2011年6月25日土曜日

2011 INDYCAR インサイド情報&ニュース第8戦アイオワ コーン インディ250 Day1プラクティス1/予選リポート

第8戦アイオワ コーン インディ 250
IOWA CORN INDY 250

アイオワ・スポードウェイ
アイオワ州ニュートン
コースタイプ:ショートオーバル
全長:0.875マイル(=約1.408km)×250周

Day1  6月24日
Photo:INDYCAR(Shawn Gritzmacher)
 第8戦アイオワ・コーン・インディ250の公式日程は金曜日から。1時間15分間のプラクティスがまずは正午から行われ、4時15分から予選、その後、ナイトレースに備えるために夜の7時半からファイナルプラクティスというスケジュールだ。
 最初のプラクティスでは、決勝用セッティングをメインとしながら、予選用セッティングにも少し時間を割くというのが理想的なパターンだ。KVレーシングテクノロジー・ロータスで走る佐藤琢磨も、そのセオリー通りのプログラムでアイオワに臨んでいた。

 1セットのタイヤでセッティングの方向性を確認した後、タイヤの磨耗やそれに伴うハンドリングの変化を確認するためのロングランを行った。その後、琢磨のマシンはセッティング変更がなされ、ニュータイヤを装着してコースイン。ここでは予選用のセッティング確認を行った。
 好感触を得た彼らは、フレッシュタイヤをもう1セット投入。ここではウォームアップからアタック2周を完全にシミュレートした。そして琢磨はトップに立った。しかし、同じタイミングで予選シミュレーションを行っていたスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が琢磨を僅かに上回った。

 ピットに戻った琢磨のマシンは、さらに新しいタイヤが装着された。そして、ここでもう1回予選シミュレーション! 琢磨はディクソンのタイムを破り、再びトップに躍り出た。
 すると今度は、ダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)が予選シミュレーションを敢行。琢磨をギリギリ上回ってトップをガナッシ陣営へと奪還した。
 琢磨のタイムは結局2番手だった。ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシングのふたりの元チャンピオンの間に挟まっての2番手だ。

 予選セッティングの確認と、予選シミュレーション2回と、琢磨は3セットのタイヤを投入して予選用セッティングを行ったのだ。走行ラップ数は78周に及んだ。ここに彼らのアイオワでの予選にかける意気込みの強さが見て取れる。スターティンググリッドは必ずフロントロー近くに確保する。そこからレースを有利に戦う、という筋書きなのだ。
 プラクティスでの走行を少しだが先に終えていたカナーンは、琢磨がマシンを降りてくるのをピットで待っていた。そして、琢磨がヘルメットを脱ぐと、琢磨と琢磨のエンジニアのギャレット・マザーシードが、マシンのセッティングやフィーリングの情報を交換を始めた。カナーンはこのセッションで67周を走り、17秒8876というベストを記録していた。

 3時間のインターバルを置いて予選は始まった。
 日中のプラクティスは気温が摂氏22〜23度、路面温度は39〜43度で、予選時には気温25度、路面42度と大きく変わらないコンディションだった。しかし、サポートレースの走行もあり、路面は確実に変化していた。プラクティスからセッティングをさらに良くした上で、路面の変化にマッチしたマシンとする。それが予選で好パフォーマンスを発揮するための条件だ。

 今週も琢磨にはツキがあった。ミルウォーキーではカナーン、EJ・ビソの両チームメイトより後のアタック順だったことで彼らから走行情報を得ることができたが、今日のアタック順も、ビソは琢磨の後ろだったが、カナーンは二番手でビソと琢磨のふたりよりも先だった。ほぼ同じセッティングで予選に臨む彼らは、ハンドリングがどうだったかや路面のコンディションのレポートを受けることで予選アタックをより大胆に行える。
 最初にアタックしたのは、ポールポジション候補のディクソンだった。ところが、彼らが予選用に施したセッティング変更はマシンをオーバーステアに過ぎる性格へと変えており、二度のシリーズチャンピオンをもってしてもウォームアップ・ラップでクラッシュしかけるほどだった。ディクソンはアタック中にもクラッシュの危機にさらされ、23位というキャリア・ワースト・タイのグリッドから明日のレースはスタートしなければならなくなった。

 カナーンはディクソンのすぐ後の2番手にコースイン。ディクソンのタイムの悪さは、路面コンディションが悪いためかとも心配されたが、カナーンは2周目に時速180マイル・オーバーを記録。2周平均でも平均スピードが180マイルを超えてトップに立ち、その後のチャレンジャーたちは彼のタイムを破ることができなかった。
 9番目にアタックしたダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)がカナーンを下回った時、琢磨のポールポジション獲得の可能性が高まったことが感じられた。もちろん、まだチーム・ペンスキーのドライバー3人はひとりもアタックを終えておらず、彼らがどこまでスピードを伸ばしてくるかはわからなかったが……。

 シモーナ・デ・シルベストロが出走を取り消し、セバスチャン・サーベドラ(コンクエスト・レーシング)がハンドリング不調から予選への出場を断念したため、琢磨のアタック順は21番手のはずが19番手に繰り上がった。まだトップにはカナーンが君臨していた。
 琢磨はグリーンフラッグを受けるウォームアップ・ラップの平均速度が時速177.063マイルだった。これは18人が走った中で2番目に速いものだった(トップはマイク・コンウェイ)。その勢いに乗って琢磨は計測1周目が180.307マイル、2周目には僅かにスピードアップして180.443マイルをマーク。カナーン超えを達成してトップに立った。

 琢磨の後にはダニカ・パトリック(アンドレッティ・オートスポーツ)が時速180.210マイルを出して2位に迫ったが、チーム・ペンスキー勢は3人とも今ひとつスピードが伸びず、琢磨のキャリア初ポールが決まった。2周とも時速180マイル台としたのは琢磨ただひとりだった。素晴らしいパフォーマンスだった。

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