2011年6月24日金曜日

2011 INDYCAR レースアナリシス 第7戦ミルウォーキー225 その2:フランキッティにペナルティが課せられなかった事情は??

なぜ、フランキッティにペナルティは出なかったのか?

ダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)がピットでウィル・パワー(チーム・ペンスキー)のタイヤに接触した。しかし、インディカーはフランキッティにペナルティを課さなかった。「なぜ?」と思われた方も多いと思う。
ペナルティとならなかったのは、別にフランキッティやチップ・ガナッシ・レーシングをエコヒイキしたからでも、インディカーが過去に何度も冒してきたのと同じ不規則裁定でもなかった。あの接触は、チーム・ペンスキーのクルーたちの参戦姿勢の方に問題があった。ペナルティがチーム・ペンスキーに課せられることさえ考えられる状況だった。 

譲り合いの精神を欠いたパワーのクルー

ミルウォーキーのピットボックスは小さい。そこでは互いに譲り合う精神が必要だ。インディカー・レースは戦争ではなく、紳士的に正々堂々と競い合うスポーツだからだ。「周りを配慮し、フェアに戦おう」とドライバーズミーティングという指示がインディカーから出されていたという。
フランキッティとパワーの順位が接近している場合、あるいは、パワーの方が前のポジションを走っている場合であれば、パワーのフロントタイヤチェンジャーがタイヤをピットロード上にセットして待っていることに違和感はない。しかし、パワーはあの時点でフランキッティとの間に順位の差があり、同じフルコースコーションでピットインするにしても、ピットボックスに辿り着くまでの間には明確な時間差があった。チーム・ペンスキーのクルーが紳士的な対応をキッチリしていたなら、タイヤをセットせずに待ち、トラブルは起こらないずだった。しかし、彼らはタイヤをピットロードに置いていた。フランキッティのピットボックスへのアクセスを苦しさせたいという悪意がそこにあったのか、フランキッティがピットに入る邪魔はしないでおこうというところまで考えが及ばなかったのか……。
フランキッティのクルーとすれば、あらかじめチーム・ペンスキーにタイヤを持って待機するよう申し入れをすべきだったが、それを怠った。両陣営の意思の疎通が不十分だったことが今回の問題を招いたのだ。

トラブル直後にチーム同士の話し合いで解決

それでもインディカー・シリーズの二強チームは、トラブル発生後にすぐさまピットで話し合い、フェアに戦って行くことを確認し合った。この辺りはちょっとうれしい話だ。インディカーも双方に落ち度があったということとし、ペナルティなしという裁定を下した。
気をつけるべきは後方ピットの右フロントタイヤチェンジャーだけではない。前方ピットの右リヤタイヤチェンジャーは、外したタイヤをできる限り早く、すぐ後ろのピットからマシンが出やすいようにどける配慮が必要だ。

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