Photo:Naoki Shigenobu |
2011 IZOD INDYCAR SERIES R11 Honda Indy 200 at Mid Ohio
ミド‐オハイオ・スポーツカー・コース
オハイオ州レキシントン
コースタイプ:ロードコース
全長:2.258マイル(=約3.633km)×85周
天候:快晴
気温:29〜31℃
路面温度:50〜53℃
予選9位から自己ベストとなる4位でフィニッシュ。佐藤琢磨というドライバーが持てる力を随所で発揮したレースだった。KVレーシングテクノロジー・ロータスも着実に進歩を遂げている。プラクティスセッションが1回少ない週末で、その最初のセッションをトラブルで走れなかったことは、琢磨、そしてチーム全体に大きな影響を与えていた。そうした不利を跳ね除け、表彰台まであと一歩に迫った戦いぶりは、残るシーズンでのさらなる飛躍を期待させるものだった。
Jack AMANO(以下——)自己ベストの4位フィニッシュですね。
佐藤琢磨:嬉しいですね。特に、今週はスムーズにスタートを切れなかった。金曜日に走行ができなかったこともあって、予選では悔しい思いをしました。トップ10というリザルトは、決して悪いものではないと思うんですけど、去年の自分自身のここミド-オハイオでの走りを考えると、予選結果も3位だったし、今年は最前列を本当に狙ってました。だから、9位っていう予選ポジションは物凄くガッカリしたんです。それでも、気を取り直してファイナルプラクティスに臨んだんです。チームの3台が3台とも違うパッケージで走った。そうしたら、僕の試したセットアップはあんまり良くなくて、26位っていう、ちょっと最悪の状態だったんですけど、そこからシッカリとデータを見直して、レースではペースを取り戻していたので、その点はとても良かったと思います。リスタートもトラブルを避けてポジションアップができた。トップ3には届かなかったけれども、前にチャレンジすることはできたので、まずはその、良い手応えを掴んだと思います。
——決勝直前のセッションが27台中の26位。苦しい状況でしたよね?
佐藤琢磨:不安要素はありましたね。そうした中でマシンをキッチリと仕上げたくれたエンジニアたち、そしてチームのクルーたちに感謝したいですね。
——最初のスタートは、どんな感じだったのでしょう?
佐藤琢磨:最初のスタートで僕はちょっとポジションを落としたと思います。でも、次のリスタートではプッシュして、うまくポジションを上げることができていました。
——決勝でのマシンは、レースを通じてどんなフィーリングだったのでしょうか? どう評価しますか?
佐藤琢磨:この週末の中では一番良かった。今週は異常に苦労して、セットアップを外しまくったんですけど、最後にようやく良いフィーリングが戻ってきましたね。
——ファイナルプラクティスでのマシンが凄く悪かった。それでも決勝用セッティングは良いものにできた。その秘訣はどこにあったんですか?
佐藤琢磨:とにかく我慢して我慢して、自分たちの中でベストだと思えるものだけを求めないで、ここをカバーすれば次にステップが進むって形をチーム全体で考えたところだと思います。でも、ハッキリ言って僕らのマシンは、まだトップ争いをしていたチームのものには届いてなかった。その点では課題も多く残っています。まぁ、ブラックタイヤもレッドタイヤも、今の自分たちとしては最大限に使うことができていたと思うんですけどね。
——ユーズド・レッドでのスタートという作戦など、チームとしての戦いぶりにも進化が見られますね?
佐藤琢磨:はい。今日もKVレーシングのクルーたちは素晴らしいピットストップを行ってくれていました。レース序盤にはアレックス・タグリアーニの後ろを走りましたが、あそこではずっと燃料セーブをしていたんです。そして、彼がピットインした。僕としてはさらに2周ぐらい行けたはずですけど、その次のラップでプッシュしてピットイン。彼の前に出ることができました。その後のリスタートも良いカタチで決まった。今日は本当に手応えのある、良い経験が多くできた1日になりました。
——最後のリスタートで順位を上げていましたね?
佐藤琢磨:もう、ずっとアウト側に行きたかったんですよね。ずっと内側で、行く手を阻まれてしまうというか、閉じ込められてしまって動けない状態でした。最初のスタートではポジションを落としたのかな? リスタート1回目も接触ギリギリでした。どちらもあんまり良いポジションからのスタートじゃなかったんですけど、最後のリスタートは外側からになった。自分としては、「やった!」という感じでしたね。あの時、「絶対にポジションを上げてやるぞ」っていう意気込みでした。だから、あそこではプッシュしたし、あそこでは絶対に引けなかった。アクシデントもなく、考えた通りにコトが運んで良かったです。
——最後のスティントはフレッシュ・レッド。多くのライバルがユーズド・レッドだということはわかっていたと思います。どんな意気込みで、どういう風にゴールまでのレースを戦おうと頭の中でイメージしてたんでしょう?
佐藤琢磨:走り出してすぐはペースを上げるまではクルマのバランスがあんまりシックリ来なくて心配だったんですけど、内圧がキッチリと上がって、タイヤにシッカリ熱が入って、ペースが安定して10周目以降っていうのは、凄くプッシュできたと思うし、途中で一度フィーリングが良くなった時には思い切りプッシュしてみて、自分のベストラップを更新して前を追いかけるようなレースができていました。
——一気にハンター-レイの背後に迫った時がありましたが、オーバーテイクには至らなかったですね。
佐藤琢磨:最後の方はタイヤが少しグリップダウンしてしまって、スライドし始めたんです。でも、そこら辺なんですよね。このセットアップとクルマで、今の現状の僕らでは、どれだけプッシュすると、どれだけパフォーマンスが落ちてしまうのか……っていうのが今回見えたんです。それは自分たちにとって、凄く良いテストにもなったと思います。そうした状況下でキッチリとリザルトに結び付けることもできたという点でも、今回のレースは良かったと思います。
——もう1回リスタートがあったら行けたでしょうね?
佐藤琢磨:そうですね。僕はフレッシュなレッドだったので、優位に立てる部分はあったと思います。もしかしたらチャンスがあったかもしれないですね。まぁ、でも……それは何とも言えないです。
——目の前のハンター-レイを抜けば3位で表彰台でした。是非とも抜きたいって考えていたと思うんですが、どうでしたか?
佐藤琢磨:まぁ、大人のレースをしようと思って(笑)、フロントウィングを大事にしてました。ハンター-レイは今週ずっと速かったですよね。彼に届かなかったのは確かに悔しいんですけど、KVレーシングとしてはベストを尽くせたと思います。今回のレースを良い経験として、次のレースでは自分たちの課題を克服できるようにしたいと考えています。
——ファイナル・プラクテイスまで苦戦が続いていたのに、それを覆して決勝で自己ベストを記録した。見事な戦いぶりだったと思います。
佐藤琢磨:はい。予選でのパフォーマンスを決勝に反映できないことが、これまでの自分たちには何度もありました。そうならざるを得なかったのは、色んな課題を抱えていたからでした。それが今日は後方から追い上げて、曲がりなりにもベスト・フィニッシュを記録することができた。自分たちはまた一歩ステップを上がれたと思いますし、今後のレースに向けて勢いをもたらすものにもなったと思うので、次はトップ3を狙って行きます。
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