2011年3月28日月曜日

2011 INDYCARシリーズ解説 “未知のレッドタイヤ”で走る予選はバトルを盛り上げたのか?

レッドタイヤの使用はブッツケ本番
 今年のロードレースに向けて、INDYCARとファイアストンは予選方式をモディファイして、その新ルールでの初めての予選が、昨日(3月26日)行われた。
 ロードレースでタイヤが2種類供給されるようになったのは、2009年。グリップの高いがライフは短い。コレはレースと予選にスパイスを効かせることになった。厚みが増した感じ。
Photo: INDYCAR(Shawn Gritzmacher)

 レッド(タイヤ)の高いグリップは魅力的なので、決勝でも短いスティントであれば威力を発揮する。となれば、決勝にできれば良い状態のレッドを残したい。できれば新品を1セット。
 しかし、予選の競争が激しいため、レッドを使わずに上位のグリッドを確保するのは至難だ。第1セグメントで敗退したドライバーなどは、1セットしかレッドを使っていないケースもあり、レースにレッドを2セットを残しているアドバンテージを手に入れることができた。

 もちろん、そのレッドを使いこなす力量がないと、それは宝の持ち腐れだ。後方スタートの不利にあるドライバーたちが、新品のレッド2セットを使える状況は、レースをより混戦にする可能性をも秘めていたワケだ。
 しかし、レッドタイヤの採用=タイヤが2種類存在する状況は、決していいこと尽くめではない。問題点もある。プライベートテストでも合同テストでも、ソフトタイヤがチームに供されることはない。それは公平性を保つためだ。テストを行えないチームもあることだからだ。

 レッドは毎レース使えるのが3セットまでで、プラクティスと予選までなら2セット止まりだ。そして、レースウィークエンドで使う時が、どのチームもその年の、そのコースでは初めてということになる。予選の時がブッツケ本番なんである。
 ここが気になる点だ。「全員が同じ条件なんだから公平」というのはレース界でよく聞かれる優等生フレーズだが、使ったことのないタイヤで走らせるのが、本当に良いことなのか。

 その使ったことのないタイヤだが、構造はプライマリー(ブラック)と同じ。違うのはコンパウンドだけということになっている。ソフトでグリップの高いコンパウンドのタイヤで速く走るためには、推測力が肝心で、そこが競争になってるという面も確かにあるのだけれど、やってる本人たちにとって、そこまで未知の要素を与えるってのはどうなんだろう……と考えるわけである。
 今年からの予選では、タイヤ使用に関するルールが変わった。3段階で争われる予選、それぞれのステージで使えるタイヤはソフトかハードのどちらか一方、しかも1セットのみになった。タイヤの種類を制限するだけじゃなく、セット数まで規定した。

タイヤの“ポイ捨て”防止目的の新ルール
 このルールの意図がどこにあるのかをファイアストンに聞くと、「少ない周回数で使っただけで終わりにされちゃうタイヤが多い状況になってきていたので、タイヤをより有効に使ってもらうために採用した」とのことだった。各セグメントで1セットしか使えないんだから、そのセットでできる限り走るしかない。上記の目的は果たされる。
 実際の予選では、全セッションで全ドライバーがレッドを使った。ブラック使用者はゼロ。……これじゃ、予選用タイヤが導入され、それ以外は使われないっていうのと同じ状況じゃないか。もちろん、今後のロードレースで供給されるレッドの性能は、コースによってスペックが異なるという事情があるから、そのコースの特徴なども影響してくる。

 次戦の予選も全セッションで全員がレッドを使うことになるかは不明だ。まだ1回しか行われていない新ルールの予選なので、評価を下すのは速過ぎるかもしれない。それにしても、全員がレッド使用という状況が続けば、選択の自由はなくなってしまったのに近い。
 開幕戦の予選はエキサイティングだったが、それはマイク・コンウェイが奮闘を見せたり競争が去年以上に激しくなっていることからであって、新ルールが予選を面白くしていたわけではなかった。

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