Round 4 Itaipava Sao Pauro Indy 300
Streets of Sao Pauro
ストリート・オブ・サンパウロ
ブラジル サンパウロ州
全長:2.536マイル(=約4.081km)×75周
コースタイプ:ストリート
Race Day 5月1日
決勝 3番手 14周走行(雨天のため中断・翌日に残りのレースを継続)
天候:雨
マシンを降りてピットへと向かった琢磨は、ピットロードの途中でロジャー・ペンスキー、ダニカ・パトリックと出会い、コースの状況や中断という主催者の判断などについて話していた。 Photo:Masahiko Amano(Amano e Associati) |
まさかの天候急変だった。
昨年のサンパウロでもスタート前に雨が降った。しかし、今年もまた同じ事態に陥るとは……。
いや、去年と同じではなかった。今年の雨の方が遥かに激しいものとなった。路面は完全にウェットコンディションとなり、インディカーは「ウェットレース」を宣言した。全車がウェットタイヤでのスタートを義務付けられたわけだ。
ピットロード上に並んだマシンがドライタイヤからウェットタイヤへの換装を行っていた時、琢磨は言った。「インディカーに来て以来、ウェットタイヤで走ったことないんだけど……」。まだインディカー・デビューから1年と少ししか経過していない琢磨だが、本当に多くの「未知の体験」を強いられて来た。しかし、今回のものは避けることが可能だったケースであった。ファイアストンのウェットタイヤがどんな性能を備えているのか、どんなグリップを発揮してくれるのか、暖まりにはどれぐらい時間が必要なのか……琢磨にとっては何もかもが未知の世界だったが、今年の開幕前のテストではウェットコンディションで走るチャンスがあった。琢磨があの時にマシンを降りようとしなかったのは、「雨でも走りたい」という彼の意思表示だったのだ。実際に彼はチームにそうした希望を伝えていたようだ。しかし、リスクの大きいウェットコンディションでの走行をKVレーシング・テクノロジー・ロータスは許可しなかった。
セバスチャン・ブルデイを今年から起用しているデイル・コイン・レーシングは、ウェットでの走行をした。しかし、KVレーシング・テクノロジーのようにウェットだと走らないという選択は、アメリカでは実に頻繁に行われている話なのだ。アメリカではウェットレースになることが非常に稀で、ウェットタイヤでの走行とは、そうしたレアなケースに、仕方なくリスクを冒して学び取るしかないものなのだ。今年のオープンテストの場合、それはテストであったのだから、翌日とか翌々日にウェットコンディションでのレースを戦う可能性は皆無だった。そんな状況でマシンを壊すリスクなど冒さないのがアメリカ流ということだ。ウェットコンディションでのマシンの挙動、タイヤの性能などをドライバーに経験、把握させるチャンスを与えることが、将来的にプラスになるとは考えない。
かくして琢磨は未知のウェットタイヤでのスタートに臨んだ。フォーメーションラップでタイヤを暖め、慎重にスタートを切った。左に90度曲がるシケイン状態のターン1は、レース前から心配されていた通りに、2列でのスタートには適していなかった。ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポーツ)はフロントローからタイヤバリアへ真っ直ぐに突っ込み、先頭グループで多重アクシデントが発生。コースがクリーンになってからのりスタートでは、2番手を走っていたスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)がスピンし、後続の大混乱を巻き起こした。琢磨は度重なる危機をどうにか潜り抜け、ウェットコンディションでもマシンのコントロールを失わずに走行。3位にまで順意を上げたのだった。
昨年のサンパウロでもスタート前に雨が降った。しかし、今年もまた同じ事態に陥るとは……。
いや、去年と同じではなかった。今年の雨の方が遥かに激しいものとなった。路面は完全にウェットコンディションとなり、インディカーは「ウェットレース」を宣言した。全車がウェットタイヤでのスタートを義務付けられたわけだ。
ピットロード上に並んだマシンがドライタイヤからウェットタイヤへの換装を行っていた時、琢磨は言った。「インディカーに来て以来、ウェットタイヤで走ったことないんだけど……」。まだインディカー・デビューから1年と少ししか経過していない琢磨だが、本当に多くの「未知の体験」を強いられて来た。しかし、今回のものは避けることが可能だったケースであった。ファイアストンのウェットタイヤがどんな性能を備えているのか、どんなグリップを発揮してくれるのか、暖まりにはどれぐらい時間が必要なのか……琢磨にとっては何もかもが未知の世界だったが、今年の開幕前のテストではウェットコンディションで走るチャンスがあった。琢磨があの時にマシンを降りようとしなかったのは、「雨でも走りたい」という彼の意思表示だったのだ。実際に彼はチームにそうした希望を伝えていたようだ。しかし、リスクの大きいウェットコンディションでの走行をKVレーシング・テクノロジー・ロータスは許可しなかった。
セバスチャン・ブルデイを今年から起用しているデイル・コイン・レーシングは、ウェットでの走行をした。しかし、KVレーシング・テクノロジーのようにウェットだと走らないという選択は、アメリカでは実に頻繁に行われている話なのだ。アメリカではウェットレースになることが非常に稀で、ウェットタイヤでの走行とは、そうしたレアなケースに、仕方なくリスクを冒して学び取るしかないものなのだ。今年のオープンテストの場合、それはテストであったのだから、翌日とか翌々日にウェットコンディションでのレースを戦う可能性は皆無だった。そんな状況でマシンを壊すリスクなど冒さないのがアメリカ流ということだ。ウェットコンディションでのマシンの挙動、タイヤの性能などをドライバーに経験、把握させるチャンスを与えることが、将来的にプラスになるとは考えない。
かくして琢磨は未知のウェットタイヤでのスタートに臨んだ。フォーメーションラップでタイヤを暖め、慎重にスタートを切った。左に90度曲がるシケイン状態のターン1は、レース前から心配されていた通りに、2列でのスタートには適していなかった。ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポーツ)はフロントローからタイヤバリアへ真っ直ぐに突っ込み、先頭グループで多重アクシデントが発生。コースがクリーンになってからのりスタートでは、2番手を走っていたスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)がスピンし、後続の大混乱を巻き起こした。琢磨は度重なる危機をどうにか潜り抜け、ウェットコンディションでもマシンのコントロールを失わずに走行。3位にまで順意を上げたのだった。
赤旗中断が解除され、レースは夕方の4時過ぎに再開されることとなったが、グリーンフラッグが振られることなく、再びマシンはピットロードへと呼び入れられた。シリーズ主催者はレースの翌日への延期を決断したのだ。 Photo:Masahiko Amano(Amano e Associati) |
Jack AMANO(以下——)スタート前に雨が降り出し、雨の中でのスタートとなりました。ウェットレースは初めてでしたが、どんなスタートでしたか?
佐藤琢磨:インディカーで、僕は初めてのウェットタイヤを装着しました。初めて雨のコンディションで走ることになったので、実はかなり不安だったんですよ。しかし、自分なりに慎重に行って、そうしたらポジションを上げることができました。その後もオーバーテイクをしてポジションを上げることができたので、自分としてはレースの出だしは良かったと思います。
——10番手スタートで3位までポジションを上げました。
佐藤琢磨:そうなんですが、自分としては、レースを今日のうちに最後までやりたかったですよね。明日は今日の続きからスタートすることになるようで、その点は良いのですが、まだレースは半分以上を残しているわけですから、様子を見ながら戦って行くことになると思います。
——レインタイヤで走ること自体がインディカーでは初だったんですよね?
佐藤琢磨:そうです。今までインディカーでは1回も雨の中でのレースってしたことがないし、ウェットタイヤも初めてだったんです。だから正直言って少々不安だったんですけど、とにかくスタートするまでのローリングラップで物凄くグリップしないなっていうのはわかっていました。
——テストでもウェットは初ってことですよね?
佐藤琢磨:はい、まったくの初めてでしたね。
——今年のオープンテストで雨が降りました。セバスチャン・ブルデイとかは走っていましたよね? 琢磨選手も走りたかったのではないですか?
佐藤琢磨:自分としては「走りたい」ってリクエストをしたんです。しかし、走らせてはもらえませんでした。
——使ったことのないタイヤで、しかもウェットコンディションでのスタート……どんな感じだったんでしょう?
佐藤琢磨:とにかく物凄く滑り易かったですね。それでも1コーナーでポジションを上げることができて、バックストレッチエンドでも順位を上げて、ひとつずつポジションアップをしたところでイエローコーションが出て、レースが止まってしまったって感じでしたね。そこからは何とも言えないんですけど、雨がどんどん激しくなっていって……。
——赤旗が出されたのは、レースができない状況だったということですよね?
佐藤琢磨:いや、それがそれほどでもなかったと思うんですけど……。もちろん非常に視界が悪くて、アクシデントが多発する可能性は十分にあったとは思いますが……。
——1回中断してから、かなりの時間があってからまた走り出しました。2回目の走行では、レースが十分に可能なコンディションと傍からは見えていたんです。しかし、レースはついにグリーンにならずに再びストップされた。それはどういう状況だったからなのでしょう?
佐藤琢磨:そうですね、レースをスタートした直後は路面の雨量は本当に大したことはありませんでした。ただ、そこへ凄い大雨が降って、レースを続けることができなくなったというわけです。2回目のケースは、逆にコンディションとしては小雨が降っているだけという状態だったんですけど、路面に溜まった水の量は最初のスタートの時よりも全然多くなっていたので、水しぶきの量も最初のスタートより多くなっていましたね。
——赤旗で中断中にセッティングの変更とかも行ったのですか?
佐藤琢磨:はい。多少ですけどね。フルウェットに近い状態にしています。
——明日、天気が良くなって、ドライコンディションとなったら、どうなるんですか?
佐藤琢磨:ドライに戻すだけです。
——それはルールで可能なんですか?
佐藤琢磨:もちろん大丈夫なはずですよ。
——グリーンのラップがほとんどないまま今日は終わりましたが、マシンのフィーリングって、どうだったんでしょう?
佐藤琢磨:それはわからないですね。まったくグリップがないので……。
——着実にポジションを上げて行った結果、3位までポジションを上げることができました。
佐藤琢磨:だからこそ、そのままレースを続けたかったんですよ。でも、雨量が凄くてね、危険なので中断って話になったんだと思います。明日、レースは再開されます。自分としては、今回は本当に良いポジションからのスタートできるので、バトルもレースで好結果を残すことに対しても物凄く楽しみです。
——スタートは2列目インサイドからです。3番手からのスタートであれば、視界も良好でかなり安全に行けますか?
佐藤琢磨:また明日も天気が雨になる可能性ってあるんですよね。ただ、ドライでもウェットでも、セカンドローからのスタートというのは大きな意味があると思います。鬼門になるシケインに関していえば、3番手スタートならリスクはかなり小さいと思います。
——明日は素晴らしい自己ベスト・リザルトが狙えますよね。健闘を祈っています。
佐藤琢磨:はい、頑張ります!
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