2011年8月26日金曜日

2011 INDYCAR インサイド情報&ニュース R12 ニューハンプシャー:ウィル・パワーのレース後の不適切な行為に対して、罰金3万ドルと今シーズン終了までの執行猶予のペナルティ

「自制心を失っていた」パワーは殊勝に自らの非を認めたが……

 インディーカーは今日8月25日、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)のニュー・ハンプシャー・モーター・スピードウェイでの行為(グランド・スタンド上のレース・コントロールに向けて両手の中指を立てた)に対するペナルティを発表した。罰金は3万ドルで、彼は今シーズン終了までインディーカーの監視下に置かれることとなった。なお、罰金については、インディーカー代表として今シーズン終了までに公けの場に数回出席することで免除されるという。
 「チェッカード・フラッグが出されたころの状況は通常と大きく異なっていたが、それが不適切な行為をしたことへの言い訳とはならない。家族なども観戦をしている環境を考慮するならなお更のことである。我々のスポーツにおいては、常に感情が表に出されるものだが、今回の行動がウィルにとって通常のものではなかったことと我々は承知している」とバーンハートはペナルティ発行に際してコメントを出している。
 これに対してパワーは、「インディーカーの決定したペナルティを受け入れる。私はインディーカー・シリーズが、今回の私がしたような行為が二度と繰り返されないよう最善の努力を払わなければならないことを理解している。私はアクシデント発生に対しての自分の感情を強く表してしまった。そして、私はそれに対して謝罪し、今後もこのような行動を起こしてしまったことに関して後悔を続けて行く。これからは、前だけを見つめ、今週末のレーシングコースへと出て行き、チーム・ペンスキーのためにも全力で可能な限り良い成績を残せるよう力を振り絞る意向だ」と全面的に自らの非を認めた。

 バーンハートはレース後の会見で、パワーの行為に関して罰金などのペナルティを課すであろうことを話していた。そのジェスチャーはアメリカで放送禁止となっているものだったからだ。しかも、パワーはそれを両手で行った。そして悪いことに、彼の行為はサーキット内の巨大スクリーンに映し出されただけでなく、ABCテレビの生中継の放送で全米に映し出されてしまったのだ。もはや言い逃れは絶対に済まない状況となってしまった。同じ番組内でパワーはABCのリポーターに対して、「冷静さを失っていた」と謝罪したが、手遅れだった。
 バーンハートはレース後の会見で、「彼はとんでもなく自制を失っていた」とパワーの行動を評したが、バーンハートの手前勝手なルール解釈やルール変更の方こそ、とんでもなくコントロールを失ったものだった。
 パワーは、「頭に血が上ってしまっていた。私の悪いところだが、我慢ができなかったんだ。我々は彼らに何度も頼んでいた、リスタートをしないようにと」と彼は話した。

明らかにおかしな裁定を棚に上げてのペナルティに意味はあるのか?
 パワーの不適切な挙動に対し、インディーカーがどれだけのペナルティを課すのかには注目がされていた。危険なコンディションでスタートが切られ、それによって自分の順位が大きく下がった(バーンハートの変則判定によって下がらないことに結局はなるのだが)と考えたパワーは、怒りで自分を抑えれなくなってしまった。バーンハートは、「その事情は理解ができるので、ペナルティを決める際に考慮に入れる」と話していた。バーンハートは、そんなコメントをすることで面目を保ったつもりでいたのかもしれないが、彼は選手にペナルティを課す前に、自らの判断ミスに対して厳しい裁定を下すべきなのだ。
 結局、バーンハートが自らを律する行動に出ることはないだろう。そうできる人物であったら、とっくの昔に今の職を辞していただろうからだ。そして案の定、パワーには半端なペナルティが課せられた。自分の冒した過ちに対して後ろめたさがあるバーンハートには、まともなペナルティが出せるはずなど最初からなかったのだ。
 3万ドルを払う代わりにインディーカーのイベントなどに出席することについてだが、どれだけの数のイベントに、どれだけ顔を出せば良いか(回数や時間など)は、例によって明らかにされなかった。結局、パワーが3万ドルをインディーカーに払い込むことはないだろうし、パワーが今まで以上に多くのイベントにしょっちゅう借り出されるようなことも起こらないだろう。パワーは今までに無謀なドライビングをして問題になったこともないから、執行猶予の身とすることも何ら負担を感じはしないだろう。

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