天候: 曇り 時々雨 のち 晴れ
気温:23.5~26℃
今年、最後の最後に決勝グリッドを確保したのはマルコ・アンドレッティだった。 Photo:Naoki Shigenobu |
昨日の予選で決定されなかった9個のグリッドは、2時56分にすべて埋められた。いよいよバンプ・アウトが始まる。
最初に弾き出される候補をオン・ザ・バブルというが、それは223.272mph(=約359.245km/h)のラファエル・マトス(AFSレーシング)だった。
ここでルーキーのジェイムス・ジェイクス(デイル・コイン・レーシング)がコースへ。彼はずっとスピードを上がられていない。案の定、221mph(=約355.589km/h)台しか出せずにグリッド獲得はできなかった。
続いてアタックしたのはセバスチャン・サーベドラ(コンクェスト・レーシング)。こちらもスピードは222mph(=約357.198km/h)台と伸び悩んだ。
お次はマルコ・アンドレッティ。まさかアンドレッティ・オートスポートが予選2日目にこれほどアタフタする羽目になるとは、今月が始まる前には考えてもいなかった。去年の彼らはトニー・カナーンが予選落ちのスリルを味わったが、今年はそんなことはないだろうと見られていたからだ。
マルコはマトスをバンプ。しかし、そのスピードは223.688mph(=約359.914km/h)と遅かった。
ピットレーンでスタンバイするマルコ。 Photo:INDYCAR(Mike Harding) |
3時8分にはポール・トレイシー(ドレイヤー&レインボールド・レーシング)がアタック。これがお見事! 225mph(=約362.025km/h)台に最初の2ラップを乗せてきた。ところが、3周目から雨が……。トレイシーは「あわや!」というシーンをかい潜り、雨も強くならなかったことに助けられて224,939mph(=約361.927km/h)をマーク。これが予選2日目の最速となった。
「3周目に一気に暗くなった感じがして、雨も感じた。コクピットの中でヘルメットのバイザーのありは空気圧が低くなる。バイザーのしたの方で水が踊り始めたんだ。ターン3でマシンが滑って、それに対応するためにバーを調整した。1周と半分が雨……あんまりうれしいものじゃなかったよ」と予選通過を決定づけたトレイシーは語った。
天候も味方し、ダニカもようやく決勝進出確定
必死のコース排水・乾燥作業が続けられた。 Photo:INDYCAR(John Cote) |
アタックをしようと列に並んでいた中にはダニカ・パトリック(アンドレッティ・オートスポート)もいた。彼女はまだ予選2日目に一度のアタックもしていない。このまま雨が降り続け、路面が乾かなければアタックのチャンスを与えられない。もうグリッドは全部埋まっているので、彼女は決勝に出場できなくなる。アタックしてダメならまだ納得も行くが、アタックもしないで諦めることになる可能性が高くなった。レインカバーをかけられたマシンのコクピットに座り続けるダニカ。彼女にはもうチャンスは与えられないのか……。
彼女の祈りは通じた。午後4時45分、ダニカにコース・インの指示が出された。そして、彼女は224.861mph(=約361.801km/h)で決勝進出を決定づけた。弾き出されたのはアレックス・ロイド(デイル・コイン・レーシング)だった。
天候回復してのアタックでグリッドを確保しダニカもようやく安堵の表情に。 Photo:Naoki Shigenobu |
ダニカがガッチリとロック・インされたら、マルコがオン・ザ・バブルになった。4時53分、アタックをしたのはコンウェイ。これがうまく行った場合、マルコがバンプされるってことだ。同じチームでバンプアウトをし合うことになるとは……・マルチカー体制の欠点がこんなところにあるとは気づかなかった。
コンウェイは去年の事故がまだトラウマになってるのか、全然スピードが上げられずに来ている。ここでも彼はダメで、ウェイブ・オフ(アタックをチームが中断させること)。
この後もサーベドラ、ロイドがスピードを出せずにウェイブ・オフ。さらにもう一度コンウェイがアタック。これで今日3度目。最後のチャンスだ。しかし、1周目が221mph(=約355.589km/h)台……。今年の彼のインディ500は終わった。
この時点でもう5時40分を回っていた。ジェイクスが、さらにはサーベドラがウェイブ・オフ。サーベドラの2年連続出場の夢が潰えた。
デイル・コインレーシングの紳士的な決断
マルコをバンプアウトしてアレックス・ロイドが決勝グリッドを確保。 終盤はデイル・コインとアンドレッティ・オートスポートのバンプアウト合戦の 様相を呈してきたのだが・・・。 Photo:Naoki Shigenobu |
続いてジェイクスがコース・イン。彼がグリッドを獲得するということは、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)がバンプ・アウトされるということだ。そして、ジェイクスのアタック終了で予選も終了となるから、マルコにアタックのチャンスが与えられなくなる……。
しかし、ジェイクスは2周走っても221mph(=約355.589km/h)台の平均しか出せず、アタック完了、そして決勝進出を断念。スロー・ダウンした。これはデイル・コインによる紳士的な決断だった。マルコは最後のチャンスを与えられた。
ここでスピードを出せなければ、決勝進出はできないということ。最後の勝負。マルコは何mphを記録するのか? 1周目、224.728mph(=約361.587km/h)! 3時過ぎのアタックより1mph以上も速い。どっからそんなスピードを見つけてきたんだ? 2周目以降も全部224mph(=約360.416km/h)台に載せたマルコは28番グリッドへと飛び込んだ。予選落ちを免れたのだ。
そして、ハンター-レイがバンプアウトされた
しかし、マルコの決勝進出は、ハンター-レイをバンプ・アウトして実現されたのだった。チームメイトを弾き出したということ。マルコの父親であると同時にハンター-レイのマシンのオーナーでもあるマイケル・アンドレッティは、「ある意味、チーム・オーナーとして最悪の1日だった」とコメントした。
かくして33人の決勝進出者が決まった。予選落ちした面々とはサーベドラ、ジェイクス、マトス、ハンター-レイ、コンウェイ、そしてドラゴン・レーシングのホー・ピン・タン、スコット・スピード、パトリック・カーペンティアの3人=合計8人。スピードとカーペンティアは、一度の予選アタックさえできなかった。しかし、アンドレッティ・オートスポートが2人の決勝進出に失敗するとは、驚きの結果だ。
チームメイトにバンプアウトされるという憂き目に会い、失意のハンター-レイ。 実績あるドライバーにとってもインディの予選突破は決して容易ではないのだ。 Photo:INDYCAR(LAT) |
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