ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)とダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)、ふたりは開幕からシリーズポイントでトップを争って来ているが、今回のダブルヘッダーで差が5点も広がった。どちらのドライバーも最多リードラップを記録して片方のレースで優勝した。それでも差がついたのは、優勝していない方のレースにおけるフィニッシュ・ポジションによってだった。フランキッティの2レース目の順位が7位と低かったのに対し、パワーは1レース目を3位でゴールしたのだ。
フランキッティは、第1レースで2位スタートから1トップに立つと、その座をほぼ譲らずに優勝した。終盤にはチームメイトのスコット・ディクソンと、ポイント争いの直接的な相手であるパワーから攻撃を受けたものの、オーバーテイク・アシストも巧みに利用しながらトップを守り抜いた。第2レースでのフランキッティは、28位スタート(御存知の通りにクジ引きで決まったグリッド)だった。最後尾から数えて5番目という後方からで、しかもレースはスプリントであったというのに、彼は11台をパス! 7位でフィニッシュした。
対するパワーは、どちらのレースも3位スタートだった。第1レースのグリッドは予選を戦って獲得したものだが、第2レースのそれはクジで引き当てたものだ。1レース目での彼はアレックス・タグリアーニ(サム・シュミット・モータースポーツ)は抜いたが、ディクソンに抜かれて予選結果と同じ3位となった。2レース目でパワーが優勝するためにパスしたのは、ルーキーのウェイド・カニンガム(サム・シュミット・モータースポーツ)と、第1レースで辛うじて周回遅れを免れる11位だったトニー・カナーン(KVレーシングテクノロジー)のふたりだけだった。パワーはレース終盤、第1レースで抜かれたディクソンにまたしてもパスされる危機に陥りもした。ディクソンの走りは両レースでキレがあり、第2レースは18位スタートながら2位でゴールしたのだった。
パワーの走りも、両レースで素晴らしいものだった。しかし、シリーズポイントで5点の優位を得るほど、彼のパフォーマンスが対フランキッティで優っていたとは思えなかった。だからといってパワーを責めるつもりもない。問題はルールにあったと考えられるからだ。
レースとレースの間に行われたクジ引きのフィナーレ的な場面、第1レースでトップ3だったダリオ・フランキッティ、スコット・ディクソン、ウィル・パワーの3人が同時に特設ステージに上がった。4位以下だったドライバーたちはすでにクジ引きを終え、残されていたグリッドは3番、18番、28番の3つとなっていた。そして、3人の中で最初にクジを引いたパワーが3番をゲット。次にディクソンが18番を引き、フランキッティには自動的に28番グリッドが残ったのだった。
パワーが28番グリッドを引き当てていたら、多分、優勝はできなかっただろう。では、18番グリッドだったら、彼は2位でゴールができただろうか?
ディクソンが28番グリッドとなっていたら、フランキッティが18番手スタートとなっていた。いったい彼はどんなレースを戦ったみせてくれただろう? フランキッティはディクソンと同じ2位まで這い上がれていただろうか? もしそうできていたら、ダブルヘッダーでの彼の獲得ポイントは47点となり、パワーとの差を逆に2点縮めることができていた。
第6戦獲得ポイント | ||
1 | ウィル・パワー | 45点 |
2 | ダリオ・フランキッティ | 40点 |
スコット・ディクソン | 40点 | |
4 | ライアン・ブリスコー | 32点 |
5 | エリオ・カストロネベス | 26点 |
6 | アレックス・タグリアーニ | 25点 |
7 | 佐藤琢磨 | 24点 |
トニー・カナーン | 24点 | |
9 | EJ・ビソ | 23点 |
10 | マルコ・アンドレッティ | 22点 |
11 | ビトール・メイラ | 21点 |
12 | ダニカ・パトリック | 19点 |
13 | ポール・トレイシー | 17点 |
ライアン・ハンター-レイ | 17点 | |
15 | グレアム・レイホール | 16点 |
16 | アレックス・ロイド | 14点 |
17 | ジェイ・ハワード | 13点 |
エド・カーペンター | 13点 | |
オリオール・セルビア | 13点 | |
20 | ジャスティン・ウィルソン | 12点 |
ジェイムズ・ヒンチクリフ | 12点 | |
アナ・ベアトリス | 12点 | |
JR・ヒルデブランド | 12点 | |
マイク・コンウェイ | 12点 | |
25 | チャーリー・キンボール | 11点 |
26 | シモーナ・デ・シルベストロ | 10点 |
デイビー・ハミルトン | 10点 | |
ウェイド・カニンガム | 10点 | |
ジェイムズ・ジェイクス | 10点 | |
セバスチャン・サーベドラ | 10点 | |
天野さん、いつも楽しみに読ませていただいております。
返信削除と言いつつ、ツッコミで申し訳ないのですが、上記はポイントランキングではなく、第6戦「獲得ポイント」ではないでしょうか。
ランキング4位はセルビアですし、琢磨・TKとEJが1ポイント差ってことはないですよね(笑)
匿名 さん、申し訳ありません、これは完全に間違ってアップした更新係のミスです。原稿にない部分を表を作成する時に付け加え、そこで間違った次第です。修正をしましたので、お許しのほどよろしくお願いいたします。(更新係)
返信削除第2レースのクジ引きグリッドは茶番だ。こんな事するから米国のレースが2流だと感じます。
返信削除匿名 さん、アメリカは世界一のエンターテインメントの国、そこで、レースもエンターテインメント主導で盛り上げようと、クジ引きを採用した訳ですが、クジの最中は(観客は)大盛り上がりしたものの、いざレースが終わってから反響がすごかったのはご存知の通りですね。でも、レースそのものはトップレベルの戦いだったし、主催者も同じミスは繰り返さないと、次の動きを考えているのですから、今度はどうなるか楽しみに待ってみませんか?(更新係)
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