ダリオ・フランキッティ Photo:INDYCAR(Chris Jones) |
このアクシデントが起きた直後、10位につけていたアレックス・タグリアーニ(サム・シュミット・モータースポーツ)がピットロードへすかさず飛び込んできた。フルコースコーションが出されるかどうかは微妙な印象だったが、その可能性に賭けた(彼らはロングビーチでも同じ行動に出ていた)。しかし、レースコントロールは様子を伺い続け、ダリオが自力で最も危険な位置からは移動したためにフルコースコーションを出さなかった。
ここでフランキッティが幸運だったのは、彼がピットに入ったところでフルコースコーションが出されたことだ。その原因を作ったのはタグだった。給油を終えてコースへ戻ったところでスピン。マシンの向きを変えようとしてエンジン・ストール。彼はコースのド真ん中に止まってしまったのだ。
ピットに辿り着くことのできたダリオは周回遅れに陥らずに済んだだけでなく、ゴールまで走り切るだけの給油までもまんまと行うことができたのだった。この後にタグの出したイエローでクローズになっていたピットが開放されると、ウィル・パワーら先頭グループの大半がピット。ダリオはステイアウトしてポジションを7位にまで戻した。4位を走っていた彼だが、あれだけのミスを冒しながら失ったポジションはたったの3つ……インディカーのレースはミスをしても終盤に挽回のチャンスがあるものだが、今回のダリオはかなりの幸運に恵まれたケースだろう。
レースが再開されると、3位から2位へと順位を上げていたEJ・ビソ(KVレーシングテクノロジー・ロータス)がブロッキングのペナルティで後退を余儀なくされ、マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポーツ)、セバスチャン・サーベドラ(コンクェスト・レーシング)、さらには佐藤琢磨(KVレーシングテクノロジー・ロータス)までがガス欠になってグリーン・ピット。レース再開直後にウィル・パワーとライアン・ブリスコーのペンスキー勢ふたりにパスされはしたものの、ダリオは4位でゴールした。
フレアム・レイホール Photo:INDYCAR(Chris Jones) |
ダリオにしてもグレアムにしても、20位以下でのフィニッシュとなっても不思議じゃない大きなミスを冒した。しかし、そのタイミングが非常に良たった。彼らがミスによって受けるダメージを小さく抑えてしまうフルコースコーションが出されたのだ。だからといって、「彼らは幸運だった」の一言で済ませていいものでもない。今回の彼らの上位フィニッシュは、確かに幸運に助けを借りたものだが、チームの持つ強さがそれを実現させた面もある。ミスをしても被害を最小限に食いとどめる。そのために何をすべきかを考え、常に最善の策を見つけ出す姿勢がチームに染み付いている。そのことが今回強く感じられた。
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