2011年8月14日日曜日

2011 INDYCAR 第12戦ニュー・ハンプシャーDay1 予選リポート:久々となる開催のトラックでベテラン勢が予選上位を獲得

ダリオ・フランキッティ
Photo:Naoki Shigenobu
第12戦 ムーブザットブロック.com インディー 225
2011 IZOD INDYCAR SERIES R12 MoveThatBlock.com Indy 225

ニュー・ハンプシャー・モーター・スピードウェイ
ニュー・ハンプシャー州ラウドン
コースタイプ:オーバル
全長:1マイル(=約1.609km)×225周

天候:晴れ
気温:27〜29℃

 ニュー・ハンプシャー・モーター・スピードウェイ(旧称ニュー・ハンプシャー・インターナショナル・レースウェイ)でのインディーカー・レースは98年以来の開催である。92年から95年まではCARTシリーズが、96年から98年はIRLシリーズがレースを行ってきたコースだ。

 最初のレースは現レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの共同オーナーで、グレアム・レイホール(チップ・ガナッシ・レーシング)の実父であるボビー・レイホールが優勝し、2年目のレースは元F1チャンピオンのナイジェル・マンセル(ニューマン・ハース・レーシング)がデビュー・イヤーにして勝利。3年目は現在インディーカーでドライバー・コーチとコンサルタントを務めているアル・アンサーJr.(チーム・ペンスキー)が勝った。そして、95年にはアナ・ベアトリス(ドレイヤー&レインボールド・レーシング)のマネジャーであるアンドレ・リベイロ(タスマン・モータースポーツ)がホンダのインディーカー初勝利を挙げた。
 主催者がIRL(現インディーカー)になってからのレースは、現ストックカー・ドライバーのトニー・スチュアート(チーム・メナード)が96年のウイナーで、現ドレイヤー&レインボールド・レーシングの共同オーナーのロビー・ビュール(ベック/メナード・レーシング)が97年に勝利。そして、今はGTマシンのフェラーリでアメリカン・ル・マン・シリーズを走っているスコット・シャープ(ケリー・レーシング)が98年にはウイナーとなっている。

 98年までのレースを走ったドライバーたちで、現在もフルタイム・エントリーをしている者はいない。ポール・トレイシーとデイビー・ハミルトンがいまでも現役だが、彼らは残念ながらフルタイム・エントリーをしていない。また、もし彼らが今年のレースに出場していたとしても、12年以上も前に走った経験はほとんど役立たなかったはずだ。2002年にコーナー部分が改修され、2003年には舗装が新しくされ、98年までとは大きく異なるコースとなっているからだ。コーナーにつけられたバンクの傾斜が変えられ、一番イン側は2°で、一番アウト側は7°の角度が現在ではつけられている。

 誰も豊富な走行データは持たないという状況下、今日の予選でポールポジションを獲得したのは、ベテランのダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)だった。彼が計測2周で記録したのは43秒1976というタイムで、平均時速は170.843マイルだった。今日の予選では、フランキッティだけが平均時速を170マイル台に載せのだった。
 2位にはオリオール・セルビア(ニューマン・ハース・レーシング)が来た。そして、3位はトニー・カナーン(KVレーシングテクノロジー・ロータス)のものとなった。トップ3は経験豊富なドライバーたちによって占拠された。
 今日最初のプラクティスは、滑り易い路面で始まったが、時間の経過とともにコンディションは良くなって行った。しかし、サポートレースのプラクティスが行われると、路面は大きく変えてしまった。その結果、予選直前のセッションではほとんどのチームがタイムを出すのに苦労し、予選用セッティングをどうするかに対処するかを決断する必要が出た。そこにベテラン勢の活躍するチャンスはあったのだろう。

 4位はセルビアのチームメイトのジェイムス・ヒンチクリフだった。このカナダ出身ルーキーは、これまでにも幾つかのレースで一際輝く走り、パフォーマンスを見せてきている。ベテラン・チームメイトのセルビアが2位となっている通り、今週末の彼らは非常にパフォーマンスが良い。
 そして、5位はライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポーツ)、6位はライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)で、7位はスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)だった。そして、佐藤琢磨(KVレーシングテクノロジー・ロータス)は予選で8位につけた。

 チーム・ペンスキーは木曜のテストの時点からマシンのセッティングが決まらず、今日の予選になってギリギリでマシンをまとめ上げることとなった。ただし、その効果が発揮されたのはエリオ・カストロネベスとライアン・ブリスコーのふたりまでで、ポイント2位につけてフランキッティを追っているウィル・パワーは予選13位と苦しい状況に追いやられている。フランキッティとのポイント差も、彼のポール獲得(=ボーナス1点)によって63点に広がった。
 琢磨が予選で期待通りのスピードを手にすることができなかったのは、良好となった路面コンディションにマシンのセッティングが100%マッチしていなかったからだ。予選直前のプラクティスは、サポートレースのプラクティスがあったためかグリップレベルが大幅に下がっていた。

 木曜日のテストと土曜日からのプラクティスでは、多くの時間を決勝用セッティングの決定と改善に費やしてきた。そして、どの走行セッションでも琢磨は上位のタイムを出してきている。レースが面白い戦いになることを期待している。
 なお、今日の予選前のプラクティスでは女性イギリス人ルーキーのピッパ・マン(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)がクラッシュし、頭部などへのダメージがある可能性があるために、今週末のレース出場は断念した。インディーカーのメディカル・チームが彼女の参戦を許さなかったためだ。

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