Round3 Toyota Grand Prix of Long Beach
Streets of Long Beach
ロングビーチ市街地コース
カリフォルニア州ロングビーチ
全長:1.968マイル(=約3.167㎞)×85周
コースタイプ:ストリート
Race Day 4月17日
決勝 21位フィニッシュ 1時間53分53秒0446(4周遅れ)
ブラックからレッド、そしてまたレッドへ。今日のKVレーシング・テクノロジー・ロータスはタイヤチョイスも完璧で、ピットストップもまた確実かつ迅速だった。 Photo: Jack Amano |
終盤、絶好のチャンスをレイホールの追突で逃す悔しい結果に
佐藤琢磨は予選22位だったが、朝のファイナルプラクティスでマシンを向上させ、後方スタートの不利を跳ね返す作戦をKVレーシング・テクノロジー・ロータスが用意した。琢磨はその作戦に必要な走りを完璧に実現し、着々とポジションアップ。レース終盤になってトップ10入りを果たしたのだった。
66周目の再スタートではトップグループでアクシデントが発生。ストップしたマシンの間をすり抜けた琢磨は6位に浮上した。しかし、その直後にグレアム・レイホール(チップ・ガナッシ・レーシング)が追突してきてリヤタイヤをカット。琢磨はタイヤバリアへと突っ込んでストップした。そこへレイホールのチームメイトのチャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ・レーシング)も突っ込んできたこともあって琢磨のレース復帰までには長い時間がかかり、4周遅れの21位という結果となった。
「最終スティントは燃料も心配なく、タイヤも新品で完璧でした」
レースを終え、アクシデントの状況をチームオーナーのジミー・バッサーに伝える。 Photo:Jack Amano |
佐藤琢磨:ターン6でグレアム・レイホールが全然止まり切れなくて僕に当たってきて、リヤ・タイヤがパンクしてしまったんです。すごい残念。本当に残念ですよね。
――全体を振り返りたいんですが、スタートはどうだったんでしょう?
佐藤琢磨:今日はかなりクリーンなスタートでした。僕はハード傾向のブラックタイヤでのスタートでしたから、我慢のレースになることはわかってましたしね。
――ブラックでスタートする作戦は正解でしたか?
佐藤琢磨:レッドタイヤの方が速いのはわかっていたので、レースの中盤からアタックをしていこうと。序盤はとにかく、ポジションを上げられるだけ上げた後に我慢……という戦いになると考えてました。序盤のレースが落ち着いてからは、燃料とタイヤのセーブに努めて、前を行くマシンがどんどんピットインして行きました。僕自身はそれより2周ぐらい周回をストレッチすることができて、それによって大分ポジションを上げることができました。チームのピットストップもうまくいってました。
――作戦は非常に良かったですよね?
佐藤琢磨:そうですね。集団の中でもタイヤと燃料をとにかくセーブして、上を狙える状況であれば狙っていくというレースが続いていました。それでレースが終盤を迎えたところでトップ10までポジションを上げることができていたんですからね。
――そしてトップ10を走ることとなった。
佐藤琢磨:はい。あそこからが最後のスティントでした。もうゴールまで燃料のことを心配する必要がなくなっていたし、タイヤもフレッシュなヤツで完璧だったし、もうすべてがコンディションとしてはパーフェクトで、これからアタックするってところでした。それで1コーナーの混乱も潜り抜けた時には、もう本当にトップ6、トップ5が一気に見えたので、自分としても、ヨシッ! このまま戦っていこうって考えていました。マイク・コンウェイとサイド・バイ・サイドのバトルをしても何も問題はなかったんですが、そのすぐ後でした、あのアクシデントは。どうしようもなかったです。
「追突されるアクシデントばかりは自分ではどうしようもない」
――いいカタチになってきていただけに、あのアクシデントは本当に残念でした。
佐藤琢磨:それでも、今日の僕はコンウェイとかタグリアーニとか、上位でフィニッシュしたドライバーたちの近くでレースをすることができ、いろんなことを学べました。かなり後ろからの追い上げになっていて、それをうまく生かせていたんですが、最終的な結果には繋げることができなかった。すごい残念ですけど、追突されるアクシデントばかりは自分にはどうすることもできませんから……。
――終盤のポジションアップに照準を合わせた戦いぶりは、ほぼ成功しかけていましたね。
佐藤琢磨:サバイバルレースになることはわかっていて、まったく無理をせずにいました。抜ける時には抜いて、ノートラブルで走っていたんです。それだけに、最後に弾き飛ばされたのは残念。今日はチームの戦略も、3ストップもできるような幅を持たせたものになっていて、序盤の展開を見ながら、2ストップにも対応できる状態にして戦っていました。最後のアクシデントまでは順調にポジションアップもできていたので、チームとしては収穫が大きかったと思います。
――予選日からマシンセッティングを変更した。それも成功でしたね?
佐藤琢磨:でも、まだトップグループとの間には圧倒的な差があって、まだまだ僕らは全然対等に走っているって気がしてはいません。今日はレース展開に助けられたってところもあって、中団グループに関してはうまく抑えることもできていたと思うけど。もちろん、昨日からシッカリとクルマの状態を前進させることができていた。その点は良かったと思いますけど、まだまだ僕らは3人のドライバーと、エンジニアのグループと力を合わせて頑張っていくしかないですね。1戦でも早く上位で戦えるようにしたいです。
――今日のクルマに評価を与えるとすると、どうなりますか?
佐藤琢磨:うーん、昨日よりはレースを走るクルマとしては良くなってたと思います。トップ10を戦えるクルマ……ぐらいまではきたと思うんです。でも、直接の勝負でトップ6を戦えるかというと、それはまだスピードが足りてなかったと感じましたね。
――昨日からは明確なゲインができていたけれど、満足はしていないと?
佐藤琢磨:そうですね。今日の朝のウォームアップである程度見えました。それをもってレースを戦ってみて、僕らが遅れているところというか、苦手としているところが今日は良く見えた。特に、アンドレッティ・オートスポートの後ろを走るケースが今日はあったので、ちょっと次元の違う加速っていうかね、特に縁石を越えた後の加速がまったく違った。ショックでしたけど、自分たちの課題が見えたので、それを何とかしたいですね。
「今日は立てた作戦の中でベストをつくすことができていました」
悔しい結果とはなったが、チームの進化も感ずることのできたレースだった。 Photo:Jack Amano |
佐藤琢磨:そうですね。今日はとにかく前に引き離されない限り燃料を最大限セーブして、2周ぐらいストレッチできていましたからね。他のドライバーたちがピットに入ってっても、僕はまだいけるって感じでした。できる範囲でのことはやっていた。作戦の中でベストを尽くせていました。それもひとつのやり方ですからね。でも、フロントグループで思い切り戦いたですよね。
――レース中盤、ダニカの後ろをかなり長く走っていました。彼女は結果的に7位になったんですが、あの状況はどんなだったんですか?
佐藤琢磨:彼女のクルマも縁石を越えた後のカタパルト発進の如く出て行くのはすごかった。抜けないと思いましたね。ただ、彼女に追いついてって、僕の方が強いというところもあった。それに彼女の方が燃料をかなり使ってたので、僕は1周多く走って、彼女の前にピットアウトできた。戦略勝ちでしたね。その後に抜かれるってことはなかったと思いますけど。
リスタートでトップ6が見えた瞬間ていうのは、確実にゴールしていこうっていう風に考えていました。
――プッシュ・トゥ・パスもたくさん残してましたから、レース終盤が楽しみだったのでは?
佐藤琢磨:そうですね、まだあと14回ぐらい残ってたのかな?
――16回でリスタートを迎えてました。
佐藤琢磨:再スタートで6番手に上がった瞬間からは、もう燃料は大丈夫だし、タイヤも数周しか走ってない状態だったし、超イケイケ・モードでね、これはもうアタックしてこうって思ってた、その本当に矢先でしたね。マイクトサイド・バイ・サイドの時は、全然何の心配もしてなかったし、タフだけどクリーンな戦いをしてたんだけど、思わぬ伏兵というか何というかが後ろにいましたね。
――ブラジルではいい戦いができそうですか?
佐藤琢磨:ストリート・レースは3戦目ですから、新しいセッティングの方向性などについて自分たちの中で理解度が深まってきています。
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