フォイトは史上初めて4度のインディ500優勝を成し遂げたドライバー。現在もチームオーナーとして活動している。
Photo:INDYCAR(Chris Jones) |
「レースは私の人生で常に非常に重要なもの。私の人生そのものと言える。インディ500は世界でもっとも重要なレースで、私はこのレースのために生きてきた。レースでケガをしても、インディ500には必ず治療を間に合わせ、出場してきた。それほど重要なレースだからだ。インディこそが私を人々に知らしめてくれた。だから100周年レースのペースカーのドライバーをやってくれと昔からの友人であるマリ・ジョージに頼まれた時、スピードウェイからの、そしてハルマン・ジョージ・ファミリーからの、これ以上の栄誉を受けられることはないと思った」とフォイトは語っている。
実はこの栄えある仕事、4月のアタマにインディアナポリス・モータースピードウェイは、「世界的に有名なビジネスマン、ドナルド・トランプ氏に決めました」と発表していた。しかし、それから1カ月後、レースの開催月に入ってから彼は突然断ってきた。
日本ではあまり知られていないトランプ氏だが、アメリカでは超の字がつく有名人だ。彼は人々に仕事のチャンスを与えるテレビ番組も持っており、コンテスト形式の番組内で「お前はクビだ」と脱落者に告げる。その決めゼリフがまた人気を呼んだ。独特かつ奇妙なヘアスタイルが彼の大きな外見的な特徴で、傲慢とも取れるキャラクターは賛否両論ある。
この春からトランプ氏は、急激に政治に対する意欲を見せ始めた。オバマ大統領の仕事ぶりに不満をぶちまけ、来年の大統領選挙に自らが出馬する話が盛り上がった。まだ出馬表明はしていないが、当人はかなり乗り気らしく、その可能性は高まってきているという。
トランプ氏はスピードウェイに対して、「レースをニューヨークで見るのを楽しみにしている」と辞退を告げたという。ペースカーのドライバーを務めるためには練習走行なども必要で、それなりに時間を割く必要があるため、受けるべきではないとの判断に至ったらしい。
Photo:INDYCAR(Ron McQueeney) |
トランプにドライバー役を頼んでいたインディアナポリス・モータースピードウェイの社長兼CEOであるジェフ・ベルスカスは、フォイトに引き受けてもらえてホッとしたのだろう。「AJ・フォイトに決まってハッピーだ。彼をペースカー・ドライバーに歓迎する」とコメントし、「AJはインディの100年の歴史の中で最も偉大な、最も愛されたドライバー。本物の象徴的存在だ、私は世界中に何百万人もいるフォイトのファンのひとりで、AJが彼が本来いるべき場所、“500”の先頭を走り、レースをリードするのだ」と、お世辞を通り越したコメントをしている。
フォイトがコクピットに収まる今年のペースカーは、白地に赤いストライプの入ったシボレー・カマロ・コンバーティブル。エンジンはペースカー用にチューニングが施された400馬力のV8で、組み合わされるトランスミッションは6速のオートマチックだ。
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