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誰もウィル・パワーを止められない。
IZOD/INDYCARシリーズは第4戦サンパウロを迎えているが、予選でウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が今季開幕から4戦連続のポールポジション獲得を成し遂げた。この速さは驚くべきもので、同じエクィップメントと使い、同じエンジニアリングスタッフと戦うチーム・ペンスキーのチームメイトたち、エリオ・カストロネベスとライアン・ブリスコーでさえもまったく歯が立たない。
今回はパワーのラップタイムも衝撃的だった。予選最終ステージ、ファイアストン・ファスト6で彼が記録した1分21秒8958は、昨年のポールタイムより6秒近くも速かっただけでなく、予選2位となったライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポーツ)を当惑させるものだった。ユーズドのレッドタイヤ(ソフトタイプ)でのベスト更新、しかも、彼はハンター-レイにコンマ4秒もの差を突きつけたのだった。
予選を終えたパワーは、「第1、第2ステージでの周回数をできる限り少なくする作戦だった」と話し、「しかし、そのおかげで危うく予選第2ステージで敗退するところだった」とも打ち明けた。「もう残り1周という時点で僕は5番手だったんだ。あのままだったら僕らの予選は終わっていたよ」とパワー。しかし、彼はそこから見事なラップを叩き出し、トップで予選第2ステージを終えたのだ。必要な時に必要なラップタイムを刻む。それも、一度しか与えられないチャンスを確実にモノにする力も彼は備えているのだ。
第2ステージでギリギリ生き残ったパワーは、ファイナルステージで度肝を抜くラップタイムを実現してみせた。今、パワーはストリートを含めたロードコースの予選で、ライバル勢に明らかな差をつけ優位に立っている。予選結果がそのままレースの結果に直結してはいないが、今後そうなって行く可能性すら感じさせる、それほどの強さが開幕4戦の予選で現れている。
プラクティス2回目の勢いをそのままにまたもポールを獲得したパワー Photo:INDYCAR(Chris Jones) |
予選3位スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)、4位はライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)で、5、6位にはグレアム・レイホール(チップ・ガナッシ・レーシング)とダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)がつけた。レースの周回数は75周だ。
新しくなった舗装は驚くべき効果を見せた。まだまだバンピーではある。しかし、グリップは明確に上がっている。そして、サンパウロのコースレイアウトはストレートが長く、オーバーテイクが十分可能なため、多少のバンピーさはドライバーたちの評価の中では帳消しにされてしまうのだ。昨年のレースでもバックストレッチエンドのハードブレーキングでは何度もオーバーテイクが見られた。トップ争いでも順位の変動が幾度も起きていた。今年はその傾向がさらに強調され、激しいレースが展開されることと期待される。
佐藤琢磨(KVレーシング・テクノロジー・ロータス)は、予選10位だった。今季のベストは、彼自身にとってのストリートでのベストグリッドでもある。「着実にステップを踏んでマシンを良くして行けましたね」と彼はチームと自分の戦いぶりを評価していた。
しかし、琢磨の目標は飽くまでも優勝、そしてトップグループで戦うことであるため、コメントは「残念ながら僕らにはまだ十分なスピードがない。チーム全体のレベルアップが必要だ」というものになる。「今晩は今日得られたデータをすべてチェックし直し、決勝レースでスピードを得られるようにしなければ」と琢磨は語った。
セッション毎にセッティング変更を行い、高い確率でそれを成功させてきているのがインディカーでの琢磨と彼のエンジニアリングスタッフたちだ。ロングビーチではレッドタイヤのパフォーマンスや路面のコンディションを読みきれずに予選で苦しんだが、今回はレッドタイヤの性能と路面状況を見事に読み、予選でプラクティス時を大きく上回るパフォーマンスを発揮していた。明日のレースに向けても、彼らは積極的にセッティング変更を行い、それをまずはウォームアップで試してくる。そして、そこで得られたデータをさらに活用し、決勝での順位アップを目指してくるだろう。
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