Photo:INDYCAR |
昨年、佐藤琢磨は初挑戦となったショートオーバル=アイオワで目覚しい走りを見せた。予選7位から決勝では3位を走ったのだ。残念ながら結果はアクシデントによるリタイアとなったが、そのアクシデントの前、琢磨はトップ2との差を削り取って行くスピードを持っていた。彼にはトップを走ることさえ見えていたのだ。
オーバル4戦目にして3位までポジションアップ
オーバルレーシングでは周回遅れが頻繁に発生するし、それを取り戻すことも十分に可能だ。1ラップダウンになったからといってレースをあきらめ、道を譲ってくれるドライバーはほとんどいない。また、周回遅れに陥りそうなドライバーは、大抵の場合はハンドリングに問題を抱えているため、マシンをフルにコントロールできていない場合も少なくない。そんな彼らをクリーンにオーバーテイクするためには、相手の動きを観察し、どこでどう苦しんでいるのかを見極め、さらには呼吸を合わせるようにしてパスする必要がある。昨年のアイオワでの琢磨は、相手の動きを予測し切れていなかったために自らのマシンに当たる空気を遮られ、コントロールを失ってしまった。
当時はまだオーバルでの4戦目で、1.5マイルのコースで2戦、2.5マイルで1戦といった状況だった琢磨。経験不十分は明らかで、こうしたアクシデントは起こり得た。それより、たったの4戦目で予選7位になり、トップグループのマシンをパスして3位までポジションを上げた、そのパフォーマンスの良さの方が衝撃的でさえあった。KVレーシング・テクノロジー・ロータスに良好なマシンセッティングがあり、それを最大限活かして琢磨はアイオワのオーバルを走り回っていたのだ。
琢磨とチーム、蓄積した経験値にキャリアベストの期待がかかる
2シーズン目となり、琢磨のオーバルでの経験値は1年前のアイオワとは比べ物にならないほど高まっている。もちろん、まだまだベテラン勢に肩を並べるレベルには到達していないかもしれないが、急速に力の差が縮まりつつあることは、今年の彼の予選や決勝での活躍ぶりを見れば明らかだ。KVレーシングのオーバルにおけるマシンセッティングも、今年は一段のレベルアップを果たしている。
しかも、今年の琢磨には力強いチームメイトがいる。去年のアイオワで優勝しているトニー・カナーンだ。アンドレッティ・オートスポートとKVレーシング・テクノロジー・ロータスではマシンセッティングが異なるのであろうが、カナーンはアンドレッティのマシンの良かった部分を知っており、KVレーシングのマシンの良さにその中の幾つかでもプラスできれば、さらに強力なマシンを作り上げることができると期待ができる。
もうひとりのチームメイト、EJ・ビソの存在もアイオワではプラス要素だ。彼は去年のアイオワで3位フィニッシュを果たしている。フルディスタンスをKVレーシングのマシンで戦い切ったビソからの情報も有益だろう。
琢磨にオーバル初優勝を期待するのは、まだ時期尚早かもしれない。しかし、オーバルもロードも合わせてのキャリアベストリザルトとなる3位表彰台は、十分に期待できる。それが今週末のアイオワ戦ではないだろうか?
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