここはあんまりイエローが出ないことで有名だったみたいですね、過去のレースでは。でも、今回極端にダウンフォースが低いので、プラクティスでもクラッシュが続出している通り、レースでもその可能性はあります。ただ、気温が下がってからは安定すると思いますけど。
――フィニッシュすることが第一の目標というところですか?
佐藤琢磨:はい。まぁ、今日のファイナルプラクティスでかなり良いデータは取れたと思うので、それでやるしかないです。
カリフォルニア州フォンタナ
オートクラブ・スピードウェイ
2マイル・スーパースピードウェイ×250周
Day1 プラクティス2
14位 210.940mph(=約339.402km/h)
エンジン交換で決勝は21番グリッドからのスタートに
金曜日夕方のファイナルプラクティス、佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は40周の走り込みを行なった。ベストは210.940mphで14番手だったが、多くのデータを収集。それらをレースに向けてのセッティングに役立てることとなる。エンジン交換のペナルティで10グリッドの降格がある琢磨は、決勝レースに21番グリッドから
スタートして行く。
「良くなるであろうというセットアップをかなり施して行ったんだけど、
完全に手放しで喜べるほどではまだないですね」
Jack Amano(以下――):40周を走ったファイナルプラクティスでしたが、トラフィックを走れた度、その中でのマシンに対する満足度はどうでしたか?
佐藤琢磨:うーん、そんなに激しいトラフィックに入れなかったんですよね。なんだかまた、例によってタイミングが悪くて。単独走行に近い状態と、数台の後ろに着いたりはしたんだけど、結構抜くのは難しいですね。
――タイヤはどうでしたか?
佐藤琢磨:最初のフレッシュの状態の時はすごいグリップもあって、古いタイヤで走っているマシンとのスピード差も大きい。1回走って来て、次に出てく時のタイヤはもう全然グリップ感がない。フレッシュにしても最初の3、4、5周ぐらいでもうタイヤのグリップがダーッと落っこちちゃう。
――落っこちた後はどうなるんでしょう?
佐藤琢磨:厳しいですよ。最初に右フロントがギブアップしてアンダーステアが酷くなって行くんですけど、それを例えばツールを使って直そうとしても、リヤのスタビリティがどんどんなくなっちゃう。そうなると今度は右リヤが酷くなって来て、どっちにも動けないってことになりますね。
――落ち始めてからは全体的にどんどん落ち続けて行くって感じですか。じゃ、ラップタイムも1スティントの中で大きく変わって来る。
佐藤琢磨:うん、10マイル近く差があるかもしれない。
――だからってピット回数を多くしてフレッシュタイヤを多く投入したら有利になるってものでもない。
佐藤琢磨:そう。グリーンの状態でピットストップが2回とか増やした場合、そこまでコース上でリカバーできないと思う。さっき言った通り、タイヤは5ラップぐらいしか本当に高いグリップが持たないから、あまり意味ないですよね。ニュータイヤはすごい速いんだけども、そのグリップに頼っている走りだとヤッパリ厳しい。クルマのメカニカルグリップを上げて、エアロダイナミクスの安定感も出してあげないと。そういう意味では、良くなるであろうというセットアップをかなり施して行ったんだけど、完全に手放しで喜べるほどではまだないですね。
――このセッション、結構ステイアウトしていたというか、長く走ってたのはタイヤの状況を一番見たいと考えたからなんですか?
佐藤琢磨:そうです。あと、トラフィックに入った時のクルマの動きを見たかったっていうのもありましたけど、でもやっぱり後ろに着くとフロントのグリップもなくなるし、全体的なスタビリティもなくなって、バンプを越える時にクルマが簡単にスライドし始めるし、ドライビングはすごく難しいですね。
「ボトムのラインは一番グリップが高い感じ
第2レーンは滑りやすい。第3レーンは安定するけど
それなりのマシンと練習が必要で難しい」
――バンプっていうのはコース全体で結構あるんですか? 画像だとバックストレッチがかなりすごいみたいですけど?
佐藤琢磨:バックストレッチでみんな跳ねてるでしょ? その状態のまま、揺れが残ったまんまコーナーに入って行かなきゃならない。不思議なことにボトムのラインは一番グリップ感じは高いですね。第二レーンは滑り易い。コースに繋ぎ目があるんですけど、そこに入るとマシンがフラフラになっちゃう。それを避けて第三レーンに行くとちょっとは安定するんですけど、第三レーンは高いスピードを維持して行くにはそれなりのマシンと練習が必要。僕も少しトライしたけど、相当難しいですね。何人かが高いところをキープして速く走ってますよね。でも、彼らもアクセルは結構抜いている。まぁ、抜いてても下でグチャグチャしている時には、上を走れる人はストレートに出た時に有利ですよね。僕はそこまではまだ行けてなかったですね。
――明日のレース中、タイヤラバーがさらに乗って、気温も路面も温度が低くなって行くと、コンディションとしてはタイヤには多少優しくなるんですよね?
佐藤琢磨:でグラデーションは大分落ち着くでしょうね。でも、そうなると今度はペースも上がって来るのでね、またタイヤに対しては厳しくなっちゃうところがある。ただ、タイヤの劣化は小さくなるでしょうね、気温が下がれば。
――夕日がターン4に沈みますが、視界はかなり厳しいですね、レース序盤。
佐藤琢磨:全然見えない、逆光で。レーススタートしてから1時間半とかになるのかな?
――バック・ストレッチでターン3側が見えない。
佐藤琢磨:バックストレッチからターン3へのターンインが見えないです。イエローも見るのは大変。ランプが点いても薄暗いというか……。
――かなりサバイバル度の高いレースになりそうですか?
佐藤琢磨:うーん、そうですね。ここはあんまりイエローが出ないことで有名だったみたいですね、過去のレースでは。でも、今回極端にダウンフォースが低いので、プラクティスでもクラッシュが続出している通り、レースでもその可能性はあります。ただ、気温が下がってからは安定すると思いますけど。
――フィニッシュすることが第一の目標というところですか?
佐藤琢磨:はい。まぁ、今日のファイナルプラクティスでかなり良いデータは取れたと思うので、それでやるしかないです。
2012 INDYCAR レポート:R15 MAV TV 500 フォンタナ エントリー & マシン・カラーリング
最終戦は26台がエントリー
最終戦MAVTV500にエントリーしたのは26台。レギュラー25台にセバスチャン・サーヴェドラを加えたラインアップだ。
サーヴェドラはAFSレーシング/アンドレッティ・オートスポートから今シーズン3回目の出場(インディー500、ソノマに続き)だ。
彼のマシンは赤&黄のAFSカラーで変わらず。ただ、サイドポッドにはカラフルなコロンビア(サーヴェドラの母国)のロゴが今回は貼られている。カーナンバーも先の2戦と変わらずの17番をつける。
ペンスキー勢、今回はライアン・ブリスコーがIZODカラーで参戦。エリオ・カストロネベスはオート・クラブ・スピードウェイだけあってAAA(トリプル・エイ=アメリカン・オートモビル・アソシエイション)がメイン・スポンサーだ。
マイク・コンウェイ、オーバル辞退でカニンガムが搭乗
14号車はドライバーがレギュラーのマイク・コンウェイから、ピンチ・ヒッターのウェイド・カニンガムに代わっている。フォンタナでのテストを終えた後、コンウェイがスーパー・スピードウェイでのレース出場を辞退したカタチ。超高速オーバルを自信を持って、思う存分走ることができないということで‥‥。
22号車は黒ベースに、銀色のロゴでフォンタナに現れた。メインスポンサーはモテギ・レーシング=今回がDRRのマシンに初登場。
モテギ・レーシングは、ウィール・プロス社が持つ数多くのブランドのひとつで、スポーツコンパクト用のレーシング&アフター・マーケット・アロイ・ウィールだ。
彼らはインディーカーでウィル・パワー(チーム・ペンスキー)、アレックス・タグリアーニ(ブライアン・ハータ・オートスポート)のパーソナル・スポンサーともなっている.
最終戦MAVTV500にエントリーしたのは26台。レギュラー25台にセバスチャン・サーヴェドラを加えたラインアップだ。
サーヴェドラはAFSレーシング/アンドレッティ・オートスポートから今シーズン3回目の出場(インディー500、ソノマに続き)だ。
彼のマシンは赤&黄のAFSカラーで変わらず。ただ、サイドポッドにはカラフルなコロンビア(サーヴェドラの母国)のロゴが今回は貼られている。カーナンバーも先の2戦と変わらずの17番をつける。
ペンスキー勢、今回はライアン・ブリスコーがIZODカラーで参戦。エリオ・カストロネベスはオート・クラブ・スピードウェイだけあってAAA(トリプル・エイ=アメリカン・オートモビル・アソシエイション)がメイン・スポンサーだ。
マイク・コンウェイ、オーバル辞退でカニンガムが搭乗
14号車はドライバーがレギュラーのマイク・コンウェイから、ピンチ・ヒッターのウェイド・カニンガムに代わっている。フォンタナでのテストを終えた後、コンウェイがスーパー・スピードウェイでのレース出場を辞退したカタチ。超高速オーバルを自信を持って、思う存分走ることができないということで‥‥。
22号車は黒ベースに、銀色のロゴでフォンタナに現れた。メインスポンサーはモテギ・レーシング=今回がDRRのマシンに初登場。
モテギ・レーシングは、ウィール・プロス社が持つ数多くのブランドのひとつで、スポーツコンパクト用のレーシング&アフター・マーケット・アロイ・ウィールだ。
彼らはインディーカーでウィル・パワー(チーム・ペンスキー)、アレックス・タグリアーニ(ブライアン・ハータ・オートスポート)のパーソナル・スポンサーともなっている.
2012年9月15日土曜日
2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント77:R15 MAV TV 500 フォンタナ Day1 予選「プラクティスからマシンを変えたので、あまりにもわからない状態で予選に臨むことになり相当緊張感のある予選となりました。ピットからコースへと出て行って、グリップ感とバランスを確認して、グリーンフラッグからアタックに入る時には、かなり攻め込んで行けるだろうなっていうのは予想できました」
Photo:INDYCAR LAT USA |
R15 MAV TV 500
カリフォルニア州フォンタナ
オートクラブ・スピードウェイ
2マイル・スーパースピードウェイ×250周
Day1 予選
16位 1分07秒5354 213.222mph(=約343.072㎞/h)
予選16位ながら、トップとの差はプラクティス1から大幅に接近
プラクティス1でトップだったライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキーのベスト・ラップは平均時速217.517mph(=約349.985㎞/h)だった。対する佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)のプラクティス1で出したベストは、平均時速210.939mph(=約339.401㎞/h)。スピードで時速6.5mph(=約10.5㎞/h)、時間だと2マイルのコースを1周走っただけで1.0323秒もの差をつけられていた。
しかし、予選ではポールポジションのマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)に対し、琢磨はスピードで2.847mph(=約4.581㎞/h)差まで詰め寄ってみせた。2ラップ連続アタックのラップタイムの差を1周平均約0.4550秒にまで縮めたのだ。19周しか走れなかった予選日午前中のプラクティス1のデータから、琢磨&RLLはマシンを大幅に向上させた。もちろん、まだトップ争いには程遠いタイム差が存在するが、レースウィークエンド期間中にトップチームとの差を削り取ることができるのは、そのチーム及びドライバーの持つ能力を証明するものだと言える。
この調子でファイナルプラクティスを走り、更に集めたデータを基にマシンを作り上げることができれば、明日の決勝、琢磨は上位でのバトルを行えることとなる可能性が十分にある。
「予選としてはほぼ満足いくバランスで、僕も攻め込めました」
Jack Amano(以下――):213mph台までスピードを伸ばしました。自らの予選をどう評価しますか?
佐藤琢磨:良かったと思いますよ。もちろん、スピード的には満足できるもいのじゃないかもしれないけど、あまりにも走れてないプラクティスで、
1ヶ月前のテストから、ほとんどのチームが水曜のテストを走って仕上げて来ているのに対して、僕らはもう午前中にやりたいことが山ほどあったのにできない状態でほとんどブッツケ本番という状態でクォリファイとなってたから、予選としてはほぼ満足の行くバランスで、僕自身としても攻め込めたと思います。
――マシンセッティングの方向性もだいたい定まったというところですか?
佐藤琢磨:そうですね。それは非常にポジティブだったと思います、今朝のプラクティスでは確認ができなかったんだけれども、予選に向けて良いだろうとされえる幾つかのセッティングを組み合わせて、結果的にこれまでここを走った中でベストのスピードが出ているので、これをキープして、夕方のセッションでもうステップ、スタビリティのあるクルマにして行きたいです。
――今日のうちにファイナルプラクティスがありますが、そこでは何をしますか?
佐藤琢磨:気温はまだ高いと思いますが、マシンがトラフィックの中でどういう動きをするのか、やったことがないので、そこを知って、良くする事がレースを戦う上では鍵になりますね。
――プラクティス1から予選へマシンセッティングを変えた。すると、走ったことのないセッティングですから、アタックへと向かうウォーム・アップ・ラップから難しいものになっていたんじゃないですか?
佐藤琢磨:そうですね。あまりにもわからない状態で予選に行くということになったので、相当緊張感があった予選になってました。まぁ、ピットからコースへと出て行って、ウォーム・アップ・ラップからグリップ感とバランスを確認して、グリーン・フラッグからアタックに入る時には、かなり攻め込んで行けるだろうなっていうのは予想できました。
「これで次のセッションに向けて自信を持って車のセットアップに取り掛かれます」
――コンディションはどうでしたか? 風の状況とか。
佐藤琢磨:朝の最後よりは風も穏やかだったと思いますし、路面の温度はほとんど変わらなかったと思いますけど、僕が感じたグリップ感じみたいのはかなり上がってる。それはクルマも相当変えてったっていうのもあるので、非常に朝のプラクティスを考えれば良い方向に向かったと思います。
――では、ファイナルプラクティスを前にホッとできた予選になってたわけですね?
佐藤琢磨:少し安心できたというか、これで次のセッションに向けて自信を持ってクルマのセットアップに取りかかれるというかね、有用なデータをこの予選で穫れたと思います。
――今朝の時点では1台で走るのも大変という話でしたけど、2列でのスタートなど、レースに向けてはどうでしょう?
佐藤琢磨:スタートはスピードがそんなに高くないので大丈夫だと思いますけど、多くのマシンが前にいるので、ある程度の不安はあります。それよりもパックになった時ですね、問題があるとすれば。ファイナルプラクティスでトラフィックの中でも動きの良いマシンとでたら、インディーの時みたく追い上げて行くレースができると思います.
2012 INDYCAR レポート R15 MAV TV 500 フォンタナ Day1 予選:マルコ・アンドレッティがキャリア2度目のポールポジション。佐藤琢磨はプラクティス時よりもマシンを向上させて16位
Photo:INDYCAR LAT USA |
マルコ、4年ぶり2度目のポールポジション
ポールポジションはマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)! キャリア2回目とは意外。それも、初のポールは4年も前の2008年、ミルウォーキーだった。つまり、マルコってロードコースではまだポール獲ったことがない。勝利はロード、オーバルそれぞれ1回ずつある。
「嬉しい。特に今シーズンの戦いぶりを考えるとね。とても厳しいシーズンになってるから」とマルコは話した。「このポールは自信に繋がるよ」。そう、彼は自身を失いかけていた。かなり危ない状況に追い込まれていた。今年はパフォーマンスでチームメイトたちに大きく劣るレースばかりを見せて来ているのだ。
アタック1周目が今日のブッチギリで最速の217.934mph! 単独でのスピードとしては驚異的だった。しかし、2周目は214mph台までダウン。それでもポールってところがマルコらしいといえば、らしい。
ポールを獲得した2ラップの平均時速は216.069mphで、216.058mphだったライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)は惜しくも2位に敗れた。両者を2ラップの合計タイムで比較すると、その差は0.0029秒しかなかった。
ウィル・パワーは3番手。しかしエンジン交換で10グリッド後退
ハンター-レイは17番手でエンジン交換もあり22番グリッドからのスタートに
予選3位はポイント・リーダーのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)。ただし、彼はエンジン交換のペナルティを受けるのでスターティング・グリッドは13番手になる。
もっとも、ポイント2位のライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は、チームメイトがポールだったのに17番手と苦戦。しかも、彼にも10グリッド降格ペナルティが課せられるので、22番グリッドからのスタートとなる。
佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、予選16位だった。22台が参加した水曜日の合同テストに参加しなかったため、マシンセッティングを突き詰めることができていなかった。その上、朝のプラクティスがフルコースコーションなどで短くなり、作業はさらに制限された。苦しい状況でも琢磨とレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングはエンジニアリング能力を発揮し、予選でのマシンはプラクティス時より2mph以上速くなっていた。
「プラクティスはもっと走りたかったのに走れなかった。やりたいことが山ほどあったのに、ほとんどやれなかった。それでも予選での自分たちの到達したスピードには満足してます」と琢磨は話した。「高い気温と路面温度で、路面のグリップも低かったけれど、マシンのバランスもまずまずだった。あとはファイナルプラクティスでレース用のセッティングを詰めます」。
2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント76 R15 MAV TV 500 フォンタナ Day1 プラクティス1「ほとんど何もできないまま終わってしまいました。予選は様子を見ながら、テストセッション的な要素が大きいものになりそうです」
R15 MAV TV 500
カリフォルニア州フォンタナ
オートクラブ・スピードウェイ
2マイル・スーパースピードウェイ×250周
Day1 プラクティス1
17位 34秒1331 210.939mph(=339.401km/h) 19周走行
予選前唯一のプラクティスで思うように周回数をこなせず
インディーカーは水曜にフォンタナでのテスト(参加は任意)を設定したことから、公式日程の金曜は走行セッション数が少ないスケジュールを採用した。ただし、各セッションの時間は長めにセットされている。1回目が90分間、ファイナルは45分間だ。
予選に向けた準備ができるのは今日の最初のセッションだけ。レース用セッティングのファインチューニングは予選後のファイナルプラクティスでやれ、ということだ。
佐藤琢磨とレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングは、90分間のプラクティスで狙っていた通りのマシンを作り上げることができなかった。限られたデータから予選用セッティングをひねり出さなくてはいけない。
「ダウンフォースはすでに目いっぱいですが、まったく踏めません」
Jack Amano(以下――):90分あったプラクティス・セッションでしたが、意外と周回数は少なかったですね。19周でした。
佐藤琢磨:少なかったですね。走りたかったんだけど、走れなかった。最初、1回目のランで3~4周でピットに帰って来たのは、前のテストと比べて風向きも変わった事もあって、全体的なスピードも上がってたんでギヤレシオの交換をしたんです。その後には、ホンダ・ユーザーの間でマッピングのキャリブレーションをしなくちゃいけなくて、それで待ちの時間が長かったですね。それから、イエローも何度か出たし、コース上でのアクシデントもあったりで、ほとんど出て行けなかった。テスト・アイテムは山のようにあるんですよ、僕らは一昨日のテストがを走れなかったのでね。でも、ほとんど何もできないままでした。最後の走行もニュータイヤで出てったんだけど全然スピードが伸びなくて、クルマはフラフラだし……次は予選て言われてもね、2010年のもてぎの予選みたいだね、まったくわからない状態のまま試さないと行けないんで。ホント、どこまで(アクセルを)踏んで行けるかわからないですね。非常に不安定で怖いです。
――ソノマでのレースの前に来たテストの時と、今回のフォンタナ用にインディーカーが決定したエアロパッケージは結構違うんですか? 似てるんですか?
佐藤琢磨:えーっとねぇ、僕らは同じですね。ほぼ同じ。ソノマのテストの後に来た時は非常に軽いダウンフォースをみつくろってやったので、インディーカーはその後もディフューザーのストレークとかを着けたり、着けなかったりを色々なドライバーたちで試して、その後にテストを1回やって、一昨日のテストで最終的に決定したんですけど、基本的には全部(ダウンフォースを生み出すパーツは)外すってこと。ダウンフォース的にはものすごく軽い状態なので、(僕らのマシンは今日、ウィングの角度とかは)全部つけてるんです。ウィングの角度も全開だし、これ以上ダウンフォース上げられないんだけど、まったく踏めないですね。どうやって(ライアン・ブリスコーみたいに)217マイルなんて出すのかわかんない。最後、僕はニュータイヤで206とか207mphだったからね(*実際には206~208mph台)。
「レースが長いので、とにかくそれに合わせたクルマ作りをやっていきます」
――今日は風がかなり強い。それもドライビングを難しくしていますか?
佐藤琢磨:そうですね。走り出しの時の方がまだ風は落ち着いてたと思う。ただ、ラバーがまだ載ってなかったんだけど、自分のベストラップもホントに出てってすぐだった。インスタレーションラップが終わって、出てった時の2周目ぐらいだったでしょ? その頃は風は穏やかだったので走り易かった。その後、風が吹き出してマシンはかなり不安定になって来ちゃいました。
――予選はどんぐらい行けそう?
佐藤琢磨:ウーン……ちょっと今収集したデータがあまりにも少ないので、そこからもうもちろんベストでやって行きたいけど、無理もしたくないし……まぁ、もう煮え切らない感じというか、思い切り攻めれるような予選状態では全然ないですね。様子を見ながら、とりあえずはテストセッション的な要素が非常に大きい予選になりそうな気がします。少なくとも僕たちはまったく準備ができてない、残念ながら。
――夕方のファイナルプラクティスと併せて……みたいな考え方ですか?
佐藤琢磨:そうですね。夕方のセッションはもう正直言って、もう完全にトラフィックの中を走らないといけない。でも、単独でもフラフラなのにどうやって集団の中で走れるのか、ちょっと今わかんないんだけど、まぁ夕方になれば……。でも、5時でしたっけ? まだ華氏100度オーバーの可能性がある。まだ暑そうなので、どうなるかわからないです。
とにかく安定したクルマ、レースが長いので、それに合わせたクルマ作りをやって行きます。
カリフォルニア州フォンタナ
オートクラブ・スピードウェイ
2マイル・スーパースピードウェイ×250周
Day1 プラクティス1
17位 34秒1331 210.939mph(=339.401km/h) 19周走行
予選前唯一のプラクティスで思うように周回数をこなせず
インディーカーは水曜にフォンタナでのテスト(参加は任意)を設定したことから、公式日程の金曜は走行セッション数が少ないスケジュールを採用した。ただし、各セッションの時間は長めにセットされている。1回目が90分間、ファイナルは45分間だ。
予選に向けた準備ができるのは今日の最初のセッションだけ。レース用セッティングのファインチューニングは予選後のファイナルプラクティスでやれ、ということだ。
佐藤琢磨とレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングは、90分間のプラクティスで狙っていた通りのマシンを作り上げることができなかった。限られたデータから予選用セッティングをひねり出さなくてはいけない。
「ダウンフォースはすでに目いっぱいですが、まったく踏めません」
Jack Amano(以下――):90分あったプラクティス・セッションでしたが、意外と周回数は少なかったですね。19周でした。
佐藤琢磨:少なかったですね。走りたかったんだけど、走れなかった。最初、1回目のランで3~4周でピットに帰って来たのは、前のテストと比べて風向きも変わった事もあって、全体的なスピードも上がってたんでギヤレシオの交換をしたんです。その後には、ホンダ・ユーザーの間でマッピングのキャリブレーションをしなくちゃいけなくて、それで待ちの時間が長かったですね。それから、イエローも何度か出たし、コース上でのアクシデントもあったりで、ほとんど出て行けなかった。テスト・アイテムは山のようにあるんですよ、僕らは一昨日のテストがを走れなかったのでね。でも、ほとんど何もできないままでした。最後の走行もニュータイヤで出てったんだけど全然スピードが伸びなくて、クルマはフラフラだし……次は予選て言われてもね、2010年のもてぎの予選みたいだね、まったくわからない状態のまま試さないと行けないんで。ホント、どこまで(アクセルを)踏んで行けるかわからないですね。非常に不安定で怖いです。
――ソノマでのレースの前に来たテストの時と、今回のフォンタナ用にインディーカーが決定したエアロパッケージは結構違うんですか? 似てるんですか?
佐藤琢磨:えーっとねぇ、僕らは同じですね。ほぼ同じ。ソノマのテストの後に来た時は非常に軽いダウンフォースをみつくろってやったので、インディーカーはその後もディフューザーのストレークとかを着けたり、着けなかったりを色々なドライバーたちで試して、その後にテストを1回やって、一昨日のテストで最終的に決定したんですけど、基本的には全部(ダウンフォースを生み出すパーツは)外すってこと。ダウンフォース的にはものすごく軽い状態なので、(僕らのマシンは今日、ウィングの角度とかは)全部つけてるんです。ウィングの角度も全開だし、これ以上ダウンフォース上げられないんだけど、まったく踏めないですね。どうやって(ライアン・ブリスコーみたいに)217マイルなんて出すのかわかんない。最後、僕はニュータイヤで206とか207mphだったからね(*実際には206~208mph台)。
「レースが長いので、とにかくそれに合わせたクルマ作りをやっていきます」
――今日は風がかなり強い。それもドライビングを難しくしていますか?
佐藤琢磨:そうですね。走り出しの時の方がまだ風は落ち着いてたと思う。ただ、ラバーがまだ載ってなかったんだけど、自分のベストラップもホントに出てってすぐだった。インスタレーションラップが終わって、出てった時の2周目ぐらいだったでしょ? その頃は風は穏やかだったので走り易かった。その後、風が吹き出してマシンはかなり不安定になって来ちゃいました。
――予選はどんぐらい行けそう?
佐藤琢磨:ウーン……ちょっと今収集したデータがあまりにも少ないので、そこからもうもちろんベストでやって行きたいけど、無理もしたくないし……まぁ、もう煮え切らない感じというか、思い切り攻めれるような予選状態では全然ないですね。様子を見ながら、とりあえずはテストセッション的な要素が非常に大きい予選になりそうな気がします。少なくとも僕たちはまったく準備ができてない、残念ながら。
――夕方のファイナルプラクティスと併せて……みたいな考え方ですか?
佐藤琢磨:そうですね。夕方のセッションはもう正直言って、もう完全にトラフィックの中を走らないといけない。でも、単独でもフラフラなのにどうやって集団の中で走れるのか、ちょっと今わかんないんだけど、まぁ夕方になれば……。でも、5時でしたっけ? まだ華氏100度オーバーの可能性がある。まだ暑そうなので、どうなるかわからないです。
とにかく安定したクルマ、レースが長いので、それに合わせたクルマ作りをやって行きます。
2012 INDYCAR レポート R15 MAV TV 500 フォンタナ Day1 プラクティス1:最速はライアン・ブリスコー。スピードは217マイル台へ。昨シーズン終盤にキャリア初勝利を飾ったエド・カーペンターが2番手と好調
猛暑と風の中で始まった最終戦
フォンタナのプラクティスはすごい暑さの中で開催された。90分間のセッションは終盤に気温が37℃にも達していた! 路面は56度だった。しかも、セッション途中から出て来た風が結構な強さで、全長2マイルの巨大なコースではマシンのハンドリングに大きな影響を与えていた。
最速はライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)=217.517mph=33秒1008で、2番手はエド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)の216.971mph=33秒1842。3番手はダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)の216.545mph=33秒2495で、4番手はウィル・パワー(チーム・ペンスキー)の216.443mph=33秒2651。5番手はエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)の216.355mph=33秒2787で、水曜のテストで最速だったスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が216.211mph=33秒3008で6番手だった。トップと2番手の差は0.0834秒で、トップ6はちょうど0.2秒の差に収まった。
ハンター-レイは決勝用セッティングに集中
ポイント2位のライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は211.274mphのベストで16番手。これは彼らが予選をまったく意識せず、決勝用セッティングに徹していたからだ。テストでのクラッシュ、エンジン交換により10グリッド降格が既に決定している彼らとしては、予選をほぼ無視してかかっているのだろう。ジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)とのタンデム走行で二人はトラフィックでのハンドリング・チェックをハンター-レイは行っていた。スポット参戦のセバスチャン・サーヴェドラ(アンドレッティ・オートスポート)はより多くの周回をこなしてマシンとコースに慣れることに専念。マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)が215.166mphのベストで8番手とまずまずの位置につけた。予選シミュレーションは彼だけが行なった、ということと見られる。
佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は19周を走った。ベストは5周目の210.939mph=34秒1331は、トップと1秒以上と大きな差がついている。
フォンタナのプラクティスはすごい暑さの中で開催された。90分間のセッションは終盤に気温が37℃にも達していた! 路面は56度だった。しかも、セッション途中から出て来た風が結構な強さで、全長2マイルの巨大なコースではマシンのハンドリングに大きな影響を与えていた。
最速はライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)=217.517mph=33秒1008で、2番手はエド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)の216.971mph=33秒1842。3番手はダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)の216.545mph=33秒2495で、4番手はウィル・パワー(チーム・ペンスキー)の216.443mph=33秒2651。5番手はエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)の216.355mph=33秒2787で、水曜のテストで最速だったスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が216.211mph=33秒3008で6番手だった。トップと2番手の差は0.0834秒で、トップ6はちょうど0.2秒の差に収まった。
ハンター-レイは決勝用セッティングに集中
ポイント2位のライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は211.274mphのベストで16番手。これは彼らが予選をまったく意識せず、決勝用セッティングに徹していたからだ。テストでのクラッシュ、エンジン交換により10グリッド降格が既に決定している彼らとしては、予選をほぼ無視してかかっているのだろう。ジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)とのタンデム走行で二人はトラフィックでのハンドリング・チェックをハンター-レイは行っていた。スポット参戦のセバスチャン・サーヴェドラ(アンドレッティ・オートスポート)はより多くの周回をこなしてマシンとコースに慣れることに専念。マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)が215.166mphのベストで8番手とまずまずの位置につけた。予選シミュレーションは彼だけが行なった、ということと見られる。
佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は19周を走った。ベストは5周目の210.939mph=34秒1331は、トップと1秒以上と大きな差がついている。
2012 INDYCAR インサイド情報ニュース:R15 MAV TV フォンタナ 水曜日の合同テストに22台参加。ディクソンがトップタイムをマーク
水曜日、22台が合同テストに参加
最終戦の週末を目前に控えた水曜日、カリフォルニア州フォンタナのオートクラブ・スピードウェイで合同テストが行われた。レースが土曜日の夜のため、このテストも正午から夜の8時まで開催され、22台がエントリーした。
走行時間終了が近づくとコース上ではマシン同士が接近した状態で走るようになり、上位17台は0.4043秒という僅差内に収まった。フォンタナでの最終戦も凄まじい接戦になるということだ。
最終的にトップタイムを出したのはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)だった。平均スピード215.861mph(=約347.320km/h)のラップだった。しかも、彼は誰のトウも受けずにこのスピードをマーク。フォンタナにコース全長が近いインディアナポリス・モーター・スピードウェイで行なわれたインディー500、今年の優勝はダリオ・フランキッティでディクソンは2位だった。彼らのマシンの仕上がり具合が現状ではベストで、ライバル勢をやや突き放しているようだ。
実はディクソン、この水曜日のテスト序盤にエンジントラブルが発生。フレッシュエンジンに載せ換えて夕方に走行再開となっていた。エンジンを換装したらグリッド降格のペナルティを受けねばならなくなるが、フォンタナはオーバーテイクが可能なオーバル・レースである上、500マイルの長距離での戦いでもあり、決定的な不利とはならないだろう。スタート直後に多重アクシデントでも発生すれば話は別だが……。
ディクソンのフォンタナでの目標は、優勝(シーズン3勝目)か上位フィニッシュを果たし、年間ランキングを4位からひとつ上の3位に上げることに置かれている。3位につけているのはエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)。二人の間にある差はたった1点なので、上位でフィニッシュした方がランキング3位となれる。
対するカストロネベスは、自らのランキング3位も大事だし、オーバルチャンピオンシップ=AJ・フォイト・トロフィー獲得のチャンスも十分にある(トップと23点差)。しかし、それらよりもチームメイトのタイトル獲得に少しでも寄与することが優先される。ポイント2位のライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)より上位でフィニッシュすることが彼のフォンタナでの使命となる。上位フィニッシュならオーバルチャンピオンシップもランキング3位も実現できる可能性がある。
ハンター-レイは走行開始から2時間余りでクラッシュ!
オーバルポイントはトップがハンター-レイ=136点。勝利ゼロながら同点のトニー・カナーン(KVレーシング・テクノロジー)が2位。3位がジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)=121点。カストロネベスは113点で4位。5位のジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・レーシング)=112点までに現実的なチャンスがある。
シリーズチャンピオンとオーバルチャンピオン、両方を獲得できる可能性があるハンター-レイだが、彼はこのテストでクラッシュしてしまった。走行開始から僅かに2時間しか経過していないタイミングで、ターン2の壁にぶつかった。貴重なテスト時間を5時間ほども失ったのは大きな痛手。また、このアクシデントでエンジンにもダメージは及び、新エンジンに換装された。彼もまた10グリッドの降格となる。
「マシンのダメージはそんなに酷くはない。2人のチームメイトがガンガン走ってくれているから、データやセッティングに関しても心配はない」とハンター-レイは強がっていたが、自ら走行データを得られなかったのは明らかに大きなマイナスだ。
「チャレンジャーである自分たちの方が有利。シーズン中の大半で僕は追いかける立場だったし」とも彼はコメントした。
彼とポイントトップのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)、どちらが精神的優位に立ってレースを迎え、戦うこととなるかは、とても興味深いところだ。二人とも初めてのインディーカー・タイトル獲得を目指しているが、パワーが10、11年と2年続けて最終戦までタイトルを争った経験を持っているのに対し、ハンター-レイは初めてのチャンス。この差がどう出るか。2回逃しているパワーの方がプレッシャーが大きいという考え方もできないことはない。
ハンター-レイの最終戦直前のアクシデントが、彼にとってプラスに作用する可能性もある。ポイント2位で追う立場の彼とすれば、この後退を機に完全に開き直り、思う存分戦えるようになるかもしれないからだ。レースウィークエンド前のミスにより、レース本番での集中力を高めることになる可能性もある。
1日のテストでEJ・ビソ(KVレーシング・テクノロジー)とブリスコーもアクシデントを起こした。ブリスコーのものは走行時間がちょうど終了したタイミングでのものだったが、ビソのアクシデントは40周しか走ってない時に起きた。
テストの2番時計はマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)だった。平均時速215.779mph(=約347.188km/h)を日中にマークしたところがポイント。ハンター-レイにとってはありがたいパフォーマンスだ。フォンタナにはセバスチャン・サーヴェドラもスポット参戦するため、ジェイムズ・ヒンチクリフフもいるハンター-レイは、パワーよりひとり多い3人のチームメイトとデータ共有ができる。
前の週にもフォンタナでのテストを行っているパワーは、215.761mph(=約347.159km/h)ラップで3番手につけた。チームメイトのブリスコーが215.133mph(=約346.149km/h)で4番手。ペンスキー勢もマシンセッティングの進み具合はまずまずということだ。
「いいスタートが切れたと思う。マシンはテストデイが進む中で着々と良くなって行った。予選に向けての仕上がりも良いと思う。あとはやるべきことをやるだけだ」とパワーは語った。いったい彼はどんな気持ちで、どれだけの余裕を持って、あるいは持たずに週末を迎えるのだろうか。
マイク・コンウェイに代わってウェイド・カニンガムが参戦
テストが終わった翌日、衝撃的な発表が行われた。マイク・コンウェイ(AJ・フォイト・エンタープライゼス)が最終戦に出場しないことを決意したというのだ。テストを走っていたコンウェイだったが、フォイトのチームはインディー500で2台目に乗せたウェイド・カニンガムに急遽登場願うこととなった。
コンウェイは、「僕のレースキャリアの中で最も難しい決断だった。僕はまだオーバルをストレスなく走ることができていない。今後もオーバルでのレースは走りたくない」というコメントを発表している。「レースをやめたいワケではないし、AJ・フォイト・レーシングとの活動も続けて行きたいが、この問題は近い将来にチームと話し合わなければならない」とコンウェイは語った。
2年前のインディー500でのアクシデントが彼の頭から離れないのだろう。ゴール目前、ターン3で他車と接触、宙に浮き上がったコンウェイはフェンスに激突した。恐ろしいアクシデントだった。彼は負傷し、そのシーズンをほぼ棒に振った。今年のインディー500には出場したコンウェイだったが、フォンタナでは何かがシックリ来なかったようだ。
オーバルのパーセンテージが減っているインディーカー・シリーズではあるが、「オーバルレースには出場しない」という参戦形態は交渉によって可能となるんだろうか? もしAJ・フォイト・エンタープライゼスがそうすることを決断する場合、オーバル要員には誰を起用するだろう?
最後にチャンピオン争いの行方だが、果たしてどうなるのだろう?
チャンピオン確定のシチュエーションは?
候補は二人。彼らの間にあるポイント差は17点と少ないが、やっぱりポイントをリードしてる方がチャンピオン争いでは有利だ。当たり前のことだけが……。
ポイントトップのパワーの場合、ポイント2位のハンター-レイより上の順位でフィニッシュすれば念願のチャンピオンとなれる。ポイント2位のハンター-レイがポールポジションと最多リードラップのボーナス合計3点を全部獲得して優勝した場合(=最多の53点をゲット)でも、パワーは2位フィニッシュすればチャンピオンになれるのだ。
ハンター-レイが、ポールは獲れなかったが優勝し、2点のボーナスを獲得(最多リードラップ記録)した場合、パワーがポールポジションを獲得できていたら3位フィニッシュでチャンピオン。ポールが獲れていなかった場合は2位フィニッシュでチャンピオンだ。
ハンター-レイがポールポジションを獲得し、レースで優勝。しかし、最多リードラップは記録できなかったとすると、パワーは3位以上でゴールすればチャンピオンだ。
逆に、パワーがレースに出走したものの25位か26位という下位でのゴールとなった場合、ハンター-レイは6位以上でフィニッシュすればタイトルを獲れる。パワーが決勝レースをスタートし、18~24位でフィニッシュの場合だと、ハンター-レイはボーナスポイントの有無に関係なく、5位以上でフィニッシュすればタイトルに輝く。ハンター-レイがボーナスポイントなしで優勝した場合、パワーは最多リードラップを記録して4位フィニッシュすればチャンピオン。ボーナスなしなら3位フィニッシュでタイトルを手にできる。なお、両者が同ポイントとなった場合は、4勝のハンター-レイが3勝のパワーを抑えてチャンピオンとなる。
最終戦の週末を目前に控えた水曜日、カリフォルニア州フォンタナのオートクラブ・スピードウェイで合同テストが行われた。レースが土曜日の夜のため、このテストも正午から夜の8時まで開催され、22台がエントリーした。
走行時間終了が近づくとコース上ではマシン同士が接近した状態で走るようになり、上位17台は0.4043秒という僅差内に収まった。フォンタナでの最終戦も凄まじい接戦になるということだ。
最終的にトップタイムを出したのはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)だった。平均スピード215.861mph(=約347.320km/h)のラップだった。しかも、彼は誰のトウも受けずにこのスピードをマーク。フォンタナにコース全長が近いインディアナポリス・モーター・スピードウェイで行なわれたインディー500、今年の優勝はダリオ・フランキッティでディクソンは2位だった。彼らのマシンの仕上がり具合が現状ではベストで、ライバル勢をやや突き放しているようだ。
実はディクソン、この水曜日のテスト序盤にエンジントラブルが発生。フレッシュエンジンに載せ換えて夕方に走行再開となっていた。エンジンを換装したらグリッド降格のペナルティを受けねばならなくなるが、フォンタナはオーバーテイクが可能なオーバル・レースである上、500マイルの長距離での戦いでもあり、決定的な不利とはならないだろう。スタート直後に多重アクシデントでも発生すれば話は別だが……。
ディクソンのフォンタナでの目標は、優勝(シーズン3勝目)か上位フィニッシュを果たし、年間ランキングを4位からひとつ上の3位に上げることに置かれている。3位につけているのはエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)。二人の間にある差はたった1点なので、上位でフィニッシュした方がランキング3位となれる。
対するカストロネベスは、自らのランキング3位も大事だし、オーバルチャンピオンシップ=AJ・フォイト・トロフィー獲得のチャンスも十分にある(トップと23点差)。しかし、それらよりもチームメイトのタイトル獲得に少しでも寄与することが優先される。ポイント2位のライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)より上位でフィニッシュすることが彼のフォンタナでの使命となる。上位フィニッシュならオーバルチャンピオンシップもランキング3位も実現できる可能性がある。
ハンター-レイは走行開始から2時間余りでクラッシュ!
オーバルポイントはトップがハンター-レイ=136点。勝利ゼロながら同点のトニー・カナーン(KVレーシング・テクノロジー)が2位。3位がジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)=121点。カストロネベスは113点で4位。5位のジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・レーシング)=112点までに現実的なチャンスがある。
シリーズチャンピオンとオーバルチャンピオン、両方を獲得できる可能性があるハンター-レイだが、彼はこのテストでクラッシュしてしまった。走行開始から僅かに2時間しか経過していないタイミングで、ターン2の壁にぶつかった。貴重なテスト時間を5時間ほども失ったのは大きな痛手。また、このアクシデントでエンジンにもダメージは及び、新エンジンに換装された。彼もまた10グリッドの降格となる。
「マシンのダメージはそんなに酷くはない。2人のチームメイトがガンガン走ってくれているから、データやセッティングに関しても心配はない」とハンター-レイは強がっていたが、自ら走行データを得られなかったのは明らかに大きなマイナスだ。
「チャレンジャーである自分たちの方が有利。シーズン中の大半で僕は追いかける立場だったし」とも彼はコメントした。
彼とポイントトップのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)、どちらが精神的優位に立ってレースを迎え、戦うこととなるかは、とても興味深いところだ。二人とも初めてのインディーカー・タイトル獲得を目指しているが、パワーが10、11年と2年続けて最終戦までタイトルを争った経験を持っているのに対し、ハンター-レイは初めてのチャンス。この差がどう出るか。2回逃しているパワーの方がプレッシャーが大きいという考え方もできないことはない。
ハンター-レイの最終戦直前のアクシデントが、彼にとってプラスに作用する可能性もある。ポイント2位で追う立場の彼とすれば、この後退を機に完全に開き直り、思う存分戦えるようになるかもしれないからだ。レースウィークエンド前のミスにより、レース本番での集中力を高めることになる可能性もある。
1日のテストでEJ・ビソ(KVレーシング・テクノロジー)とブリスコーもアクシデントを起こした。ブリスコーのものは走行時間がちょうど終了したタイミングでのものだったが、ビソのアクシデントは40周しか走ってない時に起きた。
テストの2番時計はマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)だった。平均時速215.779mph(=約347.188km/h)を日中にマークしたところがポイント。ハンター-レイにとってはありがたいパフォーマンスだ。フォンタナにはセバスチャン・サーヴェドラもスポット参戦するため、ジェイムズ・ヒンチクリフフもいるハンター-レイは、パワーよりひとり多い3人のチームメイトとデータ共有ができる。
前の週にもフォンタナでのテストを行っているパワーは、215.761mph(=約347.159km/h)ラップで3番手につけた。チームメイトのブリスコーが215.133mph(=約346.149km/h)で4番手。ペンスキー勢もマシンセッティングの進み具合はまずまずということだ。
「いいスタートが切れたと思う。マシンはテストデイが進む中で着々と良くなって行った。予選に向けての仕上がりも良いと思う。あとはやるべきことをやるだけだ」とパワーは語った。いったい彼はどんな気持ちで、どれだけの余裕を持って、あるいは持たずに週末を迎えるのだろうか。
マイク・コンウェイに代わってウェイド・カニンガムが参戦
テストが終わった翌日、衝撃的な発表が行われた。マイク・コンウェイ(AJ・フォイト・エンタープライゼス)が最終戦に出場しないことを決意したというのだ。テストを走っていたコンウェイだったが、フォイトのチームはインディー500で2台目に乗せたウェイド・カニンガムに急遽登場願うこととなった。
コンウェイは、「僕のレースキャリアの中で最も難しい決断だった。僕はまだオーバルをストレスなく走ることができていない。今後もオーバルでのレースは走りたくない」というコメントを発表している。「レースをやめたいワケではないし、AJ・フォイト・レーシングとの活動も続けて行きたいが、この問題は近い将来にチームと話し合わなければならない」とコンウェイは語った。
2年前のインディー500でのアクシデントが彼の頭から離れないのだろう。ゴール目前、ターン3で他車と接触、宙に浮き上がったコンウェイはフェンスに激突した。恐ろしいアクシデントだった。彼は負傷し、そのシーズンをほぼ棒に振った。今年のインディー500には出場したコンウェイだったが、フォンタナでは何かがシックリ来なかったようだ。
オーバルのパーセンテージが減っているインディーカー・シリーズではあるが、「オーバルレースには出場しない」という参戦形態は交渉によって可能となるんだろうか? もしAJ・フォイト・エンタープライゼスがそうすることを決断する場合、オーバル要員には誰を起用するだろう?
最後にチャンピオン争いの行方だが、果たしてどうなるのだろう?
チャンピオン確定のシチュエーションは?
候補は二人。彼らの間にあるポイント差は17点と少ないが、やっぱりポイントをリードしてる方がチャンピオン争いでは有利だ。当たり前のことだけが……。
ポイントトップのパワーの場合、ポイント2位のハンター-レイより上の順位でフィニッシュすれば念願のチャンピオンとなれる。ポイント2位のハンター-レイがポールポジションと最多リードラップのボーナス合計3点を全部獲得して優勝した場合(=最多の53点をゲット)でも、パワーは2位フィニッシュすればチャンピオンになれるのだ。
ハンター-レイが、ポールは獲れなかったが優勝し、2点のボーナスを獲得(最多リードラップ記録)した場合、パワーがポールポジションを獲得できていたら3位フィニッシュでチャンピオン。ポールが獲れていなかった場合は2位フィニッシュでチャンピオンだ。
ハンター-レイがポールポジションを獲得し、レースで優勝。しかし、最多リードラップは記録できなかったとすると、パワーは3位以上でゴールすればチャンピオンだ。
逆に、パワーがレースに出走したものの25位か26位という下位でのゴールとなった場合、ハンター-レイは6位以上でフィニッシュすればタイトルを獲れる。パワーが決勝レースをスタートし、18~24位でフィニッシュの場合だと、ハンター-レイはボーナスポイントの有無に関係なく、5位以上でフィニッシュすればタイトルに輝く。ハンター-レイがボーナスポイントなしで優勝した場合、パワーは最多リードラップを記録して4位フィニッシュすればチャンピオン。ボーナスなしなら3位フィニッシュでタイトルを手にできる。なお、両者が同ポイントとなった場合は、4勝のハンター-レイが3勝のパワーを抑えてチャンピオンとなる。
2012年9月14日金曜日
2012 INDYCAR R15 MAV TV 500 プレビュー: 鍵握る空力パッケージのさじ加減。タイトル争いはもちろん、エンジン戦争の行方など見どころ満載。琢磨のトップ争いも期待大
エアロパッケージ決定はレース直前
Jack Amano(以下JA):早いねー、もう最終戦だ。
編集部(以下――):フォンタナ(オートクラブ・スピードウェイ)はどんなレースになるだろう?
JA:全然読めない。まず、空力ルールがどうなるんだか……。
――佐藤琢磨選手がテストした時点では決まってなかった。
JA:そう。彼がテストしたのはソノマのレースの前だったから。でも、走る仕様が決まってない状態でテスト……って、コースを知るってことはできたんだろうけど。
――もっとルールは早く決まってるべきだよね。
JA:まったくその通り。でも、今年は仕方が無い面もある。新シャシーが導入されたから。あと、ダン・ウェルドンが亡くなって高速集団レースは二度とやらないって考えにインディーカー全体がなった。フォンタナについても、インディーカーがエアロパッケージを幾つか用意して、テスト参加チームに別々のものをトライしてもらって検討を重ねて来てるみたいだね。インディーカーは各マシンの走行タイム、タイヤのコンディション、ドライバーからのフィードバックなどを総合的に見て、空力仕様を決めようってこと。ボルティモアの後にもテストが行なわれたけど、ルールの最終決定はレース直前になる。レースウィークエンド目前の水曜にテストがあるので、そこで全ドライバーに同じ仕様で走ってもらって合意を取り付けて……みたいな感じと思う。翌々日の金曜に公式プラクティス開始となるワケだけど。
テキサスのようなスリリングなレースを期待
――今年のIZODインディーカー・シリーズ、オーバル戦はどれもおもしろかったもんね? ロードコースも……だけど。
JA:インディーカーのエアロパッケージ・コントロールはかなり上手だった。技術面を統括するよう雇われたウィル・フィリップスって元シャシーデザイナーがいい仕事をしてる。エンジンのルールに関しては、プッシュ・トゥ・パスのディレイとかイマイチのもあったけど。
――フォンタナは2マイル・オーバルだから、基本的にはインディアナポリス・モーター・スピードウェイと似たエアロ・パッケージってことなんだよね?
JA:そうなると思う。でも、インディーとまったく同一にはならないって話。どんな調整を、どんな理由で行って来るのか。そこがまだ見えてない。「ダウンフォースを削り過ぎては危険」て意見もある。あまり削るとオーバーテイクがなくなって、あり過ぎるとパックレーシングになっちゃう。そのサジ加減は実に難しい。
――いずれにせよ、抜きつ抜かれつのバトルが見られる。
JA:去年までの1.5マイル・オーバルみたいな集団走行にならずに、ね。期待してんのは、今年のテキサスみたいなバトル。めちゃスリリングだったよね。速く走るにはウデが要って、ミスの許容度がメチャクチャ小さい。かなり理想的だった。
――あんな凄い戦いになるとは! って嬉しい驚きだった。それがフォンタナでは500マイルレースで行われる。
JA:作戦も、ピット・ストップも重要度高し! あと、琢磨選手が驚いていた路面のバンピーさ。これがレースをさらに難しくすると思う。
――超高速オーバルなのにバンピーって理解に苦しむけど。
JA:NASCAR専用コースみたいになってたからね、最近のフォンタナは。ストックカーのレースって路面のクォリティを必要としない。むしバンピーな方がいいぐらいでしょ。でも、インディーカーのレースをやるなら路面の管理は要求される。ウルトラスムーズじゃなくてもいいんだよ。ひとつやふたつのバンプはコースのキャラクターってコトで受け入れられるから。でも、「凄いバンピー!」なんてコメントされてるようじゃ困る。
フォンタナ開催に潜むINDYCARのNASCARに対する思惑
――フォンタナでやることになったのって、結構唐突だったよね?
JA:インディーカーとしては、NASCARとの対決状況を少しマイルドにしたかったんでしょ。ワトキンス・グレンとかカンザス、シカゴとNASCAR系からレースを全部引き上げた。あのランディー・バーナードの戦略は間違ってなかったと思う。でも、それを緩和するのが早過ぎと思う。そもそも俺は、「NASCARとの全面対決での勝利なくしてインディーカーは繁栄奪回は不可能」って意見だから。
――しかし、NASCARはかなり手強い相手。
JA:ホントに。最近発表されたスポーツカーの一件を見れば明らかだよね。アメリカン・ル・マン・シリーズを運営するIMSA=インターナショナル・モーター・スポーツ・アソシエーションを買い取っちゃったんだから、NASCARは。自分たちのダサいスポーツカー・シリーズ=グランダムをアメリカのスポーツカー・レースのメインにしようって魂胆。スポーツカーは魅力の無いレースに格下げされ、自分たちのストックカーだけが繁栄を続けるという超利己的シナリオ。ル・マンとの関係も徐々にフェード・アウトさせて行く気じゃないの? ヨーロッパのアメリカに対する影響力を排除するってのが彼らの長期プランでしょ。俺がアメリカにフリーで渡った90年にでさえ、そういう考えに基づく行動、あったもん。彼らはF1ともグルじゃないかな。利益が共通してるから。インディーカーは90年代にF1を少々ビビらせた。海外進出とかハデにやって。それで彼らのタッグにヤッツケられた。スポーツカー・レースはある意味、インディーカー以上にF1にとっちゃ厄介な存在なんだ。ハイブリッドだとか今年のデルタウィングとかの新しいもの、世界の人々が求めている技術の受け入れが可能な構造になってるから。F1にそんな柔軟性ってない。……って、フォンタナのインディーカーの話から随分逸れちゃった。
パワーvsハンター‐レイ、チャンピオン争いの行方は?
――フォンタナはチャンピオン争いが第一の焦点。
JA:ウィル・パワーとライアン・ハンター-レイ(RHR)の対決だ。ランク3、4位は上位二人が出場しないとかじゃないと逆転タイトルの目はない。
――どっちが有利?
JA:ポイント上位のパワーが有利だけど、その差はほとんどゼロでしょ。上位でフィニッシュした方がチャンピオンてことじゃないのかな? 片方がクラッシュするとか。
――両方とも不運なタイプのドライバーだけど、幸運を手にするのはどっちか??
JA:プレッシャーが大きいのはパワーの方だろうなぁ。この2年続けて獲り逃してるタイトルだから。RHRは当たって砕けろってスタンスでオッケーでしょ。
――チーム体制、今年のオーバルでの実績からするとRHR優位じゃない?
JA:RHRはオーバルで勝ってるから? でも、ミルウォーキーとアイオワっていうフォンタナとは全然キャラの違うコースじゃん。それでも、「オラはオーバルで勝ってる。ヤツは勝ってねぇ」って考え方、してるかもね。あんまり論理的じゃなくても、精神的にプラスの影響があるかも。
――インディー500ではRHRが駆動系トラブルで27位。パワーはクラッシュで28位だった。
JA:パワーはオーバルでのアクシデントが多過ぎ。速さはもう完全に身につけてんだけどね。去年のインディーでのポール争いも素晴らしかったし、去年のテキサスでの第二レースではオーバル初勝利も飾ってる。ケンタッキーでもメチャ速かった。テキサスの勝利はグリッドがクジ引きで、強敵が最後尾に近いグリッドになってたからっていうラッキーもあったけど。フォンタナでは絶対にクラッシュだけは避けないと。
――マシンの仕上がりって面で、チーム比較をするとどうなる?
JA:インディー500ではライアン・ブリスコーが5位フィニッシュしてて、ペンスキーのマシンは良かったと思う。でも、RHRのチームメイトのジェイムズ・ヒンチクリフも6位。チーム力的には互角かな? テキサスでもブリスコーが3位、ヒンチが4位だった。
――彼らは優勝争いに絡むのかな?
JA:どうだろうね? チャンピオン争いがレースの優勝争いとシンクロするのがベストだけど、そうならない可能性も十分ある。例えば、チップ・ガナッシ・レーシングがインディー500同様に大活躍するとか。
ホンダ勢、全車新スペック投入! シボレーはどうなる??
――最終戦はホンダとしても勝ちたいレースだ。
JA:今年はインディー500で勝ったホンダだったけど、シーズンを通してシボレー勢が速かった。エンジンの差というより、チーム力の差が強く影響していたと思うけど。フォンタナでは勝ち負けだけじゃなく、レース中のホンダとシボレーのエンジン・パフォーマンスにも注目したいね。インディーに続いてフォンタナでもホンダ勢優位となるのか? パワー&燃費がどういう差になってるのかはミモノだね。
――ホンダ勢は予選終了後に新スペックを全チームに導入するって話だよね?
JA:そう。全員に10グリッド降格を受け入れさせちゃう。でも、シボレーも同じく最新スペックで勝負を仕掛けて来るって噂もある。両陣営がグリッド降格ペナルティだったら、ペナルティはナシとほぼ同じになる。でも、チャンピオン争いをしている2名がいるシボレーとしては、新スペックを投入するのってリスクかも。パワーでホンダに対抗しようとして、タイトル候補がエンジン・トラブルでリタイア……なんて逆の宣伝効果を発揮しちゃいそう。
――そこは難しい選択だ。より耐久性で安心なものをチャンピオン候補たちには使わせたい。でも、パワー追求をしたエンジンでないとホンダ勢に負けちゃうかもしれない。
JA:そうだよね。フォンタナはアメリカン・ホンダにとっちゃ地元。4月のロング・ビーチで負けてる身としては、今回は勝ちたいモードがかなり高い。年間優勝数でもシボレーが10勝、ホンダ4勝と水を開けられてるし、来年に向けて良いムードを作るためにも最終戦は勝ちたいとこでしょう。
佐藤琢磨、優勝に向けて今シーズン最後の戦い
――琢磨はどんなレースができそうかな?
JA:テストでの感触は今ひとつだった風。2台での走行はアブナっかしくて無理だったっていうから、インディーカーに依頼されてたエアロ・パッケージが結構エグかったんだろうけど、マシンの仕上がり自体はまだ全然進んでないってことなんだと思う。ルールが決まらないと進め切れない部分でもあるし。で、ボルティモアの後にはテストに行けなかった。琢磨に期待ができるのは、インディー500で優勝にあと一歩のところまで行った、あのパフォーマンス。まずはロー・ダウンフォースで走る超高速オーバルでのレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングのベース・セッティング、その競争力が高いことと期待したい。フォンタナはインディーみたく走り込んで戦えるレースじゃない。そこはデータ解析力の高い琢磨&RLLとしては苦しいところ。でも、琢磨はパワーと同じで、アクシデントさえ起こさなければかなり速いから。オーバルは経験が重要なのは確かだけど、3シーズン目という限られた経験の中で獲得したノウハウはかなり濃いものがある。初めて走ったオーバルででさえ、どうやったらライバルを抜けるか、オーバーテイクの手法をレース中に習得して行ってた。今や、もう十分にトップ争いのできるオーバル・ドライバーになってる。
――最終戦で優勝! なんてなったら最高。
JA:初ポールもオーバルだったし、オーバルで初勝利という可能性はあるんじゃない?
以上
2012年9月5日水曜日
2012 INDYCAR レース アナリシス:R14 グランプリ・オブ・ボルティモア その2 態勢の立て直しに成功したライアン・ハンター-レイ
シーズン最多の4勝目をハンター‐レイが挙げた。精神的安定度を取り戻したその裏には何があったのか?? Photo:INDYCAR LAT USA |
ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)=RHRは第13戦ソノマで3位を走っていたレース終盤、アレックス・タグリアーニ(ブライアン・ハータ・オートスポート)にヒットされてスピンし、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)に大きくポイント差を広げられた。表彰台フィニッシュを逃して彼はプッツン。リスタート後にまったく無関係のEJ・ビソ(KVレーシング・テクノロジー)を突き飛ばし、ゴール下の後にはテレビのインタビューでタグリアーニを大馬鹿呼ばわりしていた。前々週のミッド・オハイオでエンジンにトラブルに遭い、2レース続けて上位フィニッシュを逃したんでキレちゃったんだろうが、RHRの履歴を考えれば他人様のことを非難する資格なんかない。ましてや、八つ当たりのビソ突き飛ばし行為は「列の最後尾へ」なんて甘いペナルティで済むもんじゃない。数レースの出場停止を言い渡されても文句を言えない悪行だった。少なくとも、半年とか1年の執行猶予つきで彼は監視下に置かれるべきと思う。
それが、ソノマの翌週のボルティモア戦を迎えてみると、RHRは自分の行為を深く反省していたようだった。「まだチャンスはある。この状況は覆せる」とコメントは真摯なものになっており、冷静にチャンピオン争いに臨む姿となっていた。自らの不運を嘆いて喚き散らし、ミスをした相手を口汚く罵っていたあの男が……。
的確だったマイケル・アンドレッティの指示
対するペンスキーはまたも裏目に
RHRも、彼がタイトルを争っているパワーも、レースで不運に遭遇するケースは確かに少なくない。しかし、アンドレッティ・オートスポートのオーナー、マイケルの現役時代と比べたら、彼らなんてまだまだ幸運な方だ。そのマイケルがソノマでのレースの後、あるいはボルティモア入りした時、RHRに何かを言葉をかけたのかもしれない。とくとくと誰かを諭すようなタイプではないマイケルだけれど、不運を跳ね退けて歴代3位にランクされる42勝を挙げたドライバーの言葉には十分な重みがあるはずだ。
そして、RHRのピットで陣頭指揮を執っているマイケルはレース中に雨が降り出した時、「タイトルを獲りに行く。そのためにはパワーと同じ作戦を選んでいてはダメだ。チャンピオンになるためにここはスリックで行く」と無線でドライバーに告げたという。走っている当人にタイヤチョイスを相談するのではなく、スリックでのステイアウトを命じたのだった。RHRはレイン・タイヤへのスイッチの方が妥当な作戦と考えていたが、マイケルが攻めの作戦へと舵を切り、それは見事的中した。対するパワー&ティム・シンドリック(ペンスキー・レーシング社長)のコンビネーションは、このところ作戦がことごとく外れている。最終戦フォンタナはどうなる??
2012 INDYCAR レース・アナリシス R14 グランプリ・オブ・ボルティモア その1 人気のイベントに水を差したインディーカーのプロフェッショナリズムの欠如
ボー・バーフィールド自ら初日の仮設シケイン設置を手伝うことに。Photo:INDYCAR LAT USA |
インディーカーが救済して開催にこぎつけたイベントだったが
ボルティモアのダウンタウンを使ったレースは初めてだった去年から大盛況だった。しかし、プロモーターはレースを放り出した。レース開催地である市とのモメゴトがあったりしたからだ。「首都ワシントンDC近郊の、大きなマーケットでのレースは極めて重要」。そう考えたインディーカーは、世間に広く名の知れているチーム・オーナーで、イベント・プロモーターとしての活動も活発化させているマイケル・アンドレッティを広告塔に仕立て上げ、救済に全力投球した。ミルウォーキーとまったく同じパターンだ。おかげで盛り上がった新イベントがたった1回だけで消滅することは避けられた。
ただ、グランプリ・オブ・ボルティモアに関して残念だったのは、レースといういちばん肝心なところが、つまりはシリーズを主催するインディーカーのプロフェッショナリズムの欠如が目立ってしまっていた点だった。
今年のウリだったシケイン撤廃のストレートは半日で終了
「オーバーテイクを増やし、ファンに喜んでもらいたい」。インディーカーが拘るそのコンセプトはよくわかる。大賛成でもある。しかし、「今年はシケイン撤廃!」と大々的に宣伝をしておきながら、金曜に走り出した途端に「やっぱりシケインがないと危険」となったのにはアキレた。カッコ悪過ぎ。インディーカーの競技担当社長のボー・バーフィルドは、「去年、シケインを通過できずにまっすぐハイスピードのままシケイン部分を突っ切ったドライバーたちが、”ダイジョブだと思う”と証言した」とか、「去年から今年で路面電車の線路部分の形状が大きく変わったのだろう」などと説明していたが、AJ・アルメンディンガーの薬物疑惑並の説得力の低さだった。プラクティス1は全ドライバーが走る前に早めに切り上げられ、プラクティス2は遅延&走行時間が半分に縮小、サポート・レースの走行もストップさせて路面を削る作業が数時間行なわれた後、結局は醜いタイヤを積み上げた仮設シケイン設置。3デイ・イベントの初日はかなり空虚な1日になってしまっていた。
2年前のサン・パウロ初開催の時も、「サンバ会場の路面が滑り過ぎて危険」と判明、グラインダーでツルツルをザラザラに換える作業が夜を徹して行なわれた。インディーカー・シリーズは、自分たちのマシンがどういうコースを必要としてるかをちゃんと把握してないの? コース設営のコンサルト会社なんてもんを雇っているが、彼らはまるでプロじゃないってこと。即刻お払い箱にして欲しい。今回の件に関しちゃ損害賠償だって請求できるぐらいと思う。おそらく、現地に赴いての調査なんて、ほとんどしてないってことなんだろうから。
こちらがくだんのフラッグマーシャル氏。写真はすでに勝負あった最後のリスタート。問題のリスタートはこの前のリスタートだ。Photo:INDYCAR LAT USA |
その責任はフラッグマーシャルにあり
肝心のレースでは、スターターがグリーンフラッグを振るタイミングを心得ていなかった。毎度々々早めに振っていた彼(インディーカーの職員)は、終盤のリスタートでそれがさらに早まっていた印象だった。バーフィールドも、あのスターターのタイミングでオッケーだと捉えていたとうことなんだろう、遅らせる指示は出さなかったようだ。
隊列の整っていないバラバラのスタートは、ファンに対する裏切り行為だと思う。キッチリ2台ずつが並んで、前後のマシン間隔も揃ったキレイな状態でグリーン! 一斉に加速し、ターン1に塊で到達してブレーキング競争、というのをみんな見たいんだから。そういうレースにできるよう、シリーズもドライバーも全力を尽くして欲しい。
終盤、トップを走っていたライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)は、2番手のライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)が横に並び、隊列が整うまで加速を待った(今どき珍しい人の好さだ。私は嫌いじゃない。先輩チームメイトのエリオ・カストロネベスだったら、2位がシケインにいる間に加速をし始めちゃうだろうに)。ところが、スターターの方は隊列なんぞに構っちゃいなかった。グリーンフラッグだけに注目していたハンター-レイ(こういうのをスマートと呼ぶ人もいる)が加速で優り、ブリスコーは2位フィニッシュでハンター-レイとオフィシャルの両方に対して不満を唱えることになった。ブリスコーに強く肩入れしたいのではない。彼の誠実さは高く評価するけれど。私が残念なのは、あのいちばん大事なスタートが、今年のボルティモア戦でいちばんバラバラな、見た目も汚いスタートになっていたところ。もうブリスコーはプッシュ・トゥ・パスの残りがゼロで、ハンター-レイは19秒とか残していたから、隊列が整ってからのグリーンフラッグでもハンター-レイが前に出ていた可能性は高い。それでもブリスコーはキッチリ隊列が整ってのスタートになるのがフェアだと考え、行動していた。実に潔い。
そもそも、シケイン設置で2台が並んだ隊列になるのは4列目ぐらいまでになっていた。9番手のドライバーぐらいからはシケイン通過中にグリーンになっちゃってたのだ。こういう事態を避けるには、シケインとコントロール・ラインの距離をもっともっと離すしかない。来年はそういう改善がされていることを望みたい。これはロング・ビーチにも言えること。ヘアピンをまだ立ち上がっていないマシンが半分以上いる(彼らはほとんど止まっちゃうぐらいに遅いスピード)うちにトップ・グループは一斉に加速しちゃうなんて、フェアじゃなさ過ぎる。悪しき伝統は変えてかないと。
2012年9月3日月曜日
2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント75 R14 グランプリ・オブ・ボルティモア 決勝「トップを走っている限り抜かれる気はしてなかったから、トップを死守する自信はありました。作戦的にもうまく行くと思ってたし」
リスタートからトップを快走する佐藤琢磨。後続を7秒まで引き離したが……。Photo:INDYCAR LAT USA |
ボルティモア市街地コース
2.04マイル(=約3.282㎞)×75周
決勝 21位 50周走行リタイヤ
雨を味方につけ、的確なレース戦略で
トップを快走した琢磨だったが……
2戦連続で後方には1台しかいないグリッドからスタート。佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)の今シーズンは、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)やライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)と変わらない不運に見舞われている。
ボルティモアでのレース、琢磨は24周でトップに立った。ピット・タイミングの良さ、タイヤ戦略の的確さ、濡れた路面での優れたドライビング、リスタートの巧さで2位を7秒も突き放したほどだった。しかし、結果はトラブル発生で失速。レース途中でマシンを降りるしかなかった。
「チームが無線でウェットかドライかと聞いて来たけど
僕はもうドライしかないと思ってた」
Jack Amano(以下――):雨に対する作戦が成功し、トップ争いに加わりました。トップ10はもちろん、トップ5も十分可能な戦いになっていましたね!
佐藤琢磨:もっと上だよ。グリーンになる周にピットに飛び込んだ作戦はかなり無謀にも思えたけど、チームを信じてた。今日はピットストップのシークエンスを変えないと前に行くことはできないと思ってた。順当に同じ戦略で順位を上げて行くのは難しいと思ってたんだけど、最初のピットストップ以降、雨が落ちて来たのは僕らにとってすごくプラスでしたね。
――雨が降り出して、コースはどういうコンディションになってたんですか?
佐藤琢磨:だんだん雨脚が強くなっていたんだけど、コースの表と裏で全然コンディションが違ってた。ある部分は乾いてて、ある部分はすごくウェットだった。メインストレートのシケイン手前あたりからはものすごく濡れていて、走るのはかなり難しくなってました。チームが無線でウェットかドライかと聞いて来たけど、僕はもうドライしかないと思ってた。レーダーはどうだ? って聞いて、雨はすぐ止むとも聞いたので、だったらもうドライのまま乗り切るのがいいだろうって考えた。
――ウェットの方が良い状況もあったのでは?
佐藤琢磨:一時、確かにウェットの方が速そうな状態になってたけど、それじゃ絶対に僕らは勝てないって考えてたんで、ドライで走り続けることにした。それもあって自分の前から10台ぐらいがいなくなって、一気に上位にポジションを上げて、リスタートでパスして、次のリスタートでまたパスをしてレースをリードすることになりました。
――後続を7秒以上リードしてトップを走りました。
佐藤琢磨:あの頃からは燃費セーブもして、本当に順調に、あと1回のストップでゴールまで行けることになってました。レースが終盤に入ってからも燃料についてはかなり自信のある戦いができていました。優勝も見えていたレースになってましたね。
「フューエルセーブを始めたあたりからエンジンが息をつき始めました」
――トップで迎えたリスタートで5番手に落ちたシーンは、もうマシントラブルが始まっていたということですか?
佐藤琢磨:そう。その前のフューエルセーブを始めたあたりからだったと思います。燃費を抑えた走りをしている時、何かスロットルがおかしいと感じて、エンジンが息つきを始めた。でも、まだその時点ではよくわからなかったですね、燃料セーブしてるからかな? とも考えてた。それが、リスタートの時、2速の時点でもう全然パワーがついて来なかった。アクセルを踏んだのに失速してて、バーッと一気に4台ぐらいに抜かれた。その後は、回転が落ちるヘアピンとかでアクセルを踏んでもまったく反応しなくなって、何とか走り続けてたんですけど、だんだん悪くなって行きました。警告ランプが点いてもリセットボタンを押せば殺せるんです。でも、3秒おきに「フューエルプレッシャーが低い」って盛んにメッセージが出てて、最後はギヤもセレクトできない、ブリッピングもできないぐらいの燃圧になっちゃって、ストップせざるを得なかった。
――今朝のウォームアップセッションの後、エンジン周辺の部品をかなり大掛かりな作業で交換してましたが?
佐藤琢磨:そうです。昨日から今日にかけてエンジン交換をして、補器類も換えました。でも、今朝のウォームアップで止まっちゃったのも燃圧のトラブルによってでした。それでセッションの後、また部品を交換したんですけど、同じトラブルが出てしまった。本当のトラブルの原因はまだわからないんですが、フューエルポンプなどの燃圧に関わるエンジン補器類のトラブルであったことは間違いないと思います。
――決勝でのマシンの仕上がりはどう感じていましたか?
佐藤琢磨:ドライで勝負をできてないので、正直言ってわからない。でも、悪くはなかったと思います。路面が濡れている状態では引き離せたし。ただ、リードをしてからはフューエル・セーブに入っていたし、最後のドライの状態ではエンジンがもう咳き込んでいたので……。レース終盤が厳しい戦いになるのはわかっていた。それでも、トップを走っている限り抜かれる気はしてなかったから、トップを死守する自信はありました。作戦的にもうまく行くと思ってたし。
「最終戦では、少しでもマシンがコンペティティブになるようにがんばります」
――最終戦フォンタナに向け、テストをしたんですよね。2マイルオーバルは初めてですね?
佐藤琢磨:インディーとはまったく違う。なんだろう? カンザスともてぎぐらいの感じもある。もてぎぐらいのバンク角なのに、でもDシェイプなのでカンザスっぽくもある。そこをインディー500と同じエアロパッケージで走るから滅茶苦茶ダウンフォースが少なくて、コースはすごいバンピーでしたね。テストでは1回も1周を全開で回れなかった。
――インディー500的なレースというよりは、テキサス的なレースになるってことですか?
佐藤琢磨:そう、テキサス的。ちょっとリーグ(インディーカー)はダウンフォースを落とし過ぎだと思いますね。幾つかの空力効率関連のパーツを取り外してるんですよね。例えばディフューザーの中のフィンだとか整流板を。そういうのを全部取っ払うことでとんでもなくダウンフォースが落ちるんですよ。それらを装着してニューガーデンとかパジェノーはテストをしてて、僕らは装着しないという担当で、彼らはタイヤのデグラデーションなどを見ているようでした。
――テストの段階では、まだフォンタナ向けのエアロパッケージが確定していなかったんですね?
佐藤琢磨:はい。最終戦に向けてまだエアロパッケージは確定してないですね。ブルテンも出てないし。次の12日のテストでの結果をもって、最終戦のウィークエンドの始まる木曜日に発表じゃないですかね。
――健闘を期待しています。
佐藤琢磨:500マイルと長いレースですしね。僕らの場合、走り始めはまだクルマができてないだろうと思います。テストをした時間が少なかったし、インディアナポリスとは全然違ったから。同じような500マイルレースといっても、テキサスのようなローダウンフォースでの戦いになるので。それを考えると、僕らにはまだものすごい量の仕事が待ってる感じですね。それを片づけて、ちょっとでもコンペティティブになるように頑張ります。あとはエンジン交換によるペナルティがあるし、フォンタナではさらにエンジンを決勝前に交換するって話にもなっています。
――最終戦でも新スペックが出て来るということですか?
佐藤琢磨:ホンダ勢はそうなると思います。噂によると、シボレーもそうなんじゃないかってことです。
――じゃ、ロータスがポールポジション・スタートに?
佐藤琢磨:そうかもしれない。 フォンタナはグリッドはあまり関係ないと思いますよ。
――テストではかなりの周回数をこなせたんですか?
佐藤琢磨:いや、あんまり。風も強かったし。ある程度は走れたけど、1台で走るだけで背一杯だった。それでも全開で行けなかったから、2台で近寄りたくなんか絶対になかったですね。いつ飛んでくかわからない感じだった。
――テストは1日だけ?
佐藤琢磨:そうでした。他のチームはまたテストに行くみたいですよ。ウチは行けない事情が色々あるようですけど。
――最終戦、高速オーバルでの激しいバトル、そして上位フィニッシュを楽しみにしています!
2012 INDYCAR レポート:R14 グランプリ・オブ・ボルティモア 決勝その2 最速でも勝てないウィル・パワー、ポイントリードは17点へと縮まった
ポールポジションからレースをリードしたパワーだったが。Photo:INDYCAR LAT USA |
またしても勝利はウィル・パワー(チーム・ペンスキー)の手からこぼれ落ちた。ポールポジションからレースをリードしたパワーだったが、彼をその座から引き摺り下ろしたのは気まぐれな雨だった。
スタート前から心配されていた雨は、6周目には早くもポツポツと降り始めた。ところが、その雨は路面を急激に濡らす強さではなかった。コースの一部分が完全に滑り易いコンディションとなったものの、コース全体はウェットコンディションにはならない、実に奇妙な状況だった。レインタイヤに換えるか、スリックのまま走り続けるか、その判断は非常に難しかった。
それでも路面は徐々にだが着実に濡れて行った。そこへフルコースコーションが重ねて出された。7周目にはエド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)がクラッシュし、その後には多重アクシデントも発生した。そして19周目、マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)のアクシデントで3回目のイエローが出された時、トップを行くパワーがピットロードへとステアリングを切った。「レインタイヤに換えるか、スリックのまま行くか、その判断は本当に難しかった。そこへ無線交信の混乱も重なった。自分とピットが同時に話してしまったんだ。僕はピットに入ることとし、レインタイヤにスイッチした」。
この決断が失敗だった。結果論だが、それは紛れもない事実だ。パワーはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)やセバスチャン・ブルデイ(ドラゴン・レーシング)を従えてピットインし、スリックで走り続けるリスクを冒したライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)にトップの座を明け渡した。ランキング2位のハンター-レイがこの展開を完璧に利用してトップに立ったのは驚きだった。
最後のリスタートでもポジションダウン
7番手まで下がったパワーは、すぐにまたスリックへと戻すためのピットストップを行なう羽目に陥った。雨は考えらたより遥かに短時間で止んだのだ。53周目にパワーはトップに復帰したが、それはハンター-レイたちとのピットタイミングのズレによって巡って来たトップでしかなかった。
57周目、パワーはピットに入り、順位は7位へと逆戻り。そこから5位まで挽回。ところが、ゴールを目前にルーベンス・バリケロ(KVレーシング・テクノロジー)とオリオール・セルビア(パンサー-ドレイヤー・レインボールド・レーシング)にパスされ、セルビアだけは辛うじて抜き返し、6位でゴールを迎えた。
パワーが不運だったのは、レース終盤にイエローが重なった上、オフィシャルの不手際でアンダーイエローの周回数が多くなったことからライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)とディクソンに給油の必要がなくなった点だった。彼らがスプラッシュのためにピットに向かっていれば、パワーは4位でゴールできていたはずだった。しかし、彼は6位でゴールすることとなったのだ。
「まだポイントを保っているのでハッピーだ」とパワー
エドモントンではエンジン交換のペナルティで後方スタートとなり、3位まで追い上げるのがやっとだった。ミド‐オハイオではスタートから57周をリードしながら、ピットの位置の悪さから最後の最後で勝利を手放した。ソノマではフルコースコーションの出されるタイミングが最悪で、ここでも最多リードラップを記録したが優勝はチームメイトの手に渡った。そして今回、彼を勝利から遠ざけたのは天気、そしてピットの判断だった。「毎週々々、最速のマシンを手にしているのに勝てない。最速も最速、ライバルたちを突き放す速さを見せているのに」とパワーは悔しがった。「シーズン序盤に3連勝した時、そのままシーズン終盤まで勝てないままで行くなんて考えもしなかったよ」とも彼は語った。
残るは最終戦のフォンタナだけとなった。パワーは、「最後のレースではとにかくゴールまで走り切りたい。そして、タイトル獲得でシーズン終了としたい。まだポイントリードを保っているんだからハッピーだ。状況は悪くない。今日のレースがこういうパターンになる可能性は考えていた。勝てなかったのは悔しいが、タイトルは簡単になんか獲れないものなんだ。これからもベストを尽くし続け、最後の最後まで戦い抜くだけ」と努めて明るく語った。
J
2012 INDYCAR レポート:R14 グランプリ・オブ・ボルティモア 決勝 ライアン・ハンター-レイが勝負強さを見せつけて今季4勝目
今季4勝目を挙げたハンター‐レイ Photo:INDYCAR LAT USA |
グリッド10番手から挽回を期する
ミド‐オハイオではシボレー・エンジンが壊れ、ソノマでは3位を走っていたレース終盤大詰めで後続にヒットされて18位フィニッシュ。ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)も運のないドライバーだが、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)も不運さでは負けていない。
ボルティモアではパワーがポールポジションを獲得。対するポイント2位のハンター-レイは、予選第1セグメントでアタックを行う前に赤旗が出され、そのまま走行タイム終了。不運は続いているようだった。
しかし、ハンター-レイは自分自身に言い聞かせるように、「まだチャンスはある。この状況は覆せる」と繰り返しコメントしていた。グリッドは10番手と、絶望的に後方ではない位置に決まった。
雨の中、マイケル・アンドレッティから
スリックでステイアウトする指示が
レース序盤の雨は、ハンター-レイに大きく味方した。路面が濡れて行く中、スリックのままステイアウトする作戦を決断したのはチーム・オーナーのマイケル・アンドレッティだったという。「タイトルを獲る。そのためにはパワーと同じ作戦を選んでいたんじゃダメだ。チャンピオンになるために、ここはスリックで行く」と彼は無線で告げたという。ハンター-レイは多少無謀な作戦の気もしながら、マイケルの考えに賭けることとした。
「あのマイケルの判断が正解だった」とレース後にハンター-レイは振り返った。「雨のレースは好きだけど、それはレインタイヤを履いた場合。今日は濡れてる路面で、それもストリートコースでスリックを使い続けた。マシンをコントロールし続けるのは本当に大変だった」と彼は笑った。
69周目のリスタートで巧みにトップを奪取
小さな接触は幾つもありながら、ハンター-レイはマシンを前へ前へと進め続けた。そして、勝負を決定づけたのが終盤69周目のリスタートだった。トップを走っていたのはライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)だったが、彼が加速を躊躇している間に鋭いダッシュを決めてハンター-レイはトップに立ち、もう一度あったリスタートでもその座を守り、チェッカードフラッグを受けた。
「2列で切るリスタートだというのに、ハンター-レイは僕の真横に並ぶ努力をせず、シケイン脱出後に一気に加速して行った。隊列が整っていなかったのにリスタートが切られたのは、少々アンフェアだったと思う」とブリスコーは優勝ドライバーとオフィシャルの両方に不満を述べた。
今日のレースでは、フラッグタワーのスタート担当オフィシャルが、先頭マシンが加速区間に到達する前にグリーンフラッグを振ることを何度も繰り返していた。その事実を踏まえ、早いタイミングでの加速に対する準備を整えていたのがハンター-レイで、ブリスコーは少々真正直に過ぎた。
これでハンター-レイは今季4勝目だ。パワーと並んでいた勝利数=3から一歩抜け出て最多勝利ドライバーとなった。ポイント争いでは依然としてパワーがトップだが、ハンター-レイとの差は36点から17点にまで縮まった。
「今日のレースで勝てるなんてすごいことだ! 」とハンター-レイは大興奮だった。「チーム全体がタイトル獲得を強く望んでいる。この勢いで最終戦も戦い、チャンピオンシップを手に入れたい。僕らにはプレッシャーなんて一切ない」とハンター-レイはフォンタナへの意気込みを語った。
2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント74:R14 グランプリ・オブ・ボルティモア Race Day ウォームアップ「朝のセッションでトラブルが出切ってしまったと祈るしかないですね。多分、大丈夫だと思います」
R14 ボルティモア・グランプリ
ボルティモア市街地コース
2.04マイル(=約3.282㎞)×75周
Race Day ウォームアップ
13位 1分19秒9059 11周走行
100マイルをすでに走行したエンジンに載せ替え
昨日の予選の後、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングはエンジンの積み替えを行なった。今週末から投入したフレッシュエンジンがトラブルを起こしたからだ。詳細な事情は不明だが、それで新たに供給されたエンジンは新品ではないとのことだった。インディーカーにはホンダのフレッシュエンジンがまたプールされているはずだが、今週末の15号車用へとデリバリーされた2基目は、新品ではなく、何100マイルかをすでに走っているエンジンとなった。
ところが、この新たに積んだエンジンがまたしてもトラブルを出した。セッション開始からエンジンは完調ではなかったようだ。走行終了後、HPDとRLLは問題の原因を発見したようで、ガレージではエンジンはシャシーに搭載したまま、補器類の交換作業が行われていた。
「バランスは一応チェックできたけど、また変えたいってことで
スプリングパッケージも見直して、変更をしてもらってます」
――セッション後半にエンジントラブルが出てしまったようでしたね?
佐藤琢磨:はい。そうでした。
――セッションの半分で赤旗が出て、前半はブラック、後半はレッドタイヤでの走行というカタチになっていたと思うんですが、エンジン以外のマシンの状況はどうでしたか?
佐藤琢磨:今日は最初からエンジンにトラブルが出ていました。ピットに入ってニュートラルにしたらエンジンが止まってしまった。でも、すぐにはどうしようもできなかったんです。レッドタイヤで出て行った時も最初にブレーキロックがあって。2台一緒に1コーナーの外側を回ったんですよ。そうしたらコースマーシャルは1台ずつ一時停止させてコースに戻さなくちゃいけなくて、そこでもクラッチを引いて、走り出そうとしたらまた止まっちゃった。もう、どうしようもできない。直結したカートみたくずっと動いてなくちゃいけなくて、で、何とかエンジンをかけてもらって、リスタートしてレッドタイヤで3周ぐらいできたのかな? でもトラフィック待ったから事実上測れたラップは1周だけでしたね。最後は、ヘアピンを回ったところでエンジンが、ギヤがエンゲージした状態で完全に止まっちゃった。だから、このセッションはほとんど収穫がない。バランスは一応チェックできたけど、いい部分と悪い部分の両方があって、結構また変えたいなってことで、スプリングパッケージも見直しして、変更をしてもらってます。そういう意味では、順調なセッションとはできなかったですね。
――決勝に向けて、エンジンの問題が解決されればいいんですが。
佐藤琢磨:朝のセッションでトラブルが出切ってしまったと祈るしかないですね。多分、大丈夫だと思います。
――またエンジン交換をしたのではないですよね? 補器類を変更した、ということだったんですか?
佐藤琢磨:エンジンは今日のエンジンは昨日までのものとは違って、他チームがテストで使った中古になっているんですよ。
――何らかの事情で、特例的に新品ではないエンジンを使う状況になっているわけですね?
佐藤琢磨:まぁ、テストで走った実績があるので、問題なく走れるエンジンなんだとは思います。今朝の問題は補器類に出ていたようですし。
――中古といっても、すごいマイレージを重ねちゃってるエンジンてことはないですよね?
佐藤琢磨:ソノマのテストとレース、フォンタナでのテストを走ったのと同じぐらいの距離は出ているものみたいですよ。スペック的には、今週の最初から使っていたものと同じです。そして、このエンジンがスーパー・デューパー・エンジンでないことは、今朝のスピードトラップでの数字で証明されてます。時速5マイルでしたから。
――トラブルが解消されたエンジンで、上位へとのし上がって行くレースを期待しています。
佐藤琢磨:はい。見ていてください!
ボルティモア市街地コース
2.04マイル(=約3.282㎞)×75周
Race Day ウォームアップ
13位 1分19秒9059 11周走行
100マイルをすでに走行したエンジンに載せ替え
昨日の予選の後、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングはエンジンの積み替えを行なった。今週末から投入したフレッシュエンジンがトラブルを起こしたからだ。詳細な事情は不明だが、それで新たに供給されたエンジンは新品ではないとのことだった。インディーカーにはホンダのフレッシュエンジンがまたプールされているはずだが、今週末の15号車用へとデリバリーされた2基目は、新品ではなく、何100マイルかをすでに走っているエンジンとなった。
ところが、この新たに積んだエンジンがまたしてもトラブルを出した。セッション開始からエンジンは完調ではなかったようだ。走行終了後、HPDとRLLは問題の原因を発見したようで、ガレージではエンジンはシャシーに搭載したまま、補器類の交換作業が行われていた。
「バランスは一応チェックできたけど、また変えたいってことで
スプリングパッケージも見直して、変更をしてもらってます」
――セッション後半にエンジントラブルが出てしまったようでしたね?
佐藤琢磨:はい。そうでした。
――セッションの半分で赤旗が出て、前半はブラック、後半はレッドタイヤでの走行というカタチになっていたと思うんですが、エンジン以外のマシンの状況はどうでしたか?
佐藤琢磨:今日は最初からエンジンにトラブルが出ていました。ピットに入ってニュートラルにしたらエンジンが止まってしまった。でも、すぐにはどうしようもできなかったんです。レッドタイヤで出て行った時も最初にブレーキロックがあって。2台一緒に1コーナーの外側を回ったんですよ。そうしたらコースマーシャルは1台ずつ一時停止させてコースに戻さなくちゃいけなくて、そこでもクラッチを引いて、走り出そうとしたらまた止まっちゃった。もう、どうしようもできない。直結したカートみたくずっと動いてなくちゃいけなくて、で、何とかエンジンをかけてもらって、リスタートしてレッドタイヤで3周ぐらいできたのかな? でもトラフィック待ったから事実上測れたラップは1周だけでしたね。最後は、ヘアピンを回ったところでエンジンが、ギヤがエンゲージした状態で完全に止まっちゃった。だから、このセッションはほとんど収穫がない。バランスは一応チェックできたけど、いい部分と悪い部分の両方があって、結構また変えたいなってことで、スプリングパッケージも見直しして、変更をしてもらってます。そういう意味では、順調なセッションとはできなかったですね。
――決勝に向けて、エンジンの問題が解決されればいいんですが。
佐藤琢磨:朝のセッションでトラブルが出切ってしまったと祈るしかないですね。多分、大丈夫だと思います。
――またエンジン交換をしたのではないですよね? 補器類を変更した、ということだったんですか?
佐藤琢磨:エンジンは今日のエンジンは昨日までのものとは違って、他チームがテストで使った中古になっているんですよ。
――何らかの事情で、特例的に新品ではないエンジンを使う状況になっているわけですね?
佐藤琢磨:まぁ、テストで走った実績があるので、問題なく走れるエンジンなんだとは思います。今朝の問題は補器類に出ていたようですし。
――中古といっても、すごいマイレージを重ねちゃってるエンジンてことはないですよね?
佐藤琢磨:ソノマのテストとレース、フォンタナでのテストを走ったのと同じぐらいの距離は出ているものみたいですよ。スペック的には、今週の最初から使っていたものと同じです。そして、このエンジンがスーパー・デューパー・エンジンでないことは、今朝のスピードトラップでの数字で証明されてます。時速5マイルでしたから。
――トラブルが解消されたエンジンで、上位へとのし上がって行くレースを期待しています。
佐藤琢磨:はい。見ていてください!
2012 INDYCAR レポート:R14 グランプリ・オブ・ボルティモア Race Day ウォームアップ 最速はシモン・パジェノー、2番手はスコット・ディクソン。佐藤琢磨はエンジン・トラブルで13番手
初日のシケインの様子 Photo:INDYCAR LAT USA |
決勝日朝のウォーム・アップ・セッションは曇り空の下、27℃と低めの気温、路面温度というコンディション下で行われた。このセッションからメインストレート上のシケインは、左にターンする1個目のコーナー内側にタイヤが積まれていた。ひとつ目の縁石に絶対に乗り上げられないようにすることで、進入スピードを抑えようということだ。
アメリカン・ル・マン・シリーズの決勝レースが行われ、一晩が経った路面は昨日の予選時とはコンディションが大きく異なっていた。このウォームアップの後にはUSF2000、スター・マツダ、インディライツのレースが行われるので、最後のレースとしてスタートの切られるインディーカーの決勝レースでは、また更にコンディションが違ったものへと変化していることだろう。マシンセッティングはどのようにすべきなのか、エンジニアたちが頭を悩ませるところだ。
今朝の30分間の走行セッションで最速タイムを出したのは、ルーキー・オブ・ザ・イヤーのシモン・パジェノー(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)だった。タイムは1分18秒7420。昨日の予選で12位だったパジェノーだったが、彼は3回のプラクティス総合で7番手につけていた。予選ではトップ6を十分狙える位置につけていたのだ。しかし、予選の第1セグメント終盤にシケイン出口外側の壁にヒット。リヤのウィッシュボーンを曲げ、その周辺部分にもダメージを与えてしまった。彼らはファイストン・ファスト6に進出すべくピットでマシンの修理に取りかかり、ブライアン・ハータ・オートスポートのアレックス・タグリアーニ車からパーツを移植することも行ったが、あと少し時間が足りず、第2セグメントでアタックを行うことはできなかった。
今朝の2番手は1分18秒7495のスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)。彼の昨日のコメントの通り、マシンの仕上がり具合はかなり良いようだ。トップのパジェノーとの差は、もうないに等しい0.0075秒という小ささだった。
新品レッド2セット保有のハンター‐レイが3番手に
今日の3番手はライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)だった。ベストは1分19秒2639と、上の2人には少々劣るが、タイトル争いを行う彼はボルティモアでも速そうだ。予選第1ステージ敗退の彼には、予選をフルに3ステージ戦ったライバルたちとは違い、新品のレッドタイヤが2セットある。それを活かした戦いぶりを実現すれば優勝争いは十分に可能だ。
ポールシッターのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は1分19秒5709で6番手と、何やら彼らしくない今ひとつのデキだった。
このセッションではJR・ヒルデブランド(パンサー・レーシング)=予選25位=が4番手、ジェイムズ・ジェイクス(デイル・コイン・レーシング)=予選22位=が5番手につけた。後方グリッドからスタートする彼らだが、どんなレースを見せることになるのだろうか?
佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は13番手だった。ベストは11周のうちの10周目で、タイムは1分19秒9059だった。パジェノーやディクソンが17周を走ったのに対し、琢磨が5周も少ない11周を記録するにとどまったのは、彼がコース上にストップしてしまったためだった。先週のソノマでの決勝に続いて、エンジンが止まってしまったのだ。
レースのスタートは午後2時45分と、幸いにも時間的余裕は十分。RLLとホンダはトラブルの原因究明を行い、対策をキッチリ施して決勝のスタートを迎えたいところだ。
2012 INDYCAR ニュース:R14 グランプリ・オブ・ボルティモア カラーリングガイド & 周辺情報
マルコ・アンドレッティのドクター・ペッパーカラー Photo:INDYCAR LAT USA |
今回はフレッシュなカラーリングがあります! その1はマルコ・アンドレッティ、その2はオリオール・セルビア。残念ながらどちらのドライバーも予選までのパフォーマンスはマイチでしたが、去年のレースではトニー・カナーン(27番グリッド)とセルビア(14番グリッド)が後方スタートから表彰台に到達していたし、今年はよりエキサイティングなレースになることが期待できる状況にもなっています=走行時間の少なさとか、新設シケインの難しさとか、プッシュ・トゥ・パスのディレイ廃止とか……。
ところでこのカラーリングガイドって企画ですが、シーズンを通して同じカラーリングを使い続けた場合、チームメイトとの比較でもない限り紹介されなくなっちゃってます。そこで、今回は通年カラーリングの面々についても何人かだけですが、少しずつアレコレ書くことにしてみました。
2 ライアン・ブリスコー
2010年以来の勝利を挙げた日立カラーではなく、今回はPPGカラーでの登場。白/青/青のトリコロールは一番ブリスコーっぽいし、ウィル・パワー号との差も明確だからいいと思うんだけど、どうでしょう? 先週の勝利でチーム残留なんて話も聞こえて来てますけど、一度決まった(と思われる)契約終了が更新に覆ることなんてこち、常識的には考えられませんよね? ベツに、私がブリスコーのペンスキー離脱を歓迎しているワケじゃないんですけど。ただ、パワーと同じチームで戦って、彼に勝ち続けるのは難しいかもな、とは思います。他チームで、総合力で強敵を敗るってアプローチ、挑戦の価値アリと思います。G2がそうなる実力を秘めてるかは別の話です。ブリスコーの現在のランキングは8位。ただし、ランキング5位のシモン・パジェノー(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)とは21点の差しかない。
3 エリオ・カストロネベス
ペンスキー・トラック・レンタルの白/青/黄パターン。去年は勝利なしだったのに、今季は2勝を挙げてるんですから、37歳のドライバーとしちゃ素晴らしいパフォーマンスです。ダリオ・フランキッティ様でも1勝ですよ、今年は。チームメイトのパワーが、「エリオは素晴らしい能力を持ったドライバー」と賞賛してました。お世辞じゃなく、マジメに。彼にとっちゃ、ロング・ビーチで弾き飛ばされたり(去年)、結構迷惑もかけてくれたセンパイですけど、「新しいダラーラは2ペダル。彼はもうベテランだというのに、それに合わせてドライビング・スタイルを変えた。長年ブレーキを右足で踏んで来たのに」と、いつだったか話してました。41点差を逆転してのタイトル獲得、あるでしょうか、ね?
10 ダリオ・フランキッティ
メモリーカードなどのブランド=レクサーがメインスポンサーとなって、マシン全体が黒に。ブラジルと同じパターンで、ウィング類は一部が薄茶色。今年はインディー500での1勝のみ。そのレースは健気にもターゲットカラーで記録してましたね。それも、創業50周年のカーナンバー50で。今回は真っ赤なマシンではないですけど、2勝目を挙げる大きなチャンス。作戦も絡めてスマートに戦い、運も味方につけられれば打倒パワーは可能なはず。でも、彼としては僚友ディクシーの逆転タイトル獲得に少しでも役立ちたいって考えてるんじゃないでしょうか。現在ランキング9位で、もうタイトルの目はなし。
11 トニー・カナーン
保険会社のガイコがメインスポンサーで、白/青/緑のシンプル&クリーンな、TKらしくないカラーリング。現在ランキング6位。ひとつ上のパジェノーとの差は10点しかありません。当然トップ5狙い。
14 マイク・コンウェイ
建設会社のABCカンパニーがメインスポンサー。赤/青/白の星条旗カラー。白い部分が多いとはいえ、同パターンが多過ぎ(グレアム・レイホール、ジェイムズ・ジェイクス)。自国ダイスキのアメリカンとしては仕方がないのかな、これも。ホンダがガナッシの次に契約したのがこのチーム。生きる伝説=AJ・フォイトのチームで、将来性を期待される若手の一人=コンウェイを抜擢。インディーカーのシャシーデザインをした経験も持つベテランエンジ二アのドン・ハリデーを起用したのは、AJからチームを受け継いで切り盛り=近代化を推し進めている元ドライバーのラリー・フォイト。来シーズンはもっとパフォーマンスが上がるはず。今年のベスト・リザルトはトロントでの3位で、ランキングは現在19位。
15 佐藤琢磨
サイド・ポッドのロゴはソノマでのBigge(ビギー)が1戦だけで消え、もとのMI-JACK(マイジャック)へと戻されている。琢磨のランキングは2戦を残して15位。ひとつ上のルーベンス・バリケロ(KVレーシング・テクノロジー)とは4点差、ランク11位につけるJR・ヒルデブランド(パンサー・レーシング)とでも14点しか差はない。10位のグレアム・レイホール(チップ・ガナッシ・レーシング)との間だと差は43点と少々あるけれど……。どこまでランキングを上げられるか。
22 オリオール・セルビア
Photo:INDYCAR LAT USA |
26 マルコ・アンドレッティ
ドクター・ペッパーがメイン・スポンサー。しかし、カナダ連戦とはカラーリングが違う。マットなグレー、ワインレッドというかエンジ色というか、と白のコンビネーション。目新しさはある。RCコーラなんぞのアリキタリな青/白/赤よりは全然イイ。マルコのランキングは16位。チームメイトふたりはトップ10にいて、そのうちの一人はタイトルを争ってる。来年は奮起しないと。
27 ジェイムズ・ヒンチクリフ
ニューマン-ハース・レーシングからデビューしたが、名門チームが閉鎖に。キャリア継続の危機に陥っているところを、元ニューマン-ハースのエース=マイケル・アンドレッティが救った。インターネットドメイン会社であるゴーダディ・ドット・コムはダニカ・パトリック(すでに懐かしい)のスポンサーだったが、”ヒンチタウンの市長”というウェブサイトを運営してスポンサー獲得に努めて来ていた”ヒンチ”の方がよりピッタリのスポンサーと言える。ヒンチはコース上でのパフォーマンスでダニカを軽々と上回る上(まだ勝利はないが)、明るく人なつこい人柄でメディアやファンの間での人気も着実に上昇している。開幕から5戦連続トップ10フィニッシュ、その後にさらに3回トップ0入り。表彰台2回は2シーズン目としたは素晴らしい成績。で、現在ランキング7位。
36 グレアム・レイホール
今回はサイド・ポッドにNTBのロゴ。これはサーヴィス・セントラル(SC)の系列。マイダス、ビッグ・オー・タイヤズ、NTB、SCとSC系列だけで4パターンがあったということ。今日は幾人かのドライバーに予選第1セグメント・第1グループで迷惑をかけてしまったグレアムだが、同時に2人のドライバーに初の予選第2セグメント進出をもたらした。この二世代目、チャンプカーからインディーカーにスイッチした最初のレースで優勝(多分にラッキーだった)しているが、アンドレッティの三代目と同様、レースに賭ける本気度が低い気がしてならない。ハングリーさがヤッパリ足りないということか。マルコよりコメントはスマートだが……。今年のベストリザルトはテキサスでの2位。ランキングは10位。トップ10を保てるか?
67 ブルーノ・ジュンケイラ
青/黒に白の細ストライプ、ウィングなどに蛍光イエローのアクセント。ジャンキーはソノマで負傷したジョセフ・ニューガーデンの代役。この1戦のみの予定。ソノマでのアクシデントでは、ぶつかって来たセバスチャン・ブルデイ号ともどもシャシー・タブが破壊されてしまった。ダラーラ製の新型シャシー=DW12は安全性が高く、ドライバーたちは大怪我をせずに済んだ。しかし、よりによって規模の小さい2チームのシャシーがお払い箱の憂き目に遭った。サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシングは青く塗ったシャシーでのボルティモア登場となった。今回もSFHRのマシンにはスポンサーロゴが少なく、どれもが小さい。新生チームとしてはかなり良いパフォーマンス、若く才能がありルックスも良いドライバー、元レーサーの女性オーナー=サラ・フィッシャーとセールスポイントは少なくない。来年はより強力な体制での参戦を期待したい。
2012年9月2日日曜日
2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント73:R14 グランプリ・オブ・ボルティモア Day2 予選 「レッドタイヤのバランスも見れなかった。これはすごく残念ですね。明日は後方からのスタートですけれども、巧く順位アップしていきたいです」
R14 ボルティモア・グランプリ
ボルティモア市街地コース
Day2 予選
第1セグメント敗退 1分18秒9672 トータル19位
ファスト6進出が見えていた佐藤琢磨だったが
思わぬ不運で予選は第1セグメント敗退
今シーズンの佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、ストリート・コースでは良いフィーリングで戦えて来ている。それは、サン・パウロとエドモントンでの表彰台登壇が証明している通りだ。ところが、ボルティモアのストリートでは、走行初日の順位が25台中の21番手と、予定していた好スタートを切れなかった。それでも、コース改修の必要が出て走行時間が制限される悪循環を乗り越え、走行2日目のプラクティス3で琢磨は4番手のタイムをマーク。予選をギリギリ前にして体制を一気に立て直す事に成功した。
しかし、不運が琢磨を襲った。予選第1セグメント、同グループで走っていたグレアム・レイホール(チップ・ガナッシ・レーシング)がシケイン出口でハードクラッシュ! 赤旗が出され、まだアタック・ラップを1周も終えていなかった琢磨は第1セグメントでの敗退を余儀なくされたのだ。その結果、ロードコースが不得意でセッション開始から走り続けていたエド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)と、スポット参戦のために少しでもコースとマシンに慣れようと、同じく多くの周回をこなしていたブルーノ・ジュンケイラ(サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシング)が共に初の第2セグメント進出を果たした。
「アタックラップに張ったところで赤旗でした。
こればっかりは予想もできないし、悔しいですね」
――アタックを始めたか、始めようというところで赤旗でしたか。
佐藤琢磨:はい。コースに出てって、ウォームアップをやって、アタックラップに入ったところで赤旗が出ました。だから、上に上がってったドライバーたちっていうのは、全員2ラップ目に入ってた。それが、僕らより半周ぐらい前だったのかな? ちょっとしたタイミングでしたけども、こればっかりは予想もできないし、悔しいですね。
――非常に珍しいケースですよね、赤旗で計測時間が今日ほど大幅に削られるのは。
佐藤琢磨:そうですね。だから、今日の僕らがコースインが遅かったといっても、それがそんなに大きなギャンブルであったわけではないんです。先にアタックを始めていたドライバーたちといっても、彼らは僕らとほぼ同じタイミングで出てっていたわけで、そんなに大差はなかったから。
――トップ6も狙えた状況下、上位のグリッドを獲れなかったことも悔しいと思いますが、1周のアタックすら終えていないということは、レッドタイヤについての情報収集も行えていないんですよね。
佐藤琢磨:そう。アタックさえしてない。レッドタイヤのバランスも見れなかった。それは非常に残念ですね。
――良いことがあるとすれば、レッドの新品が2セットあって、3セット目もほとんど使っていない状態だということぐらいですか?
佐藤琢磨:まぁ……もうちょっと今日は上のグリッドを獲得できると思っていたから非常に残念です。マイク(・コンウェイ)は、最後はクラッシュしちゃってたけど、あそこまでタイムを出せてた。今日の午前中、自分はマイクとほぼ同じぐらいのところにいたから、そういう意味では、自分たちも高いとこまで行けたと思うんですけどね。
――今日の予選ではシケインで何台かが大きなアクシデントを起こしていました。
佐藤琢磨:今日の朝に雨が降っちゃったために、路面がクリーンな状況で、そこからレッドタイヤ装着で、走る毎にかなりサーキットは良くなって行っている感じは受けましたね。出るたびにコンマ5秒ぐらいのタイムアップができていたので。多分、また予選では次元が変わって行ってたと思うんですけど、それが見れなかったのは残念でした。その中で、昨日仮設シケインを作って、今日から縁石になった状況でみんなギリギリのアタックをしたので、ちょっとアクシデントが多くなっていましたね。明日はまた同じような事故が起こらないとは限らないので、後方からのスタートですけど、それをうまく使ってポジションアップをして行きたいです。
――明日のウォームアップのテーマはどういうものになりますか?
佐藤琢磨:レッドタイヤをあんまり使いたくないとはいえ、バランスはしっかりと見ないといけないと思うので、今日予選を走った中で、何かを学ぶのは非常に難しかったんですけど、予選に向けてプラクティス3までで作ってきたクルマの方向性っていうのは、わりとポジティブになって来たので、このまま作業を続けて、ウォームアップでもう一段前進させたいですね。
ボルティモア市街地コース
Day2 予選
第1セグメント敗退 1分18秒9672 トータル19位
ファスト6進出が見えていた佐藤琢磨だったが
思わぬ不運で予選は第1セグメント敗退
今シーズンの佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、ストリート・コースでは良いフィーリングで戦えて来ている。それは、サン・パウロとエドモントンでの表彰台登壇が証明している通りだ。ところが、ボルティモアのストリートでは、走行初日の順位が25台中の21番手と、予定していた好スタートを切れなかった。それでも、コース改修の必要が出て走行時間が制限される悪循環を乗り越え、走行2日目のプラクティス3で琢磨は4番手のタイムをマーク。予選をギリギリ前にして体制を一気に立て直す事に成功した。
しかし、不運が琢磨を襲った。予選第1セグメント、同グループで走っていたグレアム・レイホール(チップ・ガナッシ・レーシング)がシケイン出口でハードクラッシュ! 赤旗が出され、まだアタック・ラップを1周も終えていなかった琢磨は第1セグメントでの敗退を余儀なくされたのだ。その結果、ロードコースが不得意でセッション開始から走り続けていたエド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)と、スポット参戦のために少しでもコースとマシンに慣れようと、同じく多くの周回をこなしていたブルーノ・ジュンケイラ(サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシング)が共に初の第2セグメント進出を果たした。
「アタックラップに張ったところで赤旗でした。
こればっかりは予想もできないし、悔しいですね」
――アタックを始めたか、始めようというところで赤旗でしたか。
佐藤琢磨:はい。コースに出てって、ウォームアップをやって、アタックラップに入ったところで赤旗が出ました。だから、上に上がってったドライバーたちっていうのは、全員2ラップ目に入ってた。それが、僕らより半周ぐらい前だったのかな? ちょっとしたタイミングでしたけども、こればっかりは予想もできないし、悔しいですね。
――非常に珍しいケースですよね、赤旗で計測時間が今日ほど大幅に削られるのは。
佐藤琢磨:そうですね。だから、今日の僕らがコースインが遅かったといっても、それがそんなに大きなギャンブルであったわけではないんです。先にアタックを始めていたドライバーたちといっても、彼らは僕らとほぼ同じタイミングで出てっていたわけで、そんなに大差はなかったから。
――トップ6も狙えた状況下、上位のグリッドを獲れなかったことも悔しいと思いますが、1周のアタックすら終えていないということは、レッドタイヤについての情報収集も行えていないんですよね。
佐藤琢磨:そう。アタックさえしてない。レッドタイヤのバランスも見れなかった。それは非常に残念ですね。
――良いことがあるとすれば、レッドの新品が2セットあって、3セット目もほとんど使っていない状態だということぐらいですか?
佐藤琢磨:まぁ……もうちょっと今日は上のグリッドを獲得できると思っていたから非常に残念です。マイク(・コンウェイ)は、最後はクラッシュしちゃってたけど、あそこまでタイムを出せてた。今日の午前中、自分はマイクとほぼ同じぐらいのところにいたから、そういう意味では、自分たちも高いとこまで行けたと思うんですけどね。
――今日の予選ではシケインで何台かが大きなアクシデントを起こしていました。
佐藤琢磨:今日の朝に雨が降っちゃったために、路面がクリーンな状況で、そこからレッドタイヤ装着で、走る毎にかなりサーキットは良くなって行っている感じは受けましたね。出るたびにコンマ5秒ぐらいのタイムアップができていたので。多分、また予選では次元が変わって行ってたと思うんですけど、それが見れなかったのは残念でした。その中で、昨日仮設シケインを作って、今日から縁石になった状況でみんなギリギリのアタックをしたので、ちょっとアクシデントが多くなっていましたね。明日はまた同じような事故が起こらないとは限らないので、後方からのスタートですけど、それをうまく使ってポジションアップをして行きたいです。
――明日のウォームアップのテーマはどういうものになりますか?
佐藤琢磨:レッドタイヤをあんまり使いたくないとはいえ、バランスはしっかりと見ないといけないと思うので、今日予選を走った中で、何かを学ぶのは非常に難しかったんですけど、予選に向けてプラクティス3までで作ってきたクルマの方向性っていうのは、わりとポジティブになって来たので、このまま作業を続けて、ウォームアップでもう一段前進させたいですね。
2012 INDYCAR レポート:R14 グランプリ・オブ・ボルティモア Day2 予選 ウィル・パワーが2年連続、今季5個目のポールポジション
Photo:INDYCAR LAT USA |
ウィル・パワーがボルティモアの予選でポールポジションを獲得した。去年、ここでポールポジションを獲得した彼は、レースも制した。今年はどうだろう? 去年はソノマとボルティモアの2戦続けてポール・トゥ・ウィンを飾ったパワーだったが、今年はソノマで勝利を逃している。
パワーは決して運の良いドライバーではない。それはもう何度も証明されて来ている。しかし、今日の予選では、彼よりも彼のライバル達の方が不運に見舞われていた。
ハンター-レイ、アタック前の赤旗に 泣く
例えば、ポイント2位につけるチャンピオンの座を争うライバル、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は、予選アタックを始める前にセッションが赤旗になり、第2セグメントへの進出を果たせなかった。ミッド・オハイオではエンジン・トラブルに遭い、ソノマでは3位フィニッシュを目前にアレックス・タグリアーニ(ブライアン・ハータ・オートスポート)に追突されて18位に沈んだ。不運さならハンター-レイもパワーにひけを取らないかもしれない。
ポイント3位のエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)は、不運でなかったというのに、今日の予選では苦しんでいた。朝のプラクティスで3番手につけ、予選でもアタックのチャンスを十分与えられながら、タイムを出せずに第1セグメントで姿を消した。
パワーがタイトルを争う相手の中では、唯一スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が彼に近い予選順=3位を手に入れた。パワーほどの衝撃的な速さは発揮していないディクソンだが、ガナッシのチーム力も考えれば、彼の存在は無視できない。
2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント72:R14 グランプリ・オブ・ボルティモア Day2 プラクティス3 「ボルティモアはストリートなのにロードコース・テイスト。その辺のうまくバランスを取っていくようにしてその結果良い感じが得られるようになりました」
R14 ボルティモア・グランプリ
Day2 プラクティス3
4位 1分20秒2109 15周走行
スリック装着の最後のラップで自己ベストを更新
昨日とは一転、ウエットコンディションで始まったプラクティス3だったが、セッション中に路面は徐々にドライへと変わって行き、最後はスリックタイヤでの走行が可能になった。予選はドライ・コンディションで争われる見込みだが、明日の決勝は雨の可能性アリ。今日のプラクティスはウェットとドライ、どちらのコンディションでも走っておくのが得策という、珍しい状況となっていた。佐藤琢磨は15周を走行。スリック装着の最後のラップで自己ベストをマークし、4番手につけた。苦境から一気に抜け出し、予選での好パフォーマンスが期待できることとなった。
「シケイン2個目の縁石は要注意ですね」
Jack Amano(以下――):ウェットで始まりドライになるプラクティスでした。昨日ドライで苦戦していた佐藤選手としては、予選が行われるであろうドライで長く走りたかったと思いますが?
佐藤琢磨:そうですね。雨は予選まで降らないでって願っている感じでした。クルマは昨日から大きく変えてるし、ドライで走りたかった。最初は雨で始まって、それでも見れるところはあるので、幾つかパラメーターをチェックして、最終的にはラスト4、5周をドライで走れました。そこはすごく収穫が大きかった。
――ドライで一気に良いタイムを出せたのは、昨日のデータを研究し、かなり良い発見があったということですか?
佐藤琢磨:そうです。ここずっとミド‐オハイオ、ソノマと苦しんで来たレースで、自分たちの殻から中々抜け出せないでいましたよね。そんな中で少し違うことをトライしつつ、でも、今までのストリートでのパフォーマンスがそこそこ良いところに行ってたので、それを殺さないように幾つかのことをトライしました。それがようやく良いカタチに現れて来たかな? ボルティモアはストリートなのにロードコース・テイスト。ブラジルみたいな純粋なストリートって感じの動きをマシンがしないので、そこらへんをうまくバランスを取って行くようにしてみた。その結果、プラクティス3で良い感じが得られたのは良かったですね。
――新しく設置されたシケインはどうですか?
佐藤琢磨:昨日のタイヤよりは全然いいですね。でも、かなりハイスピード。右、左と、ちょっと行き過ぎて、特に2個目の縁石に乗るとヒルデブランドみたくなっちゃう(マシン左側を大破させるハードクラッシュ!)。僕も最終ラップ、リヤがひっかかってマシンがポーンッと弾けて、飛びそうになったのでレースでも非常に気をつけなきゃいけないとこですね。
「予選ではうまく走れればいいなと思っています」
――明日のレースが雨になる可能性もありますが、このコースでウエットレースとなったら、かなり難しいですか?
佐藤琢磨:新しいアスファルトの部分が、ドライではすごいハイグリップで、コンクリートはロー・グリップになっちゃうんですけど、雨になると真逆で、コンクリートのセクションが表面がラフなのでグリップして、アスファルトのところはオイルが出るのかスムーズなのに全然(タイヤが路面を)喰わない。だから、すごく難しいですね。トランジションというか、ちょうどウェットからドライ、あるいはドライからウェットへと変わる時には、どれだけのグリップを期待できるのかという判断が難しいし、ピット近くのシケインも、僕を含めた何人かがスピンしたように、かなり気をつけないといけないセクションになりますね。
――レースはウェットならウェット、ドライならドライという同一コンディションとなった方がシンプルで戦い易いと思いますが?
佐藤琢磨:やり易さはありますけど、僕らとしては雨が降れば良い方向に行くかもしれな。予選で僕らがどれだけ行けるかわからないけど、トップ10目指して行っても、それでも10グリッドダウンのペナルティを受けるから、どう転んでも後方からのスタートになる。雨が降ればピットストップの回数が増えるだろうし、展開を味方につけられる可能性が増える。まずは予選で、ひとつでも上のポジションに行きたい。ここまで、あまりにも不甲斐ないパフォーマンスが続いているので。チームとしてもかなり苦労してましたけど、今日の予選ではうまく走れればいいな、と思います。
Day2 プラクティス3
4位 1分20秒2109 15周走行
スリック装着の最後のラップで自己ベストを更新
昨日とは一転、ウエットコンディションで始まったプラクティス3だったが、セッション中に路面は徐々にドライへと変わって行き、最後はスリックタイヤでの走行が可能になった。予選はドライ・コンディションで争われる見込みだが、明日の決勝は雨の可能性アリ。今日のプラクティスはウェットとドライ、どちらのコンディションでも走っておくのが得策という、珍しい状況となっていた。佐藤琢磨は15周を走行。スリック装着の最後のラップで自己ベストをマークし、4番手につけた。苦境から一気に抜け出し、予選での好パフォーマンスが期待できることとなった。
「シケイン2個目の縁石は要注意ですね」
Jack Amano(以下――):ウェットで始まりドライになるプラクティスでした。昨日ドライで苦戦していた佐藤選手としては、予選が行われるであろうドライで長く走りたかったと思いますが?
佐藤琢磨:そうですね。雨は予選まで降らないでって願っている感じでした。クルマは昨日から大きく変えてるし、ドライで走りたかった。最初は雨で始まって、それでも見れるところはあるので、幾つかパラメーターをチェックして、最終的にはラスト4、5周をドライで走れました。そこはすごく収穫が大きかった。
――ドライで一気に良いタイムを出せたのは、昨日のデータを研究し、かなり良い発見があったということですか?
佐藤琢磨:そうです。ここずっとミド‐オハイオ、ソノマと苦しんで来たレースで、自分たちの殻から中々抜け出せないでいましたよね。そんな中で少し違うことをトライしつつ、でも、今までのストリートでのパフォーマンスがそこそこ良いところに行ってたので、それを殺さないように幾つかのことをトライしました。それがようやく良いカタチに現れて来たかな? ボルティモアはストリートなのにロードコース・テイスト。ブラジルみたいな純粋なストリートって感じの動きをマシンがしないので、そこらへんをうまくバランスを取って行くようにしてみた。その結果、プラクティス3で良い感じが得られたのは良かったですね。
――新しく設置されたシケインはどうですか?
佐藤琢磨:昨日のタイヤよりは全然いいですね。でも、かなりハイスピード。右、左と、ちょっと行き過ぎて、特に2個目の縁石に乗るとヒルデブランドみたくなっちゃう(マシン左側を大破させるハードクラッシュ!)。僕も最終ラップ、リヤがひっかかってマシンがポーンッと弾けて、飛びそうになったのでレースでも非常に気をつけなきゃいけないとこですね。
「予選ではうまく走れればいいなと思っています」
――明日のレースが雨になる可能性もありますが、このコースでウエットレースとなったら、かなり難しいですか?
佐藤琢磨:新しいアスファルトの部分が、ドライではすごいハイグリップで、コンクリートはロー・グリップになっちゃうんですけど、雨になると真逆で、コンクリートのセクションが表面がラフなのでグリップして、アスファルトのところはオイルが出るのかスムーズなのに全然(タイヤが路面を)喰わない。だから、すごく難しいですね。トランジションというか、ちょうどウェットからドライ、あるいはドライからウェットへと変わる時には、どれだけのグリップを期待できるのかという判断が難しいし、ピット近くのシケインも、僕を含めた何人かがスピンしたように、かなり気をつけないといけないセクションになりますね。
――レースはウェットならウェット、ドライならドライという同一コンディションとなった方がシンプルで戦い易いと思いますが?
佐藤琢磨:やり易さはありますけど、僕らとしては雨が降れば良い方向に行くかもしれな。予選で僕らがどれだけ行けるかわからないけど、トップ10目指して行っても、それでも10グリッドダウンのペナルティを受けるから、どう転んでも後方からのスタートになる。雨が降ればピットストップの回数が増えるだろうし、展開を味方につけられる可能性が増える。まずは予選で、ひとつでも上のポジションに行きたい。ここまで、あまりにも不甲斐ないパフォーマンスが続いているので。チームとしてもかなり苦労してましたけど、今日の予選ではうまく走れればいいな、と思います。
2012_INDYCAR レポート:R14 グランプリ・オブ・ボルティモア Day2 プラクティス3 ウェットからドライへとコンディションが変わるセッション、トップはライアン・ブリスコー、佐藤琢磨は4番手
プラクティスのラスト10分でスリックタイヤのコンディションに
走行2日目を迎えたボルティモアは、朝から灰色の雲に覆われ、朝方に降った雨により路面はウェットコンディションとなっていた。気温は摂氏27度と昨日と比べて低かった。
プラクティス3が始まったのは午前9時。まだ時折ポツポツと雨が降って来る状況で、ウェットタイヤ装着で走行は始まった。
インディーカーが周回を重ねたことで路面は徐々に乾て行き、最後の10分間ほどだけだがスリックタイヤでの走行が可能となった。こうなると最後の最後、もっとも路面状況が良くなったところでベストラップを記録した者がタイムシートの上位に来る。セッション終了間際、ライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)が1分19秒7635を叩き出してでトップの座を奪った。先週ソノマで勝ったばかりのブリスコーには、一気に勢いに乗る可能性もある。
ブリスコーによって2番手に下げられたのはマイク・コンウェイ(AJ・フォイト・エンタープライゼス)だった。彼のベストは1分19秒7646。ここまでが1分19秒台だった。
佐藤琢磨、ドライセッティングがピンポイントで的中!
チェッカード・フラッグが出される直前、佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は3番手に食い込むタイムをマークした。しかし、琢磨の少し後方を走っていたエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)が、やはり最後のラップで1分20秒0197のベストを出し、1分20秒2109の琢磨は4番手となった。
それでも、昨日のプラクティス2での順位が21番手だった琢磨陣営が同じドライ・セッションで4番手のタイムを記録したことは大きな飛躍と評価していいだろう。しかも、今日のプラクティスは大半がウェットコンディションだった。予選が行われるであろうドライコンディションでのセッティングを存分に試せたわけではなかった。昨日の限られたデータを基に新たに考え出したセッティングがピンポイントで的中したからこその好パフォーマンスだったのだ。
パワー、ハンター-レイも中団に沈む
ポイント・リーダーのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は、昨日のプラクティス2ではトップだったが、1日経ったプラクティス3では15番手に沈んだ。ポイント2位のライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)も8番手と今ひとつのポジションを得るにとどまった。セッション終盤にクリア・ラップを確保できなかったという理由も考えられるが、チャンピオン争いを行う面々で好位置につけたのはカストロネベスだけだった。スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)もこのセッションでは10番手と目立たなかったのだ。
予選は午後12時05分スタートだ。
走行2日目を迎えたボルティモアは、朝から灰色の雲に覆われ、朝方に降った雨により路面はウェットコンディションとなっていた。気温は摂氏27度と昨日と比べて低かった。
プラクティス3が始まったのは午前9時。まだ時折ポツポツと雨が降って来る状況で、ウェットタイヤ装着で走行は始まった。
インディーカーが周回を重ねたことで路面は徐々に乾て行き、最後の10分間ほどだけだがスリックタイヤでの走行が可能となった。こうなると最後の最後、もっとも路面状況が良くなったところでベストラップを記録した者がタイムシートの上位に来る。セッション終了間際、ライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)が1分19秒7635を叩き出してでトップの座を奪った。先週ソノマで勝ったばかりのブリスコーには、一気に勢いに乗る可能性もある。
ブリスコーによって2番手に下げられたのはマイク・コンウェイ(AJ・フォイト・エンタープライゼス)だった。彼のベストは1分19秒7646。ここまでが1分19秒台だった。
佐藤琢磨、ドライセッティングがピンポイントで的中!
チェッカード・フラッグが出される直前、佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は3番手に食い込むタイムをマークした。しかし、琢磨の少し後方を走っていたエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)が、やはり最後のラップで1分20秒0197のベストを出し、1分20秒2109の琢磨は4番手となった。
それでも、昨日のプラクティス2での順位が21番手だった琢磨陣営が同じドライ・セッションで4番手のタイムを記録したことは大きな飛躍と評価していいだろう。しかも、今日のプラクティスは大半がウェットコンディションだった。予選が行われるであろうドライコンディションでのセッティングを存分に試せたわけではなかった。昨日の限られたデータを基に新たに考え出したセッティングがピンポイントで的中したからこその好パフォーマンスだったのだ。
パワー、ハンター-レイも中団に沈む
ポイント・リーダーのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は、昨日のプラクティス2ではトップだったが、1日経ったプラクティス3では15番手に沈んだ。ポイント2位のライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)も8番手と今ひとつのポジションを得るにとどまった。セッション終盤にクリア・ラップを確保できなかったという理由も考えられるが、チャンピオン争いを行う面々で好位置につけたのはカストロネベスだけだった。スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)もこのセッションでは10番手と目立たなかったのだ。
予選は午後12時05分スタートだ。
2012年9月1日土曜日
2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント71:R14 グランプリ・オブ・ボルティモア Day1 「去年が結構よかったんでその感覚で行くと全然しっくりこないですね」
Photo:INDYCAR\LAT USA |
ボルティモア市街地コース
Day1 プラクティス1 1分23秒0918 13位 6周走行
プラクティス2 1分23秒1126 20位 13周走行
タイヤシケイン新設!午後のプラクティス2は30分の走行に
シケインをとっぱらった新レイアウトとした開催2年目のボルティモア・ストリート・コースだったが、今朝インディーカーが走り出すと、シケインのあった線路を越える部分でマシンが大きくジャンプ。それが危険なレベルにあるとの判断が下された。急遽、路面をスムーズにする作業が始められ、最終的にシケインを設置する事に決定。午後のプラクティス2は予定よりも1時間ほど遅れて、走行時間も1時間から30分に半減されて行われた。
佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、午前中のプラクティスで6周を走行。午後には13周を走り、結果は21番手だった。
「あまりよくないですね。これからデータをもう1回全部見直して、明日に備えます」
Jack Amano(以下――):タイヤでシケインが作られてのセッションでした。
佐藤琢磨:あの部分でのスピードを落とさせるためです。
――結構な高さにタイヤを積み上げた仮設シケインで、走りにかったりはしませんでしたか?
佐藤琢磨:あくまでもテンポラリーなもので、明日にはちゃんとしたシケインが設置されるということなので、今日のところは特に気にしていませんでした。
プラクティス1終了後、急きょタイヤでシケインを設置。 Photo:INDYCAR\LAT USA |
佐藤琢磨:ウーン、あんまり良くないですねぇ。まぁ、全体的なバランスとグリップ感と、トータルのパッケージですけども、去年が結構良かったんでね、その感覚で行くと全然しっくりと来てない。すごい跳ねちゃうし、接地感がないっていうのかな? (タイヤの)ロックもし易いし。
――午後のプラクティスは30分間でした。走行時間が短くされる週末となってしまいました。
佐藤琢磨:そうですね。やることはいっぱいあるんですけどね。そういう意味で、こういう状態の中で得られるデータって相当限られてますし、もうちょっとスタートから良い位置に行きたかった。今、ちょっと(置かれている状況は)厳しいですね。
――ストリートは今年は調子良く来ていたけれど、今回は走り出しが苦しい。
佐藤琢磨:なんか、出だしのパッケージがあんまり良くないっていうか……。ボルティモアってちょっと特殊なんですよね? 去年、KVレーシングは市街地とか、ロー・グリップのところはうまく行かなかったけれど、ここだけは良かった。ボルティモアのコースはグリップ感も他のストリートと比べると高い。今年はストリートに関してはバランスが良かったのに、今日走り出してみると良くなかった。そこはロードコースっぽい方向にセッティングを持ってかなきゃいけないのかな、というところがあって、でも、自分たちはロードコースであまり今、良いデータってないから。これからデータをもう1回全部見直して、明日に備えます。なかなか厳しい状況です。
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