2011年4月16日土曜日

2011 INDYCAR インサイドコラム 第2戦バーバー・モーター・スポーツ・パーク 「レッドのパフォーマンスが高いという前提では、レースは一体どう変わるのか」

Photo:INDYCAR(Dan Helrigel)

予選でレッドを温存するという作戦はありうるか?

 トニー・カナーンの第2戦バーバーでの躍進(24位スタートから6位フィニッシュ)は、予選1ラウンド敗退だからこそ採れた作戦だった。予選を1セッションしか走れなかったので、新品のレッド・タイヤ(ソフト・タイプ)2セットをもって決勝に臨むことができたのだ。
 彼の成功例から、予選でファイナルに進めない可能性が高いチームは、思い切って予選は第1ラウンドで敢えて終わりにしてしまう、という作戦は考えられないだろうか。決勝に向け、レッドの新品2セットを投入できるアドバンテージに賭けるのだ。さらにいえば、予選の第1ラウンドに敗退覚悟でブラックで参戦。一切レッドを使わずに予選を終えれば、レースにレッドを3セット、すべて新品を投入できる。
 そして、レースでは3ピットストップ作戦を採用する。スタート直後は軽いマシンで暴れ回り、ピットタイミングをずらして好機が訪れるのを待つ。

予選でレッドの無駄遣い?をしている例は確かに目につくが……

 予選ではひとつでも上のグリッドを狙う。それが常識的な考え方だ。しかし、第1ラウンド敗退の中でのトップ=13位と、第2ラウンドで一番遅いタイムしか出せなかったドライバー=12位の差はたったの1グリッドでしかない。その彼らの決勝スタート時の状況を比較すると、13位の選手はレッドの新品が2セットあり、12位の人はレッドの新品を1セットしか持たない。セオリー通りの戦い方を両者がした場合、終盤の戦いで第2グループ進出組は中古、もしくはブラックを使わねばならないのだ。それはトップチームと同じ条件でもあるので、上位に割って入っていくのも難しく、下位からの突き上げを食うという事態を招きかねない。

レッドでのセッティングが完璧であるという条件が立ちはだかる

 もちろん、レッドを一切使わずに決勝を迎えるということは、レッドにマッチしたマシンセッティングを想像力を働かせて作り上げる必要があるということなので、高いエンジニアリング能力が求められる。下位チームにはそれは難しいが、成功させるのが絶対に不可能……というワケではない。

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