予選までにレッド(ソフトタイプ)を試したインディカー・ドライバーたちは、ブラック(ハードタイプ)はグリップが低いという印象を受け、決勝レースはレッド―ブラック―レッドの順でタイヤを装着して戦う意志を固めたようだった。26台出場中の21台がレッドでのスタートを選んだ。
グランダム・シリーズのサポートレースを開催していたことが、インディカーのグリップを下げていたのだろうか? その影響はゼロではなかっただろうが、他のレースと比べて明らかに大きいというケースでもなかったはずだ。それよりも今回は、バーバーのコース自体の路面のグリップ低下が大きかったようだ。経年変化で路面自体の持つグリップは下がる。それが去年から今年に向けて顕著だったと考えられる。インディライツでは約2秒、インディカーでも約1秒、去年よりレース中のラップタイムが遅くなっていた。気象を含めたコンディションの差もあっただろうが、どれだけの力が働いたかは不明。去年より今年の方が暑かったが、その差もタイムに明らかな影響を及ぼすほどには大きくなかったと思われた。
Photo:INDYCAR(LAT) |
ウィナーとなったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は、「レッドは去年と同じじゃなかった。少しだが違っていた。今回のはソノマ(インフィニオン・レースウェイ)のレッドだったと思う」という興味深いコメントをしていた。「今年供給されるタイヤは、どれも去年と同じにはならないと思う。何かコンパウンド用の物質や薬品で使えなくなったものがあると聞いている。よくはわからないけど……。今年のタイヤは、今までのところ去年のものとは違っている」とも彼は語った。
「今までのところ……」とパワーはコメントしたが、今回はまだ2戦目。このコラムで問題にしたいのは、第2戦でのタイヤだ。開幕戦でのタイヤについては、ファイアストンが「ブラックもレッドも去年からの改良バージョン」と認めているので。パワーのいうとおりに去年のものとは違うのだ。しかし、今回はファイアストンが、「ブラックは改良型だが、レッドは去年とまったく同一」と発表していた。そこでパワーのコメントを聞いた後、ファイアストンのタイヤ開発責任者であるペイジ・メイダーに聞いてみた。答えは? 「タイヤは一切変わってない。100パーセント同じだと断言します」というものが返ってきた。
結論=路面の経年劣化がラップタイム低下の真相
ドライバーたちには優れた感覚が備わっている。パワーのそれは、出場ドライバーの中でもかなり優秀な部類に入るはずだ。今年のバーバーでのグリップの低さ、今年の路面に対してのマシンの動きから、パワー陣営は「タイヤが違っている」との答えに至った。しかし、ここはファイアストンの言い分を信じたい。変わったのはタイヤではなく、路面だった。今後のロードコースでの戦いでも、今回のような話が出てくるかもしれない。要注目だ。
去年のシーズン前テストと今年のテストでは
返信削除やはり1秒も落ちているのでしょうか?
匿名さん
返信削除昨年のテストのレポートを見たところ、1分09秒8724をパワーが出しているということでした。今年のテストの総合トップはカストロネベスで1分11秒9434なので、詳しいコンディションやテスト時の状況が一概には言えないと思いますが、今回のレース同様、昨年の方がタイムが出ていたということだけは言えるのかなと思います。(更新係)