2011年9月17日土曜日

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント84 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル Day3  予選 「予選11位は非常に悔しいです。ファスト6進出を目指していましたが、それを叶えられなかった。ど真ん中のグリッドなので明日は追い上げのレースを行いますが、今日に関しては残念な結果でした」

険しい表情を見せる佐藤琢磨。
Photo:Naoki Shigenobu
第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル
2011 IZOD INDYCAR SERIES Round15 INDY JAPAN THE FINAL

栃木県 ツインリンクもてぎロードコース
コースタイプ:ロードコース
全長:4.801㎞×63周

Day2 9月17日
予選 11位(第2セグメント敗退) 1分38秒9124 トータル9周走行

スコット・ディクソンがポールポジション
予選2位はウィル・パワーで、ダリオ・フランキッティは9位に低迷
佐藤琢磨は11位、武藤英紀は22位


 雲が広がって幾分涼しくなったコンディションで予選は行われた。ポールポジションはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が獲得し、予選2位はウィル・パワー(チーム・ペンスキー)のものとなった。その一方でダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)は9位に沈み、ポイント・リーダーの座が危うくなった。
日本勢は佐藤琢磨(KVレーシング・テクノロジー・ロータス)が11番手、武藤英紀(AFS/サム・シュミット・モータースポーツ)は22番手だった。佐藤はKVレーシングで唯一、予選の第2ステージに進んだのだが、ファイナルへと駒を進めることは果たせなかった。レッドタイヤのパフォーマンスをフルに引き出すことができなかったのだ。


Jack Amano(以下――):朝のプラクティス2で一気に苦戦モードとなりましたね?

佐藤琢磨:今日は結構厳しいスタートになっていましたね。昨日の状態はそんなに悪くはなかったんですけど、まぁクルマが滑る状態で、対策を施して今日のプラクティス2に臨んだつもりだったんですけど、朝のプラクティスでまさか最下位になるとは思っていなかった。あそこで大きな課題が幾つかできましたね。それでも、予選直前のプラクティス3回目で何とか課題を幾つか克服できました。チームの3台のデータを照らし合わせて、ポジティブなものをピックアップするという、これまで僕らがずっと戦ってきた作業をしました。苦しい展開がずっと続いていましたが、予選前のプラクティスの最後になってニュータイヤでアタックをしてみたら、そこそこ手応えをつかめた。あれは良かったですね。

――昨日と今日、違いは何だったんですか?

佐藤琢磨:セッティングを変えていました。昨日見た方向性に合わせて、3台がそれぞれ役割分担をやったんですけど、僕らが良いと思っていたことがうまく働かなかった。それが残念でしたね。プラクティス2とプラクティス3では、結構順位がガラッと変っていたりしていましたよね。今日は朝一番の空気が重かった。路面温度も低い状態で、そこで動きの良かったクルマが、温度が上がって来たら不具合を出すようになった。逆に僕らのクルマは、午前中には乗りづらかったんだけれども、午後に向けては少しずつ良い状態が戻って来っていう感じでした。

――KVレーシング・テクノロジーととしては、3台を使ってのセットアッププログラムを行ったが、今回は少しずつズレてしまった感じでしたか?

佐藤琢磨:そうですね。3台でプログラムを分けるのはいつものことなんですけど、どちらかというとTK(トニー・カナーン)と僕はいつも同じようなクルマを好んで、EJ・ビソだけちょっと違うところにいたりします。それが今回は、EJのスピードが乗っていたし、僕はもちろんEJの好みのクルマでも乗ることができるので、それは去年もやっていたことなので、そのあたりでお互いに良いところを出し合って予選に挑みました。ただ、いつもと同じですけども、予選で使うソフトコンパウンドのレッドタイヤを事前にトライすることができないので、その辺り、どこに目標において行くのかっていうのは、いつもどおりに難しかったです。

レッドタイヤ装着のマシンに乗り込み、予選に臨む。
Photo:Naoki Shigenobu
――ブラックでは滑って苦労しましたが、予選は初めて使ったレッドはどうでしたか?

佐藤琢磨:午前中はライバル勢について行けない状態でしたが、午後になって路面も大分でき上がって来た。路面温度が低い時にはグリップが高いんですけど、温度が上がって来たらグリップが落ちて、プラクティスの最後の方では路面が良くなってって、自分のクルマがポジティブな感じで動き出しました。それを持って僕らはレッドタイヤを使う予選用のクルマ作りというものをやってみたんですけど、うーん、難しい予選でしたね。第1ステージをクリアするのも本当にギリギリだった。バランスとしては、そんなにプラクティスの時と大きく変らないまま、グリップレベルだけが上がった。もちろん、タイヤが持つグリップが前後で比率が異なるので、クルマは予選トリムといってソフトタイヤに合わせたセットアップを施さないといけないんですけど、それは今まで行って来たのと同じフィルターでやって、ほぼバランスが変らなかったっていう点では自分たちの狙いどおりだったんですけど、純粋なスピードっていう意味で今の僕らはかなり苦労をしていますね。

――予選結果は11位でした。率直な感想は?

佐藤琢磨:悔しいです、非常に。昨日は現実的な目標として、もちろん走るからにはトップを目指すけれども、現実的には予選でファイナルステージに進むっていうのが大きな目標というか、かなり困難だけれども、それを目標に頑張りたいっていうことを言ったんですけど、それを叶えられなかったのは残念だし、11番手というのはど真ん中なので、明日は追い上げのレースを行いますけど、今日に関しては残念な結果でした。

――明日、レッドタイヤのレースでのパフォーマンスはどうなりそうですか? ブラックとの性能差が非常に大きいのですよね?

佐藤琢磨:ブラックはファイアストンが持っている一番硬いコンパウンドなんじゃないですかね? 本当にどうしちゃったんだろうっていうぐらいにグリップしないんですよね。でも、今日、あまり変らないだろうと言われていたモテギの路面が、ラバーが乗って来たことによって結構変って行ったんです。予選直前のプラクティスの最後の方では、ブラックでも1周目から結構タイムは出せてました。そして、その後数周はコンシスタントなラップがあって、その後には大分落ち込んでしまうっていう傾向でした。レッドの方は、グリップも高いですし、かなりコンシスタントでしたね。各ドライバーが1周目、2周目だけじゃなくて、4周目とかにタイムアップをするドライバーも多かったし、自分自身も最後はタイヤの内圧の関係とかで良いところに来なかったんですけど、最初のアタックではかなりコンシスタントなラップを刻めてました。走った感じ、おそらくレッドはレースタイヤとしてのポテンシャルはずっと高いと思います。周回を重ねてフロントがなくなるか、リヤがなくなるかはそれぞれのマシンのバランス次第という感じ。明日の朝、どれぐらいのロングランができるかわからないけれども、そこで見極めをしたいと思います。

――オーバーテイクポイントは?

佐藤琢磨:昨日、今日走った感じだと1~2コーナーは割りと進入で態勢を崩し易いというか、どんなクルマでもニュートラル傾向になるんですね。それで2コーナーでアンダーが出るっていう症状はあんま変ってなくて、その辺り、みんなエイペックスを1コーナーに取ったり、2コーナーに取ったりと結構分かれてたんですけど、そこでうまく先行するクルマに合わせて行くことができれば、3コーナーのブレーキは結構ハードなので、そこでの可能性はあるかもしれないし、同じように、3コーナーから4コーナーへの立ち上がりが非常に滑り易くてなかなか踏んで行けないので、その先の5コーナーでもチャンスはあるかもしれない。あとはまぁ、最も一般的なバックストレートエンドのブレーキング。でも、どうだろう? 走った感じでは、あそこで飛び込んで行くのは結構難しいかもしれない。それから、このコースはブレーキにかなり厳しいので、スティント後半とか、レース終盤にはオーバーテイクのチャンスが増えるかもしれないです。

2011 INDYCAR インサイド情報&ニュース 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル Day2:トニー・カナーン、もてぎロードコースで苦戦中

プラクティス3でコースアウトするカナーン。
Photo:Naoki Shigenobu

「全然グリップが得られていない」と苦悩するカナーン

 ツインリンクもてぎのロードコースでトニー・カナーンが大苦戦中だ。プラクティス1から上位に顔を出せないままの戦いが続いている。チームメイト2人は何とかトップ10入りを争う状況にいるのだが、カナーンだけが予選での第1セグメント通過が難しそうな状況に陥っている。

Jack Amano(以下――):セッション苦戦が続いてますが、何が問題となってるんですか?

トニー・カナーン:セットアップが良くないんだが、なんでそうなってしまっているのかがわかっていないんだ。

――トラクション不足?

トニー・カナーン:そうなんだ。でも、問題がこのコースの路面自体にあるわけじゃない。自分たちとしては、路面なのか、タイヤなのか、マシンなのか、原因は何にせよグリップが全然得られていないんだよ。今の僕らは、何が悪いのかが全然判明していないという厳しい状況なんだ。

――今回初登場のブラックタイヤが、もてぎのコースに対して硬過ぎると感じていますか?

トニー・カナーン:そうだね、そう思う。

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント83 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル Day3 プラクティス3 「今のプラクティスで大分戻って来たので、次の予選、レッドタイヤは未知数ですけど、どこまで行けるか」

Photo:Naoki Shigenobu
第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル
2011 IZOD INDYCAR SERIES Round15 INDY JAPAN THE FINAL
栃木県 ツインリンクもてぎロードコース
コースタイプ:ロードコース
全長:4.801㎞×63周

Day2 9月17日
プラクティス2 1分40秒4353 26位 17周走行
プラクティス3 1分39秒6641 11位 20周走行
プラクティス1~3総合 13位

今度はニューマン・ハース・レーシングがワン・ツー

 プラクティス1はチーム・ペンスキーが1-2、プラクティス2は一転してチップ・ガナッシ・レーシングが1-2。予選直前のプラクティス3では、今度はニューマン・ハース・レーシングが1-2だった。トップはルーキーのジェイムス・ヒンチクリフ。タイムは1分39秒1074。ベテランのオリオール・セルビアは、プラクティス1が19番手だったが、プラクティス2で7番手まで上げ、プラクティス3で2番手と、見事な進歩ぶりを見せている。
 3番手につけたのはポイントリーダーのダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)。4番手はプラクティス3回すべてで4番手と、渋い安定ぶりだ。
 プラクティス1でトップだったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は、このセッションで珍しく2回もコースオフ。それでも6番手につけた。そして、プラクティス2最速だったスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)は、このセッションでは5番手だった。


佐藤琢磨はトップと0.5567秒差の11位まで挽回

 佐藤琢磨(KVレーシング・テクノロジー・ロータス)は、プラクティス1で10番手につけながら、プラクティス2では再開の26番手と大苦戦。ところが、プラクティス3では11番手まで挽回してみせたのだ。チームメイトのEJ・ビソはプラクティス2に続いて10番手。心配なのはトニー・カナーンで、プラクティス1が14番手、プラクティス2が24番手、プラクティス3が22番手といいところがない。 

Jack Amano(以下――):プラクティス2では苦戦していた様子でしたが、プラクティス3で挽回しましたね?

佐藤琢磨:プラクティス2でトライしたセッティングの方向性がコンディションにそぐわなかったんです。それでも、今のプラクティスで大分戻って来たので、次の予選、レッドタイヤは未知数ですけど、どこまで行けるか。最初のセッションよりクルマは今回の走行で随分と良くなっています。

――ブラックタイヤの扱いが難しいんですか?

佐藤琢磨:そうですね、かなりハードコンパウントでグリップが得にくいというか。ただ、今のセッションで路面がまた随分とできあがって来たので、そうなって来るに従ってクルマの反応も良くなって来てました。

――レッドタイヤはこのコースだと1秒以上ラップ・タイムが速くなるという読みですか?

佐藤琢磨:はい。おそらく1秒は上がると思います。

――レッドでの走りに対する自信は?

佐藤琢磨:今のままじゃ行けないから、またセッティングを変更します。

――予選に向けて、セッティングはもう1ステップ上がる必要があるという状況なんですね。

佐藤琢磨:そうですね。

2011 INDYCAR フォト 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル カラーリング特集 その6 コンクェスト・レーシング オリベイラ車


セレモニーカラーのオリベイラ車。
Photo:Naoki Shigenobu


2011 INDYCAR フォト 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル カラーリング特集 その5 サム・シュミット・モータースポーツ 武藤英紀車 

2日目のプラクティス2でジャンプアップを果たした武藤。赤/白カラーが映える。
Photo:Naoki Shigenobu

2011 INDYCAR フォト 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル カラーリング特集 その4 ドレイヤー・アンド・レインボールド・レーシング パンターノ車

直前までドライバーが確定しなかったドレイヤーの22号車は
結局パンターノがドライブすることに。ブルーのKona Deep カラーが爽やか。
Photo:Naoki Shigenobu

2011 INDYCAR フォト 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル カラーリング特集 その3 デイル・コイン・レーシング ジェイクス車

走行初日からファンの目を釘付けにする衝撃のテリヤキエクスペリエンスロゴを
まとったジェイムス・ジェイクスのマシン。ジェイクス本人も、
このところ好調で注目されている。
Photo:Naoki Shigenobu

2011 INDYCAR フォト 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル カラーリング特集 その2 アンドレッティ・オートスポーツ コンウェイ車

マイク・コンウェイは黒面積の多いカラーリングバージョンでもてぎに登場。
Photo:Naoki Shigenobu

2011 INDYCAR フォト 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル カラーリング特集 その1 チーム・ペンスキー カストロネベス車

サイドポンツーンに大きくHITACHIロゴが。
Photo:Naoki Shigenobu

2011 INDYCAR インサイド情報&ニュース 第15戦インディ ジャパン ザ ファイナル Day2 プラクティス2レポート:KVレーシング・テクノロジー・ロータス、突然の苦戦

Photo:Naoki Shigenobu
チップ・ガナッシレーシングがワンツー

 土曜日、プラクティス2回目は、昨日以上の晴天の下で朝9時に始まった。気温は28℃プラスでスタートし、すぐに30度以上へと到達。昨日のプラクティス1回目より暑いコンディションとなった。しかも、今日は湿度が高く、蒸し暑い。
 トップはスコット・ディクソンで、2番手はダリオ・フランキッティだった。昨日とは一転、今度はチップ・ガナッシ・レーシングが1、2位を独占した。
 佐藤琢磨(KVレーシング・テクノロジー・ロータス)は17周を走ったが、ベストは1分40秒4353で昨日からの進歩が非常に小さかった。順位は26台の最後尾となる26位だった。トニー・カナーンは24番手と琢磨同様に大苦戦。EJ・ビソだけは1分39秒台に入ってセッションの10番手につけたが、トップのディクソンが1分38秒台まで一気にタイムを詰めたことを考えると、KVレーシングは昨日から急転、窮地に立たされた感がある。もちろん、まだ予選までにはもう1セッションあるので、そこでの挽回は可能なのだが……。
 走行を終えた琢磨は、次のプラクティスまでのインターバルが短いため、ピットからガレージへとレースエンジニアのギャレット・マザーシードと話しながら足早に直行。そこでチームのテクニカル・ディレクターで、カナーンのレース・エンジニアを兼務しているジョン・ディックに話を聞いた。

「昨日とそんなに違わないセッティングだったが……」

Jack Amano(以下――):今日のセッションは何が悪かったんですか?

ジョン・ディック:3台のデータをしっかり見ないといけないね。今朝のプラクティス・セッションで何が起きたのか、まだ我々は理解ができていない状況なので。

――昨日から今日へのマシンセッティングの変更は?

ジョン・ディック:そんなに大きな変更はしていないんだ。それなのに昨日とフィーリングが違っていたので、ちょっと驚いている。

――路面が大きく変わったということなのでしょうか?

ジョン・ディック:いや、路面は昨日と似ていたと思う。EJ・ビソはまずまずのタイムを出せていたので、彼の走行データをチェックすることから始めようと考えている。

2011INDYCAR インサイド情報&ニュース 第15戦インディ ジャパン ザ ファイナル:もてぎでのカラーリング

ペンスキーの2台にHITACHIロゴが!

 インディ・ジャパン仕様のカラーリング、新スポンサー、主だったところを紹介しましょう。
 チーム・ペンスキーは、ウィル・パワーは1シーズンを通じてベライゾン・カラーだから何の変更もナシ。その分、他の2台は結構目まぐるしくスポンサーが変わって来ていて、今回はエリオ・カストロネベスとライアン・ブリスコーの2台が黒/白/赤のベーシックカラーながらサイドポッドにドドーンとHITACHIのロゴ入りで走っている。
 チップ・ガナッシ・レーシングの9、10号車は、今回は両方ともターゲットの真っ赤。サテライトの若手ふたりも普段通りのカラーリングだ。
 アンドレッティ・オートスポートはというと、マルコ・アンドレッティは黒いベノム・カラーに戻って、マイク・コンウェイは黒ベースの@Followandrettiカラーで来日。ライアン・ハンター-レイはサン・ドロップ、DHL、サークルKと、いつもの黄色&白カラーで、ダニカ・パトリックはゴー・ダディの蛍光グリーン&黒だ。

テリヤキカラーのマシンが登場
 目新しいものとしては、ジェイムス・ジェイクス(デイル・コイン・レーシング)のマシンがTERIYAKI EXPERIENCE(テリヤキ・エクスペリエンス)という初登場スポンサーでモテギ入り。ショッピングモールなんかのフード・コートとかに出店している和食系レストランチェーン。アメリカ、カナダ、プエルトリコなどで店舗展開中で、照り焼きだけじゃなく寿司なんぞも扱ってるという話だが、アメリカでもカナダでも私は見たことがない。まだ創業して時間が短いのか? アメリカ人はテリヤキ、好きだから。アメリカでテリヤキを頼むと、大抵ちょっと甘さが強過ぎるけど……。
 ドレイヤー&レインボールド・レーシングの22号車=ジョルジョ・パンターノ搭乗は、Kona Deep(コナ・ディプ)という新スポンサーでやって来た。海洋深層水のブランドだ。色々新しい業種、会社が次々出て来るなぁ、と感心させられる。3000フィート以上の深さから汲み上げた水……は塩辛くないのか? なんて心配は無用で、それが水のおいしさに繋がってるらしい。

赤/白が目を惹く武藤のマシン
 武藤英紀の17号車(AFS/サム・シュミット・モータースポーツ)は、赤/白でキリッと目立つカラーリングで、オートバックス、フォーミュラ・ドリーム、NTSなどがスポンサー。
 もう1人のスポット参戦組=ジョアオ・パウロ・デ・オリベイラの34号車は白と薄紫のカラーリング。スポンサーはセレモニー。英語とカタカラの両方の表記がしてあるので日本の会社なんだろうなぁと思ったら、なんと! さいたまの冠婚葬祭会社なんだって。

2011年9月16日金曜日

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント82 第15戦インディ ジャパン ザ ファイナル Day1 プラクティス1 「トップ10というのは、そこそこいいかなという感じですね。手放しで喜べるような状況ではないですが、課題もしっかり見えています。明日は、当然予選最上位を狙いたいんですが、現実的な線でまずはプラクティスをシッカリと走って、予選では少なくともファイナルに進むことを目指します」

Photo:Naoki Shigenobu

第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル
2011 IZOD INDYCAR SERIES Round15 INDY JAPAN THE FINAL
栃木県 ツインリンクもてぎロードコース
コースタイプ:ロードコース
全長:4.801㎞×63周
Day1 9月16日
プラクティス1 1分40秒4435 10位 25周走行

初セッションから精力的に走行

 インディーカー・ドライバー、佐藤琢磨にとって2回目となる凱旋レースが始まった。今日はプラクティスが1回。彼が母国でのレースに大きな意気込みを持っていることは、このプラクティスから感じ取ることができた。1時間15分のセッションで25周も走り込んだのだ。最多ラップこそルーキーのアナ・ベアトリス(ドレイヤー&レインボールド・レーシング)の27周に譲ったが、25周はその次に多い数字だった。同じく25周を走ったのは、いつも多く走ることで知られているビットール・メイラ(AJ・フォイト・レーシング)、今回がインディーカー・デビューとなるスポット参戦のジョアオ・パウロ・デ・オリベイラ(コンクェスト・レーシング)のふたりだった。
 琢磨のベストは25周走ったうちの24周目。タイムは1分40秒4435で、トップのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)との間には0.9690秒と大きな差があった。予選のファイナルに進む=3列目より前からスタートすることを目標としている琢磨とすれば、6番手までに食い込むことが必要になる。そこで今日6番手だったアレックス・タグリアーニ(サム・シュミット・モータースポーツ)との差を見ると、わずかに0.1745秒しかなかった。


Jack Amano(以下――):走行初日はどうでしたか?

佐藤琢磨:オープニングセレモニーが朝の9時からありましたが、本当に多くのファンの人たちが朝の9時から来てくれて、お昼前にまたすごく増えて、サイン会では並んでくれた人たちの半分ぐらいにしかサインできなかったんだけれど、すごく応援をしてもらって、やっぱり日本で走るのはいいなって改めて感じました。

Photo:Naoki Shigenobu
――もてぎのコースはどんな印象ですか?

佐藤琢磨:F1マシンでのデモランで走ったことはありましたが、インディーカーで走ってみると全然景色も違ってました。今日のプラクティスはとてもスムーズなセッションになってました。トラブルもなく、今日は初めてのサーキットに行った時にやるべき幾つかの項目、ライドハイトを合わせる、全体的なバランスを整えるといったことをこなしていました。今日のために用意していたプログラムはスムーズにこなせましたね。今日は初日っていうこともあるのか、持ってきたタイヤと路面のバランスなのか非常に滑り易くて、クルマをコントロールするのにかなり苦労してました。そうした中でギリギリ、トップ10につけました。まずは、そこそこの手応えをつかめた初日だったと思います。

――コースのどこがおもしろく、どこが難しいですか?

佐藤琢磨:もてぎの路面は恐ろしくスムーズですね。今回は軽トラックに乗っての下見が許されていて、エンジニアたちと乗りました。普段は歩いて、見えるバンプとかをチェックするんですけど、もてぎでは見えるバンプっていうのはほぼゼロで、軽トラックで走ってもすごくスムーズで、エンジニアも驚いていた。だから、これまでのアメリカでのコースにおけるセットアップというか、アプローチとは大分違う。車高なんかはものすごく下げられるし、必然的にバネレートも上がって行く。そういう意味で今までとは違う感じですよね。それと、普段走っているアメリカのロードコースよりもグリップ感がない。非常にサラサラしてるというか……。それは、今回ファイアストンが持って来たタイヤのスペックにもよると思うんですけど、少なくともブラックタイヤに関して言えば、非常に硬そうなコンパウンドですね。これだけ気温が高いのでウォームアップさせることにはそれほど苦労はしないし、コースも広く使えるのですが、全体的にグリップ感は乏しいので、クルマを操るのに苦労をしてました。今後、そのあたりをセッティングでどの程度良くできるのか……。路面のコンディションがどれぐらい良くなるのかもわからない状況です。

――楽しいと感じたところは?

佐藤琢磨:やっぱりファンの皆さんの応援ですね。プラクティス走っていても、いろんなコーナーで見えるんですけどね、みんながフラッグを振ってくれたり、裏の方でジャンプをしてくれてたりとか、そういうのを見るのはうれしいですね。本当に良い走りをしたいな、という思いを強くしました。

――今日の10番手というポジションについては、どう捉えてますか?

佐藤琢磨:トップ10というのは、そこそこにいいかな……という感じですね。そんなに手放しで喜べる状況ではないですけども、悪くも無いって感じです。直さなければ行けない課題っていうのはすでに結構明確になっています。まだチームメイト2人のデータは見てなくて、軽く話をした程度だから、彼らの得たフィーリングぐらいしかわかってないんですけどね。それでも、明日に向けて、ジャンプアップをできる要素っていうのは幾つか持っています。その部分を明日はキチッと押さえたいです。もちろん、他のチームも今日は走行初日で色々と探っている状態で、不具合とかもあったところだと思います。その辺り、明日はさらにコンペティティブなセッションになるでしょうね。予選前に2回プラクティスがあるので、そこでキッチリとしたクルマ作りをして予選に臨めるようにしたいですね。今日、初日にシッカリとデータが取れた。それは良いことだったと思います。

――予選での目標は?

佐藤琢磨:レッドタイヤでどれぐらいのパフォーマンスアップするのか。おそらく、タイヤを換えるだけで1秒は速くなると思うんですよ。というのも、ブラック・タイヤが今回はかなりハード傾向だと思えるので。タイヤだけで多分1秒以上速くなるだろうし、明日は路面のコンディションももっと良くなるはずです。そうなった時には、またクルマのフィーリングとかも変わるでしょう。そこも難しいところです。自分としては、当然予選で最上位を狙いたいんですけど、今日の感覚からすると、チーム・ペンスキー勢がかなり速そうなので、まずはプラクティスをシッカリと走って、予選では少なくともファイナルに進むことを目指します。それは現実的な目標だと思います。

2011INDYCAR インサイド情報&ニュース 第15戦インディ ジャパン ザ ファイナル Day1 プラクティス1 武藤英紀コメント 「久々に乗るインディーカーはすごい楽しい!」

インディ ジャパン初日、走行後の記者会見に臨んだ武藤英紀。
「思っていた以上にマシンが滑ったが、11番手は自分としては悪くないです」
Photo:Naoki Shigenobu
4シーズン目となるインディーカー参戦

インディーカー・シリーズで3シーズンを戦った経験を持つ武藤英紀が、今年のインディ・ジャパンへのスポット参戦を実現させた。AFS/サム・シュミット・モータースポーツの17号車でのエントリー。ベテランのアレックス・タグリアーニがチームメイトという悪くない体制だ。
久しぶりのインディーカーながら、武藤は11番手につけるタイムをマーク。まずまずの滑り出しを見せた。

 
Jack Amano(以下――):インディーカーでのもてぎロードコースはどう?

武藤英紀:最初に持ってきたマシンのセッティングがあまり良くなかった。ミド-オハイオのセッティングだって話だけど。全然仕上がってなくて泣きそうだった。でも、セッティングを進めてって、少しずつタイムが良くなってきましたね。明日、どこまでやっていいか……ですね。

――初めて一緒に仕事するチームだから、何もかもパパッとは行かないでしょ?

武藤:そうですね。最初はエンジニアの言うこと聞いてて、乗りづらくて、自分の今までのモテギの経験とかをちょっと言ったら、マシンが良くなった。

――タイヤはどうですか?

武藤:フォーミュラ・ニッポンよりグリップしてるのかな? でも、クルマが重いから……。

――ラップタイムはフォーミュラ・ニッポンの方が速いけど?

武藤:マシンが重い分、遅く感じるけど、でもブレーキとか、そのへんのスタビリティとかはやっぱりインディーカーの方がありますね。ドッシリしてる感じがする。

――久々に乗るインディーカーはどう?

武藤:すごい楽しい!

2011 INDYCAR インサイド情報&ニュース:第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル Day1 プラクティス1 レポート「最速はウィル・パワー。佐藤琢磨は10番手、武藤英紀は11番手」

セッション終盤にトップタイムをマークしたパワー。
Photo:Naoki Shiganobu
トップタイムのパワーを筆頭にペンスキー勢3人がトップ4入り

 いよいよ始まったインディ・ジャパン・ザ・ファイナル。金曜は午後3時からプラクティスが1回(=1時間15分間)行なわれた。
 天候は快晴。気温は30℃前後で、路面温度は30℃に届かない辺りだった。
 最速ラップをマークしたのはウィル・パワー(チーム・ペンスキー)。セッション終盤に1分39秒4745をマークしてトップに立った。26台が走行、セッションが進むにつれて路面コンディションが良くなって行ったようだった。
 2番手はエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)だった。パワーより0.1220秒遅い1分39秒5965。3番手にはジェイムス・ヒンチクリフ(ニューマン・ハース・レーシング)が来た。このルーキー、あちこちのコースで目立ったパフォーマンスを見せて来ている。
 4番手はライアン・ブリスコー。ペンスキー勢は3人がトップ4入りした。
 5番手に来たのはマルコ・アンドレッティ。他のアンドレッティ・オートスポート勢はというと、ライアン・ハンター-レイが16番手、マイク・コンウェイが23番手、ダニカ・パトリックが24番手と苦戦している。

ピットインするオリベイラ。フォーミュラ・ニッポンのチャンピオンらしい走りを
初ドライブのインディーカーでも見せている。ちなみに、サイドポンツ-ンの
セレモニーは、埼玉の冠婚葬祭の会社だ。
Photo:Naoki Shigenobu
 スポット参戦のフォーミュラ・ニッポン・チャンピオン=ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(コンクェスト・レーシング)が8番手。「ペダルのポジションなどが合っていない」という彼だが、そんな状態で8番手は見事だ。「予選前にレッドタイヤを試す」と、すでに決めているあたり、レースウィークエンドを通したストラテジーも良さそう。期待したい。
 日本初登場のセバスチャン・ブルデー(デイル・コイン・レーシング)が9番手。さすがはチャンプカー4年連続王者。彼のチームメイトのルーキー、ジェイムス・ジェイクスもここ数戦レベルアップして来ている。もてぎでの最初のセッションは13番手だった。

フランキッティは初日7番手にとどまる

 ダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)は7番手。しかし、「タイヤを1セットしか投入してないから、自分たちのパフォーマンスには満足」と話していた。パワーを含め、多くが今日のセッション終盤に2セット目を投入していた。明日、彼がどこまでポジションを上げてくるかには注目だ。スコット・ディクソンは今日は15番手だった。実はチップ・ガナッシ・レーシング、持ち込んだセッティングがあまり良くなかったのでは? 
 佐藤琢磨(KVレーシング・テクノロジー・ロータス)は10番手、スポット参戦の武藤英紀(AFS/サム・シュミット・モータースポーツ)は11番手だった。タイムはそれぞれ、1分40秒4435と、1分40秒5328。トップのパワーとの差は佐藤が0.9690秒、武藤が1.0583秒だった。佐藤は25周を走り、KVレーシング・テクノロジーのトップ(トニー・カナーンは14番手、EJ・ビソは18番手)、武藤のチームメイトのアレックス・タグリアーニは6番手につけた。武藤は18周の走行だった。


1コーナーへ進入する武藤英紀。スポット参戦だが、これまでの
インディーカーキャリアを十分に感じさせる初日の走行だった。
Photo:Naoki Shigenobu
2セッション+予選の明日が焦点に

 今回はロードコース初使用なので、プラクティスが予選の前に3回スケジュールされている。金曜の1回目が1時間15分で、明日の2回は1時間ずつ。その後に予選(いつもどおりの3段階)が行われる。今日はまだ小手調べ。1セッション走ってから、1晩あるスケジュールはいい。ドライバーとエンジニアたちは、今日得られたデータから明日に向け、マシンを良くするアイディアを練る。明日の2セッション+予選では、今日とは勢力図が大きく書き換えられる可能性も十分ある。
以上

2011 INDYCAR インサイド情報&ニュース R15インディ・ジャパン最新エントリー状況。武藤に加えて、オリベイラもスポット参戦

Photo:INDYCAR(Chris Jones)
 エントリーは26台で、この中に日本だけのスポット参戦ドライバーがふたりいる。武藤英紀とジョアオ・パウロ・デ・オリベイラだ。
 武藤はAFS/サム・シュミット・モータースポーツからの出場。デ・オリベイラはコンクエスト・レーシングからのエントリーで、インディーカー・レースへの初出場を果たす。