ホンダ・インディ・グランプリ・オブ・アラバマの走行2日目、予選直前のプラクティス3回目は20分という短時間に設定されていた。このようにレースごとにスケジュールが異なる場合があるのがアメリカのレースの特徴だ。プラクティスの時間帯が散らばるのはサポートレースとスケジュールを調整し合うためというのが主な理由。今回はスポーツカーのグランダムシリーズが耐久レースを土曜日に行うため、IZODインディカー・シリーズのスケジュールにしわ寄せがきた……と書くとネガティブだろうか。インディカー・シリーズがフレキシブルに対応したわけだ。
決勝のスタート時刻がイベントによって異なるのは、確保されているテレビの放映時間帯による場合も少なくない。こちらはレース出場者の利便性よりもサーキットに訪れてくれる、あるいはテレビ観戦してくれるファンを重視したスタイルである。
走行時間がまちまちな上に、プラクティス1ではに見舞われた今回のバーバー。 予選、決勝に向けてマシンセッティングはますます難しい条件に。Photo:IRL(LAT) |
全セッションの状況が異なる今回のバーバー
今回のレースでは、金曜日の日中と夕方にプラクティスが開催され、土曜日のプラクティス3回目は午前8時からと早かった。予選は午前9時25分スタートと、プラクティスからのインターバルも短い。そして、日曜日の決勝レースは暑い盛りの午後3時あたりにスタート……。ここまで走行時間帯が異なると、気温や路面温度といったマシンのハンドリングに大く影響する要素が随分と変わってくる。同じ条件下での直接比較ができないことから、ドライバーやエンジニアは常に対応力、推察力を試されるのだ。
しかも今回は、金曜のプラクティス1回目が雨によって短縮された。ウェットコンディションでも走行は出来たので、正確に表現すれば短縮はされていないのだが、ほぼ全チームが走行をしなかった(レースや予選が雨に見舞われる可能性が極めて低かったため)のだから、走行時間が短くされたのに等しい。こうなると、ますますドライバーとエンジニアには推測、推察する能力が求められるようになる。技術面の知識が深くなければ、限られたデータで正しい判断を下すのは難しい。
不平は無用。問われるのは同じ条件の中でいかにベストを尽くせるか
臨機応変で柔軟性があることをアメリカ人は誇りに感じる。その一方で、統一感のなさが出場者たち(特にルーキーなどの新しいエントラント)に戸惑いを与えているケースも実はある。しかし、最後には全員が「条件はみんな同じなのだから……」という常套句とともにすべてを受け入れる。そうしなくてはならない。与えられた状況の下で全力を出し切って戦う能力がアメリカでは求められているからで、不平を漏らせば評判を落とすだけとなる。
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