Photo:INDYCAR(LAT) |
IOWA CORN INDY 250
アイオワ・スポードウェイ
アイオワ州ニュートン
コースタイプ:ショートオーバル
全長:0.875マイル(=約1.408km)×250周
Day1 6月24日
予選 1位 225周 35秒6857(17秒8496、17秒8361) 180.375mph
天候:快晴
佐藤琢磨が日本人として初めてインディカー・シリーズでのポールポジション獲得を達成した。これまでのベストは2位(中野信治=CARTインディカー・シリーズにて。松浦孝亮=IRLインディカー・シリーズにて)だった。
プラクティスで2番手につける好調振りを見せていた琢磨は、クジ引きで21番目のアタック順を引いていたが、1人が出場取りやめ、1人が予選不出走となったために19番目にコースイン。チームメイトのトニー・カナーンを上回る2ラップを完成させ、キャリア初のポールポジションを手に入れた。琢磨はインディカー・デビューから25ラウンド目(クジによるグリッド決定のレースを含むと26戦目)でのポール獲得だ。
Jack AMANO(以下——)ポールポジションです。まずは感想を。
佐藤琢磨:嬉しいです。凄く嬉しい。去年のアイオワで良いパフォーマンスだったので、今シーズンもコンペティティブなマシンにできるとは思っていました。しかし、実際にプラクティスを走り出すまでは、不安なところもありました。今シーズンはトニー・カナーンが入ってきて、それがとても大きいプラスになってますね。トニーは去年のここでのウイナーです。自分たちのパフォーマンスも良かった。だから、いろんなアイディアがチームの中にたくさんあったんですよ。それをプラクティスのうちから出すことができて、予選でキッチリとまとめることができました。プラクティスではニュータイヤを3セットも投入して、物凄く集中してクルマ作りをしたので、今回予選でね、自分のベストラップを出して、自分としてもベストの走りができたことは凄く嬉しいです。
——日本人初のポールです。
佐藤琢磨:自分のキャリアにとっても嬉しいことだし、これまでの日本人の先輩たちがたくさん挑戦して来た中で、まぁ、今回一歩進めたことは、日本のモータースポーツ界にとっても僕が貢献できたのかな、と思うし。ただ、ポールポジションといってもね、予選は確かに大事で、ここまで集中してきましたけど、やっぱりレースで前を走りたいので、そのために予選が良かったというのは凄く良い材料だと思うので、この後最後のプラクティスセッションがありますから、そこでクルマを良いものに仕上げて、明日は力強く走りたいです。
——初ポールがオーバルというのは?
佐藤琢磨:いやぁ、もう嬉しいですね。まさかポールポジションを今日獲れると思ってもいなかったので、その午前中の走りで確かに良い手応えは掴んでいたけれども、まだ少し課題もありましたから。それが予選に向けてキッチリと修正できたっていうのは、チームとして嬉しいです。これまで何度も同じような状況があったと思うんです。つまり、プラクティスでここをもうちょっとやりたい。そうすれば予選で……っていうのが。そういうセッションからセッションへのステップアップの度合いが、今日は凄くシックリとはまったというか。僕自身もトニーの走りを見て、トニーが感じた状況、例えば路面のコンディションがプラクティスの時と比べてどう変わっているかとか、それを走る前に準備できたっていうのは凄く大きかったです。
——トニー・カナーンが予選アタックを終えてすぐに来てくれていましたね。あそこでの会話が大きな意味を持ってたんですね?
佐藤琢磨:はい、そうですね。ここまで来るとね、もう1万分の1秒で変わる世界なので、本当に少しのことがヤッパリ大きな差を生んだりしますね。僕にとっては凄く良い環境だったと思います。ここまで支えてくれたチーム、ファンのみんな、スポンサーの皆さん、本当に多くの人が支えてくれているので、感謝したいです。
——ウォームアップが多分出場全車の中で一番速かった。そこはかなり意識して行ったんですか?
佐藤琢磨:それは行きましたね。とにかくここのラップは短い。1周17秒ちょっとしかないので、スピードに載せっていうのは凄く大事で、ウォームアップでいかにアクセルを踏んで行けるかっていういのは、自分の中でかなり課題にしていたので、プラクティスの時間から練習していたし、今日、予選でそれが実現できたのは自分でも凄く嬉しいですね。
——去年までの予選アタックは4周で、今年は2周に変更されていますが、半分に短くなっている予選アタックでもマシンの変化は大きいんですか?
佐藤琢磨:変わります。なので、いつも通り、コクピットの中にあるクルマのツールを使って、アジャストというか、状況に合わせた変更をやってます。それが今日は狙った通りに行きました。
——今日の予選はライン採りもほぼ完璧でしたか?
佐藤琢磨:もうちょっと内側にとどまりたかったんですけど、クルマが速くて、勢いがあって外に飛んでった。だから、そういう意味では嬉しい誤算というか、そういう風に外に行かないように抑えるのが精一杯っていうぐらい、今日のマシンは凄く前に進んでくれるものに仕上がってたんで、本当に嬉しいです。
——2ラップとも180マイル台に載せたのは琢磨選手だけでした。会見ではショート・オーバルに来てから良くなっているという話になっていましたが、今年のオーバルは最初からずっと良いですよね?
佐藤琢磨:いや、でもヤッパリ、1.5マイルのパッケージだとやっぱり大きなチームに速さはまだ一歩届かないところがあると思うんですね。インディのようなスーパー・スピードウェイもそうです。でも、このショート・オーバルになると、全体的にスピードが下がる分、差も半分になるし、色んなことができるので、他のことでアプローチしてきて、トライもできるので、すべてが空気抵抗にはならないんですよね。あるいは、機械抵抗にも。だから、そういう意味ではプラクティスで感じたこと、去年から持ってきたもの、そして、トニーから得た予選の情報、それら全部をひっくるめて凄く良いものがプロデュースできたと思うんで、僕としては、予選はグリーンフラッグが振られる前のアウト・ラップから始まってた。そこからメチャクチャ攻めてってました。
——その辺の、冷たいタイヤでのマシンコントロールっていうのが、やっぱり去年と今年の琢磨選手と違う一番の大きなところですかね?
佐藤琢磨:はい。大分慣れてきましたね。まだ自分の中では完璧ではないです。だからピットアウト直後とかは不安な時もあるし、それとか感じ切れない時もあるんです。今日はクルマが横に滑らないで、前に進んで行く感じがしたので、自信を持ってアクセルを踏んで行けましたね。
——今週はピットボックスも前にスペースがあるし、いいレースが戦えそうですね?
佐藤琢磨:そうですね。とにかく本当に、オーバルの予選と決勝というのはまったく違うものなので、これがロードコースの予選だったらね、レースもほぼ十中八九、スピード的には変わらないんですけど、オーバルはまだどんな魔物が潜んでいるかわからないし、最後の夕方7時からのプラクティスセッションがとっても大事だと思うので、そこにまずは集中したいですけど、ひとまず今日ね、応援してくれている人たちにポールポジション獲得を御報告できるのが嬉しいです。
——日本とアメリカを3往復しての3連戦となっていますが、体力的にも精神的にも大変だったのではないですか?
佐藤琢磨:おかげさまで飛行機の中でゆっくりと眠れたので、体調は万全でした。今日は相当アドレンリンも出ているし、このままプラクティスで集中して走って、ゆっくり寝て、明日に備えます。明日はナイト・レースなので、もちろん去年とは違うコンディションになります。だから、気を引き締めてちゃんと走りたいと思ってます。
——明日のレースでの目標は?
佐藤琢磨:ポールポジションにいるってことは、一番勝利に近いところにいるわけで、もちろんトップチームが後ろに控えているので、簡単に、というわけには行かないですけど、まぁここまでインディカーで1年半経験してきたことをフルに活かして、自分なりに精一杯走りたいと思ってます。
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